マンジャロの転売は逮捕される?薬機法違反になる行為と罰則を解説

薬を扱う男性

「マンジャロ」は、本来は2型糖尿病の治療に使われる医薬品であり、ダイエットのための薬ではありません。しかし2026年、このマンジャロをダイエットの薬として購入する人が増えていると、SNSなどで話題になっています。

医師の処方箋が必要なマンジャロをSNSやフリマアプリで転売する動きも広がり、無許可で販売したなどとして摘発される事案も起きました。

そのなかで、「マンジャロを転売したら逮捕されるのか」という不安を抱く人も少なくありません。この記事では、マンジャロの転売がなぜ違法になるのか、どのような場合に逮捕や捜査に至るのか、罰則や買う側のリスク、逮捕されたときの対処法までを、行政機関の情報をもとに整理します。

マンジャロの転売は逮捕される?

マンジャロの転売は薬機法(医薬品医療機器等法)違反にあたり、逮捕される可能性があります。ただし2026年6月に大阪府警が摘発した事案では、逮捕ではなく在宅のままの書類送検でした。

無許可で売る行為そのものが違法であり、実際に売れたかどうかにかかわらず捜査の対象になりえます。以下では、何が違法になり、どのような場合に逮捕や書類送検に至るのかを順に見ていきます。

マンジャロの転売・無許可販売は薬機法違反にあたる

マンジャロを許可なく他人に売る行為は、薬機法違反にあたります。マンジャロは医師の処方箋がなければ受け取れない処方箋医薬品で、誰でも自由に売買してよいものではないためです。

医薬品の販売には、法律で定められた許可が必要です。薬機法第24条第1項は、

薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない

と定めています。

販売業の許可を持たない個人が、マンジャロを売ったり、販売する目的で保管したりすることは、この規定に違反します。厚生労働省も公式に、糖尿病治療薬の個人間売買は薬機法違反であるとして、「売らない・買わない」よう注意を呼びかけています。

マンジャロの転売で逮捕される可能性はある

無許可販売は刑事罰の対象となる犯罪であり、逮捕される可能性があります。
一方で、犯罪の疑いがあれば必ず逮捕されるわけではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれの程度などをふまえ、身柄を拘束せずに捜査が進むこともあります。

実際、マンジャロの無許可販売で摘発された大阪の事案では、逮捕ではなく書類送検という形がとられました。

厚生労働大臣も2026年6月の記者会見で、マンジャロの個人間売買は一般に違法であるとしたうえで、法違反には厳正に対処していく考えを示しています。
逮捕されるかどうかは事案ごとの個別事情によって変わる、というのが実態に近い理解です。

2026年に大阪府警が摘発した事例(書類送検された)

2026年6月、大阪府警はマンジャロをSNSで無許可販売するなどしたとして、男女3人を薬機法違反の疑いで書類送検しました。報道によれば、容疑の内容は、許可なくマンジャロを販売した、あるいは販売する目的で自宅に保管した、というものです。

参考:糖尿病薬を無許可販売容疑 「マンジャロ」、3人書類送検―大阪府警|時事通信

マンジャロの不正販売に関する摘発は全国的にも異例とされ、背景には、本来は糖尿病の治療薬であるマンジャロを、ダイエット目的で使う人が増えている近年の状況があります。

なお、書類送検は捜査の一段階であり、有罪が確定したことを意味するものではありません。

逮捕と在宅での書類送検(在宅事件)はどう違う

逮捕は身柄を拘束されるのに対し、書類送検(在宅事件)は身柄を拘束されないまま捜査が進む点が大きく異なります。逮捕された場合、警察での留置や勾留によって、一定期間、自宅に戻れない状態が続くことがあります。

これに対し在宅事件では、通常どおりの生活を続けながら取り調べに応じ、最終的に事件の書類が警察から検察へ送られます。逮捕と在宅捜査それぞれの流れの詳細は、別記事で解説しています。

販売目的で保管しているだけでも摘発の対象になる

まだ売っていない場合でも、販売する目的で保管している段階で、薬機法違反として摘発の対象になりえます。薬機法は、医薬品を販売・授与する行為だけでなく、販売や授与を目的として貯蔵・陳列する行為も規制しているためです。

そのため「まだ売っていないから問題ない」「在庫として持っていただけ」という説明は通用しないことがあります。大阪の事案でも、書類送検された3人のうち2人は、販売目的で自宅に保管していたとされる段階で立件されました。

マンジャロの転売はなぜ違法になるのか

許可なくマンジャロを販売・授与する行為は、薬機法(第24条第1項)違反になります。医薬品の販売には許可が必要だからです。

マンジャロは医師の処方箋が必要な「処方箋医薬品」

マンジャロは、米国の製薬会社が開発し、日本では2022年に承認された2型糖尿病の治療用の注射薬です。薬局や医療機関で、医師の診察と処方にもとづいて出される処方箋医薬品にあたります。

処方箋医薬品は、患者一人ひとりの症状や既往歴、ほかに使っている薬、副作用のリスクをふまえて、医師の管理のもとで使うことが前提になっています。そのため、個人どうしで売り買いされること自体が想定されていません。

医薬品の販売には販売業の許可が必要(薬機法第24条第1項)

医薬品を業として販売できるのは、薬機法第24条第1項にもとづく販売業の許可を受けた者に限られます。医薬品は人の健康に直接かかわるため、国が認めた者だけが取り扱えるしくみによって、品質や安全性が確保されています。

マンジャロのような医療用医薬品も例外ではなく、許可のない個人が販売すれば、この仕組みの外にある無許可販売となります。

無償で譲っても・フリマアプリでの1回でも違法になりうる

お金を受け取らずに譲った場合や、1回きりの取引であっても、違法と判断されることがあります。第24条第1項は「販売」だけでなく、無償で与える「授与」も対象にしているためです。

SNSで買い手を募る、複数本を保管する、利益を得る目的があるなどの事情がある場合は、1回の取引であっても「業として」の販売・授与と評価され、違法と判断されるおそれがあります。

「自分が処方された薬を譲っただけ」「余った分を渡しただけ」という事情も、それだけで適法になるわけではありません。

ダイエット効果をうたって売る行為は広告規制の問題も生じうる

「痩せる」などとうたってマンジャロを販売・勧誘する行為は、薬機法上の広告規制の問題も生じうるため注意が必要です。

マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、美容・痩身・ダイエット目的での有効性や安全性は確認されていません。

そのため、痩身効果を強調して販売した場合には、無許可販売に加えて、虚偽・誇大広告等の規制に触れる可能性があります。国内未承認品や海外製品、偽造品などを広告するケースでは、承認前の医薬品等の広告禁止が問題になることもあります。

マンジャロの転売・無許可販売の罰則はどのくらい?

無許可販売には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

無許可販売の法定刑(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)

薬機法の無許可販売に対する罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、もしくはその両方です。第24条第1項の違反に対して、薬機法第84条に罰則が定められています。

得た利益の有無や金額の大小にかかわらず、許可なく販売した場合や、販売する目的で保管していた場合は、罰則の対象になりえます。少額の取引や、数本を売っただけのケースでも例外ではありません。

「拘禁刑」とは(懲役・禁錮の一本化との関係)

拘禁刑は、2025年6月に懲役と禁錮を一本化して新設された刑罰です。2025年6月1日に施行された改正刑法によって、それまで「○年以下の懲役」と定められていた条文も、拘禁刑へと置き換わりました。

拘禁刑は、施行日以降に発生した犯罪に適用されます。マンジャロの転売をめぐる近年の事案では、この拘禁刑が用いられることになります。拘禁刑の中身については、別記事でくわしく解説しています。

逮捕・書類送検されたあとの流れ(送検から起訴・不起訴まで)

逮捕された場合でも在宅事件の場合でも、事件は最終的に検察へ送られ、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。逮捕事件では身柄とともに、在宅事件では書類が送られます。

検察官が起訴すれば刑事裁判に進み、不起訴であれば刑罰は科されません。どのような場合に不起訴となるのかは、別記事にまとめています。

起訴され有罪になると前科がつく

起訴されて有罪が確定すると、罰金刑であっても前科がつきます。書面のみで罰金が言い渡される略式手続きの場合も、有罪であることに変わりはなく、前科として記録されます。

前科は、仕事や資格に影響することがあります。だからこそ、捜査の段階から、不起訴や処分の軽減を目指した対応を考えることが重要になります。

マンジャロを「買う・個人輸入する」側のリスク

買って自分で使うこと自体を直接罰する規定は基本的にありませんが、個人輸入の制限を超える輸入や他人への譲渡は違法で、偽造品などの健康リスクもあります。

買って自分で使うこと自体を直接罰する規定は基本的にない

マンジャロを買って自分で使う行為そのものを、薬機法で直接罰する規定は基本的にありません。薬機法が明確に処罰の対象としているのは、許可なく「売る・譲る」側だからです。

覚醒剤や大麻のように、所持しているだけで罪に問われる薬物とは性質が異なります。

ただし、処罰されにくいことは安全であることを意味しません。買ったものをさらに他人へ渡せば違法になりますし、後述するように、健康面や偽造品のリスクも小さくありません。

個人輸入は自己使用に限り認められる(処方箋医薬品は1か月分まで)

医薬品の個人輸入は、自分自身が使う場合に限り、一定量まで認められています。

税関や厚生労働省の案内では、処方箋医薬品は用法用量から見て1か月分までであれば、輸入確認証を取得しなくても通関できるとされています。
これを超える量を輸入する場合には、地方厚生局での手続きが必要です。

参考:1806 医薬品・化粧品等の個人輸入について(カスタムスアンサー)|税関

もっとも、自己判断で使うと重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品は、数量にかかわらず、医師の処方が確認できなければ個人輸入が認められない場合があります。

注射薬であるマンジャロは、この点でも個人輸入のハードルが高い医薬品といえます。

個人輸入代行を使っても、輸入の主体は購入者本人

個人輸入代行サイトを利用しても、法律上、輸入を行う主体はあくまで購入者本人です。手続きを業者に任せても、輸入にともなう責任までが業者に移るわけではありません。

そのため、自己使用の範囲を超える量を輸入してしまった場合や、本来は個人輸入が認められない医薬品だった場合でも、責任を問われるのは代行業者ではなく購入者本人です。「業者に任せていた」「知らなかった」では済まされません。

また、代行業者が医薬品の安全性や品質を保証してくれるわけではなく、入手した医薬品によるトラブルや健康被害の不利益も、最終的に購入者自身が負うことになります。

個人輸入したものを他人に売る・譲ると違法になる

自分で使うために個人輸入したものであっても、それを他人に売ったり譲ったりすれば違法です。

税関や厚生労働省も、個人使用として輸入した製品を他人に販売・授与することは認められないと明示しています。無償で渡す場合も同じです。

他人の分をまとめて輸入することも認められていません。厚生労働省の通知でも、個人輸入された医薬品の友人間などでの譲渡は薬機法違反にあたるとして、注意が促されています。

偽造品・救済制度の対象外など、買う側の健康リスク

非正規のルートで入手したマンジャロには、偽造品や品質劣化のリスクがあり、副作用が出ても公的な救済制度の対象外となる可能性があります。
マンジャロは冷蔵保管が必要な注射薬であり、輸送中の温度管理が適切でなければ、有効成分が分解して効果を失うおそれがあります。

正規に処方された医薬品で重い副作用が出た場合には、医薬品副作用被害救済制度の対象になりえます。
しかし、個人輸入した医薬品や、承認された範囲を外れたダイエット目的での使用では、対象外となる可能性が高くなります。

厚生労働省も、こうした適応外使用では低血糖や急性膵炎などの思わぬ健康被害が生じうるとして、適正な使用を呼びかけています。

マンジャロの転売で逮捕されたときの対処法

逮捕されたときは、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談し、取り調べに適切に対応して、不起訴や処分の軽減を目指すことが重要です。

まず弁護士に相談する(早期対応の重要性)

逮捕された場合は、まず早い段階で弁護士に相談することが大切です。逮捕の直後は身柄の拘束が続き、家族とも自由に連絡を取りにくい状態になることがあります。

弁護士は、本人と面会して今後の見通しや対応方針を伝えることができます。早く動き出すほど、その後の処分に向けて取れる対応の幅が広がります。

取調べへの対応で注意すべきこと

取り調べでは、事実に反する供述をしないこと、調書に署名する前に内容をよく確認することが重要です。供述調書は、その後の手続きで大きな意味を持つことがあります。

わからないことを推測で答える必要はありません。黙秘権をはじめとする自分の権利を理解したうえで、弁護士の助言を受けながら対応することが望まれます。

不起訴処分・処分の軽減を目指すポイント

反省の姿勢や再発を防ぐための取り組みを示すことが、不起訴や処分の軽減につながることがあります。初めての事件かどうか、関与の程度や利益の規模なども考慮されうる要素です。

弁護士を通じて、こうした事情を検察官へ適切に伝えていくことが考えられます。不起訴になった場合の意味については、別記事も参考にしてください。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、取り調べへの対応の助言や、検察官との交渉、家族との連絡など、刑事手続き全体を通じたサポートを受けられます。

見通しが立たないなかで一人で対応するよりも、専門家の支援を受けることで、精神的な負担をやわらげながら、適切な手続きを進めやすくなります。

まとめ

マンジャロの転売は、処方箋医薬品を無許可で販売・授与する行為であり、薬機法違反にあたります。
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となるほか、売る側だけでなく、個人輸入や買う側にも法律上・健康上のリスクがあります。

転売や個人間の取引に関わってしまい、逮捕や捜査への不安がある場合は、早い段階で動き出すことが、その後の見通しを大きく左右します。

マンジャロの転売・薬機法違反でお悩みの方は弁護士にご相談ください

逮捕や書類送検への不安、取り調べへの対応、今後の見通しなど、マンジャロの転売や薬機法違反に関するお悩みは、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
早めの相談が、不起訴や処分の軽減に向けた準備につながります。

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