留置場から拘置所への移送はタイミング次第~保釈が濃厚なら不可?~

待機の列

拘置所とは?

拘置所とは、原則として未決囚と呼ばれる刑事事件の被告人と、死刑確定者を収容する施設で、管轄は法務省となり、警察庁の管轄である留置場とは違ったものになります。

またこれらの人の他に、既決囚と呼ばれる実刑が確定した人も収容されているのも特徴で、刑事事件の手続きにおいては多くの段階にある人が入っているのも特徴です。

但し留置場と比べて施設の数は極めて少なく、留置場が全国に1,100カ所以上あるのに対して、拘置所は全国に8カ所(東京拘置所、立川拘置所、名古屋拘置所、京都拘置所、大阪拘置所、神戸拘置所、広島拘置所、福岡拘置所)、拘置支所(刑務所、少年刑務所、拘置所の支所)が111カ所しかありません。

そのため、慢性的に満員状態になっているという問題があります。

拘置所にはさまざまな人が収容される

原則としては、裁判所によって勾留の決定がなされた被疑者は拘置所に収容されるはずなのですが、この拘置所の定員不足という理由などから、警察の留置場において身柄の拘束を受け続けることが多いのが実情です。

これは留置場を代用監獄としてしようしてもよいという取り決めがあるためですが、警察の管轄下で強引な取調べが続けられてしまうという原因にもなっています。

未決囚を拘置所に収容する目的は、留置場と同様に、逃走や証拠隠滅を防止するためとされていますが、拘置所には移送される刑務所の決定を待つ受刑者や死刑囚も収容されているため、収容される人の状況により取り扱いが異なります。

拘置所はいつも満員?

日本における刑事事件の手続きの現状は、警察に逮捕された被疑者はまず警察の留置場に収容され、送検された後も引き続き留置場において勾留され、拘置所へと移送されるのは検察が起訴を行った後になるのが通例となっています。

加えて、逮捕と勾留の期間も満期まで目一杯引っ張られるケースがほとんどで、被疑者は最長期限の23日間も留置場で身柄を拘束されることになってしまいます。

留置場と比べて拘置所の方が居心地がよいとは限らないので、声を上げて拘置所に移送されるべきだと主張することも適切ではありませんが、拘置所が満員だからといって留置場で警察の取り調べが続けられたり、どう考えても検察がそこまで引っ張る必要がないであろうケースでも期限まで勾留が続けられたり、捜査機関の都合によって被疑者の身柄の拘束が、空いている刑事施設で行われるのも問題です。

留置場における生活や取調べは、かつて強引な取調べが問題となった時代と比べて、被疑者の人権に配慮した形になっているにしろ、納得がいかないところです。

条件が揃っても移送されない場合

刑事事件の被疑者が検察により起訴され被告人となっても、即日拘置所に送られることなく、さまざまな理由で起訴後も留置場での生活が続くことも珍しくはありません。

前述の通り拘置所が満員状態で居室が空くのを待つ必要があるケースに加え、すぐに保釈申請が通りそうなので拘置所へは移送せず留置場で保釈を待つとか、起訴された事件の他にも余罪が複数あるため引き続き留置場で取調べが続けられる、といった理由です。

拘置所が満員になる理由は?

拘置所には警察や検察などの捜査機関が逮捕した被疑者や、公判を待つ被告人、そして懲役刑が確定した受刑者、拘置所内で作業をする受刑者、死刑囚などが収容されています。

つまり、刑事事件の手続きにおいて、身柄を拘束されたり、刑罰によって自由を奪われたりしている、すべての境遇の人たちがいるわけです。そのため、拘置所は常に満員に近い状態で運営されているのが現状です。

一方で、検察の検事が捜査の結果、被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定する際、移送先の拘置所が満員かどうかなどという基準では判断しません。純粋に起訴するに足る犯罪事実があったかどうかで判断しますので、起訴が決定したときにたまたま管轄区の拘置所が満員で、新たな被告人の受け入れがすぐに出来ないこともあるのです。

被告人が受け入れ可能な状態であっても、留置場から拘置所への移送は、起訴決定から一週間ほどかかるのが普通ですが、拘置所が満員だと1カ月以上待たされることもあります。

拘置所に移送されない他の理由

刑事事件の被疑者として逮捕され、起訴されてしまったとしても拘置所に移送されない理由には、拘置所が満杯だという理由に加えて、被告人がどのような状態にあるかということも関わってきます。

その中でも主な理由は、保釈があるかどうかと、複数の罪を犯しているかどうかです。

保釈の可能性が高いと拘置所には送られない

検察が起訴をしても、被告人が拘置所に送られないケースで多いのが、すぐに保釈申請が許可されそうな被告人の場合です。このような、すぐに保釈されるケースというのは、警察や検察、あるいは拘置所側も以前の経験でよく分かっているのです。

捜査機関による単なる手続きの簡素化とも思われますが、留置場から拘置所への移送手続きをしないで、そのまま留置場で身柄の解放を行えば、移送に伴う書類などの手続きは省略できるのです。もちろん明文化されている措置ではありませんが、書類手続きを行う手間を考えたうえで、保釈がすぐに認められそうな被告人は拘置所に送られないのでは、と考えられるのです。

実際のところ被告人にとっても、地域によれば刑務所の中にある、刑務所一歩手前の拘置所に好き好んで行きたくはないかもしれないですし、起訴後は取調べもなく毎日が退屈で仕方のない留置場に居たままでも、保釈が近いのであれば我慢ができるかもしれません。

保釈が許可されやすい被告人とは?

保釈の許可が得やすいケースというのは、初犯であることが大前提です。そして保釈許可の下りやすい犯罪として有名なのは、被害者のいない薬物系と言われています。

具体的には、大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反といった罪状で、ちょっとした好奇心でやってしまった、という程度の量を所持していたケースなどでは、弁護士に依頼し有効な手続きを行えば、保釈の許可が下りる可能性が高いと言えます。

ただし取調中に、被告人自ら警察や検察に対し、罪を犯したことを十分に反省していることを示し、二度と行わないと訴えることも重要となってきます。

余罪がある場合は、留置場での取調べが続く

以上の説明は、基本的にひとつの罪を犯したケースを取り上げています。ところが実際の社会では、複数の罪を犯して捕まる人が結構いることは事実で、詐欺や空き巣(窃盗)といった犯罪は多くの場合、二桁どころか三桁の被害者がいる、常習犯であることもあるのです。

日本の刑事事件の手続きにおいては、それらの事件を一件ずつ立件できますので、極端な話をすれば、100回逮捕ということも理論的には可能なのです。実際にはある程度、余罪を併合して手続きを進めてしまうわけですが、それでも事件の規模が大きい場合になると、きちんとした捜査をするために、再逮捕を繰り返して事件の真相を明らかにするのが通例です。

こういったケースでは、起訴されたからといって拘置所に送られることはなく、留置場での取調べを受け続けることになります。

弁護士に相談するタイミングは多い

以上のような罪を犯した被告人は拘置所に行く機会を失う、あるいは遅れることになりますが、とは言え留置場からいきなり裁判を受けて実刑判決を下され、刑務所へ行くケースは極めて稀です。

裁判で有罪の実刑判決が下った場合、どこの刑務所へ収監するかという選考期間がありますので、その間は拘置所で暮らすことになります。留置場で勾留期間いっぱいを過ごすことになった場合、あるいは起訴されても留置場に収容されたままといった状況は、実は何もすることがない時間が多いのも事実です。

勾留期間の限度が近づく頃には容疑も固まり取調べの回数も減りますし、起訴されてしまえばもう取調べはなく、裁判を待つのみなのです。そういった場合は、時間を利用して、裁判への準備を綿密に進めることをお勧めします。

弁護士との面会を重ね、裁判への対策を練る

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまい、不起訴処分を得ることができずに実際に起訴されてしまったら、後は無罪を勝ち取るか、あるいはできるだけ軽い刑罰で済むように裁判を進めるしかありません。

日本の刑事裁判では有罪率が99%以上であるため、冤罪である場合を除き、刑罰を軽くする方向で進めることが現実的です。しかしテレビドラマのように、実際に裁判の場で逆転などはほぼあり得ず、事前の弁護士との打ち合わせや準備が重要となってきます。

留置場で何もせずにいるのは辛いところですが、弁護士と面会する機会はたくさんあるわけですから、後悔することのないように裁判への準備を進めましょう。

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