男女の自由恋愛を生業にする“プロ”がいる~結婚詐欺~

言葉巧みに近づき、結婚資金を巻き上げる「結婚詐欺」

結婚詐欺イメージ

結婚適齢期の独身男女なら、誰でも被害者になりうる?

「結婚詐欺」は、結婚すると偽って交際相手から金品を騙し取る詐欺の総称です。現代の日本は独身でも、何不自由しない生活を送れますので、結婚そのものを望まないライフタイルを選ぶ人も増えています。ですから昭和世代に比べ結婚しないことを親戚縁者から責められることも少なくなった一方、やはり結婚に憧れを持つ人も少なくありません。

そうした結婚願望を持っている人の多くは、結婚資金を結構貯め込んでいますので、詐欺師はそんな結婚を希望する被害者に対して、言葉巧みに近づき、金品を巻き上げて、そのまま結婚せずに逃亡するわけです。
結婚詐欺が刑事事件として起訴された場合、当然その罪状は「詐欺罪」になります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、罰金刑はありません。

懲役刑の最短刑は1月(30日以上)ですので、詐欺罪で有罪になると予想される量刑は1月から10年の懲役刑と、極めてアバウトなものになっています。これは詐欺という犯罪がケースごとによって、その件数や被害額、あるいは被告人や被害者の人間関係が全く違ってくるからです。

したがって結婚詐欺で起訴された場合、予想される量刑は事件ごとに変わってきます。被告人が初犯で、被害金額も比較的小額で、尚且つ弁済も終了していれば、懲役2年で執行猶予がつく可能性が高いでしょう。逆に被告人に同種の前科があったり、被害額が1000万円を越えていたり、あるいは同時に複数の相手を結婚詐欺のカモにしていたなど、情状酌量の余地がない場合は、結構な年数の懲役刑となるかもしれません。

結婚詐欺が滅びない理由とは?

恋愛感情は証明が難しい

全ての詐欺罪に共通して言える事は、加害者が被害者を“最初から”騙す気だったことがポイントです。無銭飲食でも財布を忘れてきたことに、支払いの段階で気づいたとしたら、それは民事上の「契約不履行」に過ぎず、刑事事件としての「詐欺罪」は成立しません。

結婚詐欺も、加害者が“最初”は本気で被害者と結婚前提でつき合い、結果的に別れてしまった場合、交際中の借金は民事紛争の争点にはなるものの、やはり詐欺としての立件は困難なのです。
人の心の中は、客観的に覗き込むことなど出来ませんので、詐欺罪を立証する場合、加害者が明らかに被害者を騙す気で近づき、結婚する気など毛頭なかったという客観的事実を証拠として突きつける必要があります。

たとえば

  • 加害者は既婚者である上、その結婚生活は極めて良好だった
  • 被害者に対して偽名を名乗っていたり、職業や住所を偽っていた
  • 借金をする理由と、実際に貸した金の使い道が違っていた

など、客観的に見て被害者を騙していた上、加害者の結婚する気を疑うような事実が出てこない限り、結婚詐欺として加害者を訴えるのは難しいわけです。

この場合、“他にもつき合っている異性がいた”という事実は、詐欺立件の理由には苦しいといえます。というのも、一応日本は自由恋愛が認められていますので、実際に結婚していない以上、二股を掛けていたことは人道上の非難はされても、犯罪にはなりません。もっとも、つき合っている異性全員に「結婚するから金を貸してくれ」と言っていれば、それは完璧な結婚詐欺です。

“結婚詐欺のプロ”が実在すると言われている

裁かれるのは氷山の一角?

結婚詐欺が新聞やTVで大々的に扱われることはあまりありません。それは結婚詐欺事件として、立件される件数が少ないというのが理由のひとつです。しかし立件される件数が少ないというのは、実際の結婚詐欺そのものが少ないという意味にはなりません。

結婚詐欺自体は、警察が認知している件数より遥かに多いと言われており、事件化しないのは

  • 被害が小額なので、告発しない被害者が多い
  • 騙す側の詐欺師の手口が巧妙で、被害者が気づかない

という理由が考えられます。

結婚詐欺に遭ったというのは、被害者にとっても屈辱的な事です。警察に被害を訴えれば、事情を事細かく調書にしなければなりませんし、加害者が逮捕・起訴されたら、今度は法廷で証言しなければなりません。被害者にとってしてみれば、自分の失敗を、何度も証言するような恥をかくくらいであれば、多少の金銭的な損害は泣き寝入りして我慢することを選択します。

また、最近の結婚詐欺師は被害者から訴えられるようなミスをしなくなっています。ドラマや映画に登場する結婚詐欺師は、一人の被害者から何百万円単位のお金を一度に引き出そうとします。しかし現実の結婚詐欺師は、一度にそんな巨額を請求しません。

数万円、せいぜい数十万円程度のお金を被害者に要求するわけです。そうした“カモ”と複数同時につき合って、詐欺で巻き上げた金だけで生活する“プロの結婚詐欺師”も実在すると言われています。
そんなプロの結婚詐欺師の巧妙さは、被害者との交際を自然に終わらせ、被害者自身が結婚詐欺に遭ったことすら気づかせない点です。

結婚詐欺は、男女の心の機微を利用した犯罪であり、犯意を立証することが非常に困難な詐欺だと言えます。また男女交際は、民事の範疇ですので法律では取り締まりにくい世界の話です。結婚詐欺は被害者が冷静に気をつける以外、防犯方法はなく、“廃れない犯罪”だといえるでしょう。

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