結婚詐欺とは?あたる行為と手口、被害者が取るべき対応と訴えられた詐欺師の末路

結婚詐欺とは?あたる行為と手口、被害者が取るべき対応と訴えられた詐欺師の末路

結婚詐欺は、結婚をほのめかして相手からお金を騙し取る詐欺行為の1つです。SNSの普及やマッチングアプリの台頭で男性からも女性からも気軽に異性関係を持ちかけやすくなった社会的な変化もあり、被害に遭う人が増えている現状があります。

結婚詐欺師はさまざまな手口で近づいてくるため、被害に遭わないためにも、あらかじめ傾向と対策を知っておくことが重要です。

この記事では、結婚詐欺にあたる行為や結婚詐欺の見抜き方、結婚詐欺に遭った場合に取るべき対応などについてわかりやすく解説していきます。

結婚詐欺とは

結婚詐欺とは、結婚するつもりがないにもかかわらず、あたかも結婚するかのように相手を騙してお金や資産を奪い取る行為をいいます。

結婚式場の下見、両親への挨拶、新居を探すなどの行為で結婚を匂わせた上で、「借金を完済してから結婚したい」などと嘘をつきお金を騙し取ります。

最近では、SNSなどで知り合った外国人が結婚詐欺を働く「国際ロマンス詐欺」も流行っているので、身元を明かさずに近づいてくる異性がいたら、くれぐれも注意してください。

結婚詐欺の手口

結婚詐欺では、さまざまな手段を使ってお金を騙し取ろうとしてきます。

悪質な結婚詐欺に騙されないようにするためにも、結婚詐欺の手口をしっかり把握しておきましょう。

  1. マッチングアプリや出会い系サイトなどで相手を探して近づく
  2. ある程度の間、交際関係を続ける
  3. 少額のお金を借り、返済して相手を信用させる
  4. 嘘をついて相手から大金を引き出す

マッチングアプリや出会い系サイトなどで相手を探して近づく

結婚詐欺師は、ターゲットになる相手をマッチングアプリや出会い系サイトなどを通じて探し出し、言葉巧みに近づきます。
結婚に焦っていてかつお金を持っていそうな相手を探すには、マッチングアプリや出会い系サイトで探すのが一番効率がいいからです。

また、結婚詐欺師は、いざとなったら逃げれるよう自身の身元を明かさずに近づいてくる傾向にあります。年齢、職業、年収などを偽って近づいてくるため、出会いの段階で結婚詐欺目的かの判断はしづらいかもしれません。

もし、SNSなどで出会って以降、実際に会うことを頑なに拒んでくる場合には、結婚詐欺を疑ってください。

ある程度の間、交際関係を続ける

ターゲットとなる相手を見つけたら、ある程度の期間交際を続けることで、相手を信用させます。

信頼関係を得るために、甘い言葉を囁いたり、サプライズで相手を喜ばせたりします。ときには、高価なプレゼントを渡して、愛情があることを相手にアピールすることもあるでしょう。あたかも「運命の相手」であるかのように装うため、そこに相手を信頼する気持ちが生まれてしまうのです。

また、交際期間中、会話の中から巧みに相手の資産状況に探りを入れてきます。収入や貯蓄、実家がお金持ちかどうかなど、どのくらいお金を引き出せそうかを確認してくるでしょう。

交際期間が長くなればなるほど、相手の言動に疑問を持ちづらくなり、騙される確率も高くなってしまうのです。

結婚詐欺グループとして集団で詐欺行為を働いている場合には、相手の信用を得るために、結婚詐欺師の両親と名乗る人物が「うちの○○をよろしくお願いします」などと挨拶してくるケースもあります。

少額のお金を借り、返済して相手を信用させる

少額のお金を借りてきっちり返済する行為を何度か繰り返すのも、相手を信頼させるために結婚詐欺師がよく使う手口の一つです。

だんだんと借りる金額を増やしていき、どれくらいであればすぐに貸してくれるかを調査する目的もあるでしょう。

借用書を作成し、返済期限までにしっかり返済してくれることが続くと、「この人はしっかりお金を返済してくれる」と信用してしまいがちです。

嘘をついて相手から大金を引き出す

ある程度の交際期間を経て十分に相手の信頼を得たあとは、嘘をついて相手から大金を引き出そうとしてくるでしょう。

お金を騙し取る際のよくある嘘には、次のようなものがあります。

  • 結婚前に借金を完済したい
  • 親が病気になってしまい治療費が必要
  • 事故に遭ってしまい手術費が必要
  • 事業を始めるためにまとまった資金が必要
  • 結婚後に裕福な生活をするために投資をしたい
  • 結婚式の費用や一緒に暮らす際にかかる費用を支払って欲しい  など

さまざまな理由でお金を騙し取ろうとしてきますが、どの場合でも「2人が幸せな結婚生活を送るために必要なんだ」という理由付けをしてきます。

通常であれば貸すはずのない大金であっても、交際期間を経て信頼しきっている状態だと、疑問を持たずにお金を貸してしまうのです。

お金を騙し取る回数はそれぞれですが、怪しまれたり、これ以上お金を引き出せないと判断した場合には、急に別れを切り出す、いきなり音信不通になるなど関係を絶ってくるケースがほとんどです。

結婚詐欺にあたる行為

結婚詐欺にあたる行為は、「結婚する意思がないにもかかわらず、結婚する意思があるように装い、相手が結婚するものだと騙された状態で、嘘をついて相手からお金や財産を奪い取る行為」です。

厳密には、「結婚詐欺罪」という犯罪は存在しないので、結婚詐欺は刑法上の「詐欺罪(刑法246条1項)」として罰せられます。

結婚を信じさせ、嘘をついてお金を騙し取る

結婚詐欺を詐欺罪として処罰するためのポイントは、「相手に結婚を信じさせた上で、相手に嘘をついてお金を騙し取る行為」があったかどうかです。

結婚前提で付き合い始めたものの、交際を続けるうちに相手の嫌なところが見え始め、別れ話を切り出すこともあるでしょう。
交際期間中に、相手からお金を借りたり、将来の結婚資金のためにお金を貯める行為も、結婚詐欺でなくともあり得る話です

これらの行為が刑法上の詐欺罪に該当するためには、「相手を騙す意図」が必要です。

初めから相手を騙すつもりで近づき、結婚を餌に相手を騙してお金を騙し取った場合でない限り、詐欺罪として処罰することはできません。

結婚詐欺にあたらない行為

結婚詐欺は「相手に結婚を信じさせた上で、相手に嘘をついてお金を騙し取る行為」がない場合には成立しません。

ここでは、結婚詐欺にあたらない行為を3つに分けてご紹介します。

結婚の意思・金銭が必要な目的に嘘がなかった

結婚する意思に嘘がなかった場合や、お金を借りる目的に嘘がなかった場合には、結婚詐欺は成立しません。
結婚詐欺にあたるためには、詐欺罪の成立要件である「相手を騙す意図」があったかどうかが重要になります。

初めから結婚するつもりで交際を続けており、お金を借りる目的に嘘がなかった場合には、相手を騙す意図がなかったことになるので、結婚詐欺は成立しません。

たとえば、結婚前提で付き合っている相手に、「親の介護費」を目的としてお金を借りたものの、給与の未払いなどで返済期限に間に合わなかった場合、結婚詐欺は成立しません。

経済的な損害が発生していない

経済的な損害が発生していない場合、結婚詐欺は成立しません。

詐欺罪は、相手からお金や財産を騙し取る犯罪行為です。
たとえ、結婚詐欺の目的で相手に近づき、その結果、交際途中で結婚の約束が果たされなくなってしまったとしても、お金を騙し取られていないのであれば、詐欺罪として処罰することができません。

ただし、経済的な損害が発生していなかったとしても、結婚詐欺目的で金銭を要求した時点で、詐欺未遂罪が成立する可能性があります。

また、詐欺罪・詐欺未遂罪などにあたらない場合でも、婚約破棄による精神的ダメージについて、相手に慰謝料や手切れ金を請求することは可能です。

自分から請求はしておらず、相手から一方的に金銭をもらった

自分からお金を請求したわけではなく、相手から一方的に援助を受けた場合も、結婚詐欺には該当しない可能性が高いです。

詐欺罪が成立するには、相手が騙された状態でお金を渡すことが必要です。
相手が自分の意思で、一方的にお金を渡した場合には、騙された状態でお金を渡しているとはいえません。そのため、受け取り側が詐欺罪として処罰されることはありません。

ただし、直接的にお金を要求する言葉がなかったとしても、身の上話で相手の同情を誘いながら援助してもらえるよう仕向ける行為があれば、詐欺罪として処罰できる可能性もあります。

お金を支払った側の「錯誤の有無」が結婚詐欺成立の焦点に

交際期間中に何度も結婚の話が出ていると、いざお金を要求された際に「結婚するにはお金を用意しないといけない」「このお金を用意すればきっと結婚してくれるはずだ」などと信じ込んでしまいます。

法律上、騙されて勘違いしてしまうことを「錯誤(さくご)」と呼びますが、詐欺罪の成立には、お金を渡す際に錯誤に陥っている必要があります。 

結婚詐欺に遭う人の傾向

結婚詐欺は、結婚願望のある独身の方であれば、誰でも被害に遭う可能性のある犯罪です。

特に結婚詐欺に遭う人には、男性・女性でそれぞれ一定の傾向があると言われています。

男性:真面目で優しい中年男性

結婚詐欺の被害に遭いやすい男性の特徴は、根が真面目で優しい中年の方です。

真面目であればあるほど、相手の話をそのまま信じてしまう可能性が高いです。普段仕事を真面目にこなしている人にとって、自分を頼ってくれる存在がいるだけで、何の疑問も持たずにお金を貸してしまうかもしれません。

また、優しくお人好しな男性ほど、「自分がこの女性を守ってあげたい」と考えてしまいがちです。

被害に遭う年齢層はさまざまですが、結婚適齢期を過ぎている中年の男性であれば、そこそこの貯金額のある方も少なくありません。
男性がこれまで溜めてきたお金を狙う結婚詐欺師から、ターゲットにされやすい傾向にあります。

女性:高収入の未婚キャリアウーマン

女性の場合、高収入で未婚のキャリアウーマンが被害に遭いやすい傾向にあります。

これまで仕事一筋だった女性の中には、周りよりも結婚が遅れていることに悩んでいる方も少なくありません。結婚詐欺師は、こういった女性の心のスキマに入り込んで、言葉巧みにお金を騙し取ろうとしてきます。
初めはただの相談相手として近づき、女性の不安や悩みを解消しながら徐々に好意を自分に向けるよう仕向けるケースもあります。

高収入でお金のある女性であるほど、信頼関係さえ築ければお金を騙し取れると結婚詐欺のターゲットとして狙われやすいと言われています。

結婚詐欺の見抜き方

結婚詐欺の被害を避けるためには、結婚詐欺師特有の行動を理解しておくことが重要です。
行動パターンを頭に入れておくことで、万一、アプローチを受けた場合も結婚詐欺師の行いだと見抜きやすくなります。

ここでは、結婚詐欺の可能性がある5つのケースについてご紹介します。

出会ってすぐに交際を申しこまれた

出会ってすぐに交際を申し込まれた場合、結婚詐欺の可能性を疑ってください。

お金を騙し取ることが目的の結婚詐欺師の場合、出会ってまもない段階で交際を申し込んでくる傾向にあります。1度交際を断っても、「運命の相手だと思った」などの言葉を使い、交際を執拗に迫ってくることもあるでしょう。

特に、職業や収入の話をした直後に交際を申し込まれた場合は、結婚詐欺のターゲットにされている可能性を疑いましょう。

会社の名刺を見せてくれない

自分の職業や年収についてアピールする割に、会社の名刺を見せてくれない場合も注意が必要です。

結婚詐欺師は、結婚相手に好印象を与えようと、聞いてもいないのに自分の職業や年収をアピールしてくる傾向にあります。
それでも、頑なに名刺を見せてくれない場合や「名刺を切らしている」などとはぐらかしてくる場合には、職業を偽っている可能性があります。

中には、架空の会社の名刺を作るケースや、会社の同僚として紹介された人が実は結婚詐欺師とグルだった、といった悪質なケースもあります。

婚活パーティー等で相手の仕事に関する話をしてくる人がいた場合、さりげなく、しかし必ず名刺を確認しましょう。
名刺の内容をもって相手の言葉が嘘かどうかを確認できるわけではありませんが、会社の住所や電話番号など、裏取りの根拠となる情報は得られます。

逆に、そうした業務上の情報をいっさいひた隠しにしたまま距離を縮めてくる相手は、そもそも距離を置く方が穏便でしょう。
結婚詐欺か、またはそれ以外でも、なにかしらの悪意を持ってあなたに近づいてきている可能性は高いです。

写真を撮ることを嫌がる

結婚詐欺師は、証拠を残さないために、写真を撮ることを嫌がるケースが多いです。
自分の顔が証拠として残っていると、もし訴えられた場合に不利に働く可能性があるからです。

もちろん、個人の感覚として写真に写るのを嫌がる人もいるため、全てのケースで結婚詐欺に該当するわけではありません。

しかし、記念日などのイベントごとでも執拗に写真を嫌がるなど、少しリアクションが極端な場合は、結婚詐欺の可能性も頭の片隅に置くと良いでしょう。

家族や友達に会わせてくれない

長い間交際を続けているにもかかわらず、一向に家族や友達と会わせてくれない場合には、結婚詐欺を怪しんだ方がいいかもしれません。

もともと結婚するつもりがない結婚詐欺師は、自分の特定につながるような証拠を残さないよう行動します。

もし、結婚の段階まできているにもかかわらず、何かと理由をつけて家族にすら会わせてくれない場合には、何かを隠しているかもしれないと考えるのが無難です。

借金を頼まれた

結婚の話が何度も出ている段階で「お金を貸して欲しい」と頼まれた場合には、基本的に結婚詐欺を疑ってください。

特に、「2人の将来のために必要なお金だ」などと理由をつけて借金を頼んできた場合は注意が必要です。

もちろん、交際している同士で、食事代を立て替えたりする程度であれば、特に問題ないかもしれません。

しかし、少額なお金の貸し借りが何度も続いたり、だんだんと多額のお金を要求された場合は、たとえそれが結婚に関する費用だったとしても、安易にお金を貸すのは少し待つべきです。

唐突にお金を貸してほしいとせがまれた場合や、高額なプレゼントをねだられた場合は、他の事情も併せて結婚詐欺かどうかを確認する必要があるでしょう。

結婚詐欺に遭った場合に取るべき対応

結婚詐欺に遭った場合に、被害者の方が取り得る対応は大きく2つあります。

  • 詐欺罪として刑事告訴する
  • 民事での貸金返還請求

被害額が大きい場合には、どちらの手続きも並行して行った方がいいケースも多いです。

被害にあったらまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

刑事告訴(詐欺罪)

結婚詐欺の被害に遭った場合、詐欺罪として刑事告訴をご検討ください。

刑事告訴とは、警察や検察などに対し、被害者が遭った犯罪事実を申告し、加害者に対する処罰を求める申し立てです。
告訴が認められ、刑事事件として立件されると、警察は申告のあった犯罪に関する捜査を進めます。証拠や発生した損害等の状況次第では、結婚詐欺師は逮捕されることになるでしょう。

刑事告訴をされれば、加害者は、起訴されるのを防ぎたい、少しでも自分の罪を軽くしたいもの。
そのため、刑事告訴での捜査途中でも、被害額の弁償・慰謝料等の支払いを約束する形で示談がまとまることもあります。

なお、刑事告訴と似た手続きで、被害にあった事実を警察等に届け出る被害届を提出することもできます。
ただし、被害届は加害者への処罰を念頭に置いた手続きではなく、あくまで被害に関する届出です。結婚詐欺師の処罰を求める意思を明確に表明するなら、刑事告訴の方が最適です。

結婚詐欺の被害であることが明白ならば、被害届だけでなく、警察による犯罪事実に沿った捜査を期待できる刑事告訴まで行う方が良いでしょう。

民事での貸金返還請求

民事事件として、被害者は結婚詐欺師に対して貸し出した金銭に対する貸金返還請求を起こすことができます。

民事はあくまで被害者と加害者間の当事者同士での争いとなるため、処罰の実施を警察等の判断にゆだねる刑事告訴とは異なり、結婚詐欺師に対して直接被害額や慰謝料を請求することができます。

一般的には、まず交渉で貸したお金を返してもらえるよう交渉します。
交渉して返金に応じてもらえなかった場合に、支払督促や訴訟を起こします。

調停や訴訟を通じて、裁判所の判決が出たにもかかわらず、貸したお金を返済してもらえない場合は、相手の財産を差し押さえる強制執行の手続きを取ることも可能です。

民事での貸金返還請求は、刑事告訴とは並行して別で行えます。
もし結婚詐欺により金銭的被害を受けた場合は、基本、返還請求の手続きは行う線で考える方が良いでしょう。

通帳など金銭交付の証拠が重要に

刑事告訴や民事上の請求を相手に対して行う場合には、通帳や領収書など、実際にお金を支払った(≒被害者が経済的損害を負った)ことの証拠が重要です。

刑事告訴であれば、証拠の充実度合いで刑事告訴が受理されるかどうかが大きく異なります。
また、民事上の請求においても、相手にお金を支払った証拠がない場合は、被害額の返還はなかなか望めないはずです。

銀行振り込みでお金を貸した場合は預金通帳や取引明細書、手渡しであれば領収書(受領書)・お金のやり取りを示したメールやLINEなどは証拠として認められます。

また、銀行から下ろしたお金を手渡しで相手に渡した場合でも、預金口座の出金履歴から、お金を下ろした事実を証明できます。そのため、預金通帳や銀行の取引明細も証拠として提出することをおすすめします。

結婚詐欺で逮捕されたら

結婚詐欺で逮捕されると、刑事裁判で有罪判決を受け、刑事処罰を受ける可能性があります。

詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。罰金刑は定められていないため、悪質な結婚詐欺であれば、初犯で刑務所に収容される可能性も十分に考えられます。

結婚詐欺の成立要件

結婚詐欺は刑法上の詐欺罪に該当します。詐欺罪の成立要件は、次の4つです。

  1. 欺罔(ぎもう)行為があること
  2. 錯誤(さくご)に陥っていること
  3. 交付行為があったこと
  4. 財産の移転があったこと

これら全ての要件を満たした場合に限り詐欺罪が成立します。

つまり、たとえば結婚詐欺の目的で相手にお金を貸して欲しいと頼んだとしても、相手に怪しまれて結局お金を貸してもらえなかった場合、交付行為・財産の移転は行われていないため、詐欺罪は成立しません。
(結婚詐欺としては未遂で終わったとしても、処罰の対象にはなり得ます。結婚詐欺の過程で相手に金銭を要求した時点で、詐欺未遂罪が成立する可能性はあります。)

欺罔行為で人が騙され損害が発生すること

詐欺罪の成立要件のポイントは、「欺罔行為で相手が騙されて損害が発生すること」です。
結婚詐欺の場合で言えば「結婚する気が無いのに相手に結婚を匂わせて、結婚を期待させた上で嘘を付いて金銭を騙し取ること」が成立要件となります。

なお、詐欺罪の要件について詳しい説明は、こちらの記事をご参照ください。

結婚詐欺で逮捕された人の実例

ここでは、実際に結婚詐欺で逮捕された事例を3つご紹介します。

高級住宅街へのマイホーム建設をダシに総額1億円を騙し取り逮捕された事例

交際していた女性医師(30代)に嘘をついて、合計2,500万円を騙し取った事件です。

お金を騙し取る際の嘘は、次の通りです。

  • 高級住宅地に土地を持っていて、将来2人で一緒に住めるように新築の家を建設している。結婚後にかかる贈与税や相続税への対策として、1,000万円を入れて欲しい。また、債権も購入してほしい。
  • 祖父が資産家で、今は仕事でサウジアラビアで仕事をしている

このケースでは、他の女性10人くらいから合計1億円ほど騙し取っており、被害額の大きい結婚詐欺事件として注目を集めました。

参照:【結婚詐欺】殺し文句は「高級住宅地に一緒に住む家を建設中」32歳男を逮捕 女性医師らから “1億円”だまし取ったか|FNNプライムオンライン

マッチングアプリで出会った女性から合計1億円近くを詐取し逮捕された事例

マッチングアプリで出会った女性から、合計1億近くを騙しとったとして逮捕された事件です。

会社役員の男性(30代)は、マッチングアプリで知り合った女性(30代)に対し、FX取引で高収入を得ているかのように装い、運用のためにお金を預けてくれないかと持ちかけました。

お金のやり取りをする際には、偽名で署名するなどして借用書を偽造し、自身の口座に合計1億1,500万円を振り込ませました。
男性は既婚者であることを隠し、女性を信用させるために、「結婚したい」などと嘘のメッセージを送っていました。

このケースでは、FX取引の配当がないことを不審に思った女性が、警察に相談することで事件が発覚しています。

参照:既婚隠し「結婚したい」、女性から1億円以上詐取か…マッチングアプリで偽名名乗る|読売新聞オンライン

嘘の結婚の約束をしマンション購入費の名目で総額7,000万円以上を騙し取り逮捕された事例

マッチングアプリで知り合った女性(50代)からマンション購入費として500万円を騙しとったとして逮捕された事件です。

男性(50代)は、女性に対し、「一緒に住むなら港区あたりがいいね」などと嘘の結婚の約束をし、高層マンションの内見をして結婚を信じさせていました。

マンション購入費500万円を受け取ったあとは、「物件を他の希望者に取られた」などと理由をつけて返金には応じませんでした。

男性は、他にも複数の女性から金銭を騙し取っており、被害額は総額7,000万円以上であることが発覚しています。

参照:【速報】「一緒に住む部屋を探そう」…婚活アプリで知り合った50代会社役員の女性からマンション入居費用500万円をだまし取った疑い、50歳男を逮捕 警視庁

結婚詐欺による逮捕後の流れ

結婚詐欺の逮捕後は、法律で決められた流れで刑事手続きが進んでいきます。

特に、結婚詐欺の場合には、被害額も高額になりがちで、重大事件として扱われる可能性が高いです。

身柄拘束は最大23日

警察に逮捕されると、48時間以内に検察へ事件と身柄が送られるかどうかが決定されます。
その後、検察官は24時間以内に、被疑者の身柄を拘束したまま事件の捜査を行うかどうかを決定します(勾留請求)。

ここで、検察が勾留請求をした場合、最大で20日間身柄を拘束されることになります。
つまり、警察に逮捕されてから最大で23日もの間、身体拘束を受けることになるのです。

結婚詐欺の場合、被害の全容や余罪の追及などで捜査が長引きやすいため、身体拘束も長期化しやすい傾向にあります。

被疑者が会社員である場合には、長期間の身体拘束により大きな影響が出てしまう可能性が高いと言えるでしょう。

詐欺罪で起訴されれば有罪はほぼ確実

検察官は、捜査の結果を踏まえて被疑者を起訴するかどうかを決定します。

起訴されたからといって必ずしも有罪判決が出るわけではありませんが、結婚詐欺の場合、有罪になる確率が極めて高いです。

詐欺罪には罰金刑が定められていないので、執行猶予がつかない限り、刑務所に収監されることになります。

結婚詐欺の疑いで逮捕されたら、速やかに弁護士まで相談を

結婚詐欺は詐欺罪に該当する行為であり、社会的にも許されない行為です。

被害者も出ていることから、自分が行った罪を償う必要があるのは当然のことといえるでしょう。

もし、魔が刺して行ってしまった結婚詐欺を悔やんでおり、なんとかして実刑を回避したいと考えるのであれば、速やかに弁護士に相談してください。

1度起訴されてしまうと有罪はほぼ確実なので、実刑を回避するためには、とにかく起訴を防ぐことが重要です。特に、被害者との示談交渉を進めることは、不起訴になるために極めて重要です。

結婚詐欺では、加害者に騙す意図があったかどうかの判断が難しいケースがあります。そもそも騙す意図が無かったのであれば、詐欺罪の罪に問われることもありません。

結婚詐欺の疑いで逮捕されたら、1人で対応しようとせずに、速やかに専門家である弁護士に相談してください。

まとめ

結婚詐欺は、「結婚する意思がないにもかかわらず、結婚する意思があるように装い、相手が結婚するものだと騙された状態で、相手からお金や財産を奪い取る行為」です。

「この人はそんな人じゃない」などと信じきってしまうと、結婚詐欺の被害を防ぐことは難しくなります。

少しでも怪しいと感じたら、この記事でもご紹介した「結婚詐欺の見抜き方」を参考に、知り合った相手が結婚詐欺師でないかを確認してみましょう。特に、交際期間中にお金を貸して欲しいと頼まれた場合には要注意です。

また、もし結婚詐欺の疑いで逮捕されてしまった場合には、不起訴になるためにも速やかに弁護士に相談してください。

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