「詐欺」の種類は多様~露見が難しい「結婚詐欺」も手口のひとつ~

結婚詐欺イメージ

「結婚詐欺」とは?

一般的に「結婚詐欺」とは、そのつもりがないのに結婚すると偽って、交際相手から財物を騙し取る「詐欺」の総称です。

現代の日本では独身でも不自由しない生活を送れ、結婚そのものを望まないライフタイルを選ぶ人も増えています。昭和の時代のように結婚しないことを両親や親戚縁者から責められることも少なくなりましたが、やはり結婚に憧れを持つ人は少なくありません。

そもそもの恋愛感情は男女年齢を問わず持つものであり、その気持ちを巧みに突き、「詐欺」行為を働く悪質なものと言えるでしょう。今や独身であるなしに関わらず、男女どの年代でも被害者となり得る「詐欺」で、その手口も巧妙になってきています。

狙われるのは、結婚願望を持つ独身男女

「結婚詐欺」で他人を騙そうとする者がまずターゲットにするのは、当然ながら結婚願望を持つ独身の男女です。イメージでは男性の方が騙されやすそうですが、実際には女性の被害が多いとも言われています。結婚願望を持っている人の多くは、結婚資金を貯めているのが普通です。

「詐欺」を働こうとする者は、結婚を望んでいる人へ言葉巧みに近づき、多くの場合は金品を巻き上げて、そのまま結婚せずに逃亡するのです。その手口は多様化しており、被害額が数千万円に上るケースも珍しくありません。

結婚願望というよりも、恋愛感情につけ込んだ「詐欺」ですから、恋は盲目という言葉通り、相手に夢中になるとかなりの金額を渡してしまうのです。

そして気がつけば、相手の素性はまったくの嘘であったり、電話もメールも一切通じなくなったりして連絡が取れなくなり、騙されたと初めて気がつくのです。

「結婚詐欺」は、「詐欺罪」で立件される

「結婚詐欺」が刑事事件として起訴された場合、当然その罪状は「詐欺罪」です。

「詐欺罪」は刑法246条に、次のように定められています。

刑法
(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

よって、「結婚詐欺」の法定刑は10年以下の懲役となり、罰金刑はありません。懲役刑の最短刑は1月(30日以上)となっていますので、「詐欺罪」で有罪になると予想される量刑は1月から10年の懲役刑と、極めて幅が広いものとなっています。

これは「詐欺」という犯罪が、ケースごとによって件数や被害額、あるいは被告人や被害者の人間関係が全く違ってくるためです。従って、「結婚詐欺」で起訴された場合、予想される量刑は事件の内容で変わってきます。

「詐欺罪」において、被害額が比較的少額である場合には、立件された事件の被害者に対して速やかに借りた金を弁済し、被害者との示談を成立させておけば、執行猶予がつく可能性が高まります。逮捕されてしまえば自身で示談交渉を行うことはできませんから、被害者との示談交渉を行うのは弁護士の役割となります。

「詐欺罪」は最高刑が懲役10年となりますので、被疑者の段階で国選弁護人を雇うことは可能ですが、国選弁護人の場合は、被害者との示談交渉まで熱心にやってくれる人に当たるかどうかは運次第という部分があります。

そのため、多少の弁護士費用を支払ったとしても、私選弁護人を雇った方が示談の成功率は高いのです。「結婚詐欺」で被害届を出され、「詐欺罪」で逮捕されてしまった場合には、信頼のおける弁護士に刑事手続きを依頼し、なるべく量刑の少ない結果となるようにした方が良いでしょう。

逆に、被告人に同種の前科があったり、被害額が1,000万円を超えていたり、あるいは同時に複数の相手を「結婚詐欺」のカモにしていたりなど、情状酌量の余地がない場合は、相当な年数の懲役刑の実刑判決となる可能性があります。

この場合にも、なるべく執行猶予を得るために、また刑期が短くなるように、弁護士の力を借りるべきでしょう。

非常に立件が難しい「結婚詐欺」

すべての「詐欺罪」に共通して言えるのは、加害者が被害者を「最初から騙す気だった」かどうかということが重要だということです。

同じく「詐欺罪」として立件される無銭飲食でも、財布を忘れてきたことに支払いの段階で気づいたとしたら、それは民事上の契約不履行に過ぎず、刑事事件としての「詐欺罪」は成立しません。

「結婚詐欺」においても、加害者が最初は本気で被害者と結婚前提で交際を始め、結果的に別れてしまった場合には、交際中の金品の授受や借金は民事紛争の争点にはなるものの、やはり「詐欺罪」としての立件は困難なのです。

人の心の中は客観的に覗き込むことなどできませんので、「詐欺罪」を立証する場合には、加害者が明らかに最初から被害者を騙す気で近づき、結婚する気など毛頭なかったという客観的事実を証拠として出す必要があるのです。

「結婚詐欺」を「詐欺罪」で立件するには

「結婚詐欺」を「詐欺罪」で立件するには、次のようなことを立証する必要があります。

例えば、「加害者は既婚者であり、その結婚生活は極めて良好だった」、「被害者に対して偽名を名乗り、職業や住所を偽っていた」、「借金をする理由と、実際に貸した金の使い道が違っていた」など、客観的に見て被害者を騙し、結婚する気がなかったと考えられるような事実が求められます。

しかし「結婚詐欺」の行為を働く者は、これらの証拠を巧妙に隠します。お金を借りたとしても交際相手に借用書を書くようなことはしませんし、自分の本名や本当の住所を記録に残すようなことはしないでしょう。

写真が苦手だからと言って、普通の交際相手となら記念の写真を撮ることなど当たり前なのですが、一枚の写真さえ残さないようにします。逆に言えば、これらの記録は「結婚詐欺」の証拠となり得ますので、疑わしいと感じたならば借用書や写真などを残すようにすると良いでしょう。

この際、「他にも交際している異性がいた」ということくらいでは、「詐欺罪」立件の理由には物足りないとされます。基本的に恋愛は自由であり、二股交際をしていたとしても、道徳や人道上の非難はされても、犯罪の立件要因にはならないのです。

そして、「結婚詐欺」の場合は、被疑者が結婚すると言って、被害者から金品をもらったとしても、「最初は結婚する気があったが、後になって気持ちが冷めた」と言えば、被害者を騙したとは言い切れなくなってしまいます。

被害者に対して結婚すると言い続けていた時期に、別の異性にも結婚すると言って交際していた事実でも確認されれば、「詐欺罪」の立証は可能ですが、そのような分かりやすい失敗をする結婚詐欺師は少ないでしょう。

「詐欺罪」立件のために必要なことは

「結婚詐欺」に限らず、一般的に「詐欺罪」を立件させるために必要な条件は何なのでしょうか。

刑法第246条の定義を詳しく見てみると、「詐欺罪」とは、人を欺く行為により、その人を錯誤に陥らせて財物を交付させること、または自ら財産上の利益を得る、もしくは他人にこれを得させることと規定されています。

この第246条の1項に定められている「詐欺」を「財物詐欺罪」、2項のものを「詐欺利得罪」という言い方をすることもあります。また、2項に規定されているものは「2項詐欺罪」とも呼ばれます。

「詐欺罪」の成立には、まず欺罔行為と言われる、人を欺く行為、一般的には詐欺行為と呼ばれる行為がなされている必要があります。これは、普通の人ならば財物を交付し、財産上の利益を処分したくなるような気にさせるもので、要するに人を騙す行為です。

この欺罔行為によって人が騙され、交付する、または処分するといった行為を行い、損害が発生することが、「詐欺罪」の成立要件となります。

「結婚詐欺」が表面化するのはごく一部

世の中には数多くの「結婚詐欺」が横行していると言われていますが、事件として表面化し、裁かれるのは氷山の一角であるとされています。

「結婚詐欺」が新聞やテレビで大々的に扱われることは少ないのですが、「結婚詐欺」が刑事事件として立件される件数が極めて少ないというのが理由のひとつです。

刑事事件化されない理由は、「被害が小額なので、告発しない被害者が多い」、「騙す側の詐欺師の手口が巧妙で、被害者が気づかない」といった理由が考えられます。

被害者が世間体を気にし、プライドを守りたがる

「結婚詐欺」に遭ったというのは、被害者にとっても屈辱的な出来事です。

警察に被害を訴えれば、事情を事細かく調書にしなければなりませんし、加害者が逮捕され起訴まで進めば、今度は法廷で証言しなければなりません。

被害者にとってみれば、自分の失態を何度も証言するような恥をかくくらいであれば、多少の金銭的な損害は泣き寝入りして我慢することを選択することが多いのが現実です。

自分が選んだ相手が悪かった、と思い込もうとするのです。しかし、「結婚詐欺」を生業にしている者もいるため、決して許される行為ではありません。

もし万が一、「結婚詐欺」の被害に遭った場合には、刑事事件の専門家である弁護士に対応のアドバイスをもらうことをお勧めします。

プロの「結婚詐欺師」の手口

最近の「結婚詐欺師」は被害者から訴えられるようなミスをしなくなっています。ドラマや映画に登場する「結婚詐欺師」は、一人の被害者から数百万円、数千万円のお金を一度に引き出そうとします。

しかし現実の「結婚詐欺師」は、一度にそんな巨額を要求することはしません。数万円から数十万円程度のお金を被害者に要求し、おかしいと思わせない手口を取ります。

そうした相手と複数同時に交際し、「詐欺」行為で巻き上げたお金だけで生活するプロの「結婚詐欺師」も実在すると言われています。プロの「結婚詐欺師」の巧妙さは、被害者との交際を自然に終わらせ、被害者自身が結婚詐欺に遭ったことすら気づかせないこともあります。

「結婚詐欺」は、男女の恋愛感情を逆手に取った犯罪であり、犯意を立証することが非常に困難な「詐欺」です。また男女の交際トラブルは基本的に民事の範疇ですので、刑事の法律では取り締まりにくいのです。

しかし「詐欺罪」は立派な刑事事件であり、騙されたと気づいた点で、相手に悟られないうちに弁護士に相談するのが得策です。

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