逮捕されて最初につくる2つの書類[弁解録取書・身上調査書]

書類

逮捕された…留置場行きはまだ早い?

最初は取調べから始まります

ドラマや漫画などでは、逮捕された後の事を細かく紹介している作品はほとんどありません。逮捕された側の視点で物語を描いている場合でも、逮捕された後はいきなり留置場へ入れられているシーンだったりします。

しかし、現実の刑事手続きでは、逮捕後警察署へ連行した被疑者をそのまま留置場に入れてしまうことは滅多にありません。

留置場に入れる前に、写真撮影や指紋採取といった手続きを行うこともありますが、それより大事なのは“最初の取調べ”です。

最初の取調べは、仮に深夜の飲み屋街で喧嘩をして、傷害罪で現行犯逮捕されたからといって「今日はもう夜遅いから、取調べは明日から」という事にはなりません。

確かに本格的な取調べは翌日からになりますが、二つの供述調書は、逮捕された直後に作るのが普通で、基本的にこの調書が出来ないうちは、留置場へ入れられることはないでしょう(ただし、完全黙秘しているは別)。

供述書
  • 弁解録取書
  • 身上調査書

事件捜査の方向性を決める?弁解録取書とは?

取調室では、被疑者から事件に関する証言を引き出し、それを担当捜査官が「供述調書」と呼ばれる書類にします。警察官が作る調書を「員面調書(司法警察員面前調書の略語)」と言いますが、普通は単に「調書」と呼びます。

調書は基本的に、被疑者が一人称で語った話の内容を、捜査員が書きとめたという書式か、捜査官と被疑者の一問一答形式で書かれるケースがあります。ただ後者は、被疑者が頑強に容疑を否認し、捜査官も思い通りの供述を引き出せないような場合に用いられる事が多く、大抵は前者の一人称形式の調書がほとんどです。

弁解録取書は言い訳のようなもの

そんな供述調書は、いちいち全てに名前が付けられているわけではありませんが、逮捕された直後に作られるのが「弁解録取書」になります。この弁解録取書は、事件の容疑に対して被疑者がする“最初の言い訳”と言ってもいいでしょう。

逮捕された事件に関して、被疑者が容疑を最初から認めているのであれば、「こんな悪いことをしてしまいました。大変反省しています。」と、事件のあらましを語ったあと、自分の罪を認めて反省しているという供述になるわけです。

一方、逮捕容疑を否認している場合は、「そんな事をした覚えはありません。」と、事件の内容に関して容疑を完全否定する文面になります。

被疑者が罪を認めているか、否認しているかは、事件捜査や取調べの駆引きにも重要なファクターになりますので、弁解録取書の内容は、警察や検察にとって今後の方針を決めるモノだと言っていいでしょう。

弁解録取書で嘘の証言をするとどうなる?

実はあまり問題になりません

本当はやっているのに、被疑者が嘘ついて容疑を否認していても、被疑者自身が後で罪を認めれば、弁解録取書で嘘ついた件に関して非難されるようなことは、あまりありません。

それは罪を認めることに対する恐怖心で、ついつい嘘をついてしまったという“人間らしい感情の動き”だと、警察や検察、そして裁判所も温情をもった判断をしてくれるからです。

嘘が問題になるケース

弁解録取書で容疑を認めておいて、その後否認に転じると、警察も検察の検事も激怒します。
更に裁判所も「アナタのいう事は信用できない」と言われ、非常に心証が悪くなってしまうわけです。

本当はやっていないのに弁解録取書で罪を認めるという事は、誰かを庇っているとか、司法側の人間を納得させるだけの理由がなければなりません。罪を認めていた人間が、裁判の法廷で突如無罪を主張して、それが認められるなどという展開は、ドラマや漫画の世界でしかありえないのです。

身上調査書は履歴書?

あまり意味はない様で、捜査側には重要な資料

最初の取調べで作られる調書は弁解録取書のほか、「身上調査書」があります。これらの調書はいくつかある調書のひとつであり、事件の捜査官も「これから、ベンロク(弁解録取書の隠語)を作ります」などと、いちいち制作する調書の呼び名まで教えてくれません。

ですから取調室で、担当の捜査官からあれこれ質問され、最終的に作られる調書をみて、それが何かを自分自身で理解していればいいわけです。

身上調査書は、簡単言えば調書形式で作る履歴書のようなモノになります。生まれた場所はどこで、どんな幼少期を送り、どんな学校を出て、どんな仕事をしてきたかといった、履歴書に書くような内容を供述形式で作った調書です。

この身上調査書が事件に何の役に立つかといえば、被疑者にとってはあまり役に立つモノではないでしょう。ただ事件を捜査する上で警察や検察にとっては重要な書類です。

被疑者の人となりや交友関係を知ることは、捜査の仕方や取調べでいかに被疑者を“型にはめる”かという方針を決めるのに役立ちます。

身上調査書を作らせない為に、完全黙秘をしても構いませんが、実際に逮捕されるような犯罪を犯しており、動かぬ証拠を掴まれている場合、無駄に心証を悪くするだけです。漏らしたくないプライベートを黙秘するのは自由ですが、調書の作成には協力しましょう。

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