保釈制度|保釈申請の方法から保釈金の調達まで解説

大金

保釈制度は刑事手続きの一つ

マスコミ報道で刑事手続きを詳しく説明することはあまりありません。世間の注目を集め、逮捕された人が保釈制度で一時的に釈放された姿を見て「金で許してもらえた?」と誤解する方もいらっしゃるようです。保釈制度というのは、金を払って罪を許してもらう制度ではありません。

起訴前勾留は逃亡・証拠隠滅を防ぐのが目的

刑事事件で逮捕勾留された人は、正式に起訴されると、今度は「起訴勾留」という名の身柄拘束が始まってしまいます。起訴前の逮捕・勾留(こちらの勾留は別名「起訴前勾留」という)は、事件を捜査するにあたって被疑者が逃亡したり証拠隠滅することを防ぐのが目的でした。

起訴勾留は裁判に出廷させることが目的

一方、起訴勾留は必ず裁判に出廷させることが最大の目的です。もちろん逃亡や証拠隠滅も防ぎたいのは当然ですが、何より日本の刑事裁判は、被告人が出廷しない「欠席裁判」は無効となっています。ですから公判には是が非でも、被告人を法廷に連行しなければなりませんので、予め刑事施設に身柄を確保しておいて、被告人を100%出廷させようというのが起訴勾留なのです。

保釈制度とは、お金を払って罪を許してもらえる制度ではない

保釈制度は逮捕された人が一時的に釈放される制度

うつむくただ日本の場合なぜか起訴が決まってから第一回の公判が開かれるまでに、2ヶ月近くも掛かってしまいます。その間、留置場や拘置所といった刑事施設に、身柄を拘束されている被告人こそいい迷惑でしょう。この時点で被告人は、まだ“推定無罪”です。

裁判の結果がどうなるかはわかりませんが、逮捕からずっと続いている身柄拘束で、被告人が社会的に負うデメリットは並大抵ではありません。サラリーマンなら、会社はクビになる可能性は相当高いでしょうし、自営業であれば、廃業に追い込まれる危機に直面するでしょう。

保釈制度は被告人の社会的デメリットを減らすための制度

そんな被告人が被る被害を最低限にするように考え出されたのが、「保釈制度」なのです。保釈制度のざっくりと説明すると、絶対に公判には出廷することを約束し、その保証として「保釈金」を預け、一時的に社会に戻ることを許可してもらう制度になります。

つまり保釈制度では、一時的に社会へ戻ることが許されているだけで、罪そのものが許される制度ではありません。さらに保釈金は支払うお金でなく、預けるお金であるということです。

保釈制度は起訴されれば誰でも利用できる?

保釈申請は誰もができるわけではない

保釈申請ができるのは、被告人の家族や被告人の担当弁護人、そして被告本人だけです。保釈の請求が可能なのは直系の家族の一部(正確には父・母・兄弟&姉妹・妻(夫))までになっています。

もっともこうした刑事手続きは、弁護人が行うケースが一般的でしょう。

また保釈請求は被告人本人が、「保釈を請求します」と自筆で書いた紙を提出するだけでも、有効とされていますので、保釈の請求そのものは難しいモノではありません。問題は申請した保釈が認められるかどうかです。

ただし、保釈が認められない条件も複数あります。

保釈が認められないケース

  • 殺人や強盗など重罪の被告人
  • 過去に同種の事件の前科がある被告人
  • 逃亡・証拠隠滅のおそれがある被告人
  • 住所不定の被告人

凶悪犯罪や、常習犯罪者は保釈制度が利用出来ない

いわゆる“凶悪犯罪”と呼ばれるような、重罪を犯した末に捕まって起訴された被告人は、いくら保釈を申請しても認められません。また罪そのものは重くない犯罪でも、同じ罪で再び起訴されてしまったような「常習犯罪者」にも保釈は認められないのが一般的です。

証拠隠滅や逃亡の可能性がある場合も保釈は認められない

さらに逮捕・勾留中の態度で、保釈を与えて野に放った途端、絶対逃亡すると思われる被告人や、証拠隠滅する気が満々の被告人には保釈許可は下りません。そして、これは当然の話ですが、公判の呼び出し状など裁判に関する郵便が送りようのない住所不定の被告人は保釈されないわけです。

勾留の許可を出しているのは裁判所で、保釈の許可を出すのも裁判所になります。申請書類を見て、保釈の許可をするどうかは各裁判官の裁量に任されているわけです。住所不定だの殺人容疑だのといった明らかに保釈が下りないケースを除けば、担当裁判官次第では保釈が許可される場合もあります。保釈申請は何度でも行えますので、諦めずにトライしてみましょう。

保釈制度の保釈金が異常に高い理由

サラリーマンなら200万円の保釈金になる?

保釈の許可が下りたら、次は保釈金を納めなければなりません。保釈金というのは、正式名を「保釈保証金」といい、裁判が無事終わるまで、裁判所に預けておくお金です。

もし社会に出た被告人が、公判にも出廷せず逃亡したら、保釈金は国に没収されてしまいます。逆に言うと保釈金の還付を諦めれば、被告人は逃亡も可能だということになるわけです。

保釈金の額は、経済能力や社会的地位により大幅に異なる

しかし被告人が逃亡してしまったら刑事裁判は開けませんので、保釈保証金の還付を被告人が諦められる程度の金額では意味がありません。ですから保釈金の金額は、被告人の社会的地位や経済能力によって、雲泥の差があります。

最大で20億円の保釈金が設定された例も

ちなみに2015年現在、日本国内で請求された保釈金の最高金額は、『ハンナン牛肉偽装事件』で起訴されたハンナン元会長の浅田満氏に対して請求された20億円となっています。

しかし一般のサラリーマンに対して請求される保釈金の相場は、150~300万円の間です。200万円くらいのケースが多いと思われがちですが、事件によって金額は一定しておらず、保釈金決定の基準はイマイチはっきりしていません。

保釈金の調達方法|保釈制度を活用するために

書類上、保釈許可が下りたとしても、保釈金を納めなければ、被告人の身柄拘束は続きます。

保釈金は現金で一括払い

被告人本人は留置場や拘置所に勾留されたままなので、保釈金の調達は弁護人か家族がすることになります。たまたま家族にそれだけの預貯金があれば、どうせ預ける金ですので問題はないでしょう。

とはいえいきなり何百万円のお金が預貯金の残高から消える事に抵抗がある人もいるでしょうし、いきなりは準備できない人も少なくありません。そのため、以前は保釈金をそろえるのは、被告人の関係者にとって大きなハードルでした。

金融機関では保釈金のためにお金は借りにくい

預貯金をかき集められる人はともかく、一般の金融機関だと刑事事件の保釈金という名目での融資は、なかなか審査が通らないからです。

ところが近年、保釈金を一時的に立て替えてくれる組織が登場しました。一般には「保釈金支払い代行」などとも呼ばれていますが、保釈金を立て替えてくれて、裁判が終わって保釈金が還付されると、手数料をプラスして返すというシステムになります。

保釈金支払い代行とは

保釈金支払い代行に関しては、「それって“貸金業”じゃないか?手数料が利息だとしたら、法定利息超えてる!」「他人から借りた金で保釈されたら、被告人が逃亡するんじゃないのか?」など色々と問題も指摘されていますが、現時点ではしっかりと機能していますので、どうしても保釈金が調達できない場合は、利用を検討してもいいでしょう。

保釈金支払い代行詐欺に注意を!

ただ注意したいのは、こうした保釈金支払い代行を装って、詐欺を働く連中も実在するということです。

保釈金立て替えを申し込んだ際に、保証金を請求してそのまま行方をくらます…という手口になります。こうした犯罪の被害に遭わないためには、事前にその会社や組織が実在するかを十分に確認しましょう。一番安全なのは、被告人の担当弁護士に相談して、適当な保釈金支払い代行組織を紹介してもらうことです。

保釈されても自由ではない?制約の多い保釈生活

保釈金が納められれば、被告人はとりあえず身柄の拘束は解かれます。本来起訴された被告人は、警察の留置場から拘置所へ移送されるのが通常の刑事手続きです。ところが起訴後すぐに保釈請求して、その請求がすぐに許可されそうなケースだと、拘置所へは移送されず、留置場で保釈を待つことも珍しくはありません。

保釈金が渡されたという情報は被告人の耳にも届く

保釈金が入金されたことは、すぐに被告人の勾留されている刑事施設へ連絡がいきます。実際に釈放されるまでには書類手続きの関係上、半日ほどタイムラグがあります。しかし保釈金が入ったという情報だけは、被告本人に看守が伝えますので、被告人は保釈の瞬間を待つわけです。

ただ保釈されても、被告人は不起訴で釈放になったわけではありません。自由になったといっても、もちろん裁判へは出廷しなければなりませんし、その他にも禁止事項がいくつかあります。

保釈中の禁止事項

  • 無断で住居を変えることは禁止
  • 無許可で3泊以上の旅行(出張含む)へ出かけることは禁止
  • 事件の関係者(弁護人は除く)に会うことは禁止

痴漢事件などのケースだと、裁判が終わるまで事件の発生した路線のバスや、電車に乗ることすら禁止されることもあります。こうした禁止事項を破ったことが発覚した場合、保釈金の全額、または一部が没収されるわけです。

どのくらいの金額が没収されるかを決定するのは裁判所ですが、預けた保釈金を満額還付してもらうためには、不自由な暮らしになるでしょう。

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