不起訴と無罪の違いとは?「不起訴処分」は無罪と同じ!

ガッツポーズ

刑事事件の被疑者として逮捕され起訴されてしまったら、有罪率が非常に高い裁判を受けることになります。罪を犯している、いないに関わらず、起訴される前に「不起訴処分」を受けることは非常に重要なのです。弁護士に相談し、迅速に行動を起こしましょう。

逮捕された被疑者が求めるべきは「不起訴処分」

刑事事件の被疑者として警察に逮捕された場合、取調べが終わったら自動的に起訴されて裁判にかけられると思われがちですが、実際にはその間にはさまざまな手続きが行われています。

まず被疑者として警察に逮捕されると、警察での取調べを受けた後に、身柄は検察に送検され、検察の検事がもう一度事件を捜査して検証が行われます。その結果、担当検事が裁判にかけて刑罰を与えられると考えれば、被疑者は起訴されて裁判にかけられることになります。

しかし一方で、検事が事件を検証した結果、裁判にかける意味はないと判断した場合、もしくは裁判においても立証が難しいと考えた場合などには、「不起訴処分」といって起訴を見送る場合があります。

「不起訴処分」は無罪と同等の刑事事件の決着方法

検事が「不起訴処分」を決めれば、当該刑事事件は終了し、被疑者はそのまま釈放されることになります。起訴されて裁判になる前に事件は終わってしまいますので、被疑者としての立場は無罪なのです。警察や検察のデータベースに逮捕歴は残りますが、いわゆる前科はつきません。

身の覚えのない事件の被疑者とされてしまった場合にも、目指すべき刑事事件の終わらせ方は同じ「不起訴処分」です。

「不起訴処分」とはその名の通り、検察の検事が事件を捜査した結果、起訴するに値しない、または有罪を立証できないと判断して、当該事件は起訴しないと決めるものです。

かなり高い「不起訴処分」の割合

日本の刑事事件の手続きにおいて、この「不起訴処分」で被疑者が釈放されるケースというのは意外に多いのです。

法務省がまとめている平成28年版犯罪白書によると、平成27年の刑法犯における起訴率は39.1%、起訴猶予率は50.4%で、道路交通法違反を除く特別法犯においても、起訴率は53.3%、起訴猶予率は41.5%となっています。

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、最初に目指すのはこの「不起訴処分」だと言えます。身に覚えのない罪で逮捕されてしまった場合や、犯したという自覚のある罪で逮捕されてしまった場合でも、弁護士と相談したうえで「不起訴処分」を目指すのが良策です。ただし、冤罪の場合や微罪の場合でも、必ずしも待っているだけで「不起訴処分」が転がり込んでくるわけではありません。

被疑者自身は弁護士を呼び「不起訴処分」を得るための話し合いをするべきですし、無罪を信じる家族や友人・知人であれば、弁護士を通じてなるべく早く社会復帰ができるように策を講じるべきでしょう。

「不起訴処分」を得るため、弁護士に相談を

刑事事件を不起訴に持ち込むには、検事が起訴を躊躇うような事実、あるいは自白以外に有効な証拠がない状況にすることが望まれるのですが、被疑者自身で、あるいは家族や友人・知人だけでこのような方向に導くのは難しいと言えます。

逮捕直後に被疑者本人と面会して話をするのは極めて難しく、被疑者が置かれた状況が一切分からないというのが実情です。ここで頼りになるのが、被疑者と面会する権利を持つ弁護士です。

弁護士は被疑者と家族や友人・知人との橋渡しをしてくれますし、検事や裁判所とのやり取りにも長けていますので、依頼を迷うことはないはずです。しかしいくら弁護士でも、すべての事件を「不起訴処分」にすることはできません。

また、「不起訴処分」には以下のように3つの理由がありますが、別項で詳しく説明していますので、ここでは簡単に触れるだけにします。

「不起訴処分」の理由
嫌疑なし 被疑者が罪を犯していないという理由
嫌疑不十分 被疑者が罪を犯したという決定的な証拠がないという理由
起訴猶予 罪は犯しているのだけれども、起訴を見送っても良いという理由

法務省がまとめている平成28年版犯罪白書によると、平成27年の過失運転致死傷及び道路交通法違反を除く刑法犯において、不起訴人員のうち起訴猶予の比率は69.3%、嫌疑不十分(嫌疑なし含む)は19.4%、告訴の取り消し等(親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し)は4.9%、心神喪失は0.3%となっています

これらのうち、「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」については理由が明らかで、短期間の弁護活動ではこれらの条件を引き出すことは難しいのですが、「起訴猶予」については少し曖昧な、しかし重要な条件がありますので、以下に説明します。

「不起訴処分」となる要素は?

「不起訴処分」の中でも「起訴猶予」となるためには、下記のような要素を示す必要があります。

初犯であること 前科や逮捕の前歴がなく、再犯の恐れが少ないということ
物証が乏しいこと 検察が示す物証は、罪を犯したという証明には不十分だと示すこと
被害者と示談が成立していること 被害や罪が大きなものではなく、反省の念を示して被害者の弁償がされていること

具体的には、例えば過去に同種の罪を犯している場合には、懲りていないと判断され、起訴されてしまう確率はぐっと高くなってしまいます。そして、犯罪の種類や被害の大きさにもよりますが、言い逃れできないような物証が出ているケースでも不起訴は難しいと考えてください。

反面、軽微な暴行事件のように、当該刑事事件の解釈次第で、どちらが被害者でどちらが加害者かわからなくなるようなケースであれば、「不起訴処分」で終わる可能性が高いと言えるでしょう。

また勾留中に、被害者との示談が成立していればば、「親告罪」の場合だと事件そのものが消滅してしまいますし、それ以外の事件でも被害者の処罰感情が低い事件については、検事が起訴を諦める確率が高いと言っていいでしょう。

専門的な経験と知識を持つ弁護士に頼るべき

ただし、例えば交通事故の場合においては、被害者が起訴前に示談に応じるというケースは少なくなってきたと言われます。

被害者側も弁護士を雇うなどして、より有利な条件を引き出そうとするため、なかなか難しくなってきているという実情はあります。そのため、被疑者の側でも、専門的な経験と知識を持つ弁護士に手続きを依頼し、なんとか「不起訴処分」となるような交渉を進めるべきです。

刑事事件は決まりきったパターンで起こるものではなく、個々のケースによって取るべき対応は変わってきますので、弁護士の経験の多さが何よりも重要となります。日本の刑事裁判で有罪判決が出る確率は99%と言われ、他の先進国では、だいたい70%ほどとされるため、世界的に見てもこの数字は異常です。

この高い確率の訳は、起訴前に検察が事件を仕分けしていることが大きな要因だと言われています。つまり、警察から送検されてきた事件を、検察の検事が捜査する中で、絶対に有罪という事件しか起訴しないとも言えるのです。

裁判で検察側が負ける可能性が少しでもある事件は不起訴にするとも言われていますので、少しでも起訴に不安を感じさせるように、弁護士に働いてもらうことが重要なのです。逮捕から起訴までは最大でも23日間しかありませんので、逮捕の事実を知ったらすぐに弁護士に相談すべきです。

起訴されたら「無罪」の可能性は極めて低い

刑事事件の被疑者として警察に逮捕されてしまったら、無罪になることは極めて稀です。確かに、大して疑わしくもない人間を警察が逮捕し始めたら、世の中は大変なことになります。警察も現行犯でない限りは、被疑者を特定して裁判所から令状を取り、逮捕するまでには十分な内偵捜査をしています。そのため、警察が裁判所に逮捕状を取って逮捕する、いわゆる通常逮捕であれば、冤罪は滅多にないと考えられています。

刑事事件で逮捕されてしまった場合は、事件の被疑者である確率は極めて高いのかもしれません。しかし、過去の冤罪事件が示すように、その警察の捜査が100%正しいとは決して言えないのです。

警察や検察は、描いた事件像に忠実

警察や検察は、時には自分たちの思い描いた事件像に縛られ、見当違いの一般人を犯人扱いする事もありますし、現行犯の事件の場合は被害者の証言や、事件を担当した警察官の印象だけで事件化してしまうケースも珍しくはありません。

もちろん警察が捜査した容疑通りの罪を犯している場合は、真摯に事実を受け止め、なるべく刑罰が軽くなるように弁護士の力を借りて手続きを進めるのがベストです。

しかし万が一身に覚えのない罪の疑いで逮捕されてしまっても、一連の刑事手続きの中で無実を証明するためには大変な時間と手間が掛かります。

「不起訴処分」は、被疑者が全力で勝ち取るべき方法

逮捕から裁判で判決が出るまで、無実を争う否認裁判の場合は、早くても数カ月、長ければ1年以上も留置場や拘置所で身柄の自由を奪われてしまいます。その上、日本の刑事裁判の有罪率は99%ですから、裁判で無罪を勝ち取るという理想的な刑事事件の終わらせ方は大変困難です。

成功する確率はゼロではありませんが、かなり難しいというのが現実です。そのため、「不起訴処分」を得ることは非常に重要なのです。

実際に罪を犯しているか、犯していないに関わらず、起訴される前に決着することで、前科を免れることができるのです。

信頼できる弁護士の力を借りて、迅速に「不起訴処分」を得るための手続きを進めましょう。

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