日本の刑事裁判は99%有罪判決が下る

日本の刑事事件は起訴されたら有罪確定?

牢屋の中の手

高過ぎる有罪率

最近はTVドラマのセリフでもよく語られますので、ご存知の方も多いとは思いますが、日本の刑事裁判で有罪判決が下される確率は99.1~99.9%です。
つまり刑事事件の被疑者として逮捕されて取調べの結果、検察が起訴した場合、裁判でほぼ全員が有罪となり、無罪を勝ち取る人は、1000人の被告人の中で数人しかいないということになります。

近年、裁判を傍聴するのがプチブームになっていますが、裁判を傍聴することが趣味という人は昔からいて、そんな傍聴マニアにとっても、
「裁判で無罪判決を見るのは夢」
と言われているのです。
実際な話、根気よく裁判を傍聴していれば、数年に1回くらいは無罪判決を見られるといわれており、宝くじで1等を当てるよりは、ずっと実体験できる確率は高いものの、相当珍しいものと言えるでしょう。

日本の刑事裁判で有罪率が高い一番の理由

日本の有罪率は数字のマジック?

日本の刑事裁判で、有罪率が非常に高い最大の理由は、起訴された被告人のほとんどが最初から罪を認めているからです。
被告人が最初から罪を認めていて、あとは量刑を決めるだけの「量刑裁判」は、刑事裁判全体の90%前後を占めています。被告人自身が有罪を認めている裁判が大部分なのですから、有罪率も高くなるのは当然です。

それでは日本の刑事裁判の有罪率が非常に高いという話は、単なる数字のマジックなのかといえば、そうでもありません。無罪判決が出る可能性がある、被告人が起訴事実を否認している「否認裁判」の有罪率は97%程度になっています。
裁判全体の有罪率と比べるとずっと低くなりますが、それでも100人のうち3人しか無罪判決を勝ち取れないのです。

外国の有罪率は70%程度

国内外の差はどこからくる?

欧米諸国の事情はどうかというと、アメリカ辺りだと有罪率は70%で、逮捕・起訴されたからといって、被告人が確実に有罪になるわけではありません。
どうしてこんなに有罪率が違うかといえば、日本とアメリカの刑事手続きに対する考え方の違いがあります。

アメリカでは逮捕された被疑者は、日本同様検察に送検されますが、検察の検事は明らかに誤認逮捕だと思われるようなケースを除き、どんどん起訴してしまいます。アメリカ人にとって有罪・無罪のジャッジを下すのはあくまで裁判所なのです。

一方、日本の刑事手続きは、逮捕された被疑者は検事によって仕分けが行われ、無罪とされる可能性のある事件については、起訴まで持ち込まず「不起訴処分」にすることがあります。

こうした起訴前の仕分けは、アメリカをはじめとした欧米諸国では行われません。有罪・無罪の判定は裁判所が行います。

欧米流と日本流、どっちがいいのか?

日本式でも悪くはない

有罪・無罪の判定を裁判所がすべて行う欧米流の刑事手続きは、裁判所の存在意義を高める上で意味のあるモノと言えます。また日本のように検察が有罪の可能性を検証・選定した上で起訴するパターンだと、裁判官が無意識に有罪判定をしてしまう危険もあるわけです。

では日本の刑事手続きも、検察が仕分けなしにすべて起訴した方がいいのかというと、現時点では問題があります。

まず検察が安易に起訴をしてしまうと、裁判所の処理能力があっという間に限界を超えてしまうでしょう。
現在、裁判官一人あたりが抱えている裁判の数は200件前後だと言われています。検察によるフィルタが掛かっていて200件なのですから、起訴件数がどんどん増加したら事件を処理しきれず裁判所の機能そのものが麻痺しかねません。
それに起訴される側でも、現在の刑事手続きの中で起訴されてしまうと色々不具合があります。まず起訴される前の被疑者段階だと、身柄の拘束は留置場です。ところが起訴されてしまうと特別な事情がない限り、身柄は「拘置所」に送られてしまいます。

拘置所といえば刑務所一歩手前の刑事施設で、都市部以外の拘置所は、実際に刑務所内にある場合もあります。無罪になるかもしれない容疑で、そんな場所に拘束されるのは御免だと思う人は少なくないでしょう。

さらに日本では、刑事事件の被疑者や被告人の身柄をなかなか釈放してくれません。特に起訴後、保釈が認められず起訴勾留が続けば、裁判が終わるまで身柄はずっと拘束されたままです。これは痴漢程度の軽犯罪でも適用されます。
これでは無罪を勝ち取ったとしても、被るダメージは甚大です。

こうしたデメリットが改善されない限り、欧米諸国のように検察は起訴だけを行い、審判すべてを裁判所に委ねるやり方を、事実上導入していない日本式の刑事手続きにも、一定の意味があると言えます。

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