当番弁護士とは~刑事事件で逮捕された被疑者の強い味方~

私選弁護士

刑事事件で逮捕され被疑者となってしまったら、すぐ弁護士に連絡し弁護活動を依頼する必要があります。しかし費用が支払えない、誰に頼めばよいのか分からない、とう場合には「当番弁護士」制度を利用して弁護士と相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

「当番弁護士」は、1度だけ無料で面会できる

刑事事件に関わる弁護士の呼び方で、「国選弁護士」や「私選弁護士」という名前は、テレビドラマや映画の中で聞いたことがある人が多いでしょう。

しかし「当番弁護士」という名前は、よほど綿密に事件のなりゆきを描いた映画を見るか、もしくは刑事事件を体験した人でない限り、あまり知られていないようです。

本項では、刑事事件で逮捕されてしまったばかりの被疑者が、1度だけですが、無料で面会でき、強い味方となってくれる「当番弁護士」について紹介します。

「当番弁護士」制度とは?

「当番弁護士」とは、警察や検察といった捜査機関に逮捕され身柄を拘束されてしまった被疑者が、1度だけ無料で面会できる弁護士となります。この制度は、1992年から全国の都道府県弁護士会が協力し本格的に運用を始めた制度です。

それまでは、刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった人は、憲法によって弁護権が保障されているにもかかわらず、弁護士費用を払って「私選弁護士」を雇う資力がない場合には、「国選弁護士」を呼ぶしかありませんでした。

憲法

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

しかし「国選弁護士」は、起訴されて判決を言い渡されるまでの期間においてのみ依頼できるものであり、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件でない場合には、起訴されるまでは弁護活動を受けることができませんでした。

そのため、逮捕された直後の捜査段階において、弁護士を雇えるお金がない人は、弁護権を行使することができない期間が存在していたのです。

この期間に取調べ中に取調官が暴力をふるい自白を強制したり、捜査官が思い込みによって事実をゆがめたり、弁護士がいれば起こらなかったと考えられるような問題が起こっていました。

このような事態において、被疑者だけでは取調べの不当性を立証することは難しく、冤罪の温床となっていたことを問題視し、日弁連(日本弁護士連合会)が提唱し「当番弁護士」の制度が整備されたという経緯があります。

「当番弁護士」の費用は無料!

家族や友人・知人などの一般人とは違い、弁護士は基本的に24時間いつでも被疑者に面会できる権利を持っています。

「当番弁護士」は普通の弁護士と同じですから、一般の面会時間を過ぎた時間でも会うことはできます。

また「私選弁護人」を雇った場合には、契約によっては面会するだけでも出張費を請求されることがありますが、「当番弁護士」は出張費も相談料もかかりません。これは決して「当番弁護士」の登録をした弁護士がボランティアでやっているわけではなく、その費用は弁護士の所属する弁護士会が支払っているからです。この制度では、「当番弁護士」をする意思のある弁護士が、地元の弁護士会に登録し、逮捕されて身柄を拘束された被疑者から要請があった場合、その日の「当番」になっている登録弁護士が、被疑者に面会に行きます。

被疑者にとっては、弁護士を選べないというデメリットはありますが、誰に頼んで良いのかわからない人にとっては、弁護士会が手配をしてくれるのと同じですから、簡単に依頼することが可能となります。

「当番弁護士」は、電話連絡で依頼する

「当番弁護士」への依頼は、被疑者本人でも、またその家族、友人・知人でも可能です。

「当番弁護士」を呼ぶ方法は簡単で、被疑者が取調べを担当している捜査官か、留置場を管理している警察官に、「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけです。

「当番弁護士」連絡先を知るには?

一般人はほとんど知らない制度ですが、普通は被疑者を逮捕した警察の捜査官などが、被疑者に「当番弁護士」のことを教えてくれるはずです。そして実際に「当番弁護士」を呼ぶ手続きまでしてくれることでしょう。

もし仮に、取調べを担当した捜査官が「当番弁護士」のことを教えてくれなくても、留置場で一緒の部屋になった他の被疑者や、留置場を管理する警察官が教えてくれます。

もし被疑者が「当番弁護士」の派遣を頼んだにも関わらず、依頼の手配をしなかった場合には後で大問題になります。

現在の刑事事件の手続きにおいては、警察などの捜査機関の担当者がいくら横柄な態度であっても、「当番弁護士」を呼ばないという事はないと考えられます。

また、逮捕された被疑者のために家族や友人・知人が「当番弁護士」を依頼する場合は、下記の電話番号のうち逮捕された場所の弁護士会を選び連絡し、申込者の氏名、連絡先、逮捕された人の氏名、性別、生年月日、逮捕された場所を伝えるだけです。

なお、未成年の少年でも「当番弁護士」を依頼することができます。

「当番弁護士」依頼の連絡先一覧

被疑者の家族、友人・知人が「当番弁護士」を依頼する際には、以下の表から被疑者が逮捕された場所の弁護士会を選び、連絡してください。

北海道
弁護士会 連絡先
旭川 0166-51-9527
札幌 011-272-1010
函館 0138-41-0232
釧路 0154-41-0214
東北
弁護士会 連絡先
青森県 017-777-7285
岩手 019-651-5095
仙台 022-214-1054
秋田 018-862-3770
山形県 023-622-2234
福島県 024-534-2334
関東
弁護士会 連絡先
茨城県 029-228-9800
栃木県 028-689-9002
群馬 027-235-6900
埼玉 048-866-9845
川越ブロック 049-226-3972
熊谷ブロック 048-521-0844
東京 03-3580-0082
千葉県 043-221-7330
松戸ブロック 047-366-7770
横浜 045-212-0010
新潟県 025-222-5551
山梨県 055-235-7202
長野県 026-232-3658
静岡県 054-252-0008
浜松ブロック 053-455-3009
沼津ブロック 055-931-1848
中部
弁護士会 連絡先
富山県 076-421-4811
高岡ブロック 0766-22-0765
金沢 076-222-7570
福井 0776-23-5255
岐阜県 058-265-0020
愛知県 052-203-1651
岡崎ブロック 0564-54-9449
豊橋ブロック 0532-52-5946
半田ブロック 0569-26-1611
一宮ブロック 0586-72-8199
三重 059-224-0999
近畿
弁護士会 連絡先
滋賀 077-511-2225
京都 075-212-0010
大阪 06-6363-0080
兵庫県(神戸) 078-341-2940
阪神ブロック 06-6412-8030
明石ブロック 078-360-6056
播磨ブロック 079-224-7115
但馬ブロック 078-360-8301
奈良 0742-23-9300
和歌山 073-422-4580
田辺ブロック(休日のみ・留守番電話対応) 073-422-5560
新宮ブロック(休日のみ・留守番電話対応) 073-422-5561
中国
弁護士会 連絡先
鳥取県 0857-22-3912
島根県 0852-21-3464
岡山 086-223-4401
広島 082-222-4915
呉ブロック 0823-24-6755
尾道ブロック 0848-22-4237
福山ブロック 084-923-1798
山口県 083-922-0087
四国
弁護士会 連絡先
徳島 088-652-5768
香川県 087-822-3693
高知 088-872-0324
愛媛 089-941-6279
九州
弁護士会 連絡先
福岡県 092-733-0333
北九州ブロック 093-583-3800
筑後ブロック 0942-32-2719
飯塚ブロック 0948-28-7555
佐賀県 0952-24-3411
長崎県 095-823-1236
佐世保ブロック 0956-22-9404
熊本県 090-3661-3133
大分県 097-536-1458
宮崎県 090-3328-3141
鹿児島県 099-226-3765
沖縄 098-865-3737

日本弁護士連合会ホームページより転載。

「当番弁護士」には、刑事手続きの進み方を聞く

面会に来た「当番弁護士」と何を話せばよいのでしょうか?

「当番弁護士」を呼べるのは1回だけという貴重な機会ですから、なるべく有効的に利用したいものです。まずは、被疑者自身が置かれている立場や、その後の具体的な刑事手続きに関してアドバイスを受けるのがよいでしょう。

弁護士との会話は、“ここだけの話”

「当番弁護士」に限らず、弁護士との面会は「秘密交通権」が保障されていますので、立会いの警察官は同行せず、弁護士と2人きりで“ここだけの話”が可能となります。そのため、事件に関して黙秘権を行使して警察には言わなかったような事実も、弁護士相手なら話しても大丈夫です。

真実を包み隠さずに話し、今後考えられる刑事手続きの展開を、「当番弁護士」にアドバイスしてもらいましょう。

また、事件に関して被疑者自分がどういう結果を望むかを伝えることも大切です。

「犯した罪を償いたい」、「まったく身に覚えのない罪だ」、「容疑は濡れ衣なので冤罪を晴らしたい」など、被疑者自分の希望を伝えれば、弁護士のアドバイスはより明確になります。しかし「罪は犯したけれども無罪になる方法ってない?」など、厚かましいこと言うのは控えて、真摯に向き合うことが重要です。

「当番弁護士」は、いつ来てくれる?

「当番弁護士」を呼ぶと、24時間以内に当番に当たっている弁護士が面会に来ると言われていますが、実際はもっと時間がかかることもあります。

弁護士会において、1日あたり当番になっている弁護士の数はそれほど多くないようで、都市部で1日に何件もの要請があった場合には、すぐに対応しきれないようです。そのため、「当番弁護士」は呼んでもすぐ来てくれるとは限らず、最悪だと48時間はかかってしまうケースもあるようですので、覚悟しておく必要はあります。

しかし「当番弁護士」が来ないからといって、捜査機関の言いなりになって取調べを受け、供述調書に署名拇印などを行う必要はまったくありません。

「弁護士と会うまでは、何も話しません」と宣言しましょう。

昔とは違い、何も言わなくても取調官から暴力を受けるようなことはないでしょうし、もしそのようなことがあれば大問題となりますので、しっかりと言動を記憶にとどめ、対応するようにしましょう。

「当番弁護士」とは、私選弁護人契約もできる

「当番弁護士」制度を利用し、面会に来た弁護士と話しをしてみて、アドバイスが的確であったり、人柄が信用に足りると判断し、相性のよい人だと分かったりした場合は、その場で「私選弁護士」として契約することもできます。

もともと刑事事件の弁護に強い弁護士の知り合いがいる人などは滅多にいないでしょう。

刑事事件の弁護をするために「当番弁護士」制度に登録している弁護士というのは、それだけで「私選弁護人」に向いていると言えるのです。

相性の良い弁護士に出会えれば幸運

刑事事件の手続きは時間との勝負という側面があります。

「当番弁護士」が信頼のおける人物で、被疑者自身との相性もよければ、本格的に弁護士を探す手間が省けるわけですから、これほど幸運な展開もありません。

但し、「当番弁護士」として面会に来た弁護士を必ず「私選弁護人」にしなければならないというわけではありません。

「当番弁護士」制度のデメリットには、弁護士を選べないということがあり、信頼できないからと代わりの弁護士を呼ぶこともできません。もちろん弁護士側の都合もありますし、被疑者自身が経済的に弁護士費用を払うことができなければ、「当番弁護士」に「私選弁護士」を依頼することもできないのです。

また「当番弁護士」として、被疑者に面会に来る弁護士が、すべて被疑者の弁護活動だけに熱心な弁護士だとは限りません。

なかには「私選弁護士」の契約を取りたいだけの弁護士も実在しますので、相手をよく見極めて依頼するかどうかを考えましょう。

「当番弁護士」制度は、被疑者にとって非常にありがたい制度ではありますが、決して最後の砦ではなく、その後も弁護士を雇う機会はたくさんあるのです。

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