弁護士の接見とは?接見時間や差し入れについても解説
- 2024年7月16日
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家族や友人、知人が刑事事件の被疑者として警察に逮捕されたと知れば、誰もがいち早く会いに行きたいもの。しかしさまざまな制限があり、一般的には逮捕から4日目以降、勾留という状態にならないと会えない。反面、弁護士は原則としていつでも接見可能だ。
逮捕された被疑者に「接見」する
病院に入院した家族や友人、知人のお見舞いは面会時間であれば、他の入院患者や病院に迷惑をかけない常識の範囲であればたいていのことは許されるものです。しかし、勾留されている刑事事件の被疑者に会うには、さまざまな制限や決まりごとがあります。
いきなり刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、本人のみならず家族や友人、知人はすぐにでも会いに行って、少しでも力になれることがあれば助けの手を伸ばしたり、事情を聞いたりしたいことでしょう。
被疑者に面会することを「接見」と呼ぶ
しかし警察に問い合わせてみても、インターネットで調べてみても、司法界独特の用語が氾濫していて、訳の分からないことが多いと思われるかもしれません。
例えば、被疑者に面会しに行くことは「接見」と呼ばれています。そして「接見交通権」という、いつでも外部の人の助けを求められる権利を被疑者は持っていますが、対象とされているのは弁護人または弁護人になろうとしている弁護士だけなのです。
一方で、警察署は勾留施設に被疑者の家族や友人、知人など、誰であっても面会を許す時間帯や条件を揃えています。弁護士の力を借りつつ、自らも被疑者に会いに行ったり、必要なものの差し入れたりすることを考えてみましょう。いきなり孤独な世界に隔離されてしまった被疑者の大きな力になります。
被疑者に「接見」し、差し入れをするためのルールを理解
しかし被疑者が身柄を拘束されている警察署にいきなり訪問しても、会わせてもらえないケースが多いのが実情です。
「接見」可能な日時や時間、人数や回数の制限、差し入れできるもの、できないものなどのルールは、被疑者が身体を拘束されている警察署が定めています。そして警察署によって、ルールの細かい点が違いますので、事前に電話で確認してみることをお勧めします。
弁護士に依頼して、「接見」の段取りをしてもらうのが一番楽かもしれません。
逮捕された被疑者と「接見」する場所は?
「接見」するには、まず逮捕された被疑者がどこの留置場にいるのかを知らなくてはいけません。
刑事事件の被疑者が最初に連行されるのは、基本的には当該刑事事件が発生した地域を管轄する警察署ですが、どこの警察署に連行され、どこの留置場に拘束されているかは、明らかでない場合があります。
被疑者が女性だったり未成年者であったりした時で、その地域を管轄する警察署に女性や未成年者を受け入れられる留置場がなかった場合は、近隣の別の警察署で留置されることになります。加えて、近年増えているインターネット絡みの犯罪の場合、捜査本部が設置されるのが警視庁であることが多く、地方に住んでいた被疑者であっても、東京まで連行されることになってしまいます。
まずは被疑者の住所を管轄する警察署に連絡を入れ、どこに連行されたか尋ねてみるのが手っ取り早い方法です。
「接見」できる部屋はどんな部屋?
「接見」は、警察署に設置されている「接見室」で行われます。刑事ドラマで出てくる、被疑者と家族が面会する部屋とほぼ同じ構造になっています。部屋の中央に大きなアクリル製の間仕切りがあり、声を通すために円形の複数の穴が開いているのもテレビと同じです。
アクリル製の間仕切りの両側には狭い机くらいの幅の台があり、肘をついたりメモを取ったりできるスペースがあります。そして被疑者がいる方には椅子が1脚、面会人が来る方には面会が許される人数の椅子が置かれています。
狭い殺風景な部屋で、圧迫感が感じられる
たいていの「接見室」は狭い殺風景な部屋で、外が見える窓がありません。
「接見」に訪れた面会人は、被疑者が本当に逮捕されてしまったのだと実感することでしょう。ただし、「接見室」は留置場とつながっているので、構造的に逃亡のおそれがない限り、手錠と腰縄は外されていると思われます。
しかし面会中は警察官が被疑者の後ろに待機していますので、人によれば緊張して会話も満足にできないかもしれません。
聞きたいことや伝えたいことを効率的に済ませるために、何を聞くかは事前に内容を箇条書きにしたメモを持っておくと良いかもしれません。この雰囲気で、落ち着いて話ができる人の方が少ないでしょう。
一般人の「接見」はわずか15分~20分
「接見」の現場では、通常ならば面会人が先に「接見室」に入って、被疑者が来るのを待つことになります。
「接見室」の向こう側は留置場内になっていますので、被疑者は手錠や腰縄をつけられることなく、普通の姿で接見室に現れます。「接見」には警察官が立ち会って、内容を記録しています。
当該事件に関して詳しく話を聞こうとすると、警察官に咎められる可能性がありますので、控えた方が良いかもしれません。
込み入った話は、原則として時間の制限がなく、立会人もいない「接見」ができる弁護士に任せましょう。
一般人の「接見」は1日1回、わずか15~20分
「接見室」での一般人の面会時間は15~20分ほどに設定されています。その理由とされるのは、ほとんどの警察署では被疑者と「接見」できる「接見室」がひとつしかないことです。そのために、予約をせずに「接見」に行っても先約があって予定が詰まっていれば、待たされるばかりか、会えないこともあるからです。
そして平日の昼間は警察署も捜査で忙しいと思われますし、効率的に「接見」を済ませるためにも、事前連絡して「接見」の予約は取っておいた方が良いでしょう。
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短時間でも、顔を合わせることが大切
被疑者が本当に罪を犯していようがいまいが、家族や友人、知人が会いにきてくれることは、その後の手続きにおいても大切なことです。逮捕された後の3日間は取調べや送検の手続きで被疑者も大変ですが、勾留期間の10日間となると、意外と時間が空いてしまうものです。
その間、被疑者は孤独とも戦うことになります。
被疑者が容疑を完全否認したり、黙秘を貫いている状態では「接見」が認められないかもしれませんが、弁護士を通して伝言をしたり差し入れをすることは可能ですので、なるべく被疑者にコンタクトを取る方法を考えてみましょう。
逮捕後の差し入れは弁護士に相談を
「接見室」はアクリル板で仕切られていますので、被疑者に直接差し入れの品を渡すことはできません。
さらに、差し入れにはさまざまな制限があります。
警察署によってそのルールも違い、身柄を拘束されている被疑者にとって便利なもの、必要としているものは一般人では想像できない部分もありますので、弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
逮捕された被疑者に差し入れできないものは?
刑事事件の被疑者として逮捕され、留置場あるいは拘置所に勾留されている被疑者への差し入れは、さまざまな理由で禁止されているものがあります。
勾留施設によってルールは違うようですが、一般的なものを紹介しましょう。
差し入れ不可なもの
- 食品(毒が入っているかもしれないからという理由)
- ヒモがついた衣服(首を括るなどしての自殺を防ぐため)
- ボタンがついた衣服(ボタンを飲み込んでの自殺を防ぐため)
- 洗面用具(警察署内で販売しているため)
以上が禁止されている代表的なものですが、有名な話では、本のしおりヒモにいたるまで、ヒモ状の物は被疑者が首を吊るかもしれないからという理由で、差し入れ不可となっています。
衣類は差し入れ可能ですが、ジャージやスウェット以外のものは許可されないようです。それもヒモつきのものは不可とされます。
下着についても、女性の場合はワイヤー入りのブラジャーは不可とされ、ワイヤーを抜けば許可される所もあるようです。
最近はブラトップのようなブラジャーが不要の衣類もありますので、女性の場合は差し入れると喜ばれるかもしれません。
最も喜ばれる差し入れは、現金?
留置場や拘置所に身柄拘束されている被疑者にとって、最も役立つのは現金かもしれません。
勾留施設の中では売店があり、日用品を買うことが可能ですが、逮捕された時に十分な現金を持って出る人も少ないでしょう。また手紙を出す場合の切手や便箋、あるいは封筒も無料ではありません。
施設にもよりますが、お菓子やジュース、「自弁(自費弁済)」と呼ばれる弁当も、お金を払えば食べることができます。ただし、留置場や拘置所で必要な現金はそれほど多くはありませんので、勾留の最長期限までいたとしても、2~3万円もあれば十分でしょう。
逮捕された被疑者との接見は、弁護士を頼ろう
基本的に起訴前の、被疑者と呼ばれる段階であれば、「接見禁止処分」が出されていない限り、誰でも「接見」することができますます。
極端な話をしてしまえば、ニュースで話題になったような大事件の被疑者が、どこの警察署の留置場にいるのかを知っていれば、単なる野次馬でも「接見」することは不可能ではないのです。
「接見」に応じるかどうかを決めるのは被疑者本人
当然、名前も素性も知らない人の「接見」は受けたくないでしょうから、会うかどうかを決めるのは被疑者本人です。
被疑者は「罪を犯してしまって家族に顔合わせができない」「心配してくれるのは分かるけど、友人にどんな顔を見せればいいのか分からない」などと考えてしまいがちです。
「接見」を断られたら、その辺の気持ちを慮って、弁護士を通じて伝言をお願いするか、手紙を書いてみるのも良いでしょう。
いつでも「接見」ができるのは弁護士のみ
一般人が留置場で被害者と「接見」できるのは、平日の昼間だけです。しかし弁護士は、原則として24時間いつでも被疑者と「接見」が可能です。
そして、被疑者は刑事訴訟法第39条に定められた「秘密交通権」という権利があり、「接見」において警察官が立ち会うことなく、弁護士に会うことができます。
刑事訴訟法
第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
※以上、抜粋
また、一般人との「接見」が許されない「接見禁止処分」が下されていても、弁護士なら「接見」が可能です。
警察や検察に聞かれたくない内緒話があるかどうかはともかく、曜日や時間に関係なく被疑者に「接見」可能な弁護士には、伝言や差し入れを頼むこともできます。
被疑者との連絡役としても、弁護士は欠かせない存在だと言えるでしょう。
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