刑事裁判の手順(10)判決

裁判が結審すると、次回は判決公判

判決

どんなに単純な事件でも、判決公判は日を改める

検察側の「論告求刑」と弁護側の「最終弁論」が終わると、裁判官は
「以上でこの裁判は結審となります。」
と裁判の審理が全て終了したことを宣言します。

通常の裁判はどんな単純で明快な事件でも、ここで一旦終わりです。軽微で単純な事件だと最初の「人定質問」から、最期の「最終弁論」まで1回の公判で終わってしまうことは珍しくありません。しかし、そうした裁判であっても、裁判官は公判で提出された証拠を、慎重に検討して判決文を書かなければなりませんので、判決公判は日を改めて行うことになっています。

ただ近年改正された刑訴法では、特殊な条件を満たせば、最初の1回の公判で判決まで言い渡すことの出来る「即決裁判制度」という仕組みが導入されました。

判決公判日の決定

判決公判は結審後、1週間後になることもある

刑事裁判の場合、公判から次回公判までの期間は地域によって差があります。次回公判のスケジュールは、基本的に弁護人を務める弁護士の都合に合わせて組まれます。毎回公判の最後に、裁判官が次回公判の日程を提案し、検察官や弁護人が提案された日時で問題なければ次回の公判日が決定するわけです。

つまり裁判所側の提案した次回公判日にスケジュールが空いていなければ、弁護側は日程変更を要求できるわけで、こうした日程調整が慣習になっているのは、弁護士が一番忙しいからだと言われています。こうした慣習を逆手にとって、被害者との示談が滞っている場合、次回公判日を先延ばしにするという法廷テクニックも存在します。

とはいえ、次回公判日は結審の1ヶ月後くらいとなるのが一般的で、2ヶ月以上公判日が延びるのは、年末年始や年度末、あるいは盆休みの時期に掛かった場合でしょう。
ただ判決公判の場合、事件が軽微で単純だと結審して一週間後になることも珍しくはありません。これは、裁判所が効率を考慮してのことです。被告人が最初から罪を認めていて、弁護側が検察側と争う気がない場合、最短のスケジュールで判決公判が開かれます。

ドラマとは違う?現実の判決公判

他の公判と同じくあっさり始まる

裁判の判決といえば、起訴された被告人の運命が決定する瞬間です。映画やドラマでは様々な演出がされて、クライマックスを盛り上げますが、現実の裁判の判決公判は実にあっさりしています。
法廷に関係者が集まるのは、他の公判と同じように法廷が開放されると同時に傍聴人や検察官、そして弁護人と被告人が入廷してきます。そして開廷時間ピッタリに裁判官が入廷してくるのも、通常の公判と変わりはありません。

判決公判で行われる手続きは、被告人に判決文を言い渡すことだけですので、冒頭から被告人は証言台に呼ばれます。公判中、顔を突き合わせているので、今更だと思いますが裁判官は被告人の名前と本籍を聞く「人定質問」を再び行い、被告人が間違いなく本人であることを確認します。そしてドラマと違い、なんの“溜め”もなく判決文を読み上げるわけです。

判決文読み上げの流れ

主文の告知が終わると、判決理由が説明される

主文で具体的な刑罰が申し渡されると、裁判官は判決理由を読上げることになります。ただその前に裁判官は、被告人に向かって、
「長くなるので、座ってください」
と証言台に用意されているイスに着席して聞くように促すのが普通です。

ここでイスに座るか、そのまま立って聞くかは被告人の自由ですが、大抵の被告人はイスに座って判決理由を聞きます。判決理由は被告人が起訴された犯罪を簡単に説明し、
「自己中心的としか言えない」
「極めて悪質な行為」
などと、犯罪を犯してしまった被告人を断罪する文言が並べられます。

ひとしきり被告人の責任を追及する内容の後は、「事件後に被害者との示談を成立させた」「今では十分反省している」など、情状酌量の余地があれば、それを説明して最終的に主文で述べたような刑罰に決まったことを説明します。

判決公判の所要時間

たった10分!裁判官だけが発言し、あっという間に公判は終わる

判決文は「主文」と「判決理由」に分かれていますが、通常の裁判でそれを読上げる時間は5分と掛かりません。ニュースになるような重大事件であれば、それなりに時間がかかる場合もありますが、多くの裁判の判決公判はあっさりと終わります。
実際東京地裁の公判スケジュールを見ると、判決公判は10分で予定されており、判決公判ばかりの法廷では、30分の間に3つの公判が組み込まれていたりするわけです。

判決公判は裁判官以外、発言する事はありません。そして裁判官は被告人を証言台に立たせ、判決文を読上げると「上訴の告知」をして、すぐに退廷します。刑事裁判の場合、裁判官によっては、判決文には書かれていない説教のようなことをする人もいますが、これは「説諭」というものです。

「(情状)証人に立ってくれたお母さんの期待を裏切らないように、二度と罪を犯さないようにしてください」
というような、堅苦しい判決文とは違った言葉で被告人を戒めるのが説諭になります。もっとも説諭は必ず行われるモノではなく、説諭が好きな裁判官もいれば、全く説諭をしない裁判官もいます。

そんな説諭の時間を含めても、やはり判決公判は予定通り10分程度で終わってしまいます。判決に異存がなければ、裁判はほぼ終了ですが、判決に不服がある場合は、まだ裁判は継続されます。
どちらにしても、判決以後の方針については弁護人と相談の上で対応を決めるのがよいでしょう。

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