刑事裁判で執行猶予が下される基準とは

無罪を祈る被告人

裁判で執行猶予がつく条件

起訴された被告人が目指すのは、起訴事実を認めている場合、「執行猶予」です。しかしどんな被告人でも、執行猶予がつくとは限りません。執行猶予がつけられるのは、

  • 初犯であること
  • 被告人が十分反省していること
  • 起訴された罪の最高刑罰が、懲役(禁錮)3年以下または罰金50万円以下であること

という条件があります。

「初犯であること」というのは、言い換えれば前科がないことです。つまり犯罪常習者ではないという条件なのですが、これは解釈に幅があります。たとえば過去にケンカによる傷害罪の前科があった者で、今回起訴された罪が覚せい剤所持といった、前の罪とは関連性の低いモノだった時は、弁護人の腕次第で“初犯扱い”されて執行猶予が取れる可能性があるわけです。また同じ系列の犯罪前科があっても、一定以上の時間(5~10年)が経過していれば、これも初犯扱いされる可能性があります。

被告人が示す“反省の態度”とは?

言葉や態度だけではない“具体的な反省の証拠”がカギ

「被告人が十分反省していること」というのは、文字通り被告人が自分の犯した罪を反省して、二度と同じ過ちを繰り返さないという気持ちになっているということです。裁判官は法廷内での被告人の言動を注意深く観察し、ホントに反省しているかを判断します。しかし心の中まで
は見通せませんので、“具体的な反省の証拠”を示すことも忘れてはいけません。

まず重要なのは、結審までに被害者との示談を成立させることです。最近の被害者は、示談をしたら負けだと思っている人も増えており、いくら弁護人が頑張っても示談のテーブルにすらつかないケースもよくあります。そうした相手に謝罪文を送ったり、「贖罪寄付」をして反省の意を示すわけです。

また薬物系犯罪など、被害者がいない犯罪の場合も反省文を自主的に提出するとか、被害者と示談できないケースと同じく贖罪寄付をするのも効果的でしょう。
ちなみに「贖罪寄付」というのは、「日弁連(日本弁護士連合会)」や「法テラス」などが窓口になっているもので、寄付されたお金は主に被害者支援に使われています。被疑者や被告人が寄付をすると、証明書が発行され、それを公判の時に裁判所へ証拠として提出するわけです。

執行猶予がつけられる犯罪は軽微なモノだけ?

執行猶予には具体的な基準がある

「起訴された罪の最高刑罰が、懲役(禁錮)3年以下または罰金50万円以下であること」というのは、裁判官が執行猶予をつけるかどうかという具体的な基準になります。つまりどんな凶悪な犯罪を犯しても初犯だったり、被告人が反省していれば執行猶予がつくわけではないということです。

たとえば「殺人罪」や「強盗」、あるいは「現住建造物放火」といった犯罪の場合、最高刑に「死刑」「無期懲役」が含まれているため、有罪判決だと確実に実刑であり、執行猶予がつく可能性はありません。
ただ「窃盗」や「詐欺」の場合、最高刑は懲役10年ですが、検察の求刑によっては判決が3年以下の懲役(禁錮)になる可能性があり、その場合は裁判官の裁量で執行猶予がつく可能性が出てきます。

検察側の求刑は窃盗や詐欺の場合、被害金額に比例すると言われていますが、懲役(禁錮)3年というボーダーラインは、被害額1000万円未満になっているようです。もちろん犯罪の計画性や悪質性なども加味されますが、予想される判決が懲役(禁錮)3年ギリギリだった場合、実刑を受けて刑務所行きとなるか、執行猶予を勝ち取れるか、その鍵を握っているのは弁護人の腕だと言えるでしょう。

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