刑事裁判の手順~証人・証拠書類・証拠物の証拠調べで審理が本格化~

証拠物

刑事裁判における証拠とは

刑事裁判は、弁護側と検察側が双方の主張を展開し、裁判官がその法廷の場で真実を見つける手続きです。

弁護人と検察官の主張は、それぞれの主観に基づいて行われるもので、犯罪事実はひとつであっても見方は異なるため、裁判官が、本当に何が起こったのか、事件に至った経緯はどういうものだったのかを審理するのが裁判とも言えます。

その審理は多くの証拠を調べることによって行われます。そのため、刑事裁判における証拠は非常に重要なもので、真実を証明できる決定的な証拠を提出するのが、弁護人や検察官の腕の見せ所ともなるのです。

刑事裁判における証拠調べとは?

刑事裁判の一般的な手順では、裁判官が人定質問で被告人に質問をすることで被告人を特定し、検察官が起訴状朗読を行って裁かれるべき罪状を明らかにし、続いて冒頭陳述で事件のあらましを説明したところで、いよいよ証拠調べという本格的な裁判の審理が始まります。

この刑事裁判の法廷で提出されて調べられた証拠のみで審理を行い、裁判官は最終的な判決を出すということが原則です。

テレビや新聞などのメディアが報じる犯罪のニュースは、事件のスキャンダル性や社会感情などが影響し、偏りのある報道になってしまう可能性がどうしても存在しますが、裁判官は、公平性に欠けた情報により判決が影響されることを避けるため、法廷内で明らかになった証拠のみで判断するという意識を持って裁判に臨むのです。

法廷内で示される証拠は、主に証人、証拠書類、証拠物の3種類に分かれます。

証人とは、法廷において事件について、あるいは事件の関係者などについて証言する人のことです。

証拠書類とは、被告人や被害者の供述調書などを始めとした、事件に関する書類です。

そして証拠物とは、被告人が犯行に使った凶器や道具といった物的証拠です。

証拠裁判主義とは

刑事訴訟法第317条に、「事実の認定は、証拠による。」と規定されています。

犯罪は、それ自体をそのまま再現することは不可能であるため、事実の認定は犯罪と関係するさまざまな資料などによって推論するしかないため、その際に使用される資料は重要な意味を持ちます。

犯罪の事実認定は、客観的な証拠に基づき、合理的な推論により行われ、裁判官は判決を行うことになり、裁判は証拠に基づくことが求められるという考え方は証拠裁判主義と呼ばれています。

また証拠については証拠能力も求められ、何でもかんでも証拠として提出すれば良いというわけではありません。その証拠能力を判定し、証拠について調べていくことを、裁判では証拠調べと呼ぶのです。

証拠調べの申し立て

刑事裁判の手続きにおいては、冒頭陳述が終わった後、まず検察官が証拠調べの申し立てをします。

冒頭陳述で述べた犯罪事実を証明するために必要な証拠を、公判において調べてもらうために行う手続きで、例えば、犯行に使用された凶器、現場にあった遺留品などの証拠物、現行犯人逮捕手続書、捜査報告書、実況見分調書、被害者の診断書など、そして捜査や取調べによって作成された被害者、目撃者および被告人などの供述調書などの書類など、さまざまな証拠を調べてもらうように申し立てを行うのです。

申し立て段階では、これらの証拠は一覧表に整理され、裁判官と弁護人に渡されます。

証人が証拠調べの中心となる

以上のような証拠書類や証拠物が多く提出されますが、刑事事件の公判において特に重要とされるものは証人で、証人自身、鑑定人、あるいは被告人が口頭で証拠を提出する方法です。

被告人の自白のみで事実認定を行うことは、人権侵害や事実誤認の危険性が高いために避けられなければなりませんが、後の証人尋問において証人が裁判官の面前で口頭により行われる証言は、非常に重要視されます。

これは公判の基本原則である口頭主義、あるいは直接主義に則った考え方です。

証人とは、自身が経験した事実に基づき供述を行う第三者のことで、たとえば被害に遭った事実や、学識経験などに基づいた見解を供述するもので、この証言も裁判における証拠となります。

証拠の不採用・不同意とは

民事裁判の場合は、原告と被告の双方が出した証拠は、基本的にすべて採用され、裁判官の審理の対象になりますが、刑事裁判においては、検察側や弁護側が証拠として提出しようとしても、裁判官が却下して不採用になるケースがあります。

刑事裁判において、事件事実の立証責任は検察側にあります。

そのため検察側は冒頭陳述を終えた後、裁判官にさまざまな証拠を提出しますが、証拠書類に対して、弁護側が「不同意です」と言ってしまうと、原則として裁判では証拠として認められません。

ただし、この証拠の不同意は、弁護側が出した証拠に対して検察側も発動できる権利です。

検察側も弁護側も不採用とした証拠書類に書かれた事実を裁判官に示す方法は、証拠書類の記載内容を証言できる人物を法廷に呼び、証人として証言してもらうという手段を使います。

証拠書類不採用の理由は?

不同意を表明しただけで証拠が不採用となることはなく、証拠書類が不採用とされるには明確な理由があります。証拠書類が採用されないことがある理由には、まず刑事裁判において裁判官は書類のみを信用することはないということです。

このような煩雑な手続きとなるのは、刑事裁判では伝聞を信用しないためです。伝聞とは、「Aがこう言っていた」というような、法廷にはいない人物の証言です。

証拠書類の多くは被告人や被害者、あるいは目撃者などが語ったことを書き留めた供述調書ですが、被告人本人は法廷にいますので問題はありません。ところが被害者や目撃者の詳述調書を読んだときに、疑問があってもそれを問いただすことができない伝聞になってしまうのです。

従って刑事裁判においては、検察官も弁護人も相手の主張を崩すために書類証拠を不同意にして、被害者や目撃者を法廷に出廷させ、論戦を挑むという法廷テクニックが行われているのです。また裁判官も書類に疑問があれば、直接本人に質問できますので、書類証拠よりも証人を重要な審理対象にしています。

実際には、不採用・不同意のケースは少ない

証拠書類の脆弱性を狙って、証拠の採用に不同意をするような刑事裁判は、被告人が起訴事実の一部、あるいは全部を否認している否認裁判で起こるものです。

日本の刑事裁判の90%以上は、もともと被告人が起訴事実を全面的に認め、あとは量刑を決めるだけの量刑裁判になっています。

起訴事実をとことん争う否認裁判であれば、弁護人はありとあらゆる法廷テクニックを駆使して検察官と戦う必要がありますで、証拠の不同意を表明しますが、量刑裁判における弁護人の狙いはいかに罪を軽くするかとなりますので、検察官の提出する証拠書類に対して個別の反論を行う必要はあまりないのです。

そのように検察官、あるいは弁護人の提出した書類に同意する場合は、ただ単に「同意です」というほかに、「しかるべく(然るべく)」という言い回しも法廷ではよく使われます。

証拠の量で裁判の期間が決まる

前述の通り、日本の刑事裁判のほとんどは被告人が最初から罪を認めている量刑裁判ですから、検察側と弁護側が証拠を出し合って厳しい論戦を繰り返す審理はあまりありません。

たいていの裁判は第一回の公判で結審し、第二回で判決言い渡しとなるのが一般的です。しかし起訴事実を否認している否認裁判では、検察側も弁護側も多くの証拠を提出します。

特に双方が証人を呼び、証人尋問が行われることになると、一回の公判期日で行われる証人尋問は1人か2人、多くても3人程度となりますので、裁判自体が長期化するのです。

完全否認の裁判であれば、初公判から1年以上かかるケースも珍しくはありません。

経験のある弁護士を選任することが重要

刑事裁判の否認事件で、弁護人の腕をみる場合、どれほど多くの証拠を提出できるかという点は重要だといえるでしょう。また否認裁判の件数自体が少ないため、その弁護を経験した弁護士の数も少なく、実績のある弁護士を探すこともまた難しいと考えられます。

比較的軽い罪で、罪を認め簡単な裁判で終わると見込まれる場合には、さほど経験も必要ないのですが、否認裁判で検察官と丁々発止のやり取りを繰り返し、法廷テクニックを駆使して有利な判決を得るためには、やはり経験と実績のある弁護士が適任と言えるでしょう。

知り合いをたどったり、紹介を受けたりして探す弁護士は限定的であるため、弁護士のポータルサイトなどを利用し、より幅広く自身の事件に適った弁護士を選任することをお勧めします。

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