刑事裁判の手順~結果に不服があり上訴を行う。控訴審と上告審とは~

不服

日本の裁判は三審制

日本の裁判制度では民事裁判、刑事裁判に関わらず三審制を採用しているため、ひとつの事件に関して、原則として3回まで反復審理を受けることが可能です。

例えば、簡易裁判所や家庭裁判所、または地方裁判所で行われた第一審で下された判決に不服があった場合、それより上級の高等裁判所で再び裁判の審理を受けることができ、さらにその高等裁判所で下された第二審の判決が不服ならば、今度は最高裁判所で審理を受けることが可能とするのが、三審制と呼ばれる制度です。

判決内容に不服があり、より上級の裁判所に審理のやり直しを申請することは上訴と呼ばれ、高等裁判所への上訴は控訴、最高裁判所への上訴は上告と区別されています。

独立した裁判所で行われる控訴審・上告審

第一審、第二審(控訴審)、第三審(上告審)の審理を行う裁判所はそれぞれ独立しているため、下級の裁判所がより上級の裁判所から指揮監督を受けることはなく、上級裁判所は下級裁判所の判決を審査する権限を持ち、上級裁判所の判断が下級裁判所の判断よりも優先されることになっています。

また、上訴は弁護側でも検察側でも可能で、第一審で判決が下されただけの時点ではその判決は確定とは言えず、14日間の上訴期限が過ぎて初めて、判決が確定します。

本項では、第一審の判決に不服があり、上訴を行う際の手続きや、控訴や上訴の現実について説明していきます。

上訴の流れ~第一審から控訴審、上告審

刑事事件の被告人として起訴された場合、最初に行われる裁判を第一審と呼びます。

第一審は起訴された罪の重さによって開廷される裁判所が変わり、予想される刑罰が懲役3年以下、あるいは罰金以下の財産刑のみである場合は簡易裁判所、そしてそれを超える刑罰になる可能性がある事件は地方裁判所で審理されます。

そして第一審の判決が不服だった場合、簡易裁判所や地方裁判所より上級とされる高等裁判所へ上訴します。この上訴手続のことを控訴と呼び、高等裁判所で行う裁判が第二審(控訴審)となります。

第二審で下された判決でも満足できず、不服がある場合は高等裁判所より上級の最高裁判所へ上告し、第三審(上告審)が行われます。

裁判所の格が上がり、裁判官も増える

以上のように、上訴するたびに裁判所の格が上がっていくのですが、場所が変わるだけではなく、各裁判所で審理を行う裁判官の数も増えていき、簡易裁判所で行われる裁判の裁判官は1名、地方裁判所でも基本的に裁判官は1名で審理が行われますが、事件の難しさによって3名になる場合もあります。

そして第二審の高等裁判所では、裁判官の数は3名で決まっており、最後の最高裁判所で行われる審理に出席する裁判官は15名になりますが、後述するように、一般的な刑事事件において最高裁判所の法廷で審理が行われることは希です。

上訴の期限は判決言い渡しの14日後

第一審の判決公判の最後に裁判官は必ず、「この判決に不服がある場合、判決日の翌日から14日以内に上訴手続きをしてください」という上訴権の告知を行います。

これは裁判所の義務であり、上訴できることを裁判の当事者に伝える必要があります。とはいえ、検察官や弁護人は法律の専門家として、言われなくても知っていることですので、上訴権の告知は主に被告人や傍聴人向けと言えるでしょう。

上訴する場合は、速やかに手続きを

第一審の判決内容に不服がある場合は、判決公判の翌日から14日以内に上訴の手続をしないと、それで判決内容が確定してしまいます。

上訴する意思がある場合、弁護人と相談して速やかに手続をしましょう。また、日本の裁判制度では検察側にも上訴権があるため、被告人が判決に不服がない場合でも、その判決が確定するまで14日間かかることになります。

上訴の期限までに14日間も間を空けているというのは、上訴するかどうかを被告人、あるいは検察官に時間をかけて考える余地を与えるためで、書類作成などに手間や時間がかかるからというわけではありません。

実際の上訴手続は、控訴(上告)申立書という書面を一通提出するだけで、上訴した公判で必要になる控訴趣意書などの詳細な書類は後で提出することになります。上訴する場合は、判決を覆すことが本当に可能かを、弁護人とよく相談してからにすることをお勧めします。

上訴の権利は法令で定められている

控訴の骨子については、下記の通り刑事訴訟法第372条~376条に定められています。

刑事訴訟法

第三百七十二条 控訴は、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。

第三百七十三条 控訴の提起期間は、十四日とする。

第三百七十四条 控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。

第三百七十五条 控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第三百七十六条 控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない。
2 控訴趣意書には、この法律又は裁判所の規則の定めるところにより、必要な疎明資料又は検察官若しくは弁護人の保証書を添附しなければならない。

控訴については、申し立て自体は「ただ量刑が重すぎる」という理由でも可能なのですが、その理由を記すには刑事事件の手続きに慣れている人でないと有効な書き方ができず、保証書が必要なケースもあるため、必ず弁護士に相談することをお勧めします。

この際確認が必要なのは、第一審を一緒に戦ってくれた弁護士が、そのまま第二審も担当してくれるかどうかです。たいていの場合は第一審のみで契約は終了し、上訴するにしても新たに契約し直さなければならないのです。

第一審を知っているからこそ、同じ弁護士で第二審も戦えればスムーズに手続きが進むという考え方もありますが、もしかしたら弁護士の力不足で満足のいく判決が得られなかった可能性もあるのです。

相性が合って一緒に戦ってくれるならば良いのですが、やはり経験が物を言う世界でもあるので、慎重に選任をした方が良いと考えられます。

控訴、上告の現実~第一審に全力を

日本の裁判は三審制なのは常識レベルの知識ですが、実際にひとつの刑事事件で3回の裁判が行われているのかというと、驚くほど上告審の数が少ないことに気がつき、一審制の国ではないかと思うほどです。

確かに第一審の判決に不服があり控訴する時には、「刑が重すぎる」、「判決文に書かれた事実に誤認がある」といった理由でも上訴できます。

しかしあくまでも上訴できるというだけで、第一審の判決理由を根底から覆すような新証拠を提出できない場合、控訴審はたった1回であっという間に結審し、次回の判決公判で控訴はあっさり棄却されてしまうのです。

上告はさらにハードルが高い

控訴審から上訴し上告審へという場合は、さらにハードルが高くなります。上告には上訴条件が決められており、刑が重過ぎるなどという理由では上訴そのものが認められません。

その条件は、刑事訴訟法第405条に定められています。

刑事訴訟法

第四百五条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

つまり、上記条文の第一項のように第二審の判決に憲法違反があること、第二項のように最高裁判所の過去の判例に相反する判断であったことが上告の理由として必要となり、安易に上告を行っても、上告理由にあたらないとして棄却されることがほとんどです。

法律審とも呼ばれる上告審は、一般の人には理解できない理由で棄却され、納得いかないという話もよく聞き、世間的に注目されている事件の刑事裁判において、「被告側の上告が棄却されました」という台詞をニュースでよく聞くのも、このせいだと考えられます。

弁護士は法律の専門家ですから、相談すれば無理矢理にでも上告可能と考えられるロジックを準備してくれるかもしれませんが、実際に上告しても審理まで進めるケースは極めて希なケースだと考えるべきでしょう。

現実的には、第一審に全力を注ぎ込むべき

以上のような理由で、日本の刑事裁判は第一審での判決でほぼ確定してしまうのが実情だと言わざるを得ません。

三審制だから次があると安直に考えるのは大変危険ですから、第一審から弁護人としっかりとコミュニケーションを取って手続きを進め、最善の結果が得られるように努力するべきです。

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