裁判制度における控訴、上告とは?~裁判の三審制について知ろう~

裁判所

日本の裁判制度は三審制

日本の裁判制度は民事、刑事に関わらず、三審制を採用しているため、ひとつの事件に関して基本的に3回まで反復審理を受けることができるのです。

例えば、簡易裁判所や家庭裁判所、または地方裁判所で行われた第一審における判決に不服があった場合は、それより上級の高等裁判所で再び審理を受けることができ、さらに高等裁判所で下された第二審の判決が不服ならば、今度は最高裁判所で審理を受けることが可能ということです。

このように、上級の裁判所へ審理のやり直しを申請することは上訴と呼ばれ、高等裁判所への上訴は控訴、最高裁判所への上訴は上告と区別されます。

第一審、第二審、第三審の審理を行う裁判所はそれぞれ独立しており、下級の裁判所が上級の裁判所から指揮監督を受けることはありませんが、上級裁判所は下級裁判所の判決を審査する権限を持っていて、上級裁判所の判断が下級裁判所の判断よりも優先されます。

日本の裁判所

日本の裁判所には、

  • 最高裁判所(東京)
  • 高等裁判所(本庁8庁、支部6庁、知的財産高等裁判所1庁)
  • 地方裁判所(本庁50庁、支部203庁)
  • 簡易裁判所(438庁)
  • 家庭裁判所(本庁50庁、支部203庁、出張所77カ所)

があります。

第一審は事件の大きさや内容により、簡易裁判所、地方裁判所、あるいは家庭裁判所で審理され、その裁判の判決に不服があれば、原告、被告の双方共に上訴(控訴)する権利があります。

第二審は主に高等裁判所で審理され、またその結果に不服があり、なおかつ憲法に違反があると考えられる時には、最高裁判所に上訴(上告)することが可能とされており、これが終審となります。

憲法に規定されている司法制度

日本の司法制度は、憲法の第六章に規定され、最高裁判所がさまざまな権限を有し、法律により定められる下級裁判所にて司法権が行使されると定められています。

憲法

第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

また三審制と同様に三権分立も謳われており、立法権、行政権、司法権はそれぞれ独立し、国会、内閣、裁判所がそれぞれの役目を果たし、権力が集中しないように条文が定められています。

控訴とは?

日本の刑事裁判は、その多くが最初から被告人が罪を認めていて、刑罰の内容だけを決める量刑裁判と言われるものです。そのため、判決に不服があり上訴をする人は少ないのではないかと考えがちですが、実際は意外と上訴をするケースが多いのです。

どのような理由でも上訴は可能ですが、最も多いのは被告人が、判決で下された罪は重すぎる、といった量刑不服による控訴になります。先にも説明した通り、控訴とは、簡易裁判所、地方裁判所、あるいは家庭裁判所で審理される第一審における判決に不服があれば、上訴(控訴)し第二審を要求することです。

控訴の期限は判決日の翌日から14日以内

第一審の判決に不服があり、控訴を行うには期限が設けられており、判決が言い渡された日の翌日から14日以内となります。この規定は、以下の通り、控訴の方法とともに刑事訴訟法に定められています。

刑事訴訟法

第三百七十二条 控訴は、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。

第三百七十三条 控訴の提起期間は、十四日とする。

第三百七十四条 控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。

第三百七十五条 控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第三百七十六条 控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない。
2 控訴趣意書には、この法律又は裁判所の規則の定めるところにより、必要な疎明資料又は検察官若しくは弁護人の保証書を添附しなければならない。

以上のような取り決めは一般的に知られていませんが、裁判で判決を言い渡される時、裁判官は必ず最後に、判決に不服がある時は判決日の翌日14日以内に控訴の手続きをしてください、などと伝えてくれます。

控訴の手続きは、まず申立書を、第一審が行われた裁判所に提出しますが、これは控訴を行う旨を記すだけのもので、控訴の理由までは書く必要はありません。その後裁判所が指定する期日までに、控訴をする理由をまとめた控訴趣意書を書面として提出しますが、その期日は事件の内容によって勘案されます。

この際、ただ量刑が重すぎるという理由を書くにしても、刑事事件の手続きに慣れている人でないと有効な書き方ができず、保証書が必要なケースもあるため、必ず弁護士に相談することをお勧めします。

控訴は検察側から行われることも

当然ながら、第一審の判決に対して不服を持つのは被告人側だけではなく、検察側ということもあり得ます。被告人が罪状を否認している否認裁判において、被告人が無罪を勝ち取っても、判決に不服があると検察側が控訴することもあるのです。

そのため、たとえ第一審で望み通りの判決が出ても、控訴期限である14日が経過しなければ、その判決が確定したことにはならないのです。否認裁判において検察側がたびたび控訴を行うことで、冤罪を生んでしまうという危惧がありますが、信頼の置ける弁護士を味方につけ、しっかりと争うことが望まれます。

上告とは?

上告とは、刑事事件の場合は高等裁判所で行われる第二審の結果に不服がある場合に、さらに上級の裁判所である最高裁判所に上訴することですが、その理由を問わない控訴に比べてハードルがかなり高いという現実があります。

そのため、刑事事件の被告人として裁判を争う場合は、第二審で決着をつけるべく全力を注ぐべきなのですが、それでもやはり満足のいく結果にならないことがあるため、知識として上告の手続きと厳しさを知っておくことは無駄にはならないでしょう。

上告ができる条件は?

第一審を終えて第二審を行う控訴においては、その理由はさておき、とりあえず控訴を行う旨の申立書を第一審の判決を下した裁判所に提出すれば良かったのですが、上告の場合は原則として以下の法令などに定められた非常に限定的な条件が必要となります。

刑事訴訟法

第四百五条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

要するに、上記条文の第一項にある、第二審の判決に憲法違反があること、または判例に相反する判断であったことが上告の理由として必要となり、安易に上告を行っても、上告理由にあたらないとして棄却されることが多くあります。

法律審とも言える上告審は、一般の人には理解できない理由で棄却され、納得いかないという話もよく聞きます。世間的に注目されている事件の裁判において、「被告側の上告が棄却されました」というニュースをよく聞くのも仕方ないことかもしれません。

上告審への道は厳しいが、法令には道が示されている

加えて、日本に最高裁判所が一つしかなく、本庁8庁、支部6庁、知的財産高等裁判所1庁から続々と上げられてくる上告の申請を受けきれないという理由もあります。

しかし刑事訴訟法には、以下の通り、上告の理由として決して憲法違反が必要であるとは言えず、法令の解釈にも幅を持たせ、三審制の意味をないがしろにしないような規定もあるのです。

刑事訴訟法

第四百六条 最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であっても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。

下記に示すような現実と争い方を理解して、被告人の権利を守るための手続きを進めることが重要です。

控訴・上告の現実と争い方

刑事事件の裁判では、控訴審や上告審でも、映画やテレビドラマのようなドラマチックな展開が見られることは少ないと言わざるを得ません。

そして、日本の裁判は確かに三審制なのですが、一般人が起こしてしまった刑事事件が最高裁判所で争われるケースは稀です。

経験ある弁護士に相談を

控訴審の場合、基本的に第一審では争われなかったような新事実が上訴を行う側から提出されない限り、審理さえ開かれずに控訴が棄却されるのが普通です。そのため、弁護士や家族や友人・知人が力を合わせ、被告人が無罪と信じるならその証拠を探し出し、もしくは量刑を減じるための努力をする必要があります。

上告に関しては、これまでまったく前例のなかった事件や、判決に憲法違反の疑いがある事件というケースはなかなかないため、審査の対象にもならず棄却されることが多いのが現実です。

以上のことを考え合わせると、冤罪事件など特殊なケースを除き、第一審に全力を尽くして被告人にとって最善の判決を導き出せるような努力をするべきでしょう。そして控訴や上告となると、弁護士の経験も重要です。

刑事事件の取り扱いが豊富で、控訴審や上告審に関わった経験のある弁護士に相談し、手続きを依頼することがお勧めです。

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