逮捕を伴わない在宅捜査~社会生活は可能だが長期にわたる可能性がある!~

在宅捜査

刑事事件の被疑者となってしまった場合、通常なら逮捕されて取調べを受ける。しかし一定の条件を満たせば、身柄が拘束されない在宅捜査となるケースがある。事件以前の日常生活を送ることが可能となるが、期限が定められていないため、捜査が長期化することも

「逮捕」と「在宅捜査」の違いは?

刑事事件の被疑者とされてしまった場合、通常の事件ならば逮捕されて身柄が拘束されてしまいます。

これは「身柄事件」と呼ばれ、逮捕後は警察署の拘置所に入れられ、その後48時間以内に送検され、24時間の拘留があり、拘留延長となれば最大で23日間は身柄を拘束されます。

一方で、当該刑事事件の性質や被疑者の立場などに特殊な事情があり、条件が揃っていれば、被疑者は逮捕されず、あるいは逮捕されても拘留されない状態で、在宅のままで刑事手続きが進められる「在宅捜査」で刑事手続きが進められることがあります。

「在宅捜査」を可能とする条件は?

「在宅捜査」は、どのような犯罪でも適用されるわけではなく、重大な事件ではないことが第一の条件で、その他には以下のような条件があります。

逃亡のおそれがないこと

逃亡のおそれがあると判断されると、逮捕を免れられないですし、逮捕後に釈放され「在宅捜査」となることはありません。

逃亡のおそれがあるかどうかは、住所がはっきりしていること、勤務先があること、配偶者がいることなど、被疑者の生活状況を勘案して決定されるようです。

証拠隠滅のおそれがないこと

当該事件の証拠を隠してしまうという、証拠隠滅の可能性があると判断された時には「在宅捜査」となることはありません。

事件の捜査に直接的に関与する証拠はもちろん、目的者や共犯者などの証人に接触する可能性があると考えられる時には、「在宅捜査」となりません。

一方で、証拠は十分に揃っていると警察が判断した時には、「在宅捜査」に切り替えられることがあります。

有名人には「在宅捜査」が多い?

社会的な地位が高い、あるいは大衆に顔を知られている有名人などに「在宅捜査」が多いとよく言われているようです。

これは、社会的に逃亡が難しく、たとえ逃亡したとしても誰もが顔を知っているならばすぐに見つかる、という理由があるかもしれません。

反面、一般人だとなかなか「在宅捜査」とならないとも言われます。

地位と名誉がある人が優遇されているようにも思われますが、一般人にも力強い味方となってくれる弁護士がいます。

逮捕された直後に、「在宅捜査」に切り替えるべく弁護士に依頼することも可能です。

「在宅捜査」で被疑者ができること

被疑者にとって、逮捕されずに「在宅捜査」で捜査が進められるということは、メリットが多くあります。

文字通り在宅で捜査が進められ、被疑者の身柄が拘束されていないという事は、基本的には普段通りの生活を続けられるわけです。

刑事事件の被疑者となる前と同じように、会社にも学校にも行くことができます。

世の中には司法のシステムをよく理解せず、逮捕された時点で解雇しようとする会社や、退学とする学校も多くあることでしょう。

しかし逮捕されても犯罪者であると確定するのは、裁判で有罪判決が確定したときです。

身に覚えのない罪で逮捕されても、すぐに釈放され「在宅捜査」となれば、社会的地位を失わずに済むことになるのです。

「在宅捜査」期間中に、弁護士に依頼を!

「在宅捜査」の期間中は、身柄の自由を奪われていませんから、弁護士を選んで被害者との示談などを進めることもできます。

もし逮捕されてしまったら、全て他人任せにしなければならない重要な交渉が、すべて自分が選んだ方法で進めることが可能になるのです。

逮捕され留置場に身柄を拘束された状況では、自分で有能な弁護士も探すこともできず、予想以上に重い刑罰を受けてしまった人もいるようです。

自分が自由に動けるということは、たとえ罪を犯してしまっていたとしても、刑事事件を良い結果で終わらせるための大きなメリットになります。

身に覚えのない罪を着せられているならなおさらです。

有能な弁護士にコンタクトを取り、無罪を勝ち取るために準備をしましょう。

被害者との示談を進めることは、刑罰を軽くする?

もし罪を犯してしまっていて、十分に反省をしているならば、「在宅捜査」の間に被害者との示談交渉を進めることも可能です。

この場合、被害者にとっては「罪を犯したのにもう釈放されている」という状態ですので、被害者感情を十分に慮って、弁護士を介して行うことが重要です。

もし示談交渉が順調に進み、示談が成立すれば、罪は消えることはありませんが、後に刑事裁判に進んだとしても、裁判官の印象が良くなる可能性があります。

また「在宅捜査」の場合は、当該刑事事件が検察に送致され、検事が起訴を決定したとしても、通常は一般社会にいるままで裁判を受けることができます。

これは、日本の司法システムが「逮捕前置主義」に基づいているため、基本的には逮捕しなかった被疑者を、逮捕の事実と異なる犯罪事実で勾留請求はできないということからです。

ただし、余罪取調べなどで別の犯罪事実が明らかになった場合は、この限りではなく、拘留請求を受けることがあります。

「在宅捜査」のデメリットとは?

刑事事件が「在宅捜査」となった場合、被疑者は事件以前と同様の社会生活を送ることが可能で、優秀な弁護士を雇って被害者と示談交渉を進めることもできます。

しかし、身柄を拘束される「身柄事件」ではないということは、逮捕や勾留にあるような手続きの期間の限度が定められていないというデメリットがあります。

「公訴時効」まで捜査が続く可能性も

法律では、刑事事件が発生してから起訴が可能な時期を区切る「公訴時効」は定められていますが、原則的にはこの「公訴時効」内であれば、警察や検察は刑事手続きを引き伸ばす事が可能となってしまいます。

「公訴時効」の期限は、以下のように、犯罪の種類や最高刑の内容によって定められています。

公訴時効なし 殺人罪、強盗殺人罪など、人を死亡させた罪で、死刑にあたるもの
公訴時効30年 強制わいせつ致死罪、強盗・強制性行等致死罪など、人を死亡させた罪で、無期懲役または禁錮刑にあたるもの
公訴時効25年 現住建造物等放火罪、現住建造物等侵害罪、外患誘致罪、外患援助罪など、人を死亡させていなくても、死刑にあたるもの
公訴時効20年 傷害致死罪、危険運転致死罪など、人を死亡させた罪で、長期20年の懲役または禁錮刑にあたるもの
公訴時効15年 強盗強姦罪、身代金目的略取罪、通貨偽造罪など、人は死亡させていないが、無期懲役または禁錮刑にあたるもの
公訴時効10年 業務上過失致死罪、過失運転致死罪など、人を死亡させ、長期20年に満たない懲役または禁錮、その他の刑にあたるもの。または、強盗罪、傷害罪など、人を死亡させていないが、長期15年以上の懲役・禁錮刑にあたるもの
公訴時効7年 窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、業務上横領罪など、人は死亡させていないが、長期15年に満たない懲役または禁錮刑にあたるもの
公訴時効5年 未成年者略取罪、受託収賄罪など、人は死亡させていないが、長期10年未満の懲役または禁錮刑にあたるもの
公訴時効3年 暴行罪、名誉棄損罪、過失傷害罪、威力業務妨害、器物損壊罪など、人は死亡させていないが、長期5年未満の懲役または禁錮、罰金刑にあたるもの
公訴時効1年 侮辱罪、軽犯罪法違反など、拘留または科料にあたるもの

「公訴時効」は、社会情勢や捜査手法の変化により変更されますので、弁護士などの専門家にアドバイスをもらうのも良いでしょう。

「逮捕」と「在宅捜査」、どちらが良いのか?

逮捕された場合の刑事手続きは、逮捕から起訴・不起訴の決定まで最長で23日間ですが、「在宅捜査」となると逮捕から送検まで、あるいは送検から起訴・不起訴の決定まで数カ月かかってしまうことは珍しくないようです。

数カ月にわたり、たびたび警察や検察に呼び出されて取調べを受ける暮らしというのは、気分のいいものではありません。

日常生活に支障をきたすほどの不便はないと考えられますが、精神的には辛い日々を送ることになってしまいます。

しかしながら、捜査に長い期間がかかるとしても、「在宅捜査」の方が不起訴になる確率が高く、刑罰が科されても軽くなる傾向があるとも言われています。

弁護士に相談し、刑事手続きを早く進めるためのアドバイスを受けることも良策です。

「在宅捜査」からいきなり逮捕される可能性も

本記事の冒頭でも述べたように、「在宅捜査」となるためにはいくつかの条件があります。

捜査が進み、別の犯罪事実が明らかになった時にはいきなり逮捕・拘留を受ける場合がありますが、「在宅捜査」の期間中には、これらの条件に気をつけて生活を送らないといけません。

逃亡、証拠隠滅とみられる行動は現に慎むこと

まず、逃亡のおそれあり、と疑われるような行為は慎みましょう。

「在宅捜査」の期間中は警察や検察から、取調べのためにたびたび呼び出されることがありますが、きちんと応じなければいけません。

連絡がつかなかったり、家族にも居所がわからないようなことがあったりすれば、逃亡のおそれありと判断されてしまいます。

また、反省の意思を示したい、または示談交渉を進めたいといっても、被害者や目撃者などの証人に会いにいくことは絶対に慎まなくてはなりません。

被疑者にその考えはなくても、被害者に対して圧力をかけ、証拠を隠してしまうことを意図しているのではないかとみなされてしまいます。

「在宅捜査」期間中に示談交渉を進めることは大切ですが、必ず弁護士に依頼し、手続きを進めることが重要です。

「逮捕」は刑事手続きの絶対条件ではない

以上のように、刑事事件の被疑者になってしまった場合でも、なるべくなら「逮捕」されずに、「在宅捜査」で刑事手続きが進められる方が、被疑者にとって有利となります。

「逮捕」というのは、確かに重要な刑事手続きの方法ですが、刑事手続きの流れの中で必ずしも必要ではないのです。

「在宅捜査」でも十分な捜査が可能なはず!

事実として、2013年に東京で発生した「警視庁OB痴漢事件」は、在宅捜査で刑事手続きが進められ、裁判では有罪判決が確定しています。

つまり警察や検察は、別に被疑者の逮捕によって身柄を拘束しなくても、きちんと犯人を有罪にできるだけの能力は持っているのです。

万が一刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合、すぐに弁護士への相談を申し出て、自分の身柄拘束は正当かどうかのアドバイスをもらい、不当であるとしたらすぐに弁護士を通して身柄の釈放を要求するべきでしょう。

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