弁護士に依頼できること~保釈手続き・身柄解放の取り組み

牢屋

弁護士に依頼しないと難しいこと

刑事事件の手続きを進めるうえで、被疑者や被告人にとって力強い味方となる弁護士の存在は、必要不可欠であると言っても過言ではありません。一旦逮捕されてしまうと、周りは警察や検察の関係者ばかりで、捜査機関が考えたシナリオ通りに手続きが進められ、被疑者や被告人はそのレールに乗せられたかのように裁判まで持ち込まれてしまいます。

いくら意思が強い人でも、刑事手続きや法律のプロフェッショナルたちが発する、意味の分からない言葉で責め立てられると、いつ終わるともしれない取調べにおいて、やってもいない事実を認めてしまうことすらあるということは、過去の冤罪事件を見ても明らかでしょう。特に逮捕期間が過ぎて勾留され、起訴される段階になってしまうと、被告人本人、あるいは支援する家族や友人・知人だけでは捜査機関が描くシナリオに抵抗するのは難しくなります。

そこで被疑者や被告人の味方となって、その人が当然持っている人権を守り、冤罪であれば無罪を主張して争い、たとえ罪を犯していたとしてもなるべく正当な量刑で済むように努力するのが弁護士です。

弁護士への依頼は、なるべく早く

刑事事件の手続きにおいて弁護士が活躍できるのは逮捕直後からで、本来ならばその時点で私選弁護人を付けるべきなのですが、予想もしない逮捕で逮捕された人も家族や友人・知人も動転し、それどころではないかもしれません。その結果、逮捕期間の3日間が過ぎて勾留が認められてしまうと、最長で23日間は留置場で身柄の拘束を受けることになってしまいます。

実はこの間に弁護士に動いてもらえれば、身柄の拘束を解き社会復帰を果たしたうえで裁判を待つということが可能な場合もあるのですが、初動が遅れるとこれも難しくなることが考えられます。そして起訴されてしまうと、今度は弁護士がいないと手続きが進まないことが発生し、ここで初めて自分に合った弁護士を探すことになり、弁護士にとってはここで初めて事件を知り、被告人のことを知ることになり、お互いを理解するにも余計な時間が必要となってしまうのです。

弁護士への依頼は、できれば逮捕直後、遅くとも勾留が決定されてしまった時に行うべきでしょう。

弁護士費用が払えない場合は

一般的に弁護士への依頼で気にかかるのは、費用の面だと思われます。弁護活動による効果と比べたら、決して法外に高いなどということはないのですが、弁護士費用は高いというイメージが根付いてしまっています。しかし現在では、初回相談や初回接見が無料といったサービスを提供している弁護士事務所もありますので、何をしてくれるのか、どういう効果があるのかだけでも相談しに行くのも良いでしょう。

それでも資金面で弁護士を個人的に依頼することが難しい場合は、資力の条件がありますが、無料で弁護活動を受けることができる国選弁護制度を利用することをお勧めします。

起訴後に身柄の解放を実現する保釈手続き

弁護士の重要な仕事は、被疑者や被告人の人権を守ること、裁判につながる弁護活動、そして被疑者や被告人の身柄を解放することです。刑事事件の被疑者として逮捕され、続いて勾留が認められてしまった場合、その期間中に被疑者の身柄を解放する刑事手続きは、勾留理由開示請求や勾留に対する準抗告などになりますが、なかなか勾留中は身柄解放が難しいというのが現実です。

起訴前の勾留が満期前に解かれることは稀で、たいていは23日間の逮捕・勾留期限一杯まで身柄が拘束されてしまいます。実際に移動の自由を奪われている、推定無罪の段階である被疑者にとって、この期間は長過ぎる拘束時間なのですが、警察や検察は手続きに時間が必要であるとして、起訴前勾留の被疑者が満期以前に釈放されることはほぼありません。

しかし、起訴はされてしまったものの、被告人という立場になれば、早期の社会復帰を目指して身柄を解放してもらう、保釈制度が利用できるようになります。

起訴勾留と保釈制度

刑事事件の手続きにおいては、逮捕後に勾留が認められてしまい、期限一杯まで勾留されたとしても、そこで不起訴処分になれば手続きは終了し、被疑者は無罪となり日常生活に戻れます。しかしそこで起訴されてしまうと、今度は起訴勾留という名の身柄拘束が継続されてしまい、今度は期限のない身柄拘束を受けることになってしまいます。

起訴勾留は、基本的に裁判が終わるまで、原則として拘置所での身柄拘束が続くものです。その上、裁判の判決において禁錮や懲役の実刑を言い渡された場合、そのまま刑務所に収監されてしまいますので、逮捕されてから刑期を終えて釈放されるまで、長い期間にわたり一般社会には戻れないということになります。

証拠隠滅や逃亡のおそれがない被告人が、このような過酷な状況に陥ってしまわないように、起訴されてから公判が終了するまで、一時的でも一般社会に戻れる制度が、保釈制度となります。保釈制度を利用して身柄の拘束を解いてもらうためには、保釈請求を行う必要があり、これは被告人自身や家族や関係者では難しい申請であるため、弁護士の助けが必要な手続きだと言えるでしょう。

保釈制度は誤解されがち

保釈制度とは、お金を払って罪を許してもらう制度ではありません。多くの人が誤解しているようですが、著名人や政治家が多額の保釈金を払って罪を許してもらうのが保釈制度ではなく、被告人全員に認められている制度で、決して罪が消えるわけではないのです。

よく、大金を払えるから刑務所に行かなくていいとか、保釈金なんか払えないからずっと塀の中にいなければいけないなどと聞くことがありますが、まったくの誤解です。保釈とは、裁判に必ず出廷するなどいくつかの条件を守ることで、刑が確定するまで一時的に日常の社会で生活できる制度、なのです。

刑事事件の手続きには、想像以上の時間がかかります。逮捕から起訴まで3週間以上、起訴された場合は第一回公判が始まるまで2カ月程度もかかるのが普通です。この間、被疑者は起訴されると被告人と呼び名が変わり、原則として留置場から拘置所へ身柄を移されるといった変化はありますが、ある日突然逮捕されてからずっと日常の社会と隔絶されてしまいます。

それだけの長い期間、日常の社会生活に戻れないということになれば、社会復帰が不可能になるくらいの社会的なダメージを負う可能性があります。裁判の結果、無罪になるか有罪判決を受けてしまうかは別として、長期間にわたる刑事事件の手続きによって被る不利益を軽減させるため、起訴されてから裁判の判決が出るまでは一般社会で暮らすことを認めるのが保釈制度なのです。

保釈金と保釈請求について

保釈制度が誤解される要因のひとつである保釈金は、正確には保釈保証金というもので、支払うのではなく、あくまでも預けるお金です。公判には必ず出廷し、勝手に引越しをしないとか、法廷以外で事件関係者に会わないなど、保釈を認める際に裁判所が被告人に示した条件をすべて守って無事公判が終了すれば、判決内容に関係なく、この保釈金は全額還付されます。

保釈金の金額は、被告人の経済状態によって裁判所が決め、基本的には没収されてしまったら被告人が困ると考えられる金額で設定されるため、資産が多い著名人や政治家などでは多額になり、一般人ではそれなりの金額になります。

一般的な保釈金の相場は、150万円~300万円程度と言われています。

保釈請求は弁護士に依頼すべき

刑事事件の手続きにおいて弁護士が代行できるほとんどのことは、被疑者や被告人本人でも可能です。従って保釈請求も、請求を出すだけであれば、その旨を紙に書き、請求の年月日と署名・押印(拇印で可)をして提出すれば、正式な保釈請求として認められます。

しかし被告人は起訴勾留中ですので、当然ながら身柄の自由はありませんし、仮に保釈請求が認められても、保釈金を納めなければ身柄は解放されません。前述の通り、保釈金の目的は被告人を必ず裁判に出廷させることにあります。

保釈金の金額は、還付されないと被告人にとって大きな痛手となる金額に設定されるため、留置場や拘置所に身柄を拘束されている被告人が、勾留されたままの状態でそんな大金をかき集めて納付するのは簡単なことではありません。

せっかく保釈の許可が出たとしても、保釈金を揃えるだけで結構な時間が必要となるでしょう。弁護士には、このような保釈請求にまつわる諸手続きをまとめて依頼することができます。

もちろん弁護士は法律のプロですので、裁判所に認められやすい保釈請求書の書き方も知っていますし、公的機関の支持などを得て保釈金を効率よく集める方法にも熟知していますので、被告人自身が保釈手続きをするより迅速に結果を出してくれるでしょう。

スムーズな保釈手続きは弁護士に相談を

保釈請求で料金も複雑に。弁護士との話し合いはしっかりと

保釈請求の手続きを弁護士に依頼する際に注意しなければならないのは、保釈請求手続きを基本的な弁護料の一部としてくれる場合と、正規の弁護活動とは別のオプション料金を設定しているケースがあるということです。

この保釈請求だけに限らず、弁護士に手続きを依頼する際には、料金体系なども含めてしっかりと話し合う必要があります。弁護士自身や所属する法律事務所によって変わってきますので、弁護人として契約する段階で、詳細まで確認しておくことをお勧めします。

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