最近の痴漢行為ほとんどに適用 「迷惑防止条例」~強制わいせつ罪との違い

痴漢行為を裁く法律のトレンド「迷惑防止条令」

イエローカード

1990年代から軽い痴漢行為に適用

軽い痴漢行為は刑法の「強制わいせつ罪」ではなく、都道府県の各地方自治体で定める「迷惑防止条例」が適用されます。
性交目的ではないわいせつ行為を刑法で裁いた場合に適用されるのは「強制わいせつ罪」です。ところが強制わいせつ罪は、意外に量刑が重く、下される刑罰は最低でも懲役6ヶ月になります。

電車やバス内のちょっとした痴漢行為で、そのつど罰金刑のない強制わいせつ罪を適用していたら、略式手続きは使えません。留置場はたちまち満員になり、起訴や裁判にまつわる業務が増加して検察や裁判所はより多忙になってしまいます。
そうした事態を避けるため、1990年代から軽い痴漢には迷惑防止条例を適用するようになりました。

こう書きますと1990年代以前は、電車やバス内での痴漢が余程少なかったのかと思われるかもしれませんが、軽い痴漢はずっと昔から発生しており、その件数は現在よりずっと多かったはずです。しかし昔は軽い痴漢に対する処罰意識は低く、実際に痴漢で捕まった被疑者も、軽いものであれば交番で「説諭」といわれる説教を食らうだけで放免されるケースが普通だったのです(この措置は「微罪処分」という)。

そうしたわけで、最近では痴漢行為で掛けられる容疑の多くは迷惑防止条例違反であり、強制わいせつ罪が適用される痴漢というのは、かなり悪質なケースだといえます。

“軽い痴漢”と“重い痴漢”、その違いとは?

迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪では、その刑罰に大きな開きがあります。それではどんな痴漢が迷惑防止条例違反で済み、どんな痴漢をしたら強制わいせつ罪になってしまうのでしょう?
実は迷惑防止条例にも、強制わいせつ罪にも適用されるべき痴漢の具体的な例は記載されていません。そのため過去の起訴状の内容から察するしか方法はないわけです。

いまのところ、迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪を分ける基準は
触った手が、着衣の上からなら迷惑防止条例違反、被害者の着衣の下にあるはずの素肌に触れたら強制わいせつ罪
になっています。
つまり服の上から被害者を触るくらいの痴漢であれば、迷惑防止条例違反になり、被害者の衣服に手を突っ込み、本来なら衣服で隠れているような肌を直接触ると強制わいせつ罪が適用されるわけです。

もっともこうした基準が全ての事件で適用されているわけではありません。たとえば被害者が女性でスカートを履いていた場合、スカートの中に手を差し込み、下着の上から触るといった痴漢行為でも、適用される罪状は迷惑防止条例違反になるケースが多くなります。しかし下着の上からでも、触った場所が女性の性器である、手や指の動きがとてもいやらしいものだった場合などは、強制わいせつ罪で起訴されることもあるわけです。

迷惑防止条例は地域によって刑罰が違う?

迷惑防止条例は、全国の地方自治体が独自に制定する法律ですので、地域によってその正式名称や刑罰には違いがあります。名称に関しては「公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例」というようなモノが多いのですが、ただ単純に「迷惑行為防止条例」といったシンプルな自治体もあります。

正式名称が違っても、実際に条例が適用される事件の内容にはそれほど違いはありません。しかし刑罰や適用範囲の違いは問題になることもあります。たとえば最近まで岡山県の迷惑防止条例は、被害者を“婦女子”と明記していた為、男性の被害者は条例の適用外でした(2016年現在は改正されて被害者に性別は関係ない)。また処罰も地域差があり、罰金5万円程度の地域もあったかと思えば、都市部では常習犯に対する罰金が最高100万円といった場合もあります。

近年そうした“地域格差”は是正される傾向にあり、ほとんどの地域で迷惑防止条例の処罰は

  • ・初犯で50万円以下の罰金
  • ・累犯で6ヶ月以下の懲役、又は100万円以下の罰金

で統一されつつあります。とはいえ、電車やバスといった公共交通機関における痴漢事件が大きな社会問題にならない地域の場合、条例は古いままということもあります。興味がある方は、自分の住んでいる地域の迷惑防止条例の条文を確認してみるとよいでしょう。

親告罪ではない迷惑防止条例

一度捕まれば最後まで刑事手続きは終わらない

罰金刑がメインで、強制わいせつ罪より軽いとされている迷惑防止条例違反ですが、実は考えようによっては、強制わいせつ罪より“厳しい点”があります。それは迷惑防止条例は親告罪ではないということです。
親告罪の場合、雇った弁護士が腕利きで、上手く示談をまとめて被害者に告訴を取り下げてもらえれば、事件そのものが消滅してしまいます。

それに対して迷惑防止条例の場合は、一旦警察などの捜査機関に事件が認知されてしまった以上、被害者が被害届を取り下げても刑事手続きは止まりません。なんらかの刑事処分が決定するまで事件は終わらないわけです。
もっとも親告罪ではないからといって、示談交渉の努力をしても無駄というわけではありません。

示談交渉が上手くいけば、不起訴処分で無罪放免になるかもしれません。また、最悪起訴されて有罪判決を食らったとしても、罰金額を低く抑えることが出来るでしょう。

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