留置場(留置所)における生活のルールやスケジュール~警察署ごとに差がある~
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留置場(留置所)生活のルールとは?
留置場(留置所)とは各都道府県の警察に設置されている、警察が逮捕した被疑者を留置する施設のことで、管轄は警察となり、警察が逮捕し勾留が決定された被疑者の98%以上が留置場に送られると言われています。
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警察が被疑者を留置することに必要な要件は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に限られるはずなのですが、ほとんどの場合は警察がその可能性があると判断していることになります。
いくら罪を犯したといっても、いったん逮捕されてしまったら、警察の捜査から逃げおおせるとか、家族やそれまでの社会生活をかなぐり捨てて逃亡する人は、ほとんどいないと考えられるのですが、警察はそう考えないようです。
その結果、警察に逮捕された被疑者は、逮捕の期限である3日間に加え、裁判所が勾留を認めれば最長20日間、合計23日間は留置場で身柄の拘束を受けて、警察や検察の取調べを受け続けることになります。
ここでは、留置場での生活に関するルールについて紹介していきます。
留置場(留置所)は全国一律ではない
全国各地の警察署に設置されている留置場は、警察署の建物がそれぞれ違うように、同じ規格で建てられているわけではありません。そのため、収容している被疑者や被告人を常に監視しなければならない留置場は、その間取りが警察署によって特徴的になり全国一律ではありません。
最近は留置場での生活をインターネットのブログで公表したり、著書に記したりする人が増えていますが、留置場内の構造を事細かく紹介するだけで、それがどこの警察署にある留置場なのか、関係者や過去に収容された経験を持つ人には分かってしまいます。
加えて、留置場内での生活のルール、例えば起床時間や面会時間などの時間割、食事の内容、貸し出される官本の冊数や貸し出し方法などは、警察署ごとに微妙に違っており、そこからどこの留置場かが知られてしまうこともあります。
居室の広さや配置には基準がある
一方で、1980(昭和55)年に留置施設における処遇改善が行われ、以降に新設された警察署の留置場は、居室と呼ばれる収容者が入る部屋の広さや配置に、一定の基準が設けられています。
居室は基本的に雑居と言われる共同室で、6名ほどの定員となり、雑居の場合は1名あたり2.5平方メートル、個室の場合は4平方メートルが基準とされています。
そして配置については、1980年以前に建てられた留置場は、居室が扇形に配置されているのが普通で、扇の要の位置に看守台があり、それを半円で取り囲むように5~7つほどの居室が配置されていました。
しかし常に監視されているという圧迫感があり、また向かい側の居室の中が丸見えになることから、1980年以降に新設される留置場については、ホテルの部屋のように櫛形の配置が基本となる代わりに、各居室に監視カメラが取り付けられることになっています。
留置場(留置所)生活~日課のルール~
留置場に収容された被疑者は、身柄の拘束を受ける居室に連れて行かれる前に、留置場内の規則が書かれた紙を見せられます。
口頭で伝えられたり、1カ所しかない留置場の出入り口に張り出されていたり、伝達方法はそれぞれですが、そこで知ることになるのは、起床から就寝までの、留置場における規則正しい生活のタイムスケジュールです。
留置場が定めているスケジュール優先
留置場での生活スケジュールの一例を挙げると、起床時間は朝7:00、朝食が8:00、昼食が12:00、運動が13:00から、夕食は18:00、就寝が21:00といった形です。
留置場で身柄を拘束されている収容者は、この合間に警察や検察の取調べを受けることになりますが、あくまでもこの留置場のスケジュールが優先され、原則として食事中に取調べに呼ばれることはありません。
また取調べが長引き、昼食の時間にかかってしまいそうになると、収容者の生活を管理する、通称担当さんと呼ばれる留置担当官が、取調べを行っている捜査官に早く終わらせるように促すことがあります。
これは捜査と留置の分離といって、捜査する側が留置生活の管理まですると、捜査ばかりを優先して収容者の人権や健康問題に関わるようになるため、違う部署がそれぞれバランスを取って留置業務にあたるという形になっているためです。
留置場により、微妙に違うスケジュール
留置場で身柄拘束の生活を体験した人の書籍やブログには、留置場の1日を紹介するようなタイトルで、自分の体験した留置場でのタイムスケジュールを紹介しているものがありますが、その時間割は微妙に違います。
まず、起床時間は6:30、または7:00の場所があります。これは地域差とも呼べるものですが、この程度の時間差はたいして問題はないでしょう。
その他にも、留置場ごとに食事や運動、就寝の時間が30分から1時間程度の差がありますが、気を付けたいのは面会時間です。法律の業界用語では接見と呼ばれますが、接見の開始時間や終了時間は警察署ごとに30分くらいの違いがあります。
面会時間は日本全国どこの警察署においても時間厳守で、融通はまったく効かないので、万が一、家族や友人・知人が留置場に収容されるような事態になった時、インターネットの情報だけを頼りに接見に行っても時間外では取り付く島もないので、事前に警察署に連絡して確認することをお勧めします。
また入浴に関しても留置場によって差があり、夏期は風呂に入れるのは全国的に週に3回程度、冬期は1回のようですが、入浴の手順や制限時間は留置場ごとに細かい点で違いがあるようです。
留置場は冷暖房完備なのでたいして汗もかかないのですが、きれい好きな人や神経質な人にとっては毎日入浴できないのはかなり辛いので、差し入れに行く方は、着替えなどを優先して持って行った方が良いでしょう。
留置場(留置所)生活~食事のルール~
現在では、留置場での規則正しい生活と質素な食事で、収容者が健康になってしまった、という笑い話をよく聞きます。その昔、留置場において違法な取調べや非人道的な扱いが行われ、辛い生活から逃れたいがために冤罪の温床になるなど、社会問題となり世間を騒がせました。
そのため1980年に捜査と留置の分離を始め、さまざまな処遇改善の取り組みが行われていますが、その一環として、提供される食事については、資格のある栄養士が定期的に栄養のバランスをチェックすることになっています。
時間割を除き、規定は割と緩いもの
留置場に収容される際、食事をする時間に関しては明確に指示を受けますが、食事の内容に関しては特に説明を受けることはありません。
しかしまだ刑が確定していない推定無罪の段階、いわゆる未決拘禁者を、警察が自分たちの見込みで身柄を拘束しているため、しっかりとした食事が提供されます。但し、法務省が管轄する刑務所や拘置所とは違い、留置場のほとんどは食事を警察署内で調理しているわけではなく、外部の業者に委託していて、低予算であることは確かです。
メニューは例えば、朝食にご飯、納豆、厚焼卵、がんもどき、佃煮、みそ汁、おしんこ、昼食にご飯、コロッケ、カレー、野菜炒め、サラダ、おしんこ、夕食にはご飯、焼き魚、焼売、野菜炒め、オムレツ、うぐいす豆、おしんこ、といった感じです。
コンビニエンスストアののり弁当より質素なおかずで、量も少なく、冷めていることがあるのが不満だとよく言われますが、留置場内ではさして身体を動かすこともないので、十分なのかもしれません。もし食事に満足できないならば、自弁といって自分で費用を負担して外部の食事やお菓子を注文することもできますので、利用することをお勧めします。
この留置場の食事は、タイムスケジュール以上に地域差があり、書籍やブログで紹介されている数々の留置場体験記を読むと、朝食がパン食の所もあるようです。
留置場の食事目当ての犯罪
刑事ドラマや再現ドラマなどで、年越し時期に寒さと空腹に耐え切れなくなったホームレスが、布団と三度の食事を目当てに軽犯罪でわざと捕まり、留置場へ入るというエピソードが紹介されます。
留置場に収容されている人は、刑が確定していない未決拘禁者ですので、拘置所や刑務所といった厳しい生活環境でもありませんので、現実的にはわざと罪を犯し、留置場に行きたがる人は実在するようです。
留置場(留置所)生活~時間をどのように過ごす?~
留置場内でのその他の生活環境ですが、布団は専用の布団部屋があり毎朝毎夕出し入れして使います。そのため、日中の居室内は見事に何もない空間が広がっているだけです。
逮捕された直後は警察の捜査官から取調べを受けたり、検察や裁判所に呼ばれたり、居室にいることも少ないのですが、それでも留置場内にいる時は何もすることがありません。
書籍の差し入れは喜ばれる
留置所内で唯一ある娯楽は読書となり、家族や友人・知人から差し入れられた書籍を読んだり、官本と呼ばれる本を借りて読んだりすることもできます。官本の多くは、過去に収容されていた被疑者や被告人が留置場を出るときに置いていった本が多く、漫画と小説が中心のようです。
もちろん差し入れられる書籍には検閲が入り、基本的には犯罪の本や脱走に関する方法が書いてあるものは禁止され、書き込みがあるものや風紀を乱す本も不可となりますが、一般的に書店で販売されているようなものは可能とされています。
これも留置場によってルールの違いがありますので、差し入れる際には事前に確認しておきましょう。官本の貸し出しシステムも留置場ごとに違いがあり、1度に借りることができる本が3冊の所もあれば、5冊までの所もあります。
弁護士に尋ねて情報収集を
以上のように、警察が管轄する刑事施設の留置場は、法務省の管轄する拘置所や刑務所に比べ、意外と地域によってルールが異なる上、制限が緩いのが特徴だと言えるでしょう。
差し入れをする際には事前に警察署に問い合わせるのもひとつの手ですが、地域の留置場の実情を知っている弁護士に相談し、本当に必要なものは何かを確認してからが良いと考えられます。
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