保釈金は保釈に必要な保証金~一般的に保釈金と呼ばれるお金は戻るの?~
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保釈には保釈金を納付することが必要です。金額は事件の内容や被告人の資産状況などで決められます。またこのお金は保釈の保証金に該当するもので、裁判が終われば全額が返還されますが、保釈条件を破れば全額もしくは一部が没収されますので注意しましょう。
保釈には、条件を守ることと「保釈金」納付が必要!
保釈申請を行うと、裁判官が事件に関する資料を審査したうえで、保釈を許可するかどうかを判断します。
そして保釈の許可が出たとしても、即座に被告人の勾留が解かれるわけではありません。
一般的に、保釈には以下に示すような条件が添えられます。
- 公判には必ず出廷すること
- 裁判所に無断で住所変更や、長期の旅行をしないこと
- 弁護人や弁護側の証人以外の事件の関係者と接触しないこと
事件によってこれらの条件は変わることもありますが、以上の条件を破った場合には、保釈は取り消されます。加えて、裁判所が提示した以上のような諸条件に同意した上で、「保釈金」を裁判所に納めることで、被告人はようやく保釈されるのです。
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保釈が許されるケースは?
ここで、保釈が許されるのはどういうケースなのか、振り返っておきましょう。
刑事訴訟法に、保釈が許される際の条件が定められています。
刑事訴訟法
第八十九条 保釈の請求があったときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 | 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。 |
二 | 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。 |
三 | 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。 |
四 | 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 |
五 | 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。 |
六 | 被告人の氏名又は住居が分からないとき。 |
要するに、事件が比較的軽いものであり、過去に犯罪を繰り返していることがなく、逃亡や証拠隠滅の可能性がなく、被害者や目撃者に接触しない、などの条件を守ることで、保釈は許されるのです。
そして、保釈には「保釈金」(保証金)を納める必要もあります。
保釈金は、罪を許してもらうお金ではない
有名人や芸能人が罪を犯してしまった時のニュースで、「〇〇容疑者が数千万円の保釈金を払って保釈された」というものを見聞きすることがありますが、これは決して罪を許してもらって、日常生活に戻るという意味ではありません。
被告人はその後きっちりと裁判を受け、判決が下され、執行猶予付きの刑罰を受けたり、実際に懲役刑を受けたりするのです。
懲役の期間を過ぎて、あるいは無実が明らかになって日常生活に戻ることを釈放と言いますが、これと保釈や保釈金とは関係ありません。
そのため、お金があるから有名人や芸能人は罪を犯してもすぐに釈放される、というイメージは間違っています。
「保釈金」とは、条件を守るための「保証金」
「保釈金」の正式な呼び方は「保証金」です。保釈を許してもらうために納付する「保証金」であるため、一般的には「保釈金」と呼ばれているものです。
保釈が認められ、保釈のための条件に同意しても、この「保釈金」を納付しなければ保釈は行われません。
後述するように、「保釈金」は被告人にとってかなり重荷になる金額となります。
一般人の場合は本人だけで用意できるケースは少なく、家族や友人・知人がなんとかかき集めて納めるケースが多いとされます。しかし、このお金は裁判が終わるまで、保釈期間に被告人が条件を破らないようにするための「保証金」であるため、裁判が終われば全額返金されるものです。
「保証金」の納付がない限り、保釈は許されない
「保釈金」と呼ばれる保釈の「保証金」については、刑事訴訟法に次のように定められています。
刑事訴訟法
第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があった後でなければ、これを執行することができない。
2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
「保釈金」は支払うお金ではなく、あくまでも保証のために預けるお金です。つまり、「万が一、私が逃亡したりして裁判が開けなくなったら、このお金を没収してもらっても構いません」という条件で、裁判が終了するまで裁判所に預けるのが保釈金です。そのため、裁判が問題なく終われば、保釈金は全額返還されます。
家族や友人・知人でお金を融通するケースが多い
「保釈金」の納付は、上記刑事訴訟法にも定められているように、保釈請求者(被告人)でない者にも納めることが許されています。
一般人の場合には勾留されている被告人が支払うことは難しいため、家族や友人・知人でなんとかお金をかき集めて納付するケースが多いと考えられます。
「保釈金」は裁判が終われば全額返還されるものですから、被告人が条件を守りさえすれば、きっちりと協力してくれた人に返すことができるものです。しかしながら、何が起こるかは分かりません。
条件を破った場合は全額または一部が没収されるものですから、慎重に対応すべきものだと思われます。
被告人の支援も含め、刑事事件手続きに詳しい弁護士に相談し、対応を考えることが望ましいと考えられます。
「保釈金」の金額は資産状況で変わる
「保釈金」の金額は、裁判所の裁判官が事件ごとに決定します。
返還されなくてもよいと被告人が逃亡してしまっては制度が立ち行かなくなりますので、「保釈金」の金額は被告人の資産や年収、事件の内容によって変わってきます。
資産状況や事件の内容で決定される金額
一般的に「保釈金」と呼ばれる、保釈にあたっての「保証金」については、刑事訴訟法に次のように定められています。
刑事訴訟法
第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。
以上のように定められてはいますが、被告人の資産を詳しく調査して決められるわけではなく、裁判所が大まかな相場を基準として決めているのが実情のようです。
「保釈金」の相場は、普通のサラリーマンの場合は150万~300万円の間とされ、200万円程度が多いと言われています。しかし同じサラリーマンでも、部長クラス以上になると500万円くらいになることもあり、経営者の場合だと会社の規模によって相当の金額が求められます。そのため、大企業の場合には億単位の保釈金が求められることもあるのです。
要するに、被告人にとって、没収されてしまうと非常に厳しい金額が提示されるものと言えます。
「保釈金」の値引き交渉は可能!?
裁判所から提示された「保釈金」は、被告人や家族、友人・知人ではどうしようもありませんが、弁護士を通して値引き交渉は可能とされています。
条件を守って裁判が終われば、いずれは返還されるお金とはいえ、「保釈金」は現金で一括納付が条件とされていますので、提示された大金をすぐに払える人はそうそういないと考えられます。
しかしながら、提示された金額をすぐに全額を支払うことはできないけれども、あと少しのところまでならば用意できている、といった場合、弁護士に相談して裁判所に「保釈金」の減額を申し入れることは可能です。
実際に減額されるかどうかは弁護士の腕次第とも言えますが、信頼のおける弁護士に交渉を依頼してみるとよいでしょう。
「保釈金」の調達方法がある
保釈が許されても、「保釈金」が納付されないうちは被告人の身柄は拘置所や留置場といった刑事施設に拘束されたままです。
保釈金を準備していたり、弁護士に依頼して減額交渉をしたりしている間は勾留が継続する上、結果的に減額を裁判所が認めないケースもあり得ます。
せっかく保釈の許可が下りたのであれば、値引きの交渉に時間を割くよりも、請求された金額を工面することを考えた方がよいケースもあります。
「保釈金」の支払いを立て替えてくれる機関がある
「保釈金」については、被告人本人の預貯金や家族あるいは友人・知人から借りて調達するのが一番だとは思いますが、すぐには用意できない場合は、保釈金を立て替えてくれる機関を利用するのも一手です。
最も有名なのは一般社団法人日本保釈支援協会で、同協会は“被疑者及び刑事被告人の基本的人権擁護のため、これに必要な事業を行うこと”を目的として設立された法人です。
もちろん手数料が必要となりますが、弁護士と相談のうえ、同機関の利用を考えてみてはいかがでしょうか。
悪徳業者には注意!
世の中には、保釈金支払い代行業とか保釈金融資などと呼ばれている業者や組織があります。しかしまっとうな貸金業ではない業者も多く、保釈金代行業を名乗る詐欺師も実在するようです。
業者を利用する際には、弁護士と十分に話し合い、相手の素性をよく確かめてからにしましょう。
「保釈金」は戻ります。保釈のメリットの活用を!
これまで説明した通り、「保釈金」は条件さえ守っていれば、全額が返還されるものです。刑事事件の被告人にとって、保釈には多くのメリットがありますので、何とか「保釈金」を準備して臨みたいところです。
保釈されて得られるメリットは?
執行猶予がつくような事件であれば、保釈中に元の職場に復帰し、判決後も継続して働ける可能性が出てきます。経済的な破たんに陥ることも少なくなり、刑罰によって社会的信用を失うことも最低限に留められるでしょう。
また保釈中には、来る裁判のために弁護士と打ち合わせをする時間が十分に取れます。
勾留されていても弁護士とは接見可能ですが、時間的な制約はやはり存在するため、保釈を受けて準備を進めることが重要なのです。刑事事件の被告人となってしまった場合には、保釈の申請を行ったうえで保釈金を納付し、弁護士と裁判に向けた十分な準備を行いましょう。
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