逮捕されたら、すぐに弁護士を呼ぼう!~逮捕時の弁護士の呼び方と注意ポイント
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逮捕された場合にはまずは弁護士を呼ぶことが最優先
もしも、刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら場合、最初にすべきことは「弁護士を呼ぶこと」です。
刑事事件で被疑者として逮捕するのは、ほとんどの場合は警察になります(まれに検察の検事など、警察以外で逮捕権を持っている公務員が来る場合もあります)。当然ですが、一般の方で、刑事訴訟法などの刑事事件についての法律に詳しい人というのはほとんどいません。
逮捕する警察側も、そうした一般の方が逮捕された場合に、法的知識が不足していることから、逮捕の過程で法的には認められていない、行き過ぎた取調べなどを行ってしまう警察官もいるようです。
しかし、この違法な取調べで、自身に不利な供述などをしてしまった場合には、今後その供述が重大なものになってしまう可能性もあります。逮捕されたからといって必ず有罪となるわけではありませんので、法的知識の不足からデメリットを受けることを防止するためにも、逮捕されて身柄を拘束された場合には、すぐに弁護士に連絡するようにしましょう。
刑事事件での弁護士の呼び方
当番弁護士に相談する
「弁護士を呼べ!」などという発言は、刑事ドラマなどで逮捕された被疑者の決まり文句ですが、実際に自身の身柄が拘束された状況で、弁護士を呼ぶ方法を知っている人はそうそう多くありません。
いざ逮捕されたときに弁護士を呼ぼうと考えたとしても、刑事事件に強い知り合いの弁護士がいるという人はかなり少数でしょうし、ましてや特定の弁護士とすでに顧問契約を結んでいる人など滅多にいないでしょう。
こうした事情から昔は、弁護士は呼びたくても一般の旗にはなかなか呼べない存在だったのですが、1990年代から「当番弁護士制度」という制度が使えるようになりました。
この制度は弁護士など呼べない大部分の人を救済するため、日本全国の弁護士会が提供しているサービスで、逮捕・勾留されている被疑者が、1回だけ無料で弁護士と接見(面会)して、法的なアドバイスを受けられるモノです。
2016年に刑事訴訟法が改正され、「被疑者国選弁護人制度」が全刑事事件に拡大されることが決定しましたが、国選弁護人を指名できるのは「勾留決定後」ですので、逮捕されて身柄を拘束された時点で、すぐに使える当番弁護士は、今後も有効な選択肢となります。
国選弁護人に依頼する
先程説明した通り、当番弁護士が無料で相談に乗ってくれるのは、最初の1回だけです。刑事事件で逮捕された後、当番弁護士に相談を行い、その弁護士との相性が良いと感じて、そのまま依頼をしたいと場合には、私選弁護人として依頼をすることになります。当然ですが、私選弁護士として依頼をしたときには通常の料金がかかることになります。
しかし、逮捕された方全員が弁護士費用を支払う余裕があるとは限りません。そこで有効な選択肢の1つになるのが、国選弁護人です。国選弁護人の場合には、初回の相談のみではなく弁護費用も原則的に国が出してくれることになるため、弁護費用を自分で用意する必要がありません。
ただし国選弁護人を頼むためには一定の条件を満たしている必要があり、銀行預金などの資産の合計が50万円以下でなければなりません。このような条件を満たすことができる場合には、自分で弁護士を探すことなく、身柄を拘束されたままの状態で弁護士に依頼をすることが可能となります。
2018年6月1日までは、国選弁護人は選任できる条件として、刑罰が3年以上となる懲役・禁錮の犯罪で勾留されている場合というものがありましたが、2018年6月1日移行は国選弁護人制度を利用することができる刑事事件が全事件に拡大されたことで、さらに利用しやすい制度となりました。ただし、国選弁護人は自分で指名することはできませんので、その点では注意が必要です。
インターネットで刑事事件に強い弁護士を探す
刑事事件で逮捕されて、弁護士を探したい場合には、当番弁護士や国選弁護人に依頼するのではなく、自分自身で弁護士を探すこともできます。
自分で弁護士を探した場合のメリットとしては、刑事事件に強い弁護士を選ぶことができるというものがあります。勾留中などは自分でインターネットを自由に使用して弁護士を探すことは難しいですので、家族などに刑事事件に強い弁護士を探してもらうことができます。
当番弁護士や国選弁護人の場合には、弁護士を指名することができませんので、刑事事件が得意な弁護士が来るとは限りません。そのため、インターネットで刑事事件を主な取扱分野として表示している弁護士に依頼することが重要です。
逮捕時の弁護士の呼び方の注意点
刑事事件で逮捕された場合には、弁護士と会うまで、余計なことは話さないことが重要になります。当番弁護士や国選弁護士に依頼したい場合には、逮捕された時点で手錠をかけた刑事や、留置場の警察官など誰でも構わないのですが、「当番弁護士を呼んでください」などと言うだけで呼ぶことができます。
そうすれば、だいたい24時間以内に所轄地域の当番弁護士が接見に来てくれるでしょう。そして、「弁護士と話をするまで、何も話をしません。」と警察の捜査官に宣言しましょう。つまり弁護士と接見してアドバイスを受けるまで、一切の取調べを拒否するようにしましょう。
刑事事件で逮捕されたからといって、被疑者の取調べへの協力は義務ではありません。さらに言えば「黙秘権」は憲法でも保障されている被疑者の権利ですので、取調べにおける供述の拒否は何の問題もないのです。ただ警察にしてみれば、逮捕状を執行して身柄を拘束してしまった以上、“48時間以内に、検察へ事件を送致しなければならない”というタイムリミットが定められています。
そのため、被疑者が供述を拒否するという態度を示すと、担当捜査官がとても嫌な顔をしますが、相手は捜査のプロですし、法律についての一定の知識もあります。法律の素人である被疑者が、弁護士のアドバイスもなしに取調べを受けると、言葉の端を取って言いくるめられてしまうおそれがあります。
現行犯や、物証が山ほどあって言い訳のしようのない事件の場合であったとしても、警察の捜査官がどんな嫌な顔をしたとしても、弁護士と会ってアドバイスを受けないうちは、取調べでの供述を極力避けましょう。刑事事件に強い弁護士に相談することで、取調べへの対応など、今後の対応について適切なアドバイスをもらうことができます。
刑事事件で逮捕されたら弁護士をすぐに呼ぶことが重要
刑事事件の弁護費用は一般人にとって決して安い金額ではありません。
個別のケースごとに、一般的な弁護費用は当番弁護士に聞くことで目安を教えてもらうこともできますが、今まで刑事事件や弁護士に無縁だった一般の方が聞くと少し驚くような高額な金額になる場合もあります。それでも、刑事事件に巻き込まれて、被疑者となり逮捕・勾留されている場合には、ここでの対応が刑事事件をどのように解決することができるのかを左右します。
そして、刑事事件をどのように解決したかによって、前科がつくかどうか、どれくらいの期間身柄拘束されるか、などその後の社会生活にとても大きな影響を与えることになります。そのため、弁護士費用が高いか安いかという金銭面を気にするよりも、刑事事件を得意としている、刑事事件の経験が豊富な弁護士を探すことを優先しましょう。
刑事事件で逮捕されたものの、どうしても弁護士費用を用意することが難しい場合、被疑者が選ぶ選択肢として、国選弁護人は適切な選択肢になります。しかし、国選弁護人というのは、国が弁護人を選ぶ制度であり、自分自身で弁護士を指名することはできません。国選弁護士にあまり意欲がない、国選弁護人で選任された弁護士と合わない、などというような場合であっても、弁護士を変更することはできません。
もちろんやる気も実力もある弁護士にあたることもありますが、まだあまり仕事のない若手弁護士、刑事事件の経験が少ない弁護士、あまりやる気のない弁護士、などに当たる可能性もありますので、弁護士費用を用意することができる場合には、国選弁護人を頼むことはおすすめしません。
刑事事件では、どんな弁護士に弁護を依頼するかによって結果も変わりますので、弁護士の選択が今後の人生を大きく左右する選択になります。そのため、刑事事件を主に取り扱っている弁護士をインターネットなどで探して、弁護を依頼することが重要になります。
刑事事件で逮捕されたときには、刑事事件に強い弁護士にすぐ連絡をとることをおすすめします。
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