取調べでの心得(4)検事の取調べが一番大事!

取調べ

刑事事件の取調べは数段階に分かれる

刑事事件の被疑者として逮捕された場合、逮捕期間中、そして勾留期間中にも捜査機関から数々の取調べを受けることになります。

捜査機関とは警察と検察ですが、取調べを行う際に、「これから警察が取調べを…」とか、「検察の取調べはあと○回」といったことを教えてくれるとは限らず、連日の取調べで誰に何を聞かれているのかも分からなくなってきます。

そして取調べで聞かれる内容は、同じことが何度も繰り返されるため、投げやりに答えてしまうことも考えられます。気を抜いて答えても良い取調べはありませんが、いつ、誰に聞かれる取調べが重要なのか、ということだけは知っておいた方が良いのは当然です。

本項では、数々の取調べの種類や、作成される調書に関して説明していきます。

最初の取調べは警察が行う

ほとんどの刑事事件においては、事件を認知した警察が被疑者を特定した後に逮捕状を取って逮捕を行い、逮捕後48時間以内に事件を検察に送検するという手順を踏みます。被疑者は逮捕された後、普通ならば事件が発生した最寄りの警察署に連行され、写真撮影や指紋採取などの手続きを受けた後、警察において最初の取調べを受けます。

最初の取調べは、警察が考える事件の内容について聞き、被疑者が答える形で進みますが、ここで同時に被疑者の経歴も聞かれます。ここで大切なのは、自身が考える事実以外は認めてはいけないということです。

警察は逮捕状を請求する際、被疑者が犯人だという確信のもとでシナリオを作成し、絶対的な自信を持って逮捕を行います。しかし実際に被疑者が事件を起こしていたとしても、細部にわたって正確であるということはなく、当然ながら事実とは違うことが含まれている可能性があるのです。

警察の言い分を全面的に認めても構いませんが、違うところは違うと主張し、弁護士と話をするまでは供述しないといった態度も大切になってきます。なぜなら、逮捕直後の供述で作成される調書は、後の裁判でも非常に重要な証拠になってしまうからで、有罪か無罪、あるいは量刑の軽重にも大いに関係してくるからです。

送検後の取調べは、原則は検事が行う

逮捕された刑事事件の被疑者は、警察での逮捕期限である48時間が過ぎる前に、検察へと身柄が送られます。これは送検と呼ばれる手続きで、原則としては留置場から拘置所へと移されなければならないのですが、現状は留置場のままで身柄が拘束されてしまうのが一般的です。

そして、検察の逮捕期限はわずか24時間となり、警察と合わせた逮捕の有効期限は合計72時間で、検察に身柄を移された被疑者は、検事調べと呼ばれる、検察の検事による取調べを受けます。警察の管轄である留置場から検察庁に呼び出され、ほとんどの場合は初めて顔を合わせる検事に、警察での取調べで聞かれたことと同じような質問を受けます。

軽微な事件で、かつ被疑者が全面的に捜査当局の言い分を認めて略式手続きなどの処分にならない以外は、原則として検察はこの取調べで被疑者を起訴するかどうかを決断しなければなりません。

しかし、たいていの場合は、「この取調べだけでは判断がつかない。もっと調べたい」ということになり、検察は裁判所に対して勾留請求を行い、そしてほとんどの場合には認められてしまい、10日間の勾留が決定されてしまいます。

送検後の取調べについては、「また同じ質問か?」と感じる人がほとんどだと思われますが、警察での取調べと同様に、認める部分は認める、事実と違う場合には絶対に認めないという態度でいることが大切です。

勾留期間中の取調べは、やはり警察?

筋論から言えば、送検された後の事件捜査は検察が担当するべきなのですが、実際の現場では事件が送検され指揮権が検察に移った後でも、取調べの多くは警察によって行われています。

これは単にマンパワーの問題で、警察に比べて検察は圧倒的に職員が少ないため、検察は警察に取調べを含む証拠集めを依頼している形なのです。ただし、警察と検察は監督官庁が違い、警察は国家公安委員会の下に属する組織で、検察庁は法務省が所轄する役所です。

刑事手続きに限らず、所轄の違う官公署をまたいで行われる手続きは手間がかかるもので、刑事事件の取調べにおいては、「警察の捜査官と検察の検事に、同じことを聞かれて、その度に調書を作る」ということが起こります。

刑事ドラマや映画で描かれる刑事手続きは、あまりにリアルに再現するとストーリーが煩雑になってしまうためか、取調べといえば、主人公が刑事なら警察だけ、検事であれば検事だけが取調べしているように描かれていますが、実際には被疑者は双方から取調べを受けるのは、前述した通りです。

勾留中の取調べについては、10日間という長い期間があり、勾留延長が認められてしまえばさらに10日間の期間がありますので、じっくりと捜査機関の担当者は事件について聞いてきます。しかし長い期間があるということは、逮捕直後の、ある意味精神的にも混乱している期間が過ぎ、ゆっくりと弁護士と相談する時間もあるということです。

起訴されてしまうことを避けるのか、あるいは裁判に向けた準備を行うのか、弁護士のアドバイスにしっかりと耳を傾け、最善の受け答えができるようにすることをお勧めします。

勾留中の取調べと作成される調書

逮捕期間中も勾留中も、一般的な事件の場合は警察による取調べが中心となり、検察による検事調べは送検後すぐに加え、勾留中に2回程度検察庁に呼ばれて取調べを受けることが基本的なパターンです。しかし取調べ自体は警察がほとんど行うのですが、検事調べは起訴されるか不起訴で済むかを決定付ける、重要なものということは理解しておかなければなりません。

一般的に、検事調べは3回とされ、送検直後の「初件」、勾留期間の中ほどの「中調べ」、勾留期間満期近くの「最終調べ」と呼ばれるものとなります。

初件」とは、警察から送検されてきた被疑者を初めて担当検事が取調べを行うもので、聞くことは警察での最初の取調べの内容とほぼ同じになり、この時点で犯人であるという疑いが晴れれば即釈放されますが、ほぼないと考えて良いでしょう。

通常、「初件」の取調べを受けた後、比較的軽い罪であれば略式手続きになるか、引き続き捜査を続けるために勾留請求の手続きが取られることになります。勾留が決定されてしまった場合、連日警察の取調室で担当捜査官からの取調べを受けますが、合計20日間の勾留期間の中ほどで検事に呼び出されることが一般的な刑事手続きの流れとされます。

この際の取調べは「中調べ」と呼ばれ、基本的には警察が作成した調書を読み込んだ検事が、直接被疑者に聞いてみたいことがあった場合に呼ぶのですが、被疑者の状況によっては勾留期間中、何度も検察に呼ばれることもあります。

勾留期間の満期近くになると、必ず検事に呼ばれて「最終調べ」を受けます。これは文字通りこれまで調べてきた事件の最終的なまとめと、被疑者の主張を聞くわけですが、この取調べの段階で検事は起訴するか、不起訴にするかを決定します。

起訴の場合だと取調べの最後に、「あなたを起訴します」と宣言する検事も少なくないようです。逆に不起訴の場合は、検事が結果について何も言わないケースが多いようですが、勾留満期日にいきなり起訴状が留置場に送りつけられてくることもあると言われています。

取調べに関する調書

たとえ被疑者が黙秘権を行使して何も喋らなくても、取調べごとに「供述調書」という書類が作成され、一般的には単に「調書」と呼ばれます。「供述調書」には、警察の担当捜査官が作成する「員面調書(司法警察員面前調書)」と、検察の担当検事が作成する「検面調書(検事面前調書)」の2つがあります。

勾留中の被疑者が連日取調べを受け、事件に関して細部に渡ってしっかり記載されるのが「員面調書」ですが、実はこの調書は正式な裁判の法廷で証拠採用されることはあまりなく、法廷に証拠として提出される「供述調書」は、検察が作成する「検面調書」になるのが一般的です。

検察の担当検事は「員面調書」を読み込み、それを元に被疑者を呼び出して要点を質問した上で「検面調書」を作成しますので、当然ながら内容的に重複している部分が多くなるため、裁判において検察側が提出する調書は「検面調書」だけ、ということになるわけです。

検事調べがより重要な証拠となる

「員面調書」より「検面調書」の方が裁判で証拠になるために重要なのはもちろんですが、被疑者を起訴する権限を持っているのは検事だけという事実も忘れてはいけません。

日本では民事裁判は誰でも提訴できますが、刑事事件において裁判を提訴する公訴権を持っているのは検察の検事だけとなり、被疑者を逮捕した警察が、いくらその人が犯人だと主張しても、検事が不起訴にすれば刑事手続きはそこで終わってしまうのです。

刑事訴訟法でも、刑事事件の被疑者を起訴するか不起訴にするかの判断は担当検事個人に委ねられると規定されており、もちろん実際の現場では上司の決済が必要で、担当検事個人が自分の主張だけで、起訴、あるいは不起訴の決定を行うことは稀ですが、検事個人に大きな権限が与えられていることに変わりはありません。

そのため、取調べを受ける場合に最も気を抜けないのは検察による検事調べであり、その際に作成される「検面調書」は非常に重要な意味を持つと言えます。

取調べの心得は弁護士に聞こう

以上のように、検事調べがより重要であることを説明してきましたが、警察による取調べは軽視して良いというものではありません。そして、今誰に取調べされているのか、それがどういう意味を持つのかは、いきなり刑事事件の被疑者として逮捕された人にとって、理解することは難しいでしょう。

逮捕された後の手続きを、少しでも自身に有利に進めるには、法律の専門家であり、多くの経験を持つ弁護士の力が必要です。できれば逮捕直後に弁護士に連絡を取り、可能な限り早い段階で接見し、どのような振る舞いをすれば良いのか、アドバイスをもらうことが重要です。

もし家族や友人・知人が逮捕されてしまったら、いち早く弁護士の手配に動きましょう。

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