痴漢冤罪で相手女性への損害賠償請求は認められる?被害への補償は?

痴漢冤罪

痴漢冤罪の被害で損害賠償請求するには?

冤罪(えんざい)という言葉は多くの方が聞いたことがあると思いますが、冤罪とは「無実であるのに犯罪者として扱われてしまうこと」を意味する言葉です。

痴漢行為など一切していないのに、痴漢を行った犯罪者として扱われてしまった場合、自分を逮捕し、厳しく取り調べをして警察や検察に対しての怒り、そして、自分を犯罪者として扱われる状況に陥れた被害者女性への怒り、自分のことを痴漢と証言する証人に対しての怒りなどが出てくるでしょう。

それでは、この怒りを被害者女性への損害賠償請求をするなどして、法的に追及することは可能でしょうか?後ほど詳しく説明をしますが、結論を先に言うと、法的には可能ですが、請求を行い実際に慰謝料などを勝ち取るのは簡単なことではありません。被害者女性に対して損害賠償請求をしてうまくいくかどうかは、個々の事件によって異なりますので、まずは痴漢事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

痴漢冤罪が多い3つの理由

あらゆる事件・犯罪にで「冤罪」は起こる可能性があります。その中でも特に、痴漢事件で冤罪は特に起こりやすくなっています。ここでは、痴漢事件で冤罪が起こりやすい理由を3つ紹介します。

痴漢が性犯罪である

痴漢の被害者女性は、性犯罪の被害者であるということになります。「力の弱いと思われる女性が必死に声をあげて被害を訴えている」という点が、客観的な事案分析を妨げている面もあります。性犯罪の被害者が被害にあったことを声にあげること、弱者である女性が勇気を出すこと自体が評価されるという社会的背景が影響していると思われます。そのため、男性が加害者で、女性が被害者であるという構図が強くなってしまいます。

痴漢はほとんど現行犯で逮捕される

痴漢事件では、犯人が現行犯で逮捕される場合が多くなっています。実際に触っているところで、被害者女性がその手を掴んだようなケースであれば、冤罪が問題になる可能性は比較的低いですが、全ての痴漢事件でこのような分かりやすい現行犯逮捕が行われているというわけではありません。例えば、電車から降りるタイミングであったり、ホームで声をかけられて痴漢と言われたり、車内であっても被害者女性のことを触ってた手が離れてから手が伸びてきた方向にいた人を痴漢と決めつけたりするなど、痴漢行為があった時点から時間的・空間的に離れた状態での現行犯逮捕がされるケースも多くあります。

このように確実に犯人とは言えないような場合でも、最寄りの警察署まで連れて行かれて、被害者女性による現行犯逮捕がされたとして身体拘束されてしまいます。さらに、警察としても検挙をしたいという考えもあり、被害女性の主張を簡単に受け入れて、重要証拠として採用してしまう傾向もあります。被害者女性の証言一つで逮捕され、身柄拘束の状態まで簡単に運ばれてしまう以上、実際には痴漢行為をしていない男性であっても対処することはかなり難しいです。

痴漢を認めたり示談金を支払ったりして解決できる

痴漢の場合、罪を認めて罰金を支払ったり、被害者と示談を成立させて示談金を支払うことで、場合によってはかなりの短時間で身柄が解放されて、社会生活にあまり影響を与えずに済む可能性も高いです。このような解決方法もあることが、痴漢冤罪を生んでいる理由の1つでもあります。「本当は痴漢なんてやっていないけど、お金で解決するのならそれで終わらせよう」と考える男性は多く、結果として、冤罪が多くなる理由の一つとなります。

痴漢冤罪はあってはいけないことですが、リスクを避けるために自ら避ける努力も必要になってきます。例えば、電車の中では女性からできるだけ離れた場所を確保する、手をできるだけ上の状態にしておく、そもそも電車には乗らないなど、出来るだけの対処をしておく事も重要です。

被害者女性に痴漢冤罪で何が請求できるのか

痴漢行為をしていないにも関わらず、間違った被害を訴えた女性に対しては、どのような請求をすることができるのでしょうか?

虚偽告訴罪で刑事上の責任を追及する

女性が痴漢をされた際に、犯人を捕まえる行為は当然のことです、もしも犯人を間違えたことを罰すると、犯人を捕まえにくくなってしまいます。そのため、犯人を間違えただけであれば、刑事上の責任を追求することはできません。

しかし、痴漢の被害者と主張している女性が、示談金や慰謝料を得る目的で故意に痴漢をでっち上げていたような場合には、虚偽告訴罪(刑法172条)にあたる可能性があります。虚偽告訴罪が認められると、6ヶ月以上10年以下の懲役となります。

名誉毀損罪で刑事上の責任を追及する

被害者女性側が実際には冤罪だったにも関わらず、男性の評判を下げるために「〇〇さんに痴漢をされた」ということを周囲の知り合いなどに広めていたというような場合には、これは名誉棄損罪(刑法230条)に該当することになります。

特に、痴漢行為が冤罪であることがしっかりと証明されているのに、相手女性が男性の社会的名誉を傷つけていたような事実がある場合には、警察に被害届・告訴状を出すことで、相手女性に刑事罰が下る可能性があります。また、後ほど説明しますが、ここから損害賠償請求につなげることも可能です。

民事上の損害賠償請求

刑事裁判では直接お金を受け取ることができません。そのため、仕事を休むことになったことや、場合によっては仕事を辞めることになってしまったことの損失を補填するために、民事裁判で損害賠償請求をしたいと考える方もいると思います。それでは、痴漢冤罪で相手女性に対して損害賠償請求は可能なのでしょうか。

損害賠償請求の内容としては、相手女性の不法行為によって、男性側が財産的損害・精神的損害を被ったと主張することになります。もちろん、裁判を提起して請求することは可能ですが、痴漢冤罪に関して、不法行為に基づく損害賠償請求をして請求が認められるケースは少ないのが現状です。

感情的には「相手の女性が間違った主張をしたせいで、自分が冤罪になったんだから責任をとって欲しい」と感じるのは当たり前のことです。しかし、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためには、いくつかの法律的な条件をクリアする必要があります。実際に損害賠償請求が認められるまでに、障害になるのは主に下記の2点になります。

  • 男性に損害が発生することに対して女性の故意又は過失があったとは認定されにくい
  • そもそも冤罪のきっかけとなった女性の証言が「不法行為」とまで評価されにくい

どれだけ女性側が理不尽な主張をしていたとしても、その主張がいかに論理性を欠いているのか、容易に理不尽さに気付けたはずなのにそれに気付くことができなかったのか、そもそも痴漢行為自体がなかったことなのかなど、裁判ではこれら全ての主張立証責任が男性側に課されますので、現実的には非常に厳しい請求であると言えます。

女性がでっち上げを認めたり、女性側がでっちあげを頻繁に行っていて、今回もその一環でハメられたというような特殊な事情があったりしない限り、不法行為に基づく損害賠償請求が認められることは考えられにくいでしょう。ただし、民事上の問題であっても、女性が名誉棄損に該当するような行為をしていたというような事情がある場合であれば、あくまでもその名誉棄損行為を原因として発生した損害については、損害賠償請求が認められる可能性は比較的高くなります。

痴漢冤罪で国に損害賠償請求できるのか?

法律論としては、捜査にかなり問題があったことをピックアップして国家賠償訴訟を提起することも、理屈上は考えられます。しかし、このような請求が認められる可能性はほぼ無いといってもいいでしょう。

国家賠償請求は厳しいですが、冤罪が立証されて無罪判決に至った場合には、国から一定の補償を受けることができます。刑事補償金と言われるもので、身体拘束期間に対して、1日につき1,000円~12,500円の範囲で補償がされることになります。ただ、あくまでも起訴されて、無罪判決にまで至った場合に限られます。捜査段階で数日身体拘束をされたが、不起訴処分となって釈放されたような場合には、この刑事補償金を受け取ることはできません。

痴漢冤罪で損害賠償請求するなら弁護士に相談!

痴漢冤罪で無罪判決を勝ち取ったとしても、痴漢冤罪の被害にあってしまった男性は国から限られた補償を受けることができるだけで、それ以外はほとんど泣き寝入りに追い込まれてしまうことが多いという現状になっています。最近では、痴漢事件において男性が弱い立場に置かれることを利用して金銭を騙し取る、というような悪質なケースが立件されることもあり、痴漢冤罪事件の問題点も社会に認知されるようにはなってきました。しかし、それでもやはり、社会的名誉の回復や損害賠償請求を行うにあたって、厳しい現状であることに変わりはありません。

痴漢冤罪で損害賠償請求などをする場合には、無罪を勝ち取るためにも、証人などの証拠集めなども必要になりますので、早めの対応が非常に重要になります。損害賠償請求請求ができるかどうかは個々のケースによって変わりますので、まずは痴漢事件の経験が豊富な弁護士に相談してみることをおすすめします。

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