刑事事件手続きの終わり方~無罪から極刑まで、さまざまな形で終了~

面会室

逮捕=有罪ではない!

家族や友人・知人に限らず、人が逮捕されたと聞くと、それだけで犯罪者だと思い込んでしまう人が多いと思われますが、日本の刑事手続きにおいては、裁判で有罪判決が下され、その判決が確定したときに初めて有罪が確定するのです。決して逮捕=有罪ではないということを覚えておきましょう。

事件の報道などを見ても誤認逮捕は珍しい話ではありませんし、逮捕されたからといって刑事事件の終わり方が刑務所行きだとは限りません。むしろ被疑者として逮捕され身柄を拘束されたまま、一度も社会へ戻ることなく刑務所まで直行してしまうような人は、意外に少ないのです。

本項では、刑事事件の終わり方として代表的な略式起訴、不起訴処分、実刑判決、執行猶予の4つの例を採り上げ、手続きの終わり方を紹介します。

刑事事件の終わり方①~「略式起訴」~

略式起訴」とは、通常の裁判の起訴手続きを簡略化したもので、刑罰が100万円未満の罰金や科料に相当する事件の場合に採用される手続きです。「略式起訴」の手続きが行われる典型的な事件は、被害金額が2万円以下程度の少額の窃盗や、比較的軽い痴漢や盗撮といった事件が該当するようです。

逮捕された容疑が比較的軽い罪の場合で、被疑者が罪を認めている時、正式な公開裁判を行わず、「略式命令」で罰金刑などを言い渡した後、罰金が徴収されてすべての刑事手続きを終わらせる方法です。通常の刑事手続きにおいては、起訴されて裁判となり判決が下されますが、「略式起訴」の場合は起訴が「略式起訴」、判決が「略式命令」となるのです。

この「略式起訴」から「略式命令」の一連の流れは「略式手続き」とも呼ばれます。

「略式起訴」が行われる条件

「略式起訴」は捜査機関にとっても被疑者にとっても、手続きが簡単で済み、事件の処理も迅速に進められるものですが、「略式起訴」で済ませるためにはいくつかの条件があることに留意しておかなくてはなりません。

まず、簡易裁判所所轄の事件であることが必須です。通常の刑事事件は地方裁判所で取り扱うことになりますが、罰金以下の刑罰に相当する済みや窃盗、横領など、比較的軽微な事件については、簡易裁判所で第一審が行われます。そして簡易裁判所では、刑罰が100万円以下の罰金や科料に相当する事件に限り、略式命令を科すことが可能とされています。

しかし「略式手続」を進めるためには、被疑者(被告人)および検察の当事者が合意していることも条件となるため、その内容に不服がある場合は一定期間内に正式裁判の申立てをすることになり、「略式命令」は効力を失います。

もし被疑者が罪状を認めず、「それでもやっていない」と主張するならば、当然ながら「略式手続」は行われません。

「略式」とはいえ有罪、前科がつく

刑事事件で逮捕された被疑者が罪を認めて反省の意思を見せると、すぐに警察から検察へと送検された後に「略式起訴」が提訴され、公開裁判は行われず簡易裁判所で「略式手続」が進められ、「略式命令」により罰金刑が言い渡されることになります。

この命令の内容に被疑者が同意すれば、罰金を払って釈放されるという、「略式手続」は非常にスピーディな刑事手続きです。すべての事件を正式に起訴して裁判すると裁判所がパンクしかねず、捜査当局にしてみれば事件処理の時間短縮につながり、逮捕された被疑者も早ければ事件の当日、遅くとも逮捕から3日ほどで釈放されるというメリットがある方法となります。

ここで気をつけなければならないのは、「略式命令」に応じるということは有罪を認めたことですから、当然前科がつくということです。周囲に黙っていれば事件のことが公になる可能性は低く、短期間で刑事手続きが終わりますから、上手くいけば誰にも事実を知られずに済むこともあるでしょう。

しかし有罪には変わりはありませんので、将来の社会生活において不自由な出来事が起こらないとも限らないので、早く社会復帰ができるからという理由だけで、事実とは違う容疑を認めるようなことは絶対に避けるようにしましょう。

微妙なバランス感覚が必要となってきますので、「略式」で終わりそうだからと軽く考えず、弁護士などの専門家にきちんと相談し、最良の手続きの終わらせ方を探りましょう。

刑事事件の終わり方②~「不起訴処分」~

刑事事件の被疑者として逮捕され、勾留も受けてしまったけれども、最終的に検察が起訴せずに勾留期限が来て釈放され、刑事手続きが終わることは「不起訴処分」と呼ばれます。

この場合、逮捕で身柄を拘束され勾留を受けた被疑者は無実の人として釈放され、前科はつかず、無罪放免という言葉が合っているかもしれません。しかし不起訴処分にもいくつか種類があり、区別しておく必要があります。

「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」など

検察は事件を捜査し、事件や被害の程度や損害、被害者の処罰感情、被疑者の反省度合いなど、多くの事情を考慮し、起訴するか不起訴かを決めることになります。厳密に言えば、不起訴処分で終わったから罪は犯していない、とは限らないのです。

不起訴処分となる主な理由は次の通りです。

  • 罪とならず:心神喪失などの理由で事件自体が罪に問えない場合。
  • 嫌疑なし:真犯人が見つかるなどして、被疑者への嫌疑が失われた場合。
  • 嫌疑不十分:犯罪の証拠が不十分で起訴できない場合。
  • 起訴猶予:十分な証拠はあって起訴することもできるが、あえて起訴しない場合。

起訴猶予については、軽微な犯罪などで被害者との示談も成立し、被疑者が許されている場合に適用されるものですから、決して不起訴処分=罪を犯していない、とは言い切れないのです。被疑者が不起訴になった理由は担当検事に書面で聞けば回答してくれますが、教えてくれないのが普通です。

有罪とならないためには、起訴されないことが重要

日本の司法の現場には、起訴されたら有罪率99.9%という看板があります。この数字には、起訴されてしまったら有罪がほぼ確定しまうという現実と、確実に有罪判決が下されるような事件だけを起訴しているのだという見方が隠されています。

現実的には起訴されなければ有罪にはならないわけですから、刑事事件の被疑者となって逮捕されてしまったら、起訴されないこと、すなわち不起訴処分を目指して手続きに対応することが重要となるのです。勾留されて自由に動けない被疑者自身だけで不起訴処分を勝ち取ることは難しく、法律と交渉の専門家ではない家族や友人・知人が頑張っても限界があるでしょう。

弁護士に相談し、共に力を合わせて不起訴処分を目指すべきです。

刑事事件の終わり方③~「実刑判決」~

実刑判決」とは、刑事事件の被疑者として逮捕された人が検察によって起訴され裁判となり、実際に量刑を伴った有罪判決を下されることです。

日本の刑事事件の刑罰は、以下の3種類に大別されます。

  • 生命刑:日本では死刑が該当します。
  • 財産刑:過料または罰金が科せられる、財産を奪う刑です。
  • 自由刑:拘留、禁錮、懲役という手段で、身柄が拘束される刑です。

裁判における「実刑判決」で多いのは懲役刑

公開裁判にまで進むような刑事事件の場合、裁判所から下される刑罰で最も多いのは懲役刑でしょう。

同じ自由刑でも拘留刑や禁錮刑は一定期間、刑事施設に身柄を拘束されるだけですが、懲役刑は身柄を拘束された上に労役を強制されるもので、懲役刑の実刑判決が下されると刑務所に収容されることになります。

刑法で定められている刑期は最短で1カ月から最長は無期までですが、裁判が行われている公判中ずっと拘置所などで勾留されていた場合、未決勾留が刑の一部と考えられ、何日かは確定した刑期から差し引かれます。

確定した刑期を丸々務め上げることは満期出所と呼ばれますが、刑務所内で問題を起こして、反省の意思が感じられない要注意人物だと思われない限り、普通は満期前に仮出所が認められて社会復帰ができます。

「実刑判決」が科せられるのはどのような事件?

刑事事件で逮捕されても、上記の「略式手続」や「不起訴処分」、あるいは「執行猶予」などの処分となり、刑務所に収容されずに社会復帰を果たせるケースが、一般的に考えられている以上に多いのが現実です。

事件の内容や被害額など、社会に与える影響が大きければ「実刑判決」になる可能性は高くなります。また同じような犯罪の再犯や、「執行猶予」中に起こした犯罪であった場合、「実刑判決」は免れないと思った方がいいでしょう。実刑判決が下るかどうかは、個々の事件の性格でまったく変わってくると考えてください。

刑事手続きの中で、逮捕されてしまった人の味方になってくれるのは法律の専門家である弁護士だけで、無罪を争うにしても、少しでも刑を軽くしたいと思っているとしても、最良の結果を出すためには、弁護士の利用をお勧めします。

刑事事件の終わり方④~「執行猶予」~

刑事事件の被疑者として逮捕され勾留を受けた後、正式に起訴されて裁判所から有罪判決を言い渡されるも、判決に「執行猶予」がつけば刑務所に行く必要はなく、一応自由の身になれます。

執行猶予」は、文字通り刑の執行を猶予するということで、一定期間逮捕されるような刑事事件を起こさなければ、下された懲役刑などはなかったことになるのです。

「執行猶予」判決を受けるには、一般的に以下のような条件を満たす必要があると言われています。

  • 初犯で十分に反省していること。
  • 被害者弁済が十分になされていること。
  • 裁判終了後に就職先が決まっており、社会復帰が確実にできること。

弁護士と共に「執行猶予」の獲得を目指す

「実刑判決」が確実な事件の加害者となってしまい、裁判まで刑事事件手続きが進んだとすれば、現実的に目指すところは「執行猶予」の獲得となります。冤罪の場合は別ですが、実際に罪を犯しているならば、なるべく軽い量刑と、「執行猶予」をつけることが、現実的に狙うべき刑事手続きの終わらせ方です。

万が一、実刑判決が確実な事件を起こしてしまった場合、刑事事件が得意な弁護士の力を借りて、「執行猶予」がつくように手続きを進めてもらうことが大切になります。

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