留置所の差し入れで嬉しいものとは?差し入れ可能な物はどんなもの?

ノート

留置場とは?どんなところ?

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、まず警察に連行され写真撮影や指紋採取をされた後に最初の取調べが行われ、その後は留置場で身柄を拘束されることになります。

留置場とは各都道府県の警察に設置されている施設で、世間一般でブタ箱とも言われていてイメージは悪いのですが、泥酔して手が付けられなくなって警察に通報され連行された者が夜を明かす警察署の保護室ではなくて、きちんと生活ができるように整えられた施設なのです。

厳しい制限があり精神的にも決して快適とは言えませんが、一度逮捕されてしまうとそこで最低でも数日間は寝起きし、取調べの毎日を送るようになりますから、着替えや洗面道具など最低限の日用品が必要となってきます。

本項では留置場での生活に必要な物や、被疑者の家族や友人・知人が差し入れをするとすれば何が良いのかなど、留置場での生活と合わせて紹介していきます。

厳しい制限のある留置場生活

留置場では定められた通りの時間に合わせて生活をしなければなりません。留置場によって取り決めが違う場合もありますが、基本的には起床、洗面、点呼、食事、運動、就寝は時間で決められていて、朝は6時30分起床、夜は21時就寝とある意味非常に健康的なサイクルの生活になります。

食事は朝、昼、晩の3回ありますが、入浴は冬であれば週に1度、夏は週に2回とされています。プライバシーはまったくない環境ですが、名前ではなく番号で呼ばれる生活となるのは再現ドラマでよく見るシーンと同じです。夜にも灯りはついたままで、神経質な人は眠れないこともあるようですが、体験談などによれば意外と眠ってしまえるので自分でも驚くそうです。

以上のような生活をしながら、随時呼び出されて取調べを受けることになりますので、留置場での生活において必要な物は、必要最低限のものだということが分かるでしょう。

通常逮捕の場合、最低限の持ち物は許される

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった時、警察署に強制的に連行されてしまうわけですが、その場合持っていける物はあるのでしょうか?現行犯逮捕されてしまったケースでは、通常事件が発生したのは自宅ではなく出勤途中や帰宅前、あるいは外出先などになりますから、逮捕されてしまえば着の身着のままで連行されることになります。

この場合は、必要な物があっても自宅まで取りに戻ることはできません。反面、逮捕状を持って行われる通常逮捕の場合は、警察などの捜査員が自宅にまで押しかけますので、その際に警察施設に持って行く物を準備することは可能です。

しかし持参が許される物は非常に限定的で、厳しい決まりがあるのです。

非常に厳しい衣類の規則

通常逮捕されるような事件の被疑者になった場合、逮捕後には勾留されてしまう可能性が高く、留置場にて最長23日間は生活しなければならないことになります。当然、留置場で過ごすためには下着などの着替えが必要になるでしょう。

下着などの衣類は留置場でも貸してくれますが、たいていの衣類は以前拘束されていた被疑者が置いていったものの使い回しで、きれいに洗濯してあるとはいえ気持ちよく着用できるものではなく、できれば準備していった方が良いと思われます。

しかし留置場内では、拘束されている被疑者や被告人の自殺防止策として衣類に関してさまざまな厳しい規制があります。施設によって差がありますが、留置場ではネクタイやベルト、パーカーの紐など、首吊りに使えそうな紐状の物が付いた衣類、またボタンの付いた衣類も禁止されています。

これらの衣類は警察がすべて預かることになり、留置場に入る前に外さなくてはなりません。紐状の物が禁止なのは自殺防止策として理解できますが、ボタンまで禁止されているのは過去ボタンを飲み込んで自殺を図った者がいたからと言われ、理由は明らかではありませんがジーンズやパンツスーツも禁止されています。

その結果、留置場内で着ることができる衣服はジャージかスウェットの上下くらいとなってしまい、靴もサンダルに履き替えさせられます。現行犯逮捕などでスーツやジーンズ姿のままで留置場に入る場合には、以上の規則に合った衣服の貸し出しを受けることになります。

身の回りの物を持たないで留置場に行った場合は?

留置場の部屋には衣類以外は持ち込めません。メガネも就寝時には係員に預けなければなりませんので、近眼や老眼の人は不便な生活を強いられることになります。

ハンカチサイズのタオルは持ち込み可とされている場合がありますが、携帯電話やスマートフォンの類は逮捕される時に証拠品として押収されているはずですので、当然持ち込みはできません。証拠品でなくても、財布などはすべて釈放されるまで預けねばなりません。

歯磨きや歯ブラシ、そして石鹸といったアメニティグッズは、すべて留置場で買わされるのがルールとなっていますので、持ち込んで使うことはできません。現行犯逮捕などでお金がない場合には、ここでも過去の被疑者が残していった中古品が与えられます。

以上のことから、通常逮捕で警察に連行される場合の持ち物は、次に説明する現金と、規則に合った衣類と着替えだけで十分、ということになります。

留置場生活で重要な「お金」「ノート」

逮捕や勾留で留置場や拘置所などの刑事施設に身柄を拘束された場合、朝昼晩の食事はすべて無料で食べることができ、外出の自由も当然ありませんので、基本的にお金を使う機会はないと思われがちです。

しかし、留置場や拘置所の中でも時としてお金は必要になります。前述した歯磨きや歯ブラシ、石鹸などのアメニティグッズは買う必要がありますし、お金に余裕があれば食事の際に「自弁」と呼ばれる特別食を頼むこともできます。

「自弁」のメニューや注文方式は警察署によって違うようですが、お金さえ持っていればカレーや日替わり弁当も食べることができるわけです。持っていたお金は留置場に入る時に警察に預けることになりますが、アメニティグッズ代金や自弁などの購入費は預けた現金から天引きされる仕組みになっています。

事件が不起訴になり留置場の段階で釈放されるとしたら、身柄拘束の期間中に使うお金は2万円もあれば十分と言われています。

裁判にも重要なアイテムとなるノート

留置場では日用品の他に、外部と連絡をとる手段として切手や便箋、封筒を買うことができます。外部交通が禁止される接見禁止の処分になれば使いようがない場合もありますが、そうでなければ被疑者の身を案じる家族や友人・知人に手紙を出すのも良いでしょう。

そして、留置場や拘置所に関わらず刑事施設に身柄を拘束された被疑者のほとんどが買うと言われているのが、日々の記録を書くノートです。普段日記をつける習慣のない人でも、必ずノートを買って何でも書き残すことをお勧めします。

ノートには手書きのカレンダーを作り、自分の勾留満期日までの日付を毎日確認し、逮捕容疑を否認していたり、取調べで警察と対立したりしている場合には、取調べの記録をメモに取り、戦略を練るのも良いでしょう。

しかし自分では何を書き記せば良いのか分からないことも多いので、そういう人には「被疑者ノート」が非常に役に立ちます。

「被疑者ノート」を差し入れてもらおう

「被疑者ノート」とは、逮捕や勾留された被疑者向けの、取調べの状況を記録するノートで、日本弁護士連合会(日弁連)が作成しているものです。

「被疑者ノート」には、取調べの日、開始時刻と終了時刻、取調官の氏名、取調べの事項、取調官がどのような点に関心を示していたか、黙秘権は告知されたか、録画されたか、殴られたり蹴られたりすることがあったか、脅されたり侮辱されたりすることがあったか、自白した方が利益になると言われたか、などといった細かい項目が、質問形式で書き残せるようになっています。

このような項目を自分が作ったノートに書き記すのは不可能に近いため、この「被疑者ノート」を活用して刑事事件の手続きの記録を残し、裁判に向けての貴重な資料として活用しましょう。

このノートは被疑者自身で手に入れることはできませんが、日弁連のホームページからも書式がダウンロードできますので、家族や友人・知人が印刷して持参し差し入れるか、弁護士を通じて渡してもらうのが良いでしょう。

もちろん気の利いた弁護士ならば、最初の面会時にきちんと取調べなどの内容をきちんと記録に残すようにアドバイスをくれると思われます。

差し入れ可能で、被疑者の役に立つ物は?

家族や友人・知人が逮捕されてしまった場合、まずは弁護士に依頼して逮捕された者の助けになるよう手続きを依頼することが大切ですが、差し入れによって被疑者の支援をすることも重要です。

もし誰も自分のことを気に掛けてくれないと感じてしまったら、被疑者は捨て鉢になって有利に刑事手続きを進めようという気力もなくなってしまうでしょう。手紙を書くこともできますが、やはり制限が厳しい留置場の生活で嬉しいものは差し入れです。

しかし留置場内での生活が想像もできない一般人にとって、何が差し入れ可能で、何を必要としているのかは想像すらできません。

非常に限定的だが、つながりを感じられる物が大切

警察や留置場によって規則が違いますが、身の回り品としては紐やベルトがない衣類、メガネ、液体保管ではないコンタクトレンズなどが差し入れ可能となっています。特に現行犯逮捕などで着の身着のまま、留置場では誰が使ったのかも分からない衣類を貸与され着せられている被疑者にとって、馴染みのある衣類は気分的にも落ち着くことでしょう。

メガネも差し入れ可能で、特に近眼の人や、老眼鏡を使用していた人ならば、有難いと思ってもらえるでしょう。その他、内容や冊数などに制限がありますが本や写真も差し入れることができ、手紙を書くための便箋、家族からの手紙、現金なども可能とされています。

反面、靴やタオル、シャンプーや歯ブラシなどは、いくら自分のものを使いたいと言っても差し入れることができません。また食べ物やお菓子、タバコやゲームといった嗜好品も許してもらえません。

差し入れが可能な日時については、一般人は平日の日中のみとなりますが、弁護士に頼めばいつでも届けてもらうことは可能なので、できれば依頼する方が良いでしょう。

孤独を感じさせず、被疑者の力になれるように

たとえ罪を犯してしまったとして反省していても、すべて警察や検察が思う通りに手続きを進めていたならば、本来ならば受ける必要がない刑罰まで科せられてしまう可能性があります。

そのような事態を防ぐためには、弁護士と一緒に戦うことが必要で、身に覚えのない罪状ならば、なおさら全力を尽くして戦わなければなりません。

厳しい制限があり、いつ届けられるかも、届いたかどうかも分からない差し入れですが、ぜひ被疑者のことは忘れていないという思いを届けてあげてください。

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