援助交際、児童買春で捕まったら弁護士に相談!示談交渉のポイントと慰謝料の相場

援助交際、児童買春の実態
援助交際とは女性がお金を目的に、性行為目的の男性と交際することを指し、多くは女子中高生が行うことから、児童買春が問題になっています。ほとんどの場合、合意の上で行われるようですが、それでも犯罪は成立します。この種の犯罪での検挙は児童を対象にした許しがたい性犯罪として、報道されることも多く、厳しい社会的制裁を受けることがあります。

援助交際、児童買春で身近な人が逮捕された場合

児童買春・援助交際を罰する法律としては「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、児ポ法)があります。それ以外にも特別法や各都道府県が制定する青少年条例等があります。

児童買春(援助交際)とは?

児童買春(援助交際)は一般の用語としても使用されますが、法律でも児ポ法で定義されています。

児童買春の定義と法定刑

18歳未満の者に対償を供与、またはその約束をして当該児童と性交等をすることです(児ポ法2条1項2項)。対償を支払う相手は児童だけでなく、児童との性交等を斡旋した者(同2項2号)、児童の保護者(同2項3号)でも成立します。法定刑は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児ポ法4条)。

13歳未満の児童との淫らな行為

児童が13歳未満の場合は強制わいせつ罪(刑法176条)や強姦罪(177条)に問われる可能性があります。13歳未満であれば、相手が同意していても両罪が成立するからです(176条後段、177条後段)。問題は13歳未満であることの認識で、そうした認識がなければ故意がないため刑法犯は成立しません(刑法38条1項)。それでも13歳未満の児童が相手であれば少なくとも18歳未満であることの認識はあると判断されるでしょうから、その場合は児ポ法での処罰は免れることは困難だと思われます。

出会い系サイト規制法

児童買春や援助交際、児童淫行の温床ともされる出会い系サイトに関する規制もあります。いわゆる出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)です。同法は「出会い系サイトの利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的」としています(警察庁ホームページより)。具体的な規制としては児童を性交等に誘引する行為(対償のある場合も含む)を禁止しています(同法6条)。違反者には100万円以下の罰金が科されます(同法33条)。

児童淫行とは?

児童買春(援助交際)は対償を伴う性交等を行うことですが、対償なしに性交等を行う場合は児童淫行で検挙されることがあります。

対償なしで児童とみだらな行為をした場合

18歳未満の者と対償なしにみだらな性交等をした場合、児ポ法には抵触しないでしょう。しかし、たとえば東京都であれば「東京都青少年の健全な育成に関する条例」での規制に抵触する可能性があります。同条例18条の6で「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行なってはならない」と規定されており、この条例で青少年とは「18歳未満の者」(同条例2条1号)と定義されているからです。その場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金とされています(同条例24条の3)。

「みだらな」の内容

「みだらな行為」とは各都道府県の条例ではよく出てくる用語です。東京都の条例の場合、条文から明らかなように18歳未満の者との性交又は性交類似行為をすべて禁じているのではなく、「みだらな」それのみを禁止しています(同条例18条の6)。真摯な恋愛の結果、性交に至る場合もあるはずで、そうした行為まで禁ずる意図ではないのでしょう。そういった場合を除き恋愛感情もなしに、一時の享楽のために行う性行為又はその類似行為が「みだらな」とされる可能性はあります。

児童福祉法に抵触する淫行

条例以外でも児童淫行が児童福祉法に抵触する可能性があります。同法34条1項は掲げる行為の禁止を定め、同項6号は「児童に淫行をさせる行為」としています。この「淫行をさせる」という部分は「第三者と淫行をさせる行為」はもちろん「行為者が児童をして行為者自身と淫行をさせる行為」も含みます。

単に18歳未満の者と淫行をした場合は条例で、影響力を及ぼして淫交に及んだ場合は児童福祉法が適用されると考えていいでしょう。その場合の罰則は10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科されます(児童福祉法60条1項)。判例の事案は中学校の英語教諭が教え子の女子中学生2人に性具を与え、教諭の面前で自慰行為をさせたというものです。被告人は懲役2年、執行猶予3年となっています(最高裁で上告棄却され確定)。

児童(青少年)との淫行に関する適用法令

児童との淫行についての適用法令は、概ね以下の表のようになります。

青少年との淫行での適用法令
対償 影響力 対象年齢 性交 性交類似
あり 13歳未満 強姦罪 強制わいせつ罪
13歳以上18歳未満 児ポ法 児ポ法
なし 13歳未満 強姦罪 強制わいせつ罪
不行使 13歳以上18歳未満 青少年条例 青少年条例
行使※ 児童福祉法 児童福祉法

※影響力を行使し相手を抗拒不能の状態にして淫らな行為に及んだ場合は準強姦罪(刑法178条2項)、準強制わいせつ罪(刑法178条1項)に問われることも考えられます。

身柄拘束された本人と外部との連絡

逮捕された被疑者については、電話やメール等で外部と連絡を取ることはできません。また、家族との接見(面会)が認められない場合があります。ただし、弁護士との接見については認められます。

家族との接見、逮捕直後は原則不可

家族との接見は逮捕から勾留されるまでの間は、原則として認められません。接見できるのは勾留されてからです。もっとも実務では、担当の司法警察員が認めれば家族との接見を認める運用をしているようです。そして検察官が被疑者を受け取ってから留置の必要があると思料する時に裁判所に勾留請求し、認められれば被疑者は勾留されます。勾留決定がされた後、家族は接見できますが逃亡し、又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、接見禁止にすることができます(207条1項が準用する81条)。なお、弁護士は勾留時はもちろん勾留前も接見できます。

弁護人の接見は憲法上認められた権利

弁護人依頼権は憲法34条前段で保障されている重要な権利です。逮捕された被疑者にとって、唯一の味方とも言えるのが弁護士です。弁護人や弁護人になろうとする者とは、立会人なくして接見し、または書類若しくは物の授受をすることができます(39条1項)。

特に重要な初回の接見

弁護人(になろうとする者)の接見の中でも、特に初回の接見については弁護人の選任を目的としたり、取調べにあたり助言を得たりする最初の機会ですので「憲法上の保障の出発点を成すものであるから、これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要」と判例(最判平成12年6月13日)もその重要性を認めています。そして接見指定(39条3項)と呼ばれる、捜査機関による接見の日時、場所の指定について捜査に顕著な支障が生じるのを避けられるかどうかを検討した上で、比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時または近接した時点での接見を認めるようにすべきとしています。このように弁護士との接見については捜査機関も十分に配慮せざるを得ないシステムになっています。

援助交際、児童買春などで逮捕後の流れ

児童買春、援助交際、児童淫行事件に限らず、逮捕され裁判が行われるまでの手続きは刑事訴訟法に規定されています。その手続きの中で釈放されたり、不起訴になったり、起訴されても保釈になったり、様々な状況が起こり得ます。ここではその流れを見てみましょう。

逮捕

逮捕は被疑者を強制的に身柄拘束する処分で、法定された短時間の留置を伴います。逮捕と一口に言ってもいくつかの種類があります。

逮捕には4種類、条例違反なら緊急逮捕はできない

逮捕には通常逮捕(199条1項)、現行犯逮捕(212条1項、213条)、準現行犯逮捕(212条2項、213条)、緊急逮捕(210条1項)の4種類があります。事前に令状請求して逮捕するのが通常逮捕、令状請求する時間がなく逮捕後に令状請求しなければならないのが緊急逮捕で、(準)現行犯逮捕では令状は不要です。通常逮捕、緊急逮捕の逮捕権者は検察官、検察事務官または司法警察職員とされています。司法警察職員とは巡査を含む警察官という理解でいいでしょう(39条3項、昭和29年7月1日国家公安委員会規則5号第1条1項参照)。現行犯逮捕、準現行犯逮捕は官憲だけでなく私人も可能です(213条)。条例違反の場合、緊急逮捕はできません。緊急逮捕ができるのは死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪に限られるからです。

逮捕後の司法警察員の手続き

司法警察員は被疑者に対して、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与えなければなりません。そして、留置の必要がないと思料する時は直ちに釈放し、留置の必要があると思料する時は身体の拘束から48時間以内に書類及び証拠物とともに検察官に送致する手続きをとらなければなりません(203条1項)。

弁解の機会と取調

司法警察員は弁解を聞いて留置の必要性を判断しなければなりません。つまり釈放する権限を司法警察員が有しているわけです。もっとも弁解は弁解録取書にまとめられ(犯罪捜査規範130条1項4号)、裁判で自己に不利な証拠となる可能性があります(322条1項)。弁解の機会に続いて取調が行われることが多いですが、その際には司法警察職員は被疑者に自己の意思に反して供述する必要がないことを告げる必要があります(198条2項)。

被疑者が外国籍だったら

被疑者が外国人の場合、自国の領事機関に通報することを要請するか確認し、領事官との面談や交通ができたり、弁護人の斡旋を依頼できたりすることを説明しなければなりません。領事官が自国民に関する任務遂行のために認められた権利を実現するためです(領事関係に関するウィーン条約36条1項)。もっとも同条約に加盟していない国の国民については必要ないと考えることは可能でしょう。主要国ではイスラエル、台湾(中華民国)、エチオピアなどが非加盟です
微罪処分とは?窃盗の微罪処分率は高い

微罪処分とは、軽微な事件について検察官が司法警察員に対して送致義務を免除するものです。司法警察員は本来、事件を速やかに検察官へ送致しなければなりません(全件送致主義の原則=246条)が、その例外である検察官指定事件の一つが微罪処分です。犯罪事実が極めて軽微で、かつ、検察官から装置の手続きの必要がないと予め指定されたものです。これは検察官が有する起訴猶予とする権利を、司法警察員に委ねたとするのが一般的な解釈です。平成27年の刑法犯のうち微罪処分で処理された者は7万1496人で、全検挙人員23万9355人に占める割合は29.9%とおよそ3割です(平成28年版犯罪白書)。微罪処分の基準は非公表ですが、児ポ法が禁ずる児童淫行については微罪処分とされることはないようです。

送検

逮捕され、司法警察員に留置の必要があると判断されたら被疑者は検察官に送致されます。

送検の意味

送検は日常生活ではよく聞く言葉ですが、刑事訴訟法には「送検」という言葉は出てきません。検察官に送致(203条1項後段)と表現されます。これは被疑者の身柄を検察官に送ることではなく、事件そのものを検察官に送ることを指します。つまり書類及び証拠物とともに被疑者の身柄を送致することで、それにより事件が検察官の扱いになることを意味します。

タイムリミット48時間

検察官送致には時間制限があり、被疑者の身柄拘束から48時間以内に書類及び証拠物とともに送致の手続きをしなければなりません(203条1項後段)。手続きをすれば良く、被疑者の身柄が実際に検察に到着するのは身柄拘束から48時間を過ぎていても問題ありません。

検察官送致された時の収容施設

被疑者がどこで収容されるかは、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律に定められています。逮捕された場合は通常、警察の留置施設に収容されます(同14条2項)。検察官送致を受け勾留される者は拘置所などの刑事施設に収容されますが(同3条3号)、留置施設に収容される場合もあります(同15条1項)。いわゆる代用監獄の問題です。この点、実務では勾留決定があった場合でも警察の留置施設にそのまま置かれることが多いようです。「現在では、特に被疑者の勾留については、留置施設(代用監獄)への収容が常態化している」(新・コンメンタール刑事訴訟法第2版p163=日本評論社)という指摘があることから、検察官送致と同時に拘置所などの刑事施設に移されるのは少数と考えていいでしょう。

勾留

検察官は送致された被疑者を受け取った時、留置の必要があると考えた場合は、裁判官に被疑者の勾留を請求します。裁判官が勾留決定をすれば、被疑者は勾留されます。

送致を受けた検察官の手続き

検察官は送致された被疑者を受け取った時は、弁解の機会を与え、留置の必要がないと判断すれば直ちに釈放することになります(205条1項前段)。逆に留置の必要があると考えた場合は、受け取った時から24時間以内、かつ、被疑者が身体を拘束されて(原則として逮捕の時)から72時間以内に裁判官に勾留を請求しなければなりません(同条1項後段、同条2項)。

裁判官による勾留決定

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に対して被疑事件を告げ、勾留質問を行います(207条1項が準用する61条)。勾留の理由がある場合には速やかに勾留状を発しなければならず、勾留の理由がない時には釈放を命じなければなりません(207条5項)。また、必要があれば事実の取り調べをすることができます(43条3項)。

勾留期間と延長

勾留期間は10日です。勾留請求の日から10日以内に公訴を提起しない場合には直ちに被疑者を釈放しなければなりません(208条1項)。初日は時間にかかわりなく1日として計算されます。また、やむを得ない事由がある時は、10日を超えない範囲で期間の延長が認められます(同条2項)。合計で10日を超えないのであれば、延長の回数に制限はありません。

起訴

起訴は、検察官が裁判所に実体的審理と有罪判決を求める意思表示です。勾留延長される場合を除き、勾留請求の日から10日以内に起訴するか、しないかが決定されます。

検察官による起訴

起訴は検察官が行い、その権限は検察官のみが行使できるものです(247条)。これを起訴独占主義と言います。また、たとえ犯罪の証明が十分であっても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により起訴しないこともできます(248条)。これを起訴便宜主義と呼びます。つまり起訴するかしないか、検察官が一切の権限を有しているわけです。

起訴された場合の被疑者の勾留

起訴された被疑者は被告人となります。被疑者の段階で勾留されていて被告人になった後も勾留する場合には、検察官が起訴状を提出すると自動的に勾留が継続されます。被告人の拘禁場所は刑事施設ですから(刑事収容施設法3条3号)、通常は起訴されると拘置所に移送になります。しかし、現実の運用は拘置所の混雑などでスムーズにはいかないようです。その場合はしばらく留置場に勾留されることもあるようです。

被告人になったことによる効果

被疑者が被告人になることで、捜査機関による接見指定はできなくなります。これは接見指定が「公訴の提起前に限り」行えると規定されているためです(39条3項)。もっとも被告人が余罪について起訴前勾留されている時は指定が可能です。最高裁は「同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合・・被告人について防御権の不当な制限にわたらない限り・・接見等の指定権を行使することができる」(最決昭和55年4月28日)と判示しています。

公判

検察官による起訴があると、公判が開かれます。

裁判所の手続き

裁判所は公訴の提起があった時は、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければなりません(271条1項)。裁判長は公判期日を定め(273条1項)、検察官、弁護人に通知します(同条2項)。

弁護人選任権等の告知

裁判所は公訴の提起があったときは、速やかに被告人に弁護人を選任できる旨及びお金がなくて弁護人を選任できない時は弁護人の選任を請求できる旨を知らせなければなりません(272条1項)。弁護人の選任の告知は逮捕時(203条1項)、勾留質問時(207条2項)にもされますが、ここでも行われます。このように何度も告知を義務付けるのは、憲法37条3項で保障された弁護人選任権を実質的に保障する意図であるとともに、刑事事件における被疑者・被告人の権利の保護のために弁護人の果たす役割の大きさを示すものと言えます。

公判手続きは大きく分けて4つ

公判手続きは、冒頭手続き-証拠調べ-弁論-判決という流れになります。冒頭手続は、人定質問(刑事訴訟規則196条)-検察官による起訴状の朗読(291条1項)-裁判長による権利告知(291条4項前段)-被告人及び弁護人が事件について陳述(罪状認否等、291条4項後段)という順番で行われます。裁判長による権利告知とは、終始沈黙し、または個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨、陳述がされた場合、自己に不利益な証拠ともなりうること等を告げます。

条例違反では簡裁での審理も多い

条例違反の場合は簡裁の扱いとなることも少なくありません。これは選択刑として罰金が定められている罪の訴訟(裁判所法33条1項2号)にあたるためです。簡裁では原則として禁錮以上の刑を科すことができません(同2項)。条例は同項の例外規定に含まれていませんから簡裁に起訴された場合、懲役が科されることはありません。

簡裁で起訴なら略式命令の可能性

青少年条例違反で簡裁に起訴された場合、検察官が公判手続きの必要がないと考えれば、略式手続の請求ができます。予め被疑者の同意を得た上で請求し、簡裁が公判手続によらずに書面審理だけで刑罰を言い渡せます(461条以下)。簡裁だけの制度で100万円以下の罰金又は科料を科すことができます。被疑者にとっても罰金刑しかありませんし、早期に事件から解放されるというメリットがあります。

援助交際、児童買春における示談交渉のポイント

児童買春、援助交際で逮捕、勾留された場合であっても、全件が起訴されるわけではありません。嫌疑が不十分だった場合はもちろんですが、嫌疑がはっきりしていても総合的な判断で検察官が起訴しないこともあります(起訴猶予=248条)。起訴猶予となるか否かは、被害者との示談が成立しているかが大きなポイントを占めます。

被害者への謝罪が示談の基本

示談については刑事訴訟法、刑事訴訟規則、犯罪捜査規則等に規定がありません。しかし検察官による起訴、起訴猶予を決定する場合において示談の成否が重要な役割を果たします。

示談の法的性質

刑事裁判は犯罪を犯した者に対して国家刑罰権を実現する裁判ですから、当事者間の合意でその国家刑罰権を消滅させることはできません。示談にはそうした効力はないということです。しかし、強姦罪等の親告罪の場合、示談が成立して告訴を取り下げることになれば検察は公訴提起ができなくなります。また、示談の成立により被害者感情の宥和や、被疑者・被告人の反省、生じた損害の金銭的な回復などから起訴猶予等になる可能性もありますし、有罪判決でも情状面での酌量が期待できます。

被害者への謝罪が重要

示談を成立させるためには被害者への謝罪は前提になります。平成12年に新設された被害者等の意見の陳述(292条の2)制度により、被害者が公判で被害に関する心情その他の意見の陳述ができるようになりましたが、被害者感情は量刑判断において大きなウエートを占めます。このように被害者感情に法が配慮している中、示談が成立するということは被害者感情が和らいでいることを示します。そのためにも被害者への謝罪は重要な要素となります。謝罪がなければ示談は成立しないでしょう。

児童買春、援助交際での示談のポイント

児童買春、援助交際では通常、財産上の損害は生じませんから、その部分の賠償は必要ありません。大事なのは児童が受けた精神的な損害に対する慰謝料の支払いです。その上で強い反省の念を示して再犯しないことについて強い意思を示すことが被害者の感情を和らげることになります。

身柄拘束からの解放の取り組み

依頼を受けた弁護人としては、身柄を拘束された被疑者・被告人を一刻も早く自由の身にすることを目指します。自由の身になると一口に言っても、一連の手続きの中で様々な方法が考えられます。

検察官に送致されずに釈放

逮捕後、自由の身になる最初のチャンスは検察官への送致がされずに釈放されるパターンです。司法警察員は留置の必要がないと思料すれば直ちに釈放しなければなりません(203条1項)。そして留置の必要性について最高裁は「犯罪の嫌疑のほか、逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれ等から成るものである」(最判平成8年3月8日)と判示しています。この時点で釈放に向けてすべきことは犯罪の嫌疑が薄いこと、定まった住所や定職があり逃亡のおそれがないこと、罪証隠滅ができないように現場付近に行かないことを約束するなどして、留置の必要性がないことを司法警察員に理解させることでしょう。

検察官送致後、留置の必要性がないと判断され釈放

被疑者が検察官に送致された後、検察官が留置の必要性がないと考えれば直ちに釈放されます(205条1項)。どのような場合に留置の必要性がないと判断されるかは、勾留請求書に刑事訴訟法60条1項各号に定める事由の記載が求められています。
定まった住所がある、罪証隠滅ができないように関係者と接触しない、現場に近づかないことが約束されている等、定職があり、身元を保証する者がいて逃亡のおそれがないなど、同条各号にいずれも該当しない場合が考えられます。

裁判官が勾留請求を却下して釈放

検察官から勾留請求が出されても、裁判官が勾留の理由がないと認める時は直ちに被疑者の釈放を命じなければなりません。そのため、勾留の理由がないことを裁判官に働きかけます。実際には検察官の勾留請求から、裁判官の勾留決定までは時間も少ないことから、同時期に働きかける場合が多いようです。

裁判官の勾留決定に対して準抗告する

裁判官のした勾留決定に対しては準抗告が可能です。理由として60条1項各号に該当しないことを主張します。なお、罪証隠滅、逃亡のおそれについては「相当な理由」が必要とされています。勾留の裁判で、犯罪の嫌疑がないことを理由に準抗告することはできず、この段階で「私は無実だから」ということをいくら主張しても準抗告が認められることはありません。

起訴後勾留に対して保釈申請をする

起訴された場合は、保釈を請求します。保釈とは保釈保証金を納付して勾留の執行を停止し、拘束を解く制度です。起訴前勾留にはこの制度は適用されません。保釈には必要的保釈と裁量的保釈の規定があります。

必要的保釈は89条の除外事由に該当しなければ裁判所は保釈しなければなりません。

青少年条例、児ポ法、児童福祉法違反であれば、1号指定の重罪ではありませんから、その点はクリアできます。そのため過去に重罪で有罪判決を受けた、常習犯である、罪証を隠滅する疑いがある、被害者や証人、その親族などに危害を加えたり畏怖させたりする疑いがある、氏名又は住居が分からないに該当しない場合には必要的に保釈されることになります。仮にいずれかに該当する場合でも裁判所が適当と認めれば保釈されることはあります(90条)。

援助交際、児童買春の弁護士費用相場

弁護人が事件を担当することになると、解決のための費用がかかります。示談には金銭が必要になりますし、示談をする弁護士の費用も必要になります。

示談金

援助交際でも示談には金銭が必要になります。児童買春では財産上の損害は生じないのが普通ですから、被害者の損害を金銭によって原状回復させることは考える必要はないでしょう。そのため、主に慰謝料という形で賠償をすることになります。

生じた損害は示談金で賠償を

児童の精神的損害に対する特別な措置が必要になった等、事件になったことで何らかの損害が発生した場合は、その賠償をすべきです。

慰謝料は示談金の一部

実費以外にも慰謝料が必要です。被害者の負った不快感、屈辱感、恐怖心など精神的損害を金銭で賠償する必要があります。その意味から慰謝料は示談金の一部であると言えます。

慰謝料の相場は?

被疑者・被告人にすれば慰謝料の相場があれば知りたいことでしょう。しかし援助交際、児童買春で被害者の受けた不快感、屈辱感、痛みは、その犯罪の態様、被害者の年齢、犯行時の状況等により、それぞれでしょう。そうした事情を総合的に判断して、被害者が被疑者・被告人の処罰を望まないというレベルの金額が相場と言えるかもしれません。

弁護士費用

示談をするには弁護士の力が必要です。被疑者の親族が被害者と示談交渉をしようと思っても、被害者は自分の住所など連絡先を知られたくないと考える場合が多いでしょうから交渉のテーブルにつくことさえ困難な状況が予想されます。そうなると弁護士に依頼するのが示談を成立させるには早道と言えそうです。

自白事件の成功報酬

自白事件であっても弁護士の活動によって微罪処分、起訴猶予、略式命令、執行猶予付き判決、保釈許可決定、勾留に対する準抗告が認められるなどで被疑者・被告人にとって利益になることがあります。その場合には成功報酬を支払うことになります。事件や弁護士にもよりますが起訴猶予や微罪処分が10〜30万円程度、それ以外は20万円以下が相場と言えるのではないでしょうか。示談が成功した場合や、求刑より言い渡された刑が軽い場合にも成功報酬は必要となるのが普通です。執行猶予については平成28年6月から始まった刑の一部執行猶予制度も成功報酬が必要と考えた方がいいでしょう。

否認事件の成功報酬

否認事件では無罪判決を得ることが可能です。その場合には事実関係を争い、時間と手間をかけて争いますから、当然、成功報酬は高く設定されます。30〜50万円程度は必要でしょう。もちろん自白事件でも無罪判決の可能性はあります(ウソの自白をした場合等)し、自白事件の方が無罪判決の獲得は難しいですから、少なくとも否認事件での無罪判決と同程度の成功報酬は必要になります。なお、否認事件でも不起訴、執行猶予付き判決などでの成功報酬は必要になるでしょう。

実費

弁護士が活動にあたって実際に経費としてかけた分は依頼人に請求されます。接見するための交通費や、通常の通信費などです。

日当

出頭したり、出張したりした際の日当が必要になります。概ね1回で3万円前後でしょう。また着手金を支払わずに、実際にかかった日数、時間によって支払額を決定する「タイムチャージ」という方式で支払う方法もあります。着手金で一律に支払うのではなく、かかった時間だけ支払うというものですが、大きな事件になると日数がかかり着手金方式より多く支払わなければならないということも考えられます。

援助交際、児童買春の刑事事件で弁護士に依頼するメリット

刑事事件では弁護士がつくことで様々なメリットがあります。

示談交渉による問題解決

身柄の拘束を解くため、あるいは量刑判断などで示談が成立しているかどうかは大きなポイントになります。

示談で起訴を免れる場合も

刑法には「示談」という単語はありません。そもそも刑事上の責任は個人間の交渉で排除できませんから、当事者の合意で有罪を無罪にすることはできません。あくまでも示談の結果によって訴訟法上の効果の発生や、裁判所の量刑判断に影響が出るだけです。ただし、示談が成立していれば親告罪である強姦罪、強制わいせつ罪では告訴を取り下げてもらうことが可能であり、その場合、検察官は公訴提起ができなくなります。児ポ法、児童福祉法、青少年条例は非親告罪ですから告訴なしに起訴できますが、示談の成否は検察官が起訴するか否かの判断に影響を与えることになるでしょう。

示談で量刑判断も変わる

起訴された場合でも、裁判所は量刑判断においては情状面を考慮しますから、示談の成否は大きく影響します。示談を拒否して厳しい処罰感情を明らかにすれば、厳しい量刑が出やすいでしょう。逆に示談が成立していれば被害者は厳しい処分は望んでいないと判断され、厳しくない量刑となる可能性はあります。

外部への連絡・説明

逮捕され、身柄を拘束されている被疑者は外部との連絡を取る手段を持っていません。そこで弁護士が重要な役割を果たすことになります。

外部連絡は弁護士のみ可能

逮捕されると被疑者は外部と電話やメールなど、一切の連絡手段を使うことができなくなります。家族についても、勾留されるまでは原則として接見できません。そのような状況で被疑者と連絡を取れるのは弁護士だけです。被疑者の状態を家族や会社に性格に伝えることができ、外部との唯一の窓口として機能します。

手続きの見通しなど説明が可能

家族や会社の関係者が突然の逮捕で、どのような手続きが進むのかも分からない状況の中、弁護士は流れを熟知していますから、その後のことを予測することができます。身柄の拘束を解くためにどのタイミングで何をすればいいか、家族や会社はどう協力すべきか、適切にアドバイスをして被疑者とその関係者のために力になってくれます。

処罰の軽減、回避につながる弁護活動

弁護士は身柄の拘束を早く解くこと、処罰を軽減、回避するための活動を行います。

示談交渉

弁護士が行う活動で最も重要なのが示談交渉でしょう。児童買春、児童淫行、援助交際の事件であれば被害者に対して真摯に謝罪し、精神的損害を賠償することで被害者感情をやわらげることが大事です。

早期の依頼で解放へ様々な活動が可能

児童買春、援助交際、児童淫行の容疑で逮捕された直後に依頼を受けた場合、弁護士は司法警察員に検察官送致をしないよう働きかけたり、送致されても検察官に勾留請求をしないように働きかけたりすることが期待できます。勾留されても準抗告したり、起訴されても保釈を申請したり、身柄の拘束からの解放に全力を尽くすでしょう。それによって処罰の回避や、自由の身になることなどが期待されます。

以上のように逮捕から判決に至るまで、弁護士の果たす役割は非常に大きいものがあります。特に援助交際や児童買春のような事件の場合、世間的にも冷たい目で見られることになり、裁判でも非常に不利な状況になる可能性があります。そういったときに、弁護士にできるだけ早い段階で依頼し、どうふるまったらいいのかアドバイスをもらいながら、手続きを任せた方がよいでしょう。特に逮捕後、72時間で手続きは大きく進みますから、迅速な対応が必要となります。家族や友人が逮捕された時には、すぐに弁護士に相談してください。

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  • 事件の前科逮捕歴を残したくない
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