盗撮の意味~盗撮が事件とみなされる構成要件は?

盗撮事件シルエット

盗撮の構成要件とはどういう意味?

盗撮で逮捕されるときには、軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反のどちらで逮捕されることになるのかが1つ問題となります。そこで、今回は盗撮で逮捕された場合に、軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反と判断されるための条件、どのようなポイントが考慮されるのか、犯罪の構成要件について解説します。

犯罪が成立するには、それぞれの犯罪ごとに定められた要件をみたさなければいけません。この要件のことを、刑法の世界では「構成要件」と言います。構成要件を大まかに分類すると、「実行行為、結果、実行行為と結果との間の因果関係、故意」に分類できます。犯罪ごとに、どんな行為が実行行為なのか、どんな結果が必要なのかなどが詳細に規定されています。

つまり、盗撮が罪として認められるためには、「盗撮の実行行為、盗撮の結果、因果関係、盗撮の故意」が必要だと言うことになります。それでは、盗撮の実行行為などの各構成要件要素は、法律・条例でどのように規定されているのでしょうか?

軽犯罪法で規制される盗撮の構成要件

まずは、軽犯罪法で規制される盗撮についてご説明します。

条文の規定は?

軽犯罪法第1条では、「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」と規定されています。その各号の内容のうち、二十三号において、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」と規定されています。

盗撮の実行行為とは?

まず実行行為は、人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所を「ひそかにのぞき見ること」です。条文の文言をそのまま受け取ると、撮影行為はこの条文の規制対象ではないようにも思えます。

しかし、「のぞき見る」というのは、何も自分の目だけで見るものに限定されていません。ビデオカメラやスマートフォンなどの撮影機器を通じてのぞき見ることもできます。したがって、この条文で、盗撮行為が規制されることになります。

ちなみに、ひそかにのぞき見る対象は、「人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」です。どこをのぞき見るのか、どこを盗撮するのかによって、後述する迷惑防止条例で規制される盗撮と区別されることになります。公共の場所以外での盗撮が軽犯罪法で規制される、という言い方がされるのは、ここに理由があります。

盗撮の結果、因果関係、故意について

盗撮の結果、因果関係は分かり易いでしょう。のぞき見ることによって「のぞき見られた」という結果は発生していますし、のぞき見られたという結果は、のぞき見るという実行行為によってもたらされているわけですから因果関係も認められるはずです。そのため、盗撮の結果、因果関係についてはあまり問題になりません。

注意しなければいけないのが「故意」です。犯罪が成立するには、盗撮の故意が認められなければいけません。ただ、たとえば、女性の一人暮らしの自宅内に忍び込んで、トイレ内にビデオカメラを設置した場合に、果たして盗撮目的以外でこのような行為に及ぶでしょうか。

よほど何か例外的な目的を立証する事情があればさておき、通常は盗撮の故意は認められることになります。このように、故意があるかどうかは、盗撮行為の内容などの客観的な事情から判断されます。

迷惑防止条例で規制される盗撮の構成要件

次に、迷惑防止条例で規制される盗撮についてご説明します。ただ、迷惑防止条例は各都道府県で制定されるものです。都道府県ごとに内容が異なりますので、今回は、東京都の迷惑防止条例を例にとって説明致します。

条文の規定は?

第五条の粗暴行為の禁止を定める条文の中で、盗撮行為についての言及があります。平成30年7月施行の条文は次の通りです。

迷惑防止条例

第5条
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

盗撮の実行行為とは?

この条文では、盗撮の実行行為は3種類規定されています。

  1. 写真機などを用いて撮影する行為
  2. 撮影する目的で写真機などを差し向ける行為
  3. 撮影する目的で写真機などを設置する行為

です。

①が典型的にイメージされる盗撮行為です。スマートフォンや小型カメラなどで撮影する行為それ自体が禁止されています。同様に、③も分かり易い行為形態です。公衆トイレなどにカメラ機器を隠して設置するケースがこれにあたります。これもイメージしやすい盗撮行為だと思います。

注意が必要なのは②です。実は、迷惑防止条例で規制される盗撮は、差し向けただけでアウトです。つまり、電車内で女性のスカート内部を撮影しようとスマホを差し向けた段階で、迷惑防止条例違反として逮捕されることになります。実際に撮影できなくても規制に反しますので、未遂犯までが処罰されることを意味します。

実行行為の対象は?

撮影する対象は、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」に限られます。つまり、この条文で規制されるためには、撮影対象が限定されていますので、例えば街の雑踏の中で女性の容姿全体や顔を撮影する場合、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」を撮影しているとは言えないので、東京都では少なくとも盗撮に関する罪で逮捕されることにはなりません。

実行行為が行われる場所は?

住居、便所、浴場、更衣室、人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所、公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシー、不特定又は多数の者が利用・出入りする場所や乗物、での盗撮行為が禁止対象です。

ここで、住居などの公共の場所で行われる盗撮行為は軽犯罪法で規制されるもので、迷惑防止条例の出番はないのではないかと、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は東京都では最近まではその通りでした。公共の場所は迷惑防止条例で、公共の場所以外は軽犯罪法で罰する。このように従来の運用では区別されていました。

しかし、ここでポイントになるのは、どちらの法律が重いのか、ということです。実は、迷惑防止条例に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であるのに対して、軽犯罪法違反では拘留又は科料しか処せられません。迷惑防止条例の方が軽犯罪法にくらべて刑罰が数段重く、軽犯罪法はあまりに軽すぎるというのが問題点として指摘されていました。公共の場所以外での盗撮も、プライベートな空間を侵しているという意味で悪質なのではないか、という問題意識が生まれていたのです。

そこで、平成30年7月から、従来の軽犯罪法の領域で行われる盗撮行為の中で悪質だと考えられるものは、迷惑防止条例でも規制して重い処罰を下せるように条例が改正されたのです。もちろん、都道府県によってはまだ古いタイプの規制形式になっている箇所もありますが、次第に順次改正されて、東京都の定める迷惑防止条例と似た形式になっていくと考えられます。

盗撮の結果、因果関係、故意について

軽犯罪法違反の場合と同じ説明があてはまります。盗撮事犯において、盗撮の結果、因果関係、故意については、大きな問題になることなく認められることが多いです。

盗撮で逮捕されたら弁護士に相談!

ニュースや新聞などで目にする機会が多い盗撮事件ですが、実はこのように根拠法令が複雑になっています。また、条例も時代・地域のニーズに合わせて刻々と改正されていくので、規制内容や刑罰の重さもどんどん変動しうるものです。手に染めやすい犯罪の一つである盗撮事件を起こしてしまった場合、自分で何か判断するのではなく、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

専門家であれば、リアルタイムの法令事情にも詳しいですし、かつ、どのような対処をすべきであるか的確な助言をしてくれるはずです。盗撮事件で逮捕された場合であっても、示談を成立させ、不起訴処分を獲得するなどして、前科がつくことなく解決できる可能性も十分あります。

示談交渉などは弁護士でなければできませんので、ご自身一人で悩まずに、まずは盗撮事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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