警察に逮捕されると、ほとんどの場合は留置場で身柄の拘束を受ける

刑事施設

警察に逮捕されたら留置場へ

刑事事件の被疑者とされた人は、多くの場合は警察に逮捕されます。

逮捕状をもって逮捕される場合には刑事が、現行犯で逮捕される場合は警察官に逮捕されることが多いのですが、検事が捜査を行うような著名人や社会的に大きな影響を与える事件でなければ、たいていは警察に所属する捜査官が逮捕を行います。

そして逮捕した被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に、その身柄を拘束しておく刑事施設が留置場です。一部書籍やインターネット上では留置所と表記されていることもありますが、留置場が正式名です。

全国の警察署に留置場はある

留置場は全国の1,100カ所以上ある警察署の建物の中にほとんど設置されていて、刑事事件の被疑者として逮捕された人は、その留置場で身柄を拘束されながら、警察の捜査官から取調べを受けるのです。

本来ならば、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない限り、警察が逮捕したとしても身柄の拘束はされないのですが、たいていの場合は被疑者から見ると理解できない理由で留置場に収容されてしまいます。

事件を起こしてしまったとはいえ、人生を棒に振るような逃亡はしないだろうと普通は考えられるのですが、警察は信用してくれないようです。

しかし、身柄の拘束が必要ないはずなのに留置場から出されない、不必要な勾留を受けていると感じたら、弁護士に相談し、在宅捜査などに切り替えてもらえるように手続きを進めることをお勧めします。

留置場の施設はどのようなもの?

近年は実際に逮捕された経験を持つ人が体験談を記した書籍を出したり、ブログなどで自分が収容されてしまった留置場の内部構造を紹介したりしています。

そのため、本当に入ってみないと分からなかった留置場の内部の構造も、広く世間に知られるようになりました。しかし、万が一逮捕されてしまって入れられる留置場の構造は、警察署ごとで大きく違いっているのが現状です。

どれくらい違うのかと言えば、詳しく留置場の構造や生活を説明すると、その留置場がどこの警察署にあるものなのかが関係者や、過去に同じ場所に収容された人に分かってしまうほどなのです。

時代によって違う留置場の施設

留置場の施設は、設置された時代によって大きく異なる点があります。まず、1980(昭和55)年以前に建てられた留置場は、収容者が入れられる居室と呼ばれる部屋が扇形に配置されているのが普通で、扇の要の位置に看守台があり、それを半円で取り囲むように扇形に5~7つほどの居室が配置されていたのです。

看守台と居室の間には洗面所があり、居室の外側には見回り通路があるなど、看守台からすべてをくまなく監視することができる構造でした。

しかし常に監視されているという圧迫感があり、また向かい側の居室の中が丸見えになることから、1980年に留置施設における処遇改善が行われ、以降に新設される留置場についてはホテルの部屋のように横型に配置され、各居室の正面には高さ約1mほどのアクリル製の遮蔽板が設置されるようになりました。

収容者が逃亡しないように1カ所しかない留置場の入口も、出入りが一般の来庁者からは見えないように別に設置するといった措置も行われ、これで一定のプライバシーが確保できるとされています。決して居心地が良いとは言えないのですが、最低限の配慮はしてくれているようです。

警察署の建物の構造によって差がある

前述したように、留置場内での生活を描写するとどこの留置場かが分かるというのは、1980年以前に建てられた施設の場合です。

警察署ごとに留置場の内部構造が違う理由は、監視がしやすいように看守台からすべての居室が一目で見渡せるような、扇状に居室が設置されているケースで、警察署の建物が四角いために、その中に扇状の部屋の間取りを取るとどうしても特徴的な形の部屋ばかりになり、どこの警察署の留置場なのかが判別しやすくなってしまうのです。

1980年以降に新築や改築で新しく建てられた警察署は、監視カメラを設置して居室そのものは普通の櫛形の配置に変わりました。

警察署の建て替えなどは頻繁に行われるわけではなく、日本全国すべての警察署が監視カメラ付きの留置場に変えたわけではないので、四角い居室の留置場でも詳しい内部構造や留置場内の規則を詳しく紹介すれば、そこがどこの警察署の留置場か特定されてしまう可能性はあります。

留置場の生活はどのようなもの?

収容者が生活する留置場の居室は、基本的には雑居と言われる共同室で、6名ほどの定員となっています。居室の配置と同様に、居室面積も1980年に適正な居住面積が設定され、雑居の場合は1名あたり2.5平方メートル、個室の場合は4平方メートルが基準とされています。

とは言え、三畳の部屋の広さは5.47平方メートルですから、個室の居室は二畳よりも少し広く、雑居の場合の1名あたりの広さは1.5畳に満たないくらいで、快適とはとても言えない広さです。居室内は畳、あるいはカーペットが敷かれていて、トイレは周囲を壁で囲ったボックス型になっています。

冷暖房装置はとりあえず設置されていると言われていますが、それは各居室という意味ではなく、フロアにあるというだけのようで、扉は鉄格子に目の細かい網が貼られているだけですから、通気が良いと言えばそれまでですが、夏や冬には辛い思いをしなければならないかもしれません。

規則正しい生活を強制される

留置場に収容される際、最初に日課が言い渡され、強制的にその通りの生活をしなければなりません。

警察署によって時間は違いますが、朝7:00に起床し、8:00に朝食、12:00に昼食、13:00から運動、18:00に夕食、21:00に就寝といったスケジュールになります。この間に取調室に呼ばれ、警察や検察による取調べを受けるだけの日々となります。

食事はきちんと提供され、外部で調理される弁当に汁物が付いているようなもので、冷えていることもあるようですが、いわゆる臭いメシではなく、普通ののり弁当と変わらないレベルのようです。また、支給される食事以外に、自弁と呼ばれる食事やお菓子などを自費で注文することもできます。

刑事事件の被疑者として逮捕とはいえ、まだ被疑者は刑が確定していない推定無罪の段階ですから、この辺の融通は利くのです。しかしテレビドラマでよく描かれる、取調べ中にカツ丼というのは、現在ではまったくのフィクションで、もしそのようなことが行われたとしたら、被疑者に対する利益供与で大きな問題になります。

居室内での行動は、他の収容者に迷惑をかけない程度であれば自由で、新聞や備え付けの書籍を閲覧したり、食事時間にニュースや音楽などのラジオ番組を聴いたりすることもできます。規律は厳しいのですが、留置場は、あくまでも被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止するための施設なので、刑務所のように刑務に服する必要はありません。

被疑者の健康管理には十分に注意が払われる

かつて留置場において、違法な取調べや非人道的な対応が行われ、冤罪の温床になるなどしたため、社会問題化しました。そのため1980年の捜査と留置の分離を始め、さまざまな処遇改善の取り組みが行われています。

提供される食事については、資格のある栄養士が定期的に栄養のバランスをチェックし、健康を保持するために毎日屋外で運動ができるように配慮され、身柄の拘束が長期にわたる収容者に対しては、月に2回は定期健康診断を受けるようなシステムになっています。

しかし誰もが慣れない生活ですから、少しでも不安があれば、担当さんと呼ばれる留置担当官に相談したり、弁護士を通して改善を訴えてみたりすることをお勧めします。

留置場と保護室の違い

留置場は、ブタ箱と呼ばれるほど、過酷な扱いを受ける場所だと考えられています。ブタ箱の呼び名が生まれたのは明治時代だと言われており、当時、養豚場でブタを飼っておく小屋をブタ箱と呼んでいたのですが、そこは非衛生的で悪臭漂う場所でした。実際、当時の留置場の環境は劣悪で、身柄を拘束された被疑者や被告人は皮肉を込めて留置場をブタ箱呼ばわりするようになったのです。

もちろん現在の留置場は、養豚場のような環境ではなく、毎日収容者自身が掃除を行い、希望すれば消臭剤を居室内で使用することができる施設もあるようです。とは言え、家具も何もない殺風景な室内で、なおかつ初めて会った怪しげな被疑者や被告人と同居するという環境は、精神的にはかなり辛いことになります。

ちなみに、トラ箱という呼び名もありますが、これは警察署に備え付けられている保護室のことで、泥酔者が警察に連れて行かれ一晩を過ごすような部屋です。酔っ払って事件を起こせばもちろん逮捕されて留置場行きですが、トラ箱は身元引受人が来て、書類を作成してサインすればすぐに出ることができます。

留置場から出るには、弁護士の力添えが必要

トラ箱から出るためには、身元引受人が来れば済む話ですが、留置場の場合はそう簡単に出ることはできません。真犯人が出てきた場合は別として、家族や友人・知人がいくら頑張っても無理ですし、最初は面会することすら難しいでしょう。

そのような時に頼りになるのが弁護士で、原則としていつでも被疑者と面会ができ、その後の身の処し方について相談することができます。

早々に罪の事実を認めて書類送検などで済ませてもらうか、在宅捜査に切り替えてもらうなどの方法を弁護士は知っていますので、万が一刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、なるべく早く弁護士に連絡を取ることをお勧めします。

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