暴行罪と傷害罪を分ける基準~ケンカで相手を傷つけると暴行?傷害?

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ケンカの場合にも「犯罪」が成立する

暴行罪、殴る
ケンカするときには、相手だけではなく自分も相手から殴られたりけがをしてしまったりすることが多いです。そのようなときにも暴行罪や傷害罪などの犯罪が成立するのでしょうか?

昔から「喧嘩両成敗」という言葉もありますし、「お互い様なのだから犯罪が成立しないだろう」と考える方もおられます。

しかし実際には、ケンカでも暴行罪や傷害罪になります。「相手から殴られたからといって殴り返しても良い」ということにはならないからです。また相手からちょっとこづかれたりなじられたりしただけなのに、拳で思い切り殴り返して大けがをさせたなど、相手からされたこととやり返した内容が均等でないケースも多いです。

相手からの暴行を避けるため、真にやむを得ない範囲で反撃した場合には「正当防衛」となって無罪になる可能性もありますが、現実の多くのケンカでは、双方に暴行罪や傷害罪が成立します。

暴行罪と傷害罪の違い

ケンカしたときに成立するのは「暴行罪」や「傷害罪」ですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

まずは暴行罪と傷害罪の基本的な内容を確認しましょう。

暴行罪とは

暴行罪が成立するケース

暴行罪とは、他人に対して「不法な有形力を行使」したときに成立する犯罪です。

不法な有形力は、身体的な暴力はもちろんのこと、それに限らず相手に対する威圧行為や相手に影響を与える行為一般を含みます。

たとえば以下のようなケースにおいて、「暴行」と評価される可能性があります。

  • 殴る、蹴る
  • 押し倒す
  • 胸ぐらをつかむ
  • 怒鳴りつける
  • 水や塩を振りかける
  • 衣服を引っ張る

ケンカをすると相手を怒鳴りつけたり殴ったり蹴ったりするでしょうから、たいていは「暴行」に該当します。

暴行罪の刑罰

暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です(刑法208条)。

拘留とは刑務所に入れられる刑のうち、刑期が30日未満で強制労働がないものです。30日以上で強制労働がなかったら禁固刑、強制労働がある場合には懲役刑となります。科料は1万円未満の金銭支払いの刑罰です。1万円以上になると罰金刑となります。

傷害罪とは

次に傷害罪についてご説明します。

傷害罪が成立するケース

傷害罪が成立するのは、他人に対して暴行を振るい「傷害した」場合です。

「傷害」とは「人の生理的機能を害すること」です。たとえばけがをさせることはもちろん「傷害」ですし、それ以外にもノイローゼにさせたり、感染症にかからせたりすることも「傷害」となります。

傷害罪が成立するのは、以下のような場合です。

  • 相手を殴ったり蹴ったりしてけがをさせた
  • 相手を押し倒してけがをさせた
  • 相手の耳元で怒鳴り、相手の鼓膜が破れた
  • 毎日相手を怒鳴り続けたため、相手がノイローゼやうつ病になった
  • 相手に病気をうつした、病原菌に感染させた
  • 相手を食中毒にさせた

ケンカをして相手にけがをさせたら傷害罪が成立します。

傷害罪の刑罰

傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法204条)。暴行罪とは違い、拘留や科料の刑罰はありません。

過失傷害罪について

傷害罪は、過失によっても成立します。たとえば不注意で重い物を倒してしまったときにたまたま近くにいた人がけがをしたら過失傷害罪が成立します。過失傷害罪の刑罰は、10万円以下の罰金または科料であり、非常に軽いです(刑法209条)。

ケンカと過失傷害罪

ケンカをしたときに過失傷害罪になることはあるのでしょうか?

たとえば、「自分としてはけがをさせるつもりがなかったけれど、相手をこづいたら転倒してけがをしてしまった」場合、故意がないから過失傷害罪になると考える人もいます。

しかしケンカの場合、通常過失傷害罪にはなりません。

過失傷害罪が成立するためには、結果を予測できず回避もできないことが必要です。これらの予測可能性と回避可能性については、通常の一般人の感覚で判断されます。「行為者自身が予測できなくても、普通は気づくだろう」という場合には故意があると考えられるのです。

ケンカをして相手をこづいたり怒鳴りつけたりしたら、相手が怖がって転倒したりけがをしたりすることは通常予測の範囲内なので、「その程度で相手がけがすると思わなかった」と言っても故意が認められ、通常の傷害罪が成立します。

傷害致死罪について

傷害罪を一歩推し進めて、傷害致死罪についても知っておきましょう。

傷害致死罪とは、暴行の結果相手が死亡してしまった場合に成立する犯罪です。暴行をして相手がけがをしただけですめば傷害罪ですが、相手が死亡したら傷害致死罪となります。

傷害致死罪では、人の死亡という重大な結果が発生しているので、刑罰も大変重くなります。法定刑は、3年以上の有期懲役刑です(有期懲役刑の長期は20年)。

傷害致死罪と殺人罪との違い

ケンカで相手を死なせてしまった場合、傷害致死罪では済まず、殺人罪として立件されるケースもあるので注意が必要です。傷害致死罪と殺人罪とでは何が違うのか、押さえておきましょう。

傷害罪と殺人罪の根本的な違いは「殺人の故意(殺意)」です。暴行を振るうとき、「相手が死んでも良い」と思っていたら殺人罪、「相手が死ぬはずがない」と考えていたら傷害致死罪ということです。

「殺意」についても通常の一般人の感覚によって判断されます。自分だけが勘違いをして「相手が死ぬはずがない」と思い込んでいても、誰が見ても相手を死なせるような行為をしていたら殺人の故意が認められます。たとえば、相手にナイフを突き刺しながら、自分では「この程度で相手が死ぬはずがない」と考えていても殺人罪です。普通の感覚では「ナイフを突き刺したら人が死ぬかもしれない」、ということは明らかだからです。

つまりケンカをするとき、あまりに危険な暴行をして相手が死亡したら、自分では殺す気がなかったと言い訳しても殺人罪が適用される可能性が高くなるので注意が必要です。

殺人未遂罪と傷害罪の違い

傷害罪に関しては「殺人未遂罪」との違いも意識しておく必要があります。

殺人未遂罪は、相手を殺そうとしたけれど失敗し、相手が死ななかった場合に成立します。たとえば相手をナイフで刺そうとしたけれど相手にかすり傷を負わせただけで逃げられたために刺さらなかった場合などです。

このようなとき、外形的には「傷害罪」と同じように見えます。一体何が違うのでしょうか?

殺人未遂罪と傷害罪の違いも、やはり「殺人の故意」です。相手に暴行を振るうときに「相手が死ぬかもしれない」と認識していたら殺人未遂罪ですし、「死ぬ可能性はないと思っていた」ならば傷害罪です。

ただし先ほども説明したように、本人が死なないと思い込んでいても、通常の一般人の感覚で「明らかに相手を殺してしまう行為」をしていたら、殺人の故意が認められます。相手を死なせるほどの危険な行為をしておきながら「死ぬとは思っていなかった」と言っても傷害罪にしてもらうことは困難で、殺人未遂罪とされてしまう可能性があります。

暴行と傷害の関係

暴行罪と傷害罪はとてもよく似た犯罪で「区別が難しい」と思われていることも多いのですが、実際にこの2つには密接な関係があります。

暴行を振るったときに、「相手がけがをしなかったら暴行罪、相手がけがをしたら傷害罪」という関係です。

ケンカの際には相手を殴ったり蹴ったりするものですが、相手が運良く無傷なら暴行罪が成立しますし、相手が少しでもけがをしたら傷害罪が成立します。

ケンカで暴行罪が成立するケースと傷害罪が成立するケース

ケンカをしたときに暴行罪が成立するケースと傷害罪が成立するケースをまとめると、以下の通りです。

暴行罪になる場合

  • 相手を怒鳴りつけたが、無傷だった
  • 相手を殴ったり蹴ったり押し倒したりしたが、けがをしなかった
  • 相手の胸ぐらをつかんだが、相手は平気だった

傷害罪になる場合

  • 相手を殴ったり蹴ったりして、けがをさせた
  • 相手を押し倒したら、相手が頭を打ってけがをした
  • 相手ともみ合いになり、気づかない間に相手がすり傷を負っていた
  • 相手を怒鳴りつけたら、相手がめまいを起こして倒れた
  • 相手の胸ぐらをつかんだとき、皮膚に爪が当たってひっかき傷ができた

ケンカしたとき、自分では意識しなくても、相手がけがをしている可能性があります。そのときにはけがをさせたことに気づかなくても、後から被害者が病院に行って診断書などを提出してくるケースもあります。そのようなときには、暴行罪ではなく傷害罪として処断されます。

暴行罪・傷害罪の示談金額の相場

暴行罪や傷害罪が成立すると、加害者は被害者に対して損害賠償をしなければなりません。暴行や傷害は民法上の「不法行為」となるからです。

不法行為にもとづく損害賠償金が、一般的に言われる「示談金」です。暴行罪と傷害罪では、それぞれどの程度の賠償金を支払う必要があるのか、みてみましょう。

暴行罪の示談金

暴行罪の場合の示談金額は、数万円~30万円程度までになることが多いです。暴行罪では被害者がけがをしていないことが前提なので治療費等が発生せず、支払いが必要になるのは「慰謝料」のみです。

慰謝料は精神的損害に対する賠償金なので、定まった基準はありません。暴行罪の法定刑の上限が30万円ということもあり、一般的にはその程度の支払いで解決できるケースが多くなります。

ただし示談は被害者が納得しないと成立しません。被害者が強く怒っており「加害者を許せない」思いが勝っていると、より高額な示談金を求められるケースもあります。また暴行の態様が悪質で被害者の命をも脅かされる状況であった場合や、被害者が未成年者の場合などには示談金が高額になりやすいです。

さらに加害者の社会的地位や収入が高い場合、30万円程度の慰謝料を支払っても反省の態度を示したことになりませんし、被害者も納得できないケースが多いので示談金の金額が大きくなりやすいです。

傷害罪の示談金

傷害罪の場合、被害者がけがをしています。そこで示談金の金額は、けがの程度によって大きく異なってきます。

傷害罪で支払いが必要になる賠償金の項目は、以下のようなものです。

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 雑費
  • 器具や装具の費用
  • 介護費用
  • 休業損害
  • 慰謝料
  • 逸失利益

けがの程度が酷くなると、上記のような損害が拡大するので賠償金の金額が上がります。

たとえば被害者が転倒してけがをしたとき、すり傷程度であれば治療費や慰謝料などを足しても数万円にしかならないでしょう。これに対して重大な後遺障害が残り、一生自分の足で歩けなくなった場合などには数千万円や1億円以上の損害賠償が必要になる可能性もあります。

危険な暴行行為によって相手に重傷を負わせると、加害者側も一生を棒に振る可能性があるので、そのようなことのないように十分注意しましょう。

暴行罪と傷害罪の違いまとめ

暴行罪と傷害罪の違いをまとめると、以下の通りです。

暴行罪 傷害罪
成立要件 相手に対して有形力を行使した(殴った、蹴った、怒鳴りつけた、塩や水を振りかけた)
相手がけがをしていない
相手に対して暴行を振るった
相手がけがをした
過失犯 ない ある
刑罰 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑
示談金の金額 数万円~30万円程度まで 傷害の内容により、数万円~1億円以上
実際に受ける処分の重さ 軽い 重い

暴行罪、傷害罪で早期に身柄を解放してもらう方法

ケンカをして暴行罪や傷害罪で逮捕されたとき、どうしたら早期に身柄を解放してもらえるのでしょうか?

被害者と示談する

重要なのは、被害者との示談を成立させることです。

被害者に暴行を振るったりけがをさせたりしたら「不法行為」が成立するので、民事的に賠償が必要なのは、法的に当然のことです。

ただ、被害者との示談は加害者の刑事事件に対しても大きな影響を与えます。被害者に対してきちんと被害弁償していることや民事的な賠償問題が解決されていること、被害者が加害者に対して宥恕(許すこと)していることなどは、加害者によって非常に良い情状となるからです。検察官による起訴前に示談が成立したら、暴行罪や軽めの傷害罪で初犯の場合などでは不起訴にしてもらえる可能性が高くなります。

不起訴になったらすぐに身柄を解放してもらえます。

反省の態度を示す

次に被疑者が反省の態度を示すことが重要です。反省している人は、自由になっても再びカッとなってケンカをしたりせず、おとなしく生活する可能性が高いと考えられるからです。

逮捕されたときに暴行や傷害が真実であれば、不自然な言い訳をしたり嘘をついたりせずにきちんと反省の態度を示しましょう。

ケンカの状況を正確に伝える

ケンカによる暴行や傷害でできるだけ処分を軽くしてもらうには、ケンカの状況を正しく伝えることも重要です。

ケンカの場合、捜査機関は双方から事情を聞きますが、相手は自分に有利になるために嘘をつくことが多いです。相手の言うままのストーリーを作られてしまったら、本来よりもこちらの情状が悪くなって起訴されてしまう可能性が高まります。

そこで相手の言うことに引っ張られずにそのときの本当の状況を警察官にわからせるべきです。警察は、相手のストーリーに沿って「こういうことだったのではないか?」などと細かく詰めてきますが、その都度自分の頭で考えて、当時の状況を正しく伝えましょう。

暴行罪、傷害罪で刑罰を軽くしてもらう方法

暴行罪や傷害罪で、不起訴にしてもらえず起訴されてしまったら、処罰を軽くすることが重要です。たとえば執行猶予をつけてもらったり、懲役刑の刑期を短くしてもらったり罰金刑にしてもらったりする必要があります。

暴行罪や傷害罪で刑罰を軽くしてもらう方法は、基本的には早期に身柄を解放してもらう方法と同じです。同じように情状を良くすると、刑罰も軽くなりやすいからです。

以下のようなことを行いましょう。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 反省の態度を示す
  • 家族などによる監督を期待できると示す
  • 前科や余罪がなく、突発的、出来心の犯罪であったことを強調する
  • 定職に就いていると示す
  • 被害者に嘆願書を提出してもらう

刑事弁護人を選任して上記を中心に弁護活動を展開してもらったら、必然的に刑罰は軽くなります。

ケンカで暴行罪、傷害罪になってしまったら弁護士に相談しよう

ケンカであっても相手に暴行を振るったら暴行罪ですし、相手がけがをしたら傷害罪が成立します。そのようなとき、なるべく処分を軽くするには弁護士に依頼して、早急に被害者との示談交渉を始めてもらい、取り調べに対応する際に必要なアドバイスを受ける必要があります。

放っておくと刑事裁判になり、実刑判決を受ける可能性も高まります。逮捕されたときにはお早めに弁護士に相談をして、刑事弁護人として選任しましょう。

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