痴漢(迷惑防止条例違反)の示談金の相場は?

駅のホームで女性の背後に立つ痴漢

痴漢(迷惑防止条例違反)の示談金 一般的な相場は?

示談金の相場は10万円から100万。一般的には50万円程度

迷惑防止条例違反となる痴漢行為で被害者と示談を行う場合、示談金の相場は10万円から100万円とされています。10万円から50万円ほどが一般的です。
このページでは迷惑防止条例違反に該当する痴漢の定義や示談金相場を、過去の判例もふまえて解説していきます。

「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」の違いとは?

痴漢行為によって成立する犯罪は主に2つあり、痴漢行為の内容によって、今回紹介する「迷惑防止条例違反」と、「強制わいせつ罪」に分かれます。それでは痴漢行為がどのような基準で、迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪の2つに分けられているのでしょうか?

迷惑防止条例違反とは?

迷惑防止条例」とは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、生活の平穏の保持を目的とする条例です。具体的には、痴漢や、盗撮、ストーカーなどの事件で適用されることが多くなっています。

「迷惑防止条例」は47都道府県などで、制定されており、都道府県によって名称や内容に違いがあることがあります。ちなみに、代表的な都道府県の迷惑防止条例は、下記のような名称となっています。

  • 「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(東京都)
  • 「神奈川県迷惑行為防止条例」(神奈川県)
  • 「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(名古屋)
  • 「京都府迷惑行為防止条例」(京都府)
  • 「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(大阪府)
  • 「福岡県迷惑行為防止条例」(福岡県)

痴漢(迷惑防止条例違反)の裁判例

迷惑防止条例違反として起訴され、平成19年10月16日に東京地裁で行われた裁判の判例を紹介します。

事件内容

加害者が、平成18年9月13日午後10時8分ころから同日午後10時10分ころまでの間、京浜急行電鉄の品川駅から蒲田駅間を進行中の京浜急行本線電車内で、乗客の当時17歳の被害者女性に対し、スカートの上からその臀部付近を両手でなで、さらに、被害者のスカートを右手でたくし上げ、パンティの上からその臀部付近を右手でなでるなどした事件です。

判決

判決では、懲役4月の実刑が言い渡されました。

被告人は過去にも痴漢行為を行っており、平成10年6月16日に電車内で女性の両膝を触るなどした痴漢行為による迷惑防止条例違反により罰金5万円に処せられており、さらに、平成17年3月23日に、女子高生のスカート内をのぞき見る目的で、手鏡を差し出したとする同条例違反で罰金50万円に処せられていました。

このように、被告人はすでに2回にわたって痴漢行為によって、罰金刑に処せられていたことなどから、もはや社会内での更生は期待し難いとされ、迷惑防止条例違反でしたが懲役刑の実刑となりました。

痴漢行為の内容の違い

迷惑防止条例では「衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」、強制わいせつ罪では「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすること」が罪になると定められています。この定義ですと少しわかりにくいと思いますので、簡単に違いをまとめると下記のようになります。

  • 迷惑防止条例違反→「服の上から被害者の体を触る」
  • 強制わいせつ罪→「被害者の服の中に手を入れて触る」

このように、服の上から触ったか、服の中にまで手を入れたか、というのが迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪の違いとなります。

刑事処分の内容の違い

「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」では痴漢内容に違いがありましたので、当然刑事処分についても差が出てきます。

強制わいせつ罪の刑事罰は刑法で定められていますので全国共通ですが、迷惑防止条例違反の場合は、地域や違反内容によって変わってきます。しかし、東京都、愛知県、大阪府など、多くの都道府県では刑事罰が共通となっており、迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪の刑事罰は以下のようになります。

  • 迷惑防止条例違反→「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」
  • 強制わいせつ罪→「6月以上10年以下の懲役 」

迷惑防止条例違反の場合は、罰金刑もあるため略式起訴になる場合もありますが、それに対して、強制わいせつ罪は懲役刑のみとなっています。

逮捕された場合に示談は必要か?

示談とは

示談とは、裁判などの判決によって解決するのではなく、被害者との話し合いで和解することです。

示談では、反省しているという誠意を示すために、一定額の示談金の支払いを条件としてまとまる場合が多いです。示談金の額についても、被害者との話し合いで決めるのですが、民事裁判をした場合に認められる慰謝料などの金額が相場となります。示談金の相場については、後程詳しく説明します。

示談の流れ

示談の流れとしては、まずは相談を受けた弁護士が警察に、被害者の連絡先を聞きます。被害者から、弁護士に連絡先を伝えることの同意が得られた場合には、弁護士が被害者との示談交渉を行うことになります。

示談が成立した場合には、示談書を作成します。示談書には、事件の内容、示談金の金額などの示談条件、加害者への処罰感情についてなどを記載して、両者の署名・捺印をすることになります。その場で現金の引き渡しもする場合には、領収証の作成も行います。

また、示談交渉前に、加害者が被害者に謝罪文を書くことで、示談を受け入れてもらう可能性を上げることができる場合もあります。謝罪文の内容としては、加害者への謝罪の意思、具体的な対策(電車通勤をやめて、自転車通勤をするなど)、今後の更生の決意などを、記載することになります。謝罪文の内容や事情によっては、謝罪文が逆効果になる場合もありますので、謝罪文についても弁護士に相談すべきでしょう。
示談までの流れをまとめると、下記のようになります。

  1. 弁護士へ依頼する
  2. 場合によっては、謝罪文の作成を行う
  3. 弁護士が警察に被害者の連絡先を聞く
  4. 弁護士に連絡先を伝える事を、警察が被害者に確認する
  5. 警察から被害者の連絡先を聞く
  6. 弁護士が示談交渉を行う
  7. 示談が成立したら示談書の作成を行う

示談のメリット

早期釈放される

痴漢で逮捕されると、勾留までの手続で最大3日、さらに勾留されると、拘置所や留置所といった施設での生活を最大20日間することになり、合計で23日間ほど拘束される場合があります。これほど長期間の拘束をされると、職場を解雇されたり、学校を退学にされたりするなど、これまで営んできた社会生活に重大な影響を及ぼす可能性が高くなります。

解雇や退学を避けるために、無罪を獲得しなければならないと思うかもしれませんが、起訴された場合の有罪率は99.9%とも言われており、一度起訴されると無罪を獲得するのはかなり難しくなります。

そのため、痴漢で逮捕された場合には不起訴を勝ち取ることが重要で、不起訴処分を勝ち取る主な方法としては、「被害者との示談を成立させる」ことになります。不起訴が決まった時点で保釈されることになりますので、早めに被害者との示談を成立させることで、勾留後であっても、早期釈放をされる可能性が高くなります。

前科がつかない

通常の場合は、前科が企業などに知られるということはありませんが、大人になってからついた前科は一生データベースに残り続けます。前科は、メディアなどで実名報道されているなどの事情がなければ、通常、企業などに知られるおそれはありませんが、それでも噂などで伝わることはあり、就職などに悪影響与えることもあります。また、職業によっては、受けた刑事罰によって就くことができなくなるものもあります。

もう一つ前科がつくことのデメリットとしては、捜査機関は前科照会をすることができますので、再度の刑事罰を受ける際には前科も考慮され、刑事罰が重くなる場合もあります。上で紹介した迷惑防止条例違反の判例でも、今までの前科が考慮され、懲役の実刑判決が行われていました。

起訴前に被害者との示談が成立していると、不起訴となる可能性が高くなります。不起訴となった場合には、起訴されていませんので、裁判になることもなく、前科がつくことはありません。

刑事処分が軽くなる

ここまで紹介した示談をすることによるメリットは、「早期釈放される」、「前科がつかない」という2つでしたが、これらは示談によって不起訴となることが前提のものでした。しかし、捜査などの結果、痴漢行為が悪質だと判断されたりすると起訴されて、裁判になってしまう可能性も全くないわけではありません。

その際、示談が成立していると、その点も考慮されて、刑罰が軽くなりますので、万が一起訴されたとしても、迷惑条例違反であれば罰金刑で済む可能性が高くなります。

示談は自分でもできる?

結論からいうと、自分自身で示談の交渉を行うことはほぼ不可能と考えた方がよいでしょう。

痴漢をされた被害者は、当然ですが、直接加害者と会うのを嫌がりますので、連絡先などを加害者に教えるということはほぼあり得ません。会ったとしても被害者感情を害する可能性も高く、上手く示談をまとめられる可能性は低くなります。

また、示談金の調整や、示談書の作成など、法律知識が求められる面もありますので、この点でも一般の方が自分で示談交渉を行うことは難しくなっています。

痴漢(迷惑防止条例違反)での示談金の相場

示談金の額については、被害者との話し合いで決めるのですが、民事裁判をした場合に認められる慰謝料などの金額が相場となります。迷惑防止条例違反となる痴漢の場合、示談金の相場は10万円から100万円とされており、一般的には10万円から50万円ほどになることが多くなります。

痴漢(迷惑防止条例違反)の示談例

平成13年6月6日午後6時10分ころから午後6時50分ころまでの間、神戸市内の駅にて、着席中の当時15歳の女子高校生の隣に座り、右手で同女の左太股を制服の上から繰り返し撫でるなどした事件がありました。

この事件では、加害者から被害者に対し10万円が支払われて示談が成立し、示談書には、被害者も加害者を許し、実刑判決までは求めない旨の記載がされました。

示談金の額が変動する要因

実際には、刑事事件でなるべく早く不起訴を勝ち取るためにも、相場よりも高い金額で示談を行ったりする場合もありますし、個々の事件の事情によって示談金は変わってきます。代表的な示談金の額が変動する要因を紹介します。

痴漢行為の内容

痴漢行為の内容によっても示談金額は変わってきます。迷惑防止条例違反であれば、服の上から被害者に触ったことになります。しかしそれが、スカートの上からなのか、スカートの中に手を入れて下着の上から触ったのか、犯罪行為が1回のみなのか、毎日繰り返し行われたのかなどによって、示談金額に影響を及ぼします。

被害者の精神的苦痛

示談金は、被害者に許してもらうために支払うものですので、痴漢行為による被害者の精神的な苦痛が大きい場合には、示談金もその分高額になります。

痴漢行為の内容と同じように思うかもしれませんが、精神的苦痛は感情的な部分ですので、同じ行為であっても被害者の年齢や性格などによって差が出てきます。そのため、1度の痴漢であっても、毎日痴漢をされた被害者と同等の大きな精神的苦痛を受けていることも考えられます。

加害者の社会的地位

加害者の社会的地位などによっても示談金は変わります。例えば示談金が20万円だとして、加害者が上場企業の役員であれば、簡単にお金で解決しようとしているようにも思えますし、フリーターであれば、反省していてできる限りのお金を出したように感じられます。示談までの態度などもありますが、お金を持っている人ほど、反省の意を示すための示談金は高額になります。

加害者の前科

加害者に前科があるような場合には、刑事罰も重くなりますが、示談金の金額にも影響を与えます。前科がある場合には、不起訴になるための示談の必要性が高かったり、反省していると思ってもらうことが難しかったりするため、示談金も上がることになります。

痴漢(迷惑防止条例違反)の刑事罰と示談金の相場まとめ

痴漢(迷惑防止条例違反)の刑事罰と示談金の相場は下の表のようになります。

罪名 刑事罰 示談金の相場
痴漢(迷惑防止条例違反) 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 10万円~100万円

示談をすると不起訴となる確率が高く、不起訴となれば釈放され前科がつかなくなります。また、起訴となった場合でも刑事罰が軽減される可能性が高いです。そのための示談金の相場は、10万円~100万円ですが、変動する主な要因は、下記の4つになります。

  • 痴漢行為の内容
  • 被害者の精神的苦痛
  • 加害者の社会的地位
  • 加害者の前科

示談交渉は、弁護士に相談しましょう

痴漢で逮捕されると「会社を解雇される」、「学校を退学になる」など、これまで営んできた社会生活に重大な影響が与えられる可能性があります。しかし、早期に弁護士に依頼して示談が成立すると前科もつくことなく、スムーズな社会復帰をできる可能性が高まります。

痴漢をされた被害者は、直接加害者と会うのを嫌がりますし、会ったとしても被害者感情を害する可能性も高く、上手く示談をまとめられる可能性は低くなりますので、自分自身で示談の交渉を行うことはほぼ不可能です。

示談によって不起訴を勝ち取るには、早めに示談を成立させなければなりませんが、示談交渉から示談成立までの間には被害者が検討する時間などもあります。そのため、逮捕直後や勾留直後など、早めに示談交渉に向けて動き出さなければなりませんので、迷惑防止条例違反として痴漢で逮捕されたらすぐに刑事事件に強い弁護士へ相談するようにしましょう。

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