家族や友人(知人)が横領や窃盗を!刑事事件に巻き込まれたらどうする?

新聞で知ってビックリ

家族や友人、知人が横領や窃盗で逮捕されたときにまずできること

まずは気持ちを落ち着ける

家族などの身内の方が逮捕されると、通常は警察から電話がかかってきて逮捕の事実を知らされるものです。

逮捕されたのが友人や知人であれば、被疑者に適当な身内がいない場合に所持品などから友人を割り出されて警察から連絡されることがありますし、被疑者の家族から「実は息子が逮捕された」などと聞かされることもあるでしょう。

このように、家族や友人知人などの身近な人が逮捕されてしまったと聞いたら、何から始めたら良いのでしょうか?

必要なのは、まずは気持ちを落ち着けることです。そして、以下のような手順で必要な対応を進めていきましょう。

  • 被疑者本人の留置場所や事件名を確認する
  • 当番弁護士を呼ぶ
  • 弁護士に相談する
  • 被疑者本人に接見に行く
  • 必要な物を差し入れる
  • 身元引受人になる

以下で、それぞれについて、詳しく見ていきます。

留置場所や事件名を確認する

警察から家族が逮捕されたと聞かされたら、まずは被疑者が留置されている警察署と事件名を確かめましょう。身柄拘束の場所が分からないと、面会に行くことも差し入れもできませんし、弁護士に接見に行ってもらうときにも説明できないからです。

また、事件名(罪名)とだいたいどのようなことで捕まってしまったのか、教えてもらえる範囲で確認しましょう。

横領や窃盗(万引き)なのか、それとも事故や殺人をしてしまったのか、それによって弁護士への対応も変わってきます。

これらのことも、弁護士に接見に行ってもらうときに伝える必要があります。

当番弁護士を呼ぶ

被疑者が逮捕された段階では、家族が面会しようと思っても面会させてもらえないケースが多いです。身柄拘束が逮捕から「勾留」に切り替わると家族も接見できるようになることが多いのですが、「逮捕」の期間は警察が身内の人にも面会を認めないからです。

逮捕後勾留までは約3日間ですが、このときに被疑者本人と面会できるのは、弁護士のみです。そこで、家族や友人知人などが逮捕されて勾留前の段階であれば、まずは弁護士に接見に行ってもらうことが重要です。心当たりの弁護士がいればその方に連絡をすると良いですが、いない場合には「当番弁護士」を利用することをお勧めします。当番弁護士とは、弁護士に一度だけ無料で接見に行ってもらえる制度です。各都道府県の弁護士会で受け付けているので、弁護士会のホームページなどで連絡先を調べて当番弁護士の派遣を依頼しましょう。

なお、当番弁護士は逮捕勾留されている本人からも呼べるので、本人がすでに呼んでいる可能性があります。その場合、家族が連絡しても再度の派遣は認められません。当番弁護士は、一回だけ無料で利用できる制度だからです。

弁護士に相談する

本人に弁護士に面会に行ってもらう方法は、当番弁護士以外にもあります。それは「私選弁護人」として依頼する方法です。私選弁護人とは、被疑者が自分で選任する刑事弁護人です。当番弁護士とは違い、依頼者が自分で弁護士を選ぶことができるので、刑事事件に強い弁護士を選んで対応してもらうことができます。刑事事件は専門性の高い事件も多いので、できる限り刑事事件に積極的に取り組んでいる事務所の弁護士に依頼した方が有利になります。

先にご紹介した当番弁護士の場合、たまたまその日担当だった弁護士が接見に行くので、刑事事件に強い弁護士に担当してもらえるとは限りません。その意味で、接見に行ってもらうのであれば、私選弁護人の方が、メリットが大きくなります。そこで私選弁護人を選ぶときには、ネット上の情報等を参考にして、刑事事件に力を入れている弁護士を探して相談をしましょう。その上で、費用などの点についても確認してから依頼を出すと良いでしょう。

なお、たまたま担当してもらった当番弁護士を気に入った場合には、引き続いてその人を私選弁護人として選任し、対応を続けてもらうことも可能です。

被疑者本人に接見に行く

逮捕期間が終了して勾留に切り替わると、家族も本人に接見できる状態になります。
そこで、勾留決定が出たらすぐに本人に面会に行きましょう。ただし、家族が面会するときには、だいたい10~20分くらいの時間に制限されますし、捜査官が立会をするので自由に会話することはできません。それでも、被疑者は家族の顔を見るだけで安心するので、必ず面会に行くべきです。

なお、弁護士であれば、時間制限なく捜査官の立会もなく、自由に被疑者と面会することができるので、込み入った内容を伝えたいときや相談事がある場合などには、弁護士に伝言を依頼する方が良いです。その意味でも、早期に弁護士に対応を依頼しておくと安心感が高くなります。

必要な物を差し入れる

家族や友人、知人などが逮捕されて刑事事件になったとき、重要なのは被疑者の身の回りの「物」や「現金」です。留置場の中では、当然外と同じような生活を送ることはできず、被疑者は不自由な状態となります。中でも、生活に必要な最低限の物が欠乏すると、生活環境が大きく悪化します。そこで、被疑者の希望を聞いて、下着や上着、娯楽用の本や雑誌など、必要な物を差し入れてあげましょう。

また、留置場内でもお金が必要になるので、現金がない場合にもいくらか差し入れることをお勧めします。郵送や宅急便でも差し入れは可能です。

留置施設内に差し入れをするときには「差し入れできない物」があるので注意が必要です。
たとえば、ジャージやスウェットなどであっても、「ひも」がついているものや「ジッパー」のあるものなどは入れられないケースが多いです。差し入れる前に、留置管理係の人に「この物品を差し入れることができるのか、どのような物なら差し入れ可能か」確認しておく方が良いでしょう。

身元引受人になる

家族が逮捕されたとしても、微罪処分や在宅事件などになって釈放される可能性がありますが、その場合、「身元引受人」が必要になることが多いです。身元引受人とは、被疑者が社会に戻っても犯罪などを犯さず真面目に生活するように、被疑者を監督する人です。

被疑者が逮捕されたとき、すぐに釈放されることは少ないかも知れませんが、身元引受を求められたときにすぐに対応できるように心構えをしておきましょう。

接見禁止がついている場合の対応

事件によっては「接見禁止」という処分がつけられていることがあります。接見禁止とは、弁護人以外のあらゆるものと被疑者(被告人)との接触を禁じる処分です。逮捕と同時に接見禁止がつけられたら、勾留に切り替わっても家族が被疑者本人に面会することが認められません。手紙のやり取りも禁止されることが多いですし、差し入れすらできなくなるケースもあります。

共犯事件の場合や証拠隠滅のおそれが高いケースなどで接見禁止処分となる例が多いです。接見禁止処分をつけられると、家族が本人と接触できない期間がかなり長くなることが予想されます。勾留期間の10日~20日間は接見禁止処分がとれないことが多いです。

そこで、家族や友人、知人などが逮捕されたときに「接見禁止がついた」と言われた場合には、通常の事案以上に早期に弁護士に依頼することが重要となります。

横領、窃盗などの刑事事件で逮捕された後の手続きの流れ

逮捕

次に、家族や友人知人などが逮捕された後の手続きの流れを説明します。

逮捕後勾留まで

被疑者は逮捕されると、その後48時間以内に検察官のもとに身柄を送られます。このことを「送検」と言います。そして、検察官は「勾留」するかどうかを判断します。勾留が必要な場合には裁判所に勾留請求されて、送検後24時間以内に勾留決定が下ります。

逮捕期間中は身内でも面会が許されませんが、弁護士であれば面会できます。また、勾留が開始すると、通常は家族による面会も認められるようになります。ただし、接見禁止処分がついている場合には、勾留に切り替わっても家族や友人などは面会できず、面会できるのは弁護士のみとなります。

勾留後処分の決定まで

勾留されると基本的に10日間身柄拘束が継続し、その間被疑者は捜査官から取り調べを受けることになります。10日間で捜査が終わらない場合にはさらに10日間勾留期間が延長されるので、勾留期間は最大20日間となります。

勾留期間が満期になると、検察官が起訴か不起訴かを決定します。不起訴になったらその時点で被疑者の身柄は解放され、その犯罪事実によって再度逮捕されることはなくなります。

そこで、勾留中に不利な自白をとられないようにして、早めに被害者と示談するなどして被疑者の情状を良くすることが、早期の釈放や不起訴処分などにつながり、被疑者の不利益をなるべく小さくするためのポイントとなります。

起訴後判決まで

被疑者が起訴されると、刑事裁判となります。刑事裁判になると、裁判所が有罪か無罪か及び、有罪の場合には刑罰を決めて被告人に言い渡します。有罪になったら決まった刑罰を受けなければなりません。

日本の刑事事件は99.9%が有罪となるので、一端起訴されると無罪獲得は困難です。前科をつけたくなければ不起訴処分を獲得することが重要となります。

刑事事件で逮捕された時の初期対応の重要性

弁護士探し

家族や友人、知人などが逮捕されたときには、初期対応が非常に重要です。以下で、その理由をご説明します。

虚偽の自白をしてしまうリスクを減らせる

窃盗や痴漢、暴行や薬物事犯など、逮捕される犯罪はさまざまですが、逮捕された被疑者は非常に気が動転してしまうことが多いです。特に、今まで一度も逮捕されたことがなかった初犯の方にとっては逮捕や勾留が初めての経験であり、プレッシャーも強くなります。そのような状況下において、捜査官から厳しく取り調べを受けて罪を追及されると、ついついやってもいないことまで自白してしまうものです。完全な虚偽ではなくても、必要以上に悪質な犯人に仕立て上げられてしまうおそれがあるのです。

そこで、逮捕後すぐに弁護士を派遣して、弁護士から虚偽の自白の危険性を説明してもらい、被疑者の気持ちを落ち着かせて取り調べに対応できる判断力や精神力を身に付けさせることが必要です。

被害者との示談を進める必要性

刑事事件では、被害者との示談を成立させると被疑者に対する処分が軽くなります。起訴前の勾留中に示談が成立すると、犯罪にもよりますが、不起訴にしてもらえる可能性がかなり高くなります。

実際に不起訴処分を獲得するには、起訴不起訴の決定前に示談を成立させ、そのことを検察官に伝えて不起訴を申し入れなければなりません。身柄拘束される事件では、逮捕から処分決定まで最大23日間しかありません。弁護士に依頼したときに、逮捕されてから時間が経過していると、起訴されるまでに示談を成立させることが難しくなります。

そこで、身内が逮捕されたら、すぐに弁護士に対応を依頼して、被害者との示談交渉等の適切な防御活動をしてもらうことが必要となるのです。

早期対応に有利になる可能性が高い

弁護士に早期に対応を依頼すると、被疑者の立場が有利になる可能性が高くなります。たとえば、勾留前であれば、検察官に対して勾留請求をしないように申し入れることができますし、裁判所に対して勾留決定しないように働きかけることも可能ですし、勾留されてしまったとしても、勾留取消請求や準抗告などの手続をとることもできます。

被疑者が会社員の場合には、会社に対して出勤できない理由などを説明しなければなりませんが、弁護士であれば「今、事件の捜査中なので、確定した段階できちんとご報告します」などと説明し、会社に処分を待ってもらうことなどができます。もしも弁護士がいなくて家族が対応していると、会社が「無断欠勤が長すぎる」「犯罪を犯したのではないか」と疑い、解雇してしまう例などもみられるので、早めに弁護士に対応を依頼すべきです。

また、弁護士がついていたら、被疑者が初犯であること、家族による監督が見込めること、深く反省していることなど被疑者にとって有利な事情を拾い出して、検察官に対して不起訴を申し入れることなどもできます。

誰にでも逮捕の可能性がある!困ったら弁護士に相談を

刑事事件で逮捕されるなどということは、普段の生活とは縁遠いことですし、まさか自分や家族、友人知人などが突然逮捕されるなどとは誰も考えていないものです。

しかし、逮捕は意外と身近です。記事でも触れた通り飲み会などの席で羽目を外しすぎて他の客と喧嘩をしたら「暴行罪」「傷害罪」が成立する可能性があります。少しの出来心が原因で万引きをしたら「窃盗罪」となります。

会社のお金を少しずつ横領している間にどんどん金額が膨らんで「業務上横領罪」で逮捕されるケースもありますし、電車に乗っていて「痴漢」と間違われることもあるでしょう。普通の善良な市民であっても、交通事故を起こすと「過失運転致死傷罪」「危険運転致死傷罪」などの犯罪が成立して、懲役刑などの重い罪が適用される可能性もあります。

このように、ご自身もご家族も、誰にでも「逮捕」が現実的な問題であることを受け止めましょう。そして、大切な人が逮捕されてしまったときには、なるべく早めに刑事事件に強い弁護士に対応を依頼して、早期釈放や不起訴を目指すことが重要です。もしも身近な人が逮捕されたら、すぐに弁護士を探して相談をしましょう。

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