刑事事件の弁護士費用~相談料、接見費用、着手金、成功報酬など~
- 2018年8月3日
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- 刑事事件 弁護士の選び方
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刑事事件の弁護士費用
刑事事件の被疑者・被告人となってしまった場合、弁護士に手続きを依頼すれば自身に有利に進められるかもしれないと分かっていながらもためらってしまう理由は、弁護士費用は高い、というイメージがあるからでしょう。
しかしその費用対効果を見ると、裁判の判決で無罪を勝ち取れればもちろんのこと、刑罰が予想よりも少しでも軽くなったり、執行猶予が付いたり、裁判に至る前に不起訴で決着が着いたりする可能性があることを考え合わせれば、決して高額ではないという見方もできます。
逮捕直後に家族が相談に行くだけならば、それほど高い金額はかかりませんので、どのような項目で費用が必要なのか、金額はどれくらいなのかを確認し、弁護士を有効的に活用することをお勧めします。
弁護士の報酬は自由価格
弁護士の相談料金や成功報酬は自由価格であることも、一般人にとって依頼の敷居が高い要因のひとつかもしれません。弁護士個人が、あるいは弁護士が所属する法律事務所は、それぞれ自由な料金体系で依頼を受け付け、依頼人が納得して契約するのであれば、着手金や成功報酬がいくらでも問題がないのは事実です。
しかし最近は、インターネットで幅広く料金に関する情報を提供している弁護士や弁護士事務所も多く、昔のように想像もつかないという状況ではありません。初回相談は無料という弁護士もいますので、まずは気軽に弁護士に連絡を取り、相談に乗ってもらうのも良いでしょう。
インターネットで弁護士事務所の口コミ情報などを調べ、本当に必要な費用をしっかりと事前に説明してくれるかなど、評判を確かめるのも一手です。
正式に依頼する前に必要な費用
それでは実際に、弁護士に依頼するにはどのような費用が必要なのか見ていきましょう。まず、弁護士に刑事事件について相談しなければいけません。正式に弁護活動を依頼する前に、どのような手続きを助けてくれるのかを確認し、費用についても確認する必要があります。この際にも、時間が制限され、相談料といった名目で費用がかかります。
相談料の相場は1時間1万円程度という弁護士事務所が多いようですが、これは刑事事件かどうかに関わらず、どのような案件でも弁護士に相談をする際に必要な費用と考えて良いでしょう。
最近は依頼のハードルを下げるためか、初回相談は無料としている弁護士も多く、この費用を節約したい人は、インターネットなどで調べてみると良いでしょう。ただし、初回相談が無料だからといって、その後の費用が安いとか、クライアントのために懸命に動いてくれる弁護士かどうかはまったく別の話です。
初回の被疑者との接見費用
相談料は被疑者の家族や親族、関係者が弁護士事務所などに相談に行く際に必要なものですが、当然被疑者本人と弁護士は顔を合わせる必要があり、この時には接見費用というものがかかります。
被疑者本人と弁護士が、どういう方針で今後の手続きを進めていくかを話し合う重要な場となりますので、この費用は削減することは難しいと考えられます。接見費用の相場は、1回1万円~5万円程度とされていますが、被疑者がどこで身柄を拘束されているのかにもよります。
家族や親族、関係者が面会に行っても良いのですが、弁護士以外の接見はいつ認めてもらえるのか分からず、また実現しても時間が短くて、法律の専門家が行かないと肝心なところの相談ができない可能性が高いので、弁護士に初回の接見は依頼した方が良いでしょう。
ただしこれも、初回相談と同じで、初回接見費用が無料、あるいは接見費用を必要としない弁護士もいるようですから、依頼する前に確認しておきましょう。
弁護士に依頼すると決めてから必要な費用
正式に弁護士に刑事事件の弁護活動を依頼すると決めたら、まず必要な弁護士費用は着手金です。これは手付金の性格を持った費用で、相場は10万円~50万円程度と言われており、弁護活動の結果がどのようになっても、戻ることはありません。
着手金支払いのチェックポイント
着手金は、被疑者や被告人の弁護活動を行うにあたっての先払い報酬となり、この着手金が支払われた時点で、弁護活動が本格的に開始されるのが通例です。弁護士との契約が正式に成立したということになりますが、着手金を支払う前に確認しておかなければならない点がいくつかあります。
まず、この着手金による弁護活動はいつからいつまでか、という点です。刑事事件の弁護活動においては、逮捕から起訴・不起訴の処分決定まで、起訴から裁判で判決が下るまで、といった節目で、それぞれ違う契約として着手金の支払いを求める弁護士がいます。
また示談交渉を同時に進める場合は別の着手金が必要となる場合もあり、弁護士に一度依頼してしまえば、最後まで面倒を見てもらえると考えるのは間違っているのです。
逮捕されて身柄を拘束された被疑者が釈放されるケースは、微罪処分から不起訴処分、あるいは保釈に無罪判決などいろいろあるため、最終的に被疑者、あるいは被告人が刑事施設から釈放された時点で、弁護士との契約が終わると考えがちですが、弁護士側から見ると、身柄の解放とは関係なく、検察が起訴・不起訴の処分を決定するまでは契約期間だとする場合もあるわけです。
契約期間と範囲の確認はしっかりと
刑事事件の弁護活動においては、契約期間と範囲の確認をしっかりしておく必要があります。被疑者が起訴されてしまい、引き続き弁護活動が必要になった場合には、同じ弁護士に依頼することは可能なのですが、再び新たな契約をして着手金を支払わなければならないのが通例です。
普通の弁護士はこの料金システムを事前に説明しますが、中には依頼人が刑事手続きに無知なのをいい事にして、何度も契約を結び着手金を支払わせよう宇とする悪徳弁護士も実在するようです。
刑事手続きが終わってから必要な費用
次に重要なチェックするポイントは、成功報酬の支払いにおいて、弁護活動における成功とは何を意味するのかという点です。刑事事件において、弁護士は依頼人が望む結果を法の範囲内で実現するのが仕事になりますが、それは例えば、無罪になる、執行猶予を獲得する、不起訴になるといったものでしょう。
しかしこれらの結果がもたらされるのは、期限が決まっているわけでもなく、無罪と言っても複数の形があるのです。無罪を主張する場合、検察が起訴を諦めて不起訴処分になるか、裁判で無罪判決を受けるかという2通りになりますが、それぞれに必要な期間は大きく違います。
不起訴処分であれば比較的短期間で結果は出ますが、裁判で無罪を勝ち取るには、年単位の時間と費用が必要になることがあります。また実際に罪を犯している場合、無罪の主張などはできませんので、いかに刑を軽くするかというのが、弁護活動の成功と不成功を分けることになります。
起訴猶予での不起訴処分や、裁判で執行猶予判決が得られれば成功と言えるのかもしれませんが、一般的にはそれが成功なのかどうか、という疑問も残ります。
成功報酬確認のチェックポイント
以上のような理由で、弁護士と契約を結ぶ前に、弁護活動における成功とは何かという点を、詳細まではっきりとさせておくことが重要となります。
不起訴を目指していたのに起訴されてしまった場合、執行猶予を狙っていたのに実刑判決が下されたという結果では、弁護活動が失敗と言えるので、その場合に支払わなければならない報酬があるのかないのか、ということまで契約前に明確にしておかなければなりません。
弁護士報酬は自由価格ですから、成功しなければ成功報酬はゼロで結構、という豪気な弁護士もいますし、自身の意見を曲げず成功報酬を満額で支払わせようとする弁護士もいます。
後に揉めないように、弁護活動における成功とは何で、成功しなかった場合の報酬額もしっかり明文化してから契約することをお勧めします。しかし、刑事事件に関わる法律の専門用語など、数回の打ち合わせで理解しろと言われる方が無理です。
本当に親身になって考えてくれているかどうかを考えたり、また他の人がその弁護士事務所に依頼した場合はどういう感じだったのかを調べてみたりすると良いかもしれません。
諸経費などもしっかり確認する
弁護士に刑事弁護を依頼した場合に必要となる主な費用は、最初に支払う着手金と、最後に支払う成功報酬になりますが、それ以外の費用も必要となってきます。すべてのケースにおいて必要となるのは実費と言われる諸経費です。
弁護活動を行う上で必要な資料のコピー代、あるいは裁判で証言してもらう証人や示談交渉を行う被害者の元へ通う交通費など、諸経費は別に請求されるのが普通だと考えておくのが無難です。
資料のコピーや交通費くらいは、と軽く考えがちですが、裁判資料というのはものすごいボリュームの書類となり、コピー代だけで1万円を超えることは司法業界では珍しいことではないのです。
また交通費に関しても、示談交渉で訪れる被害者や、裁判で必要となる証人が近くに住んでいるとは限らず、例えば情状証人を被告人の家族に依頼する場合には、新幹線や飛行機を使って被告人の故郷まで出張する必要もあるでしょう。
弁護士への依頼において、着手金さえ払って、後は成功報酬だけ支払えば全部やってくれるということははまずあり得ず、弁護活動における諸経費は別途請求されるのです。事前にどれくらいの諸経費が見込まれるのか、支払いのタイミングはどうなのか、といったことを確認しておきましょう。
弁護士選びに大きな要素となる費用
諸経費については、良心的な弁護士かどうかを見極めるポイントと言えるかもしれません。遠隔地に出かける必要がある時に、新幹線のグリーン車や飛行機のファーストクラスに乗っておいて、費用は事後に請求するというタイプの弁護士よりは、数十部のコピーでも事前に承認を求めてくれる方が、もちろん親切な弁護士であると思われます。
これも揉める原因のひとつですので、契約するにあたって諸経費はある程度の金額を越える場合、事前承認を義務づけた方がいいでしょう。また、基本的な着手金と成功報酬の他に、数々のオプション料金が請求される場合があります。
例えば被疑者が逮捕後の勾留によって身柄が拘束されている場合、不起訴に向けての被害者との示談交渉は契約料金の範囲で行ってくれたとしても、勾留理由開示請求など被疑者自身の身柄の解放に関する活動は、別料金としている弁護士は珍しくないようです。
また、留置場や拘置所に身柄を拘束されている被疑者や被告人が、相談のために弁護士を呼ぶ度に日当や出張費を要求する弁護士もいます。
しっかりと説明してくれるかどうか確かめよう
刑事事件の弁護活動は、逮捕後からスタートして時間との勝負になりますので、あまりゆっくり比較検討している時間がないかもしれません。そういう時に、心情的にも混乱していると思われる家族や関係者、または被疑者本人が上記のような細かい所まで理解し、比較検討するのは非常に難しい作業です。
そのため、このサイトに記載されている項目だけでも抜き出し、これは必要なのか不要なのか、最初の相談で言葉の意味まで親身になって相談に乗ってくれる弁護士ならば、信用して良いのかもしれません。ただし、親身に応対してくれることが弁護活動の結果には直接つながらないことは理解しておきましょう。
世間一般から見て割高な弁護士費用を支払うことになっても、結果を重視するならば、刑事事件の経験と実績を十分に積んだ弁護士を探せば良いのです。
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