刑事裁判の手順(8)被告人質問・論告求刑

証拠調べの最後「被告人質問」

裁判

事件に対する質問を受け、被告人自ら直接発言する機会

刑事裁判は「証人尋問」を中心にして進められますが、そんな証拠調べの最後になるのは、被告人本人に対して行う「被告人質問」です。
「人定質問」や「罪状認否」では、裁判官の問いかけに被告人が答える機会がありました。しかしそれ以降の証拠調べでは、被告人は法廷にはいるものの、発言する機会は皆無です。

そんな被告人に対して、事件に関する質問を直接し、被告人自身も法廷で発言できるのが「被告人質問」だといえるでしょう。もっとも被告人質問も他の証人と同様、自由に話せるわけではなく、あくまで弁護人や検察官、あるいは裁判官の質問に対して答えるという形式で行われます。

証人と被告人の違い

被告人は嘘をついても大丈夫?

被告人質問は弁護側から始められるケースが多いのですが、「証人尋問」と同じように弁護側の質問が終われば、次は検察側からの質問があり、最後に裁判官からの質問になります(裁判からの質問のみ、ない事もある)。
つまり普通の証拠調べと流れは同じなのですが、通常の証人尋問と被告人質問には大きな違いがあります。
それは

  • 被告人には黙秘権がある
  • 被告人は嘘をついても偽証罪には問われない

という点です。

証人には原則として黙秘権は認められません。質問に対して何らかの答えをしなければならないわけです。
現実的な法廷テクニックとしては、言いたくない事は、
「記憶にありません」
「わかりません」
と答えればいいわけですが、嘘をつくと最悪の場合「偽証罪」として、後日、証人本人が刑事処分を受けることになります。

これは証人が質問を受ける前に
「嘘偽りなく、真実を申し述べることを誓います」
という「宣誓」をしているからです。
ところが被告人は、被告人質問を受ける前に宣誓をしません。
これは被告人は法廷内で嘘をついても、偽証罪の対象にはならないということを意味します。

もともと日本の刑事手続きは、“被告人(被疑者)は嘘をつく可能性がある”という前提で行われています。
罪を少しでも軽くするために、被告人が嘘をつく事を“自己防衛権”のひとつと認めているのは、日本の司法の特徴だとも言えるでしょう。(アメリカだと被疑者や被告人の嘘が発覚すると、偽証罪を問われて罪が重くなります。)

また通常は「罪状認否」の前に裁判官から、
「被告人には黙秘権があります。言いたくないことは言わなくても構いません」
という“黙秘権の告知”があります。つまり法廷内でも被告人の黙秘権は有効だという事です。

とはいえ、黙秘権告知の後に裁判官は、
「この法廷で被告人の話したことは、全て証拠となりますので注意してください」
と言います。実際に裁判官は法廷内における被告人の言動をすべて審理の材料にします。嘘がバレれば、当然裁判官の心証は悪くなり、判決の内容に影響するわけです。

罪を問い、刑を求める最後の機会「論告求刑」

検察官による最後の追及

被告人質問が終わると、検察官による「論告求刑」が行われます。検察官は改めて公判で明らかになった事実も含めて、再度事件のあらましと被告人の犯した罪をまとめて訴えるわけです。ただしこれはあくまで警察・検察側の目線で語る事件のまとめなので、それだけを聞くと、罪の内容に関わらず、被告人がとんでもない極悪人であるかのように聞こえます。

そして、検察官は、最後に
「被告人には、懲役○○年を求刑します」
と被告人に下されるべき量刑を裁判官に対して求刑します。

求刑の根拠「刑法」

裁判官の気分で決めているわけではない

検察官が行う求刑の内容は、「刑法」に基づいています。
刑法はご存知の通り犯罪の種類や、その犯罪を犯した場合の量刑が定められているものですが、犯罪ごとに決められた量刑には、大抵幅が持たされています。
たとえば「窃盗罪」だとその量刑は
“10年以下の懲役、若しくは50万円以下の罰金“
とかなり幅の大きいものになっているわけです。

窃盗の場合はコンビニで108円の駄菓子を万引きしても適用される一方、被害総額数百万円になるような銅線泥棒も、同じ窃盗罪になります。
検察官は被告人の反省の度合いや犯罪の計画性、あるいは初犯か再犯かといった事件の個性を考慮しつつ、過去の判例を当てはめ、もっとも妥当だと思われる量刑を決めています。

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