初公判とは?犯罪の種類や刑罰の重さで裁判所が決められる
- 2024年7月5日
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- 刑事裁判の進み方
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日本の裁判所
法律に違反した人を検挙するのは国の警察行政機関である警察庁や法務省管轄下の検察庁などですが、本当にその行為が罪にあたるのか、罪だとしたらどれくらいの刑罰を与えるかを決めるのは裁判所です。
日本における政治は、立法府である国会、行政府である内閣、司法府である最高裁の三権に分かれる三権分立の制度を採用しており、最高裁の管轄である裁判所はどの官庁にも属さず、独自の判断を下すことと定められています。
裁判所は、国民の権利を守って生活の平穏と安全を保つため、個人間などの法律的な紛争を解決し、罪を犯した疑いがある人が有罪か無罪かを判断します。
刑事事件のみならず、民事の紛争や家庭内の紛争、少年事件なども同じ裁判所で取り扱われ、裁判所は判決や審判を下したり、和解や調停を勧めたりする機能を有しています。
裁判所の種類
憲法第76条にも定められているように、日本の裁判所は最高裁判所およびその下級裁判所で構成されています。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
裁判所は最高裁判所と、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所および簡易裁判所の4種類の下級裁判所があり、管区やそれぞれの条件に該当する案件が取り扱われます。
裁判所は全国にある
最高裁判所は東京の一カ所だけですが、下級裁判所は全国に分布し、管区ごとの案件を取り扱います。
高等裁判所は本庁が札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8カ所に、支部が秋田市、金沢市、岡山市、松江市、宮崎市、那覇市の6カ所に設置され、知的財産に関する係争を専門に取り扱う知的財産高等裁判所が特別支部として東京に置かれています。
そして全国に配置されている地方裁判所は本庁が50カ所、支部が203カ所あり、家庭裁判所も本庁が50カ所、支部が203カ所、出張所が77カ所あり、簡易裁判所は438カ所となっています。
刑事裁判の初公判~簡易裁判所のケース~
日本で刑事裁判の起訴ができるのは検察庁の検事だけで、裁判においては検事が検察官として、罪を犯したとする被告人の罪を追及します。
一方、被告側は選任された弁護士が弁護人として被告人を弁護し、被告人の無罪を証明する、あるいは刑罰を少しでも軽くしようと弁護活動を行います。そして裁判の公判において、裁判所の裁判官が双方の主張を聞いた上で判決を下します。
以上が刑事裁判の基本ですが、刑事裁判に限らず、日本ではひとつの事件について原則として3回まで裁判を受けられる三審制を採用しています。この際、1回目の裁判はいきなり最高裁判所や高等裁判所で行われることはなく、刑事裁判で被告人が成人だった場合には、最初の裁判となる第一審は簡易裁判所、あるいは地方裁判所のいずれかで行われます。
簡易裁判所とは?
全国に438カ所ある簡易裁判所とは、裁判所の中で最も下級に位置する裁判所です。民事事件であれ刑事事件であれ、比較的軽微な紛争や犯罪を審理する場合、この簡易裁判所で公判が開かれます。
民事事件においては訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件について、そして刑事事件においては罰金以下の刑に該当する罪および窃盗や横領などの比較的軽い罪の事件などについて第一審、いわゆる最初の裁判が行われます。
罰金以下の刑とは、その犯罪に対して罰金刑だけが定められている犯罪や、罰金よりも軽いとされている科料や拘留が刑罰に規定されているものです。しかし犯罪によっては、罰金かつ懲役、罰金または禁錮など、刑罰の併用や選択が設定されているケースが少なくないため、簡易裁判所で初公判が行われる刑事事件は、基本的には罰金だけの刑罰で済むような事件に限られています。
簡易裁判所では、管轄の事件について罰金以下の刑または3年以下の懲役刑しか科すことができないため、これらを超える刑罰を科するのが相当だと認められる時には、事件をより上級の地方裁判所に移送しなければなりません。
但し、原則として審理次第で3年を超える懲役刑が科せられる可能性のある事件に関しては地方裁判所に審理が移動されますが、3年以下の懲役刑となる場合は地方裁判所と打ち合わせた上で簡易裁判所でも懲役の判決を下すケースもあるようです。
また、かつては迷惑防止条例違反で検挙された痴漢行為の裁判は簡易裁判所で行われていましたが、条例違反の刑事罰に懲役が追加されるようになって、痴漢事件は全て地方裁判所で行われるようになっています。
簡易裁判所で行われる簡易な処理
簡易裁判所では、民事事件や刑事事件について簡易に処理する特別な手続きも行われます。民事事件では、60万円以下の金銭の支払を求める事件について、原告が申し出て被告に異議がなければ、裁判所は原則として1回の期日で審理を終えて分割払などの判決を下すことができます。
刑事事件に関しても同様に被告人に異議がないときに限り、検察官の請求により管轄する事件について証拠書類だけを調べ、100万円以下の罰金又は科料を科することもできるのです。また法廷を開かないで書面審理だけで行われる略式命令も簡易裁判所で行われますが、この場合も、裁判官が科することができる刑罰は100万円以下の罰金または科料に限られます。
刑事裁判の初公判~地方裁判所のケース~
上記のように、実際に簡易裁判所で初公判が開廷されるような刑事裁判は、新聞にも載らない小さな事件が多く、例えばコンビニエンスストアでの少額の万引きや立小便を警察官に見咎められたなど、本当に公開裁判が必要なのかと首を傾げたくなるような事件がほとんどです。
簡易裁判所で初公判が開かれる事件は、基本的には必要的弁護事件ではありません。必要的弁護事件とは、弁護人を必ず被告人に付けなければならない事件のことですから、簡易裁判所での初公判に弁護人がいないケースもあります。
被告人自身にとってはどの刑事裁判も人生を左右する重大な局面なのですが、簡易裁判所で開かれる刑事裁判は、一般的な裁判のイメージからすると緊張感に欠けたものに映るかもしれません。素人目に見ても緊張感に満ちた刑事裁判は、やはり地方裁判所で開かれている事件となります。
地方裁判所とは?
地方裁判所は全国に50カ所あり、北海道の管轄区域が4つに分かれている他は、各都府県に置かれています。また地方裁判所支部が全国の203カ所に設けられています。
地方裁判所は原則的に、刑事事件の初公判が行われる第一審裁判所で、特別に他の裁判所が第一審管轄権を持つものを除き、すべての第一審を行うことができます。地方裁判所は地裁と略され広く知られていて、特に東京地方裁判所はニュースや新聞などで認知度の高い裁判所となっています。
民事事件においては金額にして140万円を超える訴えを提起した場合には、原則として地方裁判所で初公判を行うこととなり、刑事事件では簡易裁判所で第一審が行われる罰金以下の刑に該当する罪および窃盗や横領などの比較的軽い罪の事件などを除いて、地方裁判所で初公判が行われます。
地方裁判所で刑事事件の控訴審は行われない
被告人または検察が第一審の判決に不服がある場合、より上級の裁判所に控訴審の開催を申し立てることができますが、地方裁判所は原則として刑事事件の第一審が開催されるため、控訴審が行われることはありません。
より下級の簡易裁判所で第一審が行われた民事事件については控訴審が地方裁判所で行われますが、刑事事件の控訴審は地方裁判所を飛び越えて高等裁判所で行われることになっています。また家庭裁判所で第一審が開廷された場合も、控訴審は高等裁判所で開かれます。
裁判所のことを知っておこう
刑事事件で逮捕され、起訴されて被告人となってしまった場合、裁判がどこの裁判所で行われるのかはあまり重要ではなく、指定された裁判所に出向く、あるいは拘置所から移送されるのみですが、関係者にとってはどこの裁判所で裁判が行われるのかを知っておくことは大切です。
特に2008年から裁判への被害者参加制度が導入され、犯罪被害者や委託を受けた弁護士が訴訟に参加することが可能となったため、裁判の結果に影響を与える可能性が指摘されています。被告人の関係者が情状証人として裁判に参加することは可能なのですが、弁護人のサポートを受けて十分に準備はしていても、実際に裁判に臨むとなると緊張のあまりシミュレーション通りに証言できないこともあるでしょう。
どこの裁判所で公判が行われ、どんな大きさなのか、どれくらいの人が裁判に参加しているのかを知っておけば、少しは落ち着いて対応できるのではないでしょうか。実際に事件に関わることがなくても、裁判所の傍聴などを行って、知見を得ておくことは大切なことだと思われます。
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