刑事裁判の手順(1)人定質問

刑事裁判のスタート

手錠された手

出廷しているのが被告人本人なのかを確認することから始まる

刑事にしろ民事にしろ、裁判は決まった手順で進められていきます。刑事裁判でまず最初に行われるのは「人定質問」と言われる手続きです。
裁判の開廷時間になり、裁判官が法廷に現れて、公判が開始されると、まず裁判官が、
「被告人は前に」
と言って、被告人を証言台に立たせます。

そして被告人に対して、
「本名と生年月日は?」
と尋ねます。被告人が自分の本名と生年月日を答えると、今度は
「本籍と現住所は?」
と尋ねます。

これらの個人情報は裁判資料に書かれていますので、裁判官も知っているのですが、何も見ないで本名や生年月日、そして本籍と現住所を被告人が答えられることで、法廷にいるのが被告人本人であることを確認するわけです。

「人定質問」の意味とは?

実は被告人が別人だった事もある

被告人に保釈許可が下りず、起訴以来ずっと拘置所で身柄拘束されていた場合、身代わりが法廷に立つ事は不可能です。刑務官が誤って法廷を間違えたりしない限り、裁判で法廷に現れたのは実は別人だった…などという事態は普通起きないはずですが、実は日本の裁判で過去、被告人が別人だったという珍事は本当に発生したそうです。

裁判所では、そうした混乱を予防するために「人定質問」が行われます。また質問される被告人は、人生の中でそうそう体験することのない“裁判の法廷での証言”という場面に、相当緊張しているわけです。
そんな極度の緊張状態の中で名前や住所といった、判りきった質問をされることで緊張がほぐれるというメリットもあるでしょう。

事実、被告人が緊張のあまり、本籍や現住所を言い間違えたりする事は珍しくありません。裁判資料(普通は起訴状)に書かれた住所と、法廷で発言した住所に微妙な違いがあったりして、それを裁判官が優しく訂正することで、被告人の口調も落ち着いたものになっていきます。

とはいえ、人定質問の本来の意味はあくまで被告人本人であることの確認です。刑事裁判で被告人不在の審理(欠席裁判)は認められていないことから、被告人が必ず出廷していることを確認するために、判りきった本名や住所を聞くわけです。

人定質問では聞かれたくないことも聞かれる?

サラリーマンにとっては苦痛な“職業”確認

人定質問では本名や本籍、あるいは現住所のほか、“職業”も聞かれます。そして被告人が社会人の場合、
「無職です」
と答えることが多いでしょう。

裁判で聞かれるのは“現在の職業”です。逮捕から初公判まで、通常は3ヶ月ほど経っています。仮に保釈申請が認められ、一旦シャバに戻れたとしても、普通は勤めていた会社に被告人が逮捕されたことは伝わってしまっているわけです。
自分の会社の社員が刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合、その時点で解雇されるケースは多く、裁判が開かれる頃には“無職”になっているケースが多いことになります。

自営業であれば、別に逮捕された事によって職を失う事はありませんが、被告人がサラリーマンだった場合、裁判で現在の職業を聞かれることは苦痛でしょう。

氏名不詳の人間でも裁けるか

身柄拘束している刑事施設での呼称番号で起訴が可能

日本の司法システムは、被疑者や被告人に「黙秘権」があることを認めています。つまり、現行犯で逮捕された場合、ずっと本名すら明かさず、完全黙秘を貫いていた場合、警察や検察は被疑者の名前がわからないわけです。
もちろん今は警察・検察のデータベースは充実していますので指紋を採って、過去のデータに照会をかければ、前科や逮捕歴から黙秘を続ける被疑者の正体はすぐにバレてしまいます。

ところが、もしその被疑者に前歴データがなかった場合、正体はわかりません。氏名不詳の場合は起訴できないかといえば、氏名・年齢不詳のまま起訴は可能です。
この場合、被告人の呼び名は
「○○署留置管理課留置番号××番、別添写真の男」
と身柄が拘束されている刑事施設での呼称番号で呼ばれます。

無意味な黙秘は刑が重くなるだけ

正式名称で呼ぶのは、人定質問の最初だけで、実際の公判では単に「留置番号××番」と呼ばれますが、裁判官は人定質問の際、添付された顔写真と被告人の顔を見比べることで個人を特定するわけです。
警察や検察の厳しい取調べを乗り越えて、自分の名前すら明かさない強靭な精神力を持った人間がいるのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、完全黙秘を続けて「留置番号××番」のまま裁判を受けた強者は実在し、最近では2014年に窃盗で捕まった被疑者が“名無し”のまま裁判を受けました。

もっともこの場合、正体不明なのですから逮捕後、保釈も絶対にされませんし、裁判で有罪が確定すれば実刑も確実です。何か信念があればともかく、無意味な黙秘は刑が重くなるだけだと思った方がいいでしょう。

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