取調べでの心得(3)黙秘権は使えるか?

黙秘権

「黙秘権」は憲法でも保障されている?

刑事事件の手続きを具体的に定めた法律は「刑事訴訟法(通称:刑訴法)」です。
刑訴法には、被疑者や被告人が刑事手続きの中で、自分が言いたくないことは言わなくてもいい「黙秘権」が当然のように保証されています。
そんな黙秘権ですが、実は刑訴法だけではなく、憲法の一説でも、黙秘権の根拠とも言える条文がうたわれています。

日本国憲法 第三十八条

  • 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
  • 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
  • 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

この条文が、すなわち「黙秘権の保障」を明言するものなのか、は法学者によって解釈が分かれるところですが、こうした表現がわざわざ憲法に書かれているのは、過去、大日本帝国時代の官憲による刑事手続きの中で、供述の強要が存在したことを暗に示しています。
歴史的背景をふまえ、日本国憲法がうたう個人の尊重・幸福追求権に反する行いとして、「供述の強要」は憲法レベルで否定されているのです。

このように、「黙秘」は、たとえ被疑者や被告人という立場であっても、刑訴法ならびに憲法でも認められている、警察や検察の捜査に対する正当な対抗策です。

とはいえ、被疑者や被告人が黙秘権を行使することで、捜査する側には
“都合が悪いことだから黙っている=反省していない”
という印象を与える可能性が少なくないことは、理解しておく必要があるでしょう。
警察や検察からすれば、捜査の妨げをされるわけですから、当然の流れとも言えます。

黙秘権とは“何も話さない権利”

黙秘していいのは「都合の悪いこと」だけではない

「黙秘権」というのは、自分にとって都合の悪いことは話さなくてもいい権利だとされています。しかし黙っているのは、必ずしも自分の都合の悪いことだけではなく、自分の有利になるような話も話さないでいい権利です。

有利なことであれば、包み隠さず話せばいいじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、世の中には自分の思いを上手く伝えられない口下手な人も少なからず実在します。
刑事手続きにおいて、被疑者や被告人が絶対に証言しなければならないというルールだと、そうした口下手な人はそれだけで、相当不利な立場になってしまいます。

また口が上手い人であっても、刑事手続きではその方面の法知識がないと、警察や検察といったプロによる尋問によって、言いくるめられてしまうおそれがあります。
このような、その人の個性や知識不足による不利益を被らないために、被疑者や被告人へ適正なアドバイスをしてくれるのが「弁護人」であり、尋問による追求を回避する方法が「黙秘権」なのです。

刑事手続きにおける「黙秘」の実際

現実的には、黙秘権は通用しない?

では実際の刑事手続きの場で、黙秘権がどの程度通用するかというと、余程強い意志をもった人でなければ、黙秘を貫くことは難しいでしょう。
というのも、警察・検察には長年の捜査を続けてきたノウハウがあります。黙秘をする被疑者の供述を引き出すためのテクニックを色々と身に着けているからです。

基本的なパターンとして警察・検察は、
「黙っているということは、言うとマズいことがあるんだろう?」
と、容疑通りの行為をしているから黙っていると断定する態度で、自白を迫るロジックです。

こうしたロジックをベースに、怒鳴りつける者、猫なで声で懐柔を図る者、あるいは無言でジッと被疑者を睨み続ける者など、取調べをする刑事や検事により、様々な手法がありますす。
“取調べのプロ”相手に、黙秘を貫くことは並大抵なことではありません。
冤罪が明らかになった事件でも、捜査段階で嘘の自白をしてしまったケースはよくあります。これは必ずしも、冤罪を被ってしまった人の意思が弱いわけではありません。鉄の意志を持った人でなければ、実際の取調べ現場では、警察・検事の追及に屈せず、意志を貫くこと自体が困難である、ということです。

黙秘権を使う場合は、弁護士のアドバイスを受けよう

それでは黙秘権がまったく無意味かといえばそうでもありません。
黙秘権を行使するという事は、警察・検察に供述調書を作らせないという事です。これは自白以外有罪の立証が困難な事件の場合、不起訴に持ち込むための非常に有効な手段になります。
逆に言えば、本人が黙っていても有罪を証明する物的証拠が山ほどある場合は、下手に黙秘権を使うと心証が悪くなり、無駄に罪が重くなってしまうわけです。

とはいえ、刑事事件に巻き込まれた場合、警察の捜査官や検察の検事といった連中は全て刑事手続きのプロである一方で、捕まった被疑者だけが“刑事手続きの素人”になります。
特に警察の捜査官に言われるがまま、事実以上の罪を被らないよう、逮捕された直後に「弁護士と話すまで、何も喋りません」というのは大変有効な手段です。

身柄を拘束された場合、刑事事件が得意な顧問弁護士を知っているのがベストですが、最悪でも当番弁護士は誰でも呼ぶことができます。
冤罪である場合はもちろん、逮捕容疑通りの犯罪を犯している場合でも、まずは弁護士のアドバイスを受けてから取調べに望むべきです。

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