痴漢冤罪の相手が許せない!弁護士なら名誉毀損で訴えられる?

電車内トラブル、痴漢冤罪

弁護士は痴漢冤罪の相手を名誉毀損で訴えられる?

痴漢冤罪に巻き込まれると、身に覚えのないことで被害者を名乗る女性に、電車の中や駅のホームなどの公共の場で痴漢だと大きな声で言われ、場合によっては逮捕されるなど多大な被害を受けることもあります。そうなると、自分に痴漢の濡れ衣を着せた女性を許せないと感じ、処罰感情を持つ場合もあると思います。

このような場合、弁護士に相談することで、ケースによっては相手の女性を名誉棄損で訴えることができる場合もあります。このページでは痴漢冤罪に巻き込まれたときに、相手の女性を名誉毀損で訴えることができるかや、名誉毀損罪にあたるのはどのような行為であるかや、どのような処罰がされるのかについて説明します。また、痴漢冤罪の相手を訴えることのできる名誉毀損以外の罪として、虚偽告訴罪についても説明をしています。

名誉毀損罪とは?

まず、名誉毀損罪とはどのような犯罪なのでしょうか?刑法で名誉毀損罪は下記のように定められています。

刑法
第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

このように、名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を既存した」ときに成立するとされており、名誉毀損罪が成立するには、不特定多数の第三者がいるような状況で、「人の名誉を毀損する」ことが必要です。

また、刑罰は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金と定められています。

痴漢冤罪で名誉毀損罪は成立するのか?

条文のままですと分かりづらいので、1つずつ痴漢冤罪事件に当てはめていきます。

「公然と」は、不特定多数の人が認識できる状態のことですので、不特定多数の乗客らがいる車内や駅のホームで痴漢であることを指摘することは、「公然と」にあたります。「事実を提示」というと、痴漢冤罪の場合には痴漢行為をしていないので事実ではないと思う方もいらっしゃると思いますが、「その事実の有無にかかわらず」とされており、内容の真偽は関係ありません。そのため、実際には痴漢行為をしていなくても、名誉毀損罪の「事実」になります。

また、痴漢行為をしたかのように多くの人がいる駅のホームなどで言われることは、社会的評判を著しく傷つける可能性もあり、痴漢冤罪被害者の男性の「名誉を毀損」する行為と言えます。

そのため、痴漢冤罪にまきこまれてしまった場合、相手の女性の行為が名誉毀損行為になる可能性は高いと言えそうです。ただし、次で説明しますが、一定の条件に当てはまる場合には相手の女性が罰される可能性はかなり低くなります。

名誉毀損で訴えることが難しいケース

故意がない場合

刑法38条1項本文で、「罪を犯す意思のない行為は、罰しない」と規定されており、故意がなければ名誉毀損罪は成立しません。女性が示談金目当てや、報復目的で痴漢をでっち上げた場合には、痴漢を否定しているにも関わらず駅のホームなどで「痴漢だ」などという行為に、分かりやすく故意があるといえます。ただ、女性が実際には痴漢の被害にあっており、犯人特定は間違えたものの、間違えた理由もあり本当に犯人だと信じているような場合ですと、故意があるというのは難しくなってきます。

無罪判決がされていない場合

公共の利害に関する事実」で「その目的が専ら公益を図ることにあった」ときで、その内容が真実であるような場合には、名誉毀損罪で罰せられることはありません(刑法230条の2第1項)。公訴が提起されていない犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実であるとされているため、起訴されなかったような場合には名誉毀損罪の成立は難しいと言えます。

また、内容が真実ではなかったことを証明するためにも、無罪判決は必要になってくると考えられます。

名誉毀損で訴えることができるケース

ここまでのことをまとめると名誉毀損で訴えて有罪になる可能性が高くなるのは、下記2つの条件を満たしているような場合になります。

  • 痴漢冤罪が女性のでっち上げである場合
  • 裁判で無罪判決が下されている

これ以外のケースであっても、個々の事件の事情によって名誉毀損罪が成立する場合はありますので、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は痴漢冤罪の相手を名誉毀損以外の罪で訴えられる?

弁護士に相談して、痴漢冤罪の相手を名誉毀損以外の罪で訴える場合には、虚偽告訴罪で訴えるということが考えられます。虚偽告訴罪がどのような罪であるかや、実際の判例を少し紹介します。

虚偽告訴罪とは?

まず、名誉毀損罪とはどのような犯罪なのでしょうか?刑法で名誉毀損罪は下記のように定められています。

刑法
第172条
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

これは条文のままでも比較的わかりやすいと思います。

痴漢冤罪であれば、痴漢をしていない男性に刑事罰を受けさせる目的で、警察官などに虚偽の証言をしたような場合に成立します。虚偽の証言を行っているという点で、名誉毀損罪ときに問題になった故意についてもほとんどの場合は問題ありません。

痴漢冤罪で虚偽告訴罪が成立した例

大阪市高速電気軌道第1号線の天王寺駅駅長室にて、痴漢発生の通報を受けて駆けつけた大阪府阿倍野警察署地域課勤務司法警察員らに対して、同線で乗り合わせた乗客であるA(当時58歳)が女性Bの身体に触った事実はないのに、Aが刑事処分を受けることを認識しながら、女性Bが「近くにいた男が、服の上から私の下腹部やお尻を触ってきました。」と証言しました。

また、共犯の男性Cが「女性の後ろに立っていた男が、女性のお尻を触っていました。撫で回すように触っていました。僕は男の腕をつかみ、痴漢された女性と一緒に駅長室に連れて来ました。」「あの男が痴漢の犯人です。」と証言しました。

女性Bは、共犯者の男性Cとの間で、前もって男性客を痴漢犯人に陥れるための役割分担を決めており、スカートを履くなどして、痴漢にねらわれ易い外観をとり、地下鉄に乗って帰宅途中の中年男性Aにねらいをつけて,互いの身体が接触するほどの位置に立った上で、Aが身体を触ったなどと嘘を言いました。

驚いて反論を試みようとしたAにすかさず近づいた共犯者Cが、触るのを見たなどと嘘を言って加勢し、被害者を駅長室に連れて行き、警察官らに対しても、女性Bがあたかも痴漢の被害に遭ってショックを受けている被害女性を演じ、架空の被害事実を申告しました。

この女性Aの行動が虚偽告訴罪にあたるかが争われました。

判決では、虚偽告訴の犯行は、電車内の乗客を痴漢犯人に仕立て上げて、痴漢冤罪の被害者を窮地に陥れ、示談金の名目で多額の現金を獲得しようとするのに協力したものであり、警察官までをも欺き、本来、社会や市民の人権を守るための砦となるべき司法手続を、その金銭欲のためによこしまな方法で悪用しようとしたものであって、その卑劣な手段に酌量の余地はないとされて、他の罪とあわせて、懲役3年、執行猶予5年の判決が下されました。

痴漢冤罪の相手を名誉毀損で訴えるなら、すぐに弁護士に相談!

痴漢冤罪の相手を名誉毀損で訴えることは、簡単なことではありません。名誉毀損で訴える場合には名誉毀損についての裁判だけではなく、痴漢容疑の裁判の対策なども含めて考える必要があります。

名誉毀損罪であっても、虚偽告訴罪であっても、時間が経つと物的証拠も目撃者も見つけることが難しくなりますので、証拠などを集めるためにも早めに弁護士が動き出す必要があります。また、痴漢事件を戦うには、家族や職場の協力が重要になりますので、その点でも弁護士に依頼するメリットがあるといえます。

そのため、痴漢冤罪の被害にあってしまい、相手を処罰して欲しいと思ったときには、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。

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