準強制性交等罪とは?逮捕された場合の懲役は

準強制性交等罪による逮捕のイメージ

準強制性交等罪などの性犯罪は2017年に改正された

近年、性犯罪に関する問題が多く取り上げられ、厳罰化を求める声も多くなっています。そこで少しずつこうした犯罪にも改正がなされ、2017年には強姦罪に係る改正法が施行されるに至りました。
これまでは「強姦罪」として扱われていた罪が、「強制性交等罪」に改められ、具体的な適用条件や懲役の長さなども変わりました。そしてこの罪に近いものとして「準強制性交等罪」も定められています。

このページでは、特にこの準強制性交等の罪を解説していきます。
どのような行為がこの罪に該当するのか、その場合どのような罰が与えられるのか、また強制性交等の罪との違いや改正前後で変わったことにも触れていきます。

準強制性交等罪はどんな罪で懲役は何年?

改正前後で変わったこと

性犯罪におけるもっとも重い罪は強姦罪でした。しかし、いくつかの問題が出てきたため改正案が出され、この改正案が2017年の6月に可決成立、翌月には施行され、それ以降の行為に関しては強姦罪ではなく強制性交等の罪として裁かれるようになっています。

簡単に変わったことをまとめると、下記の5つのことが挙げられます。

  • 罪名
  • どのような行為がこの罪にあたるのかを定める「構成要件」
  • 性別に対する制限
  • 法定刑(懲役)
  • 非親告罪化

法定刑は引き上げられ、より加害者に厳しいものとなりました。
また女性が加害者となることも、男性が被害者になることも想定され、この罪で処罰できるようになっています。

刑罰は3年以上⇒5年以上へ。執行猶予も付きにくく

刑罰の変化に関しては、強姦罪では懲役3年以上となっていたところ、改正により5年以上となりました。
下限が2倍近く長くなっていますが、着目すべきは刑期の長さではなく、執行猶予との関係です。

言い渡される刑が3年より長いのか、3年以下なのかによって実刑を避けられるかどうかに関わってくるからです。
法律上、3年以下の懲役であれば執行猶予を付けることができると定められていますので、旧法で下限の3年が言い渡された場合には執行猶予によってまったく刑務所に収監されることなく済むこともありました。
しかし、改正法では執行猶予が付きにくくなっており、わざわざ5年に設定したのにはこうした意図があると考えられます。

ただし、情状酌量で刑が軽くなることもありますので、有罪になることで絶対的に実刑が確定してしまうというわけではありません。

親告罪⇒非親告罪へ。被害者の告訴なしで起訴が可能に

また、親告罪だったものが非親告罪へと変化したことも大きな特徴です。

親告罪では被害者の告訴がなければ起訴できず、逮捕をしても示談が成立し、告訴が取下げられると必ず不起訴となっていました。
こうした運用は犯罪の性質上、事件を公にすることでかえって被害者の社会的評判等に影響し不利益になることもあったためです。
そのため被害者の意思を尊重するためにも親告罪という形になっていましたが、一方で親告罪にもデメリットがありました。

被害者に選択できる余地があることで心理的負担になることや、告訴を意識的に選択したということから加害者からの逆恨みを買う可能性が高まり、そうでなくても被害者としては復讐をされるのではないかという心配を抱えてしまうことになります。
できるだけこうした性犯罪が取り締まれるよう、被害者の保護については裁判上の手続等で対応するものとして、非親告罪化されました。

準強制性交等罪と強制性交等罪の違い

準強制性交等罪について刑法第178条2項に規定が置かれています。

刑法第178条2項

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

「前条の例」というのは第177条のことで、こちらに強制性交等罪についての規定が置かれています。

刑法177条

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(性交等)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「準」は罪の軽さを表すものではない

まず、準強制性交等罪には名称に「準」という文字が入っていますが、これは罪の内容が強制性交等罪と比べて軽いものを表すわけではないことに注意しましょう。強制性交等罪では暴行や脅迫を使って性交等をすることを言うのに対し、準強制性交等ではこうした手段を用いらず、心神の喪失や抗拒不能に乗じて性交等をする場合に言います。

たとえば、相手に酒を飲ませ、酔いつぶれたところを狙うケースです。また、マインドコントロールなどで心理的に抵抗できないような状態に置くことでも成立します。
他には手段として睡眠薬を飲ませることや、重い精神障害等を負っている者を対象にする場合などがあるでしょう。
ただし、相手を心神喪失(気絶)させた状態にしたとしても、そのきっかけが暴行などによる場合には強制性交等罪に該当します。

準強制性交等罪が成立する具体的な条件

法改正を受け、性別による制限を受けなくなりました。よって、男性が被害を受けた場合にも準強制性交等罪は成立する可能性があります。
また、罪が成立するには構成要件に該当する必要がありますが、そのためには、特に「心神喪失」「抗拒不能」とはどういう状態なのか、そして「性交等」の意味を理解する必要があります。

心神喪失とは「精神的な障害により正常な判断ができなくなった状態」

まず、心神喪失についてですが、これは精神的な障害により正常な判断ができなくなった状態を意味します。抗拒不能は、心理的または物理的な要因を元に抵抗ができなくなっている状態を言います。いずれにしても抵抗することが不可能か、極めて困難な状態であること求められます。実例で多いのは、睡眠中や飲酒による酩酊状態にある人が被害に遭うケースです。ただし、実際に抵抗が不可能かそれに近い状態であったかどうかは、被害に遭った前後の行動等から推察されることになります。

たとえば、被害を受けたと主張していても、性行為の前後ではっきりとした意識があり、自らの判断で行動ができていた場合などには抗拒不能が否定される可能性が高くなります。他にもスマホを操作していることが明らかになったり、写真撮影をしていたり、自分で衣服を脱いだりしていたことが明らかになれば、これらの事実は加害者側に有利に働くでしょう。
このような事情がある場合には、準強制性交等罪に該当しなくなるかもしれません。
一方で、心神喪失・抗拒不能を肯定する事実としては、自分で起き上がれなかったことや呂律が回っていないこと、足元がおぼつかないといったことなどが挙げられます。これらが証明されれば抗拒不能を認めてもらえ、準強制性交等罪が成立する可能性は高くなってくるでしょう。

性交等の範囲は法改正により拡大

次に求められるのは「性交等」の事実です。改正によりその範囲は広くなっており、女性の膣内に男性器を挿入することのほか、性別問わず肛門内や口内に男性器を挿入することなどはすべてこの罪における性交等に含まれます。これらに該当せず、比較的程度の軽い行為であれば「わいせつ」な行為にあたることがあります。この場合には別の罪として裁かれます。

このように、成立するまでには様々な条件をクリアする必要があり、ハードルは高いと言えます。
実際に心神喪失または抗拒不能になっていたとしても、被害者がこれを明らかにできなければこの罪で裁かれないこともあるでしょう。
基本的に「明らかに」抗拒不能の状態であったと言えなければならないため、ただ被害者が怯えているだけでは加害者がその状態を認識できず、準強制性交等罪に問えないというケースも実際に起こっています。

もともと、こうしたハードルの高さは冤罪を防止するためですが、加害者が認識できなかったと言うことで逃れられてしまうという問題点も指摘されています。

準強制性交等罪の法定刑(懲役)

準強制性交等罪の法定刑は懲役5年以上となっています。そのため基本的には有罪となれば5年以上刑務所に入らなければならなくなります。
窃盗罪など、軽犯罪に比べてかなり重く設定されており、罰金刑も予定されていません。

また、未遂の罪についても規定がありますので、性交等をする目的で実行の着手に入れば、実際には行為に成功しなくても処罰されます。
性交等を開始したか、抗拒不能に至らせるための行動に入っていた場合にはこの時点で未遂罪として罰せられるかもしれません。
未遂の場合でも適用される刑罰は同じく懲役5年以上です。ただし未遂の場合にはそうでない場合と比べて宣告される刑は軽くなる傾向にあります。

準強制性交等罪で逮捕されるとどうなるか

逮捕後の流れ

準強制性交等罪で有罪となり処罰されるかどうかは逮捕の有無とは関係ありません。そのため逮捕をされていないまま捜査が進められ、刑事裁判にて判決が出されることもないわけではありません。ただし、準強制性交等罪のように重い罪だと逮捕をされる割合も高くなってきます。

そして、逮捕にも主に現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)があり、どちらにしても逮捕後は警察で身柄が拘束され、最大48時間以内に検察に身柄が移されます。検察では最大24時間過ごすことになり、勾留という最大20日間の身柄拘束をさらに行うかどうか、検察官が判断しこれを裁判官に請求、この請求が認められれば勾留されることになります。この期間中には検察官が起訴するかどうか判断します。
起訴か不起訴かに関しては裁判官への請求は必要なく、検察官のみが判断することが許されており、実情としては起訴されると刑事裁判でほとんどが有罪判決となってしまっています。

非親告罪化で起訴件数は増えていく見込み

また、法改正がなされるまでは準強制性交等罪は親告罪であったため、被害者が告訴をして処罰を求める意思を形式的に主張していなければこの時点で検察官が起訴をすることができないようになっていました。非親告罪化されたことで起訴される件数は増えることでしょう。

強制性交等に関するデータですが、2018年においては6割以上が逮捕され、そのうちのほぼ100%が勾留されています。起訴された割合は40%程度ですが、改正前と比べると5%ほど上がっていることが分かっており、非親告罪化されたことが影響していると見られます。
逮捕をされる割合は軽犯罪に比べて高く、そして逮捕されてしまうとほぼ確実に勾留されるという特徴があります。多くは通常逮捕として、ある程度証拠が集められた状態で逮捕されていますので、高い確率で勾留、そして起訴されています。

通常逮捕の場合、加害者を特定するために体液などからDNAを採取し、照合されます。特に前科や前歴がある場合にはすでに加害者の情報が登録されていますのですぐに特定されることが考えられます。特に前科等がない場合でも、別の事件を起こしたことをきっかけに発覚することも起こり得るでしょう。

懲役期間の相場

準強制性交等罪は法定刑も重く設定されていますので、初犯であったとしても示談が成立しなければ実刑となることがほとんどです。行為の悪質性や結果の重大性、示談が成立しているかどうか、相手の年齢や、動機など、さまざまな要素をもとに量刑判断がなされます。
前科がないことは加害者に一応有利には働くため、大きな被害もなく悪質さも低いと評価されれば減軽され3年程度になることもあるかもしれません。

しかし、この罪における懲役期間の相場としては5年から7年程度と考えられています。すでに説明した通り、この刑期では実刑は避けられません。執行猶予を付けることができるのは3年以下の懲役に限られているからです。
しかし、準強制性交等罪であっても、事案によっては強く減軽され、ぎりぎり執行猶予を得られる可能性もありますので、弁護士等に弁護活動を頼む必要があるでしょう。

また、それ以前に、不起訴としてもらえるように働きかけることが重要になってきます。
割合から見ても不起訴になる見込みは十分にあると言えますので、否認する場合にも、弁護士に相談しながら黙秘権を行使するなど適切な対応を取り、嫌疑不十分で不起訴になるよう慎重に行動しなければなりません。

準強制性交等罪で逮捕された場合に取るべき対応

準強制性交等罪で逮捕されることになり、有罪となることが避けられないようなケースであっても、執行猶予が付けられる可能性もあります。

しかし、逮捕後からの言動には注意しなければなりません。これは、執行猶予だけではなく不起訴処分となるためにも重要なことです。
そこで、逮捕後すぐ、もしくは事件直後などの早い段階から弁護士に相談することが効果的です。早期に対応してもらうことで少しでも有利に進めていくことができるでしょう。

逮捕前であれば、弁護士のアドバイスを受けつつ、状況に応じて自首をすることもあるかもしれません。
しかし、自首は被疑者が特定されてからでは意味がありませんので、DNA情報などから特定されそうであればなるべく早く自首することも必要になるでしょう。

このほかにも、弁護士についてもらうことで、被害者と示談交渉してもらうことや、作成した反省文を検察官に提出してもらうなど、釈放や不起訴となるための活動をしてもらえます。
示談により被害弁償ができなかったときでも、被害者に向けて供託をするなど、状況に応じた有効的な手段を提案してくれます。

性犯罪の場合には自己の衝動をコントロールできずに行動を起こしてしまったというケースもありますので、専門家のカウンセリングを受けるなど、症状を克服することが求められます。
そこで、これを自主的に行い、その証拠を弁護士に頼んで提出してもらうこと、また謝罪文を被害者に提出することなどで、少しでも不起訴等に近づくことができるかもしれません。

また冤罪の場合には、DNA鑑定をすることで自分ではないということを示せるかもしれませんし、もしくは合意の上性行為に至ったのであればその旨を主張していくことになるでしょう。
いずれの場合にしても、準強制性交等罪で逮捕されたときにはまず弁護士に相談すると良いでしょう。

また、弁護士にはそれぞれの得意分野がありますので、準強制性交等罪についての相談をするときには、刑事事件の経験が豊富な「刑事事件に強い弁護士」に相談することをおすすめします。

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