盗撮事件の解決に示談が重要な理由

被害者の女子学生

盗撮事件の解決には被害者との示談が重要?

盗撮事件を解決するためには、特に「被害者との示談を成立させること」がとても重要です。示談成立の重要性は、盗撮で逮捕されたばかりの段階であっても、起訴されて裁判で争うことが決まったあとであっても変わらず、とても重要な意味を持ちます。

盗撮事件では、どのような段階に被疑者・被告人が置かれていても関係なく、被害者との示談の状況は、常に処遇を大きく左右する要因となるものです。盗撮事件についての処遇は、前科がつくかどうか、刑罰がどれくらい重いものになるかなど、今後の人生に大きな影響を与える要素になります。

このページでは、盗撮事件で被害者との示談がなぜ重要とされるのか、その理由を説明します。

示談の成立は、検察官、裁判所の判断を左右する

盗撮事件で、被害者との示談が成立しているかどうかは、検察官、裁判所の判断を大きく左右するものです。

本来被害者は直接関わらない

逮捕されてから有罪判決を受けるまでは、「刑事手続」というプロセスに乗ることになります。最近はさまざまな問題意識から制度の変更が迫られてはいますが、刑事裁判で直接争う当事者とは、「検察と加害者」のみで、被害者は含まれません。あくまでも、検察官が加害者の犯罪事実を立証し、裁判官がそれを判断するというのが、刑事事件の制度上の建前となっています。

それでは、被害者との示談交渉が成立するかどうかは、検察官と加害者が中心となる刑事手続にはあまり関係ないのではないか、という疑問が出るかもしれません。しかし、犯罪には被害者が存在しますし、被害者保護も重要な目的の1つですので、実際には被害者の感情というのも影響を持つことになります。

盗撮事件は比較的軽微な事件

例えば、殺人事件を起こして逮捕された場合、被害者家族がどれだけ加害者を許していたとしても、それによって不起訴になるなど、決定的な意味をもつことはありません。なぜなら、犯した罪がとても重いものだからです。「犯罪に重い軽いなんてあるの?」という倫理的な問題はありますが、刑法などで定められている刑罰にも、犯罪によって重さに違いがある以上は、それを基準とした場合、犯罪にも軽重があると考えることができます。

盗撮事件の場合、基本的には各都道府県の迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、場合によっては、建造物等侵入罪などで逮捕されることになります。これは、現在存在している刑事罰の中では、比較的軽い犯罪ですので、軽微な犯罪に位置すると考えられています。

そのため、「確かに加害者は盗撮行為をしたが、被害者が許している以上、その意思を尊重してもよいのではないか」「被害者が許しているのだから、今回の盗撮行為は刑罰を科すほどではないと判断すべきではないか」という状況が生まれる可能性が高まることになるのです。

示談成立がどのように検察官・裁判所の判断に影響するのか

盗撮で逮捕された加害者は、それ以降の刑事手続の中で、検察官や裁判所によって次のような判断を受けることになります。

  • 勾留する必要があるのか
  • 勾留延長する必要があるのか
  • 公訴提起する必要があるのか
  • 起訴猶予をつける必要があるのか
  • 長期の実刑判決にする必要があるのか

このように簡単な例をあげても、盗撮で逮捕されてから、これだけの判断・分岐点があることになります。それぞれの判断の際に、被害者との示談が成立していることは確実に加害者にとって有利な材料となります。

本来なら勾留して更に10日間取り調べる必要があるような事件だとしても、被害者との示談がこの段階で既に成立しているのであれば、勾留請求を待たずして身柄が解放される可能性もあります。被害者との示談があるから、勾留延長による長期の身体拘束を回避できるかもしれません。示談書の中で、被害者が処罰を望まない旨記載されていることによって、不起訴処分を獲得できる場合もあるでしょう。あるいは、有罪判決になったとしても、執行猶予判決を獲得できるかもしれません。不起訴を勝ち取ることができれば前科もつきませんので、加害者の今後の人生にとってはかなり重要な分岐点になります。

このように、被害者との示談の有無は、各段階の判断に大きく影響し、加害者にとって有利な状況を生み出す要素とすることができるものなのです。

盗撮事件を示談で解決することのメリット

もちろん、被害者との示談が成立していれば、必ず不起訴になるなど、加害者にとって有利な判断が確実に得られるというわけではありません。しかし、被害者との示談が成立している方が、不起訴や身柄解放の可能性を高めることができるのは事実です。では、これらのような有利な判断を得ることによって、加害者には具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

盗撮の前科を回避できる

盗撮事件において、被害者との示談を成立させておくと、盗撮という犯罪行為をしたにもかかわらず、前科がつくのを避けられる可能性があります。初犯であり、盗撮行為態様が極めて軽微で、かつ、被害者との示談がまとまっているのであれば、不起訴処分を勝ち取ることは十分可能です。不起訴処分にもいくつか理由はあるのですが、どのような理由であったとしても、前科がつくことはありません。今後の社会生活を営む上で、これは非常に有利な材料となります。

早期の身柄解放を期待できる

逮捕されてから勾留決定がされるまで最大で72時間、勾留期間は最大20日間、さらに裁判手続にまで進んでしまうと数ヶ月は身体拘束が続くことになります。しかも、加害者本人が外部と直接連絡をとる手段は接見以外にはありえません。

例えば、会社勤めをしている方は、何日までなら会社を休むことができますか?本人や家族から直接電話をしないのであれば、数日であったとしても欠勤は厳しいもののはずです。身体拘束期間が長期に及ぶことで、無断欠勤で懲戒解雇になってしまうなど、会社から処分を受ける可能性は高まりますし、その後の社会復帰も厳しいものになるに違いありません。あるいは、加害者が学生の場合であれば、出席数に問題が出てきますし、進級要件や就職活動にも影響が出てくるでしょう。

しかし、被害者との示談を早期にまとめることができれば、身柄開放を早めることができます。会社に連絡することもできますし、欠勤連絡を家族などにしてもらっていれば、場合によっては盗撮事件を起こしたことが会社に露見しないまま、職場復帰をすることができる可能性もあります。

盗撮の民事裁判を免れることができる

盗撮事件を起こしてしまった場合、当然被害者は精神的な苦痛を被っているはずですから、本来ならば民事上の損害賠償請求をされる可能性もあります。民事裁判はかなり長期間に及ぶものですし、刑事手続とは別で行われますので、民事裁判と刑事手続の両方を進めるということは、心身ともに負担の多いものとなります。

もちろん盗撮事件についての示談で被害者側と合意した内容にもよりますが、通常、示談が成立する際には、今後の民事的な請求は一切しないというようなことが示談書内で確認されます。つまり、被害者との示談を成立させることで、民事上の問題も解決させることができるというわけです。

盗撮事件の示談は弁護士へ相談!

ここまでで説明したように、盗撮事件の場合には、よほど悪質な形で事件を起こしていない限り、被害者との示談によって、不起訴を勝ち取ることができ、前科がつかないなど、盗撮で逮捕されたことによる多くのデメリットを回避できる可能性が高まります。

ただし、盗撮事件において、被害者との示談交渉を、加害者本人や加害者の家族のみで行うことはほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。加害者本人などでは、被害者の連絡先を知ることはできませんし、連絡先を手に入れることができたとしても、加害者本人が示談交渉をすることで、被害者の感情を害してしまう可能性もあります。

このように加害者本人などでは、盗撮の被害者との示談交渉を行うことはほぼ不可能であるため、法律の専門家である弁護士でなければ、示談を開始することができないという現実が待っています。確かに費用は必要になりますが、盗撮事件の経験豊富なプロが上手に示談交渉を進めてくれることによって、示談成立の可能性が高まり、示談成立による様々なメリットを得られるのであれば、弁護士に依頼して損をすることはないでしょう。

そのため、盗撮で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早いタイミングで盗撮事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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