自由刑のひとつ、「拘留」とは?~「拘留」と「勾留」の違いに注意~

拘留

自由刑には、「懲役」「禁錮」「拘留」があります。この中で比較的軽微な犯罪に科される刑罰が「拘留」で、期間も1日から30日未満です。ただし、一連の刑事手続きの中で行われる「勾留」とはまったく違いますので、意味を取り違えないようにしましょう。

自由刑の刑罰の一種、「拘留」とは?

日本においては、罪を犯した人が受ける刑罰は、生命刑、自由刑、財産刑の3つに分類されます。

生命刑は「死刑」、財産刑は「罰金刑」となりますが、「自由刑」には「懲役」「禁錮」「拘留」の3つの刑罰があり、科せられる刑罰の内容はそれぞれ違います。

刑事裁判で有罪判決を下された際、被告人の自由を奪う刑罰が自由刑ですが、刑期の長さや労役義務が発生するかしないかといった違いで分けられているのです。

この自由刑の中で、最も期間が短いものが「拘留(こうりゅう)」です。

「拘留」は1日以上、30日未満の拘束

「拘留」の具体的な刑罰の内容は、1日以上、30日未満の期間、刑事施設に身柄を拘束されるというものです。

刑の種類としての「拘留」は刑法第9条、刑罰としての「拘留」の内容については同第16条に定められています。

刑法

(刑の種類)
第九条 死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

(拘留)
第十六条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。

刑事施設とは、法務省が管轄する「刑務所」や「拘置所」、あるいは警察が管理する「留置場」のことです。

これらの施設にある檻の中に1日から29日間入れられて、自由を奪われる刑罰になります。

実際にどのくらいの期間、刑事施設の中に入れられるかは、個々の裁判で裁判官が判断して、判決の時に申し渡されるのです。

「拘留」の特徴は、執行猶予が付かないこと

自由刑の中で、「懲役」や「禁錮」と、「拘留」の違いのひとつは、執行猶予がないという点になります。

執行猶予とは、刑事事件の裁判で下される有罪判決が、「懲役」や「禁錮」といった自由刑、あるいは罰金刑であった場合、裁判官が「被告人を懲役○年に処す」と言った後、「ただし、刑の執行を○年猶予する」と付け加えれば、被告人は「執行猶予」という処分になります。

「執行猶予」とは、判決は有罪となりますが、刑罰が即座に執行されずに、一定期間刑の執行が猶予される措置です。

一方で、「拘留」には執行猶予が付きません。

つまり裁判の判決では、裁判官が「主文、被告を拘留○○日に処す」と言った時点で実刑が確定するのです。

事前に保釈金を納付して一旦自宅などに戻っていた場合でも、判決言い渡し後に法廷内で身柄を拘束され、すぐに「拘留」の刑が執行されてしまいます。

また、「拘留」刑には「懲役」のような労役の義務はありません。

実際の刑は刑事施設において、収容者が拘束される部屋にいるだけになりますが、四六時中監視されていますのでプライバシーはありません。

「拘留」は比較的軽い刑罰となる

「拘留」は最長でも29日間しか刑事施設において身柄が拘束されません。

さらに、刑事事件の捜査段階で逮捕・勾留されていれば、その身柄拘束期間の一部は判決で言い渡された「拘留」刑の日数から差し引かれます。そのため、実質的な身柄控訴期間は、もっと短くなるのです。

一般的に自由刑を言い渡された場合、最終的に身柄が拘束されるのは刑務所ですが、その前に入るべき刑務所の調整をするには、数週間から1カ月以上かかります。そのような状況になれば、拘置所に収監中に「拘留」刑は満期になることが多く、「拘留」形で刑務所に入れられるケースは、ほとんどないと考えてよいでしょう。

「拘留」はどのような犯罪で科せられるのか?

「拘留」刑が科せられる犯罪は、「懲役」や「禁錮」と比べて、非常に少ないのも特徴です。

刑法においては、公然わいせつ、暴行および侮辱の3つの罪のみとなります。

刑法

(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

また、民事訴訟法と酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律にも「拘留」が科せられる罪があります。

民事訴訟法

(不出頭に対する罰金等)
第百九十三条 証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金又は拘留に処する。

酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律

第四条  酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。

一方で、最も罪の数が多く定められているのは、軽犯罪法です。

軽犯罪法

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた灯火を消した者
みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
十二 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃がした者
十三 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待っている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
十五 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者
十六 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
十九 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
二十一 削除
二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
二十四 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
二十五 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
二十八 他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者
二十九 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者
三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者
三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者
三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
三十四 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

以上のように、軽犯罪法に定められている罪は多いのですが、ほとんどが罰金刑である科料が言い渡されるため、実際に「拘留」形となるのは非常に少ないのです。

「拘留」が科されることは非常に少ない

実際に「拘留」が科せられた件数を見てみましょう。

法務省の検察統計「審級別確定裁判を受けた者の裁判の結果別人員」(2016年)によると、同年の「拘留」に処せられた人員はわずか6人、前年は5人、前々年は4人となっています。2016年の裁判結果人員は32万人を超えていますので、いかに「拘留」刑を受けることが少ないのかが分かります。

上記のように罪状も比較的軽いものが多いのが特徴ですから、ほとんどは罰金刑が科されていると見てよいでしょう。ちなみに罰金刑は、26万3千人あまりとなっています。

「拘留」と「勾留」の取り違えに注意

以上のように、自由刑のひとつである「拘留」ですが、読みが同じ「勾留」とはまったく違いますので、注意が必要です。

インターネット上だけではなく、何度も校正が入る紙媒体の本でも「拘留」と「勾留」の区別ができていないものがあるほどです。

「拘留」は刑罰、「勾留」は刑罰ではない

「拘留」と「勾留」は、刑事施設に身柄が拘束されるという意味では同じですが、「拘留」は刑法で定められた刑罰で、「勾留」は刑事手続きに基づいた措置の一種で、目的は全く違います。

電話などで「こうりゅう」という言葉を聞いた際に、取り違えないように注意が必要です。

専門家の間では、「拘留」を「てこうりゅう」、「勾留」を「かぎこうりゅう」と呼び、それぞれの漢字の部首で区別をしているようです。

「拘留」という刑罰があることだけ知っておけば十分

以上のように、逮捕されて刑罰を受ける前の「勾留」に非常に近い状態ながらも、実際に裁判で判決が下される刑罰の「拘留」ですが、この刑罰が言い渡されるケースは非常に少ないものです。

「勾留」という手続きとは違う「拘留」という刑罰があるという認識を持っていれば十分でしょう。

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