刑事裁判の傍聴と情状証人~被告人の家族や友人、知人ができること~

傍聴人

刑事裁判で被告人の力になりたいと考えた時、まずは裁判の傍聴に行くことだ。弁護士とコンタクトを取り、裁判の日時を確認して出かけること。被告人に近しい人ならば、情状証人として被告人の良い人間性を訴え、社会生活への復帰支援を証言する方法がある。

刑事裁判を傍聴するための基礎知識

刑事事件の裁判は、被告人が起訴された後、およそ2カ月後に開廷されます。

その時点では、被告人が罪を認めているか否認を続けているか、拘置所で身柄が拘束されたままか保釈されて自宅などに戻っているかなど、事件ごとに状況もかなり変わっていることでしょう。

しかし起訴されれば、最終的には刑事裁判の場において有罪あるいは無罪、そして有罪ならば量刑が言い渡されるのです。

刑事裁判の有罪率は非常に高い

日本の刑事裁判における有罪率は、99.9%と言われています。

テレビニュースで「無罪判決!」と報道されているものをたまに見ることがありますが、それこそニュースになるくらい、稀な出来事なのです。

その理由は、検察が確実に有罪となる事件のみ起訴しているからだと言われています。

そのため裁判において被告側は、いかにして量刑を軽くするか、もしくは執行猶予を得るのかが焦点となるのが実情です。

もちろんまったく身に覚えのない罪で逮捕され起訴されたならば、弁護士の力を借りて最後まで戦うのが当然ですが、罪を犯したという意識があるならば、最後の裁判の場でできる限りの手段を尽くし、軽い量刑や執行猶予を目指した方が良いでしょう。

刑事裁判の様子は、テレビで見る光景とほぼ同じ

裁判には刑事裁判と民事裁判があり、テレビでよく見る裁判の場面は、刑事裁判の方となります。

とは言え、弁護人が法廷を歩き回ったりすることはなく、裁判は粛々と進められます。

法廷には被告人、弁護人を始め、被告人の起訴を行った検察官、被害者、被害者の弁護士が相対し、判決を下す裁判官、記録を取る書記官や速記官がいます。

裁判員制度が適用された刑事裁判には一般人の裁判員が加わり、第三者の証言が必要とされた場合には証人が参加します。

なお、刑事裁判は公開されているため、裁判所に行けば誰でも傍聴が可能です。

特に資格や身分証明が必要ではなく、有名人の裁判などで傍聴人が殺到し、抽選により整理券が配られるような裁判でない限り、一般人の傍聴は自由となっています。

裁判の傍聴は一時期ブームになったので、ご存知の方も多いかもしれませんが、被告人が成人の刑事裁判は一般に公開されており、誰でも無料で傍聴席に座って傍聴することができるのです。

刑事裁判の被告人の家族としてできることは?

上記の通り、刑事裁判は誰でも傍聴が可能ですから、被告人の家族でも法廷において行われる裁判を見ることができます。

被告人の家族のみならず、友人、知人、会社の同僚、趣味の仲間など、どんな人でも傍聴することが可能なのです。

そして、被告人の量刑を少しでも軽くするためにできることの一つめが、実はこの裁判の傍聴となるのです。

傍聴席に姿を見せることが重要

刑事事件の関係者でもない限り、被告人の家族が裁判に関わることはありません。

被告人が釈放されていれば、日々の生活に気を配ったり、精神的な支えになったりすることはできますが、直接裁判に影響を与えるようなことはできず、歯がゆい思いをすることもあるでしょう。

しかし、被告人を少しでも励まし、さらには裁判で下される判決を少しでも軽くしたいと考えるのであれば、公判の日に必ず裁判の傍聴に出かけることです。

裁判所までの交通費は必要ですし、公判は平日の昼間しか行われませんので、社会人にとっては気軽に行ける場所ではありません。

しかし刑事裁判の被告人となってしまった家族や友人、知人を励ますために、傍聴へ出かけましょう。

被告人が法廷に立つ場合、弁護士だけが味方で、他の人間はすべて自分を罰するためにここにいるのだという心情になりがちです。

傍聴席を見て、家族や友人、知人の姿を見れば「自分はまだ見捨てられていない」と勇気づけられることでしょう。

何もできないが、そこにいることだけで意味がある

ただし、傍聴人は空気と同じように扱われます。

法廷内で交わされる審理に不満があっても、傍聴席から異論を唱えることは許されていません。

何か声を上げると、すぐに裁判官に注意されてしまいますし、相手が神経質な裁判官だと、一発で退廷を命じられることもあります。

声を出さなくても、プラカードや横断幕なども禁止になっています。

ただ黙って被告人と弁護人の健闘を祈りながら、黙々と公判を傍聴することになることになるのです。

被告人の関係者が誰も傍聴に来ていない法廷というのは、寒々とした空気が流れてしまいますし、裁判官が「この被告人はこれだけの人に支えられている、人望のある人なのだな」と思ってもらえるかもしれないのです。

傍聴人が審理の結果を左右することはありませんが、法廷の空気を変える働きはできるかもしれません。

被告人を直接擁護できる「情状証人」

刑事裁判の中で、被告人の家族や友人、知人が、直接関わることができる唯一の方法は、公判の場で被告人について「情状証人」として証言することです。

裁判における「証人」とは、被害者をはじめとして、目撃者や事件の関係者が多いのですが、被告人の人間性を裁判官に訴え、量刑の軽減などを目的として証言する証人が、「情状証人」になります。

裁判官に、被告人の人となりを訴える

「情状証人」は法廷において、「被告人は普段真面目で、罪を犯すような人間ではありません」というような証言を、家族や友人、知人という立場から訴えるのです。

「情状証人」は公判で有罪か無罪かを争っているようなケースではなく、被告人が最初から罪を認めていて、少しでも量刑を軽くしようと裁判を進めている場合の方が有効だと考えられます。

「もともと罪を犯すようなタイプの人間ではなく、今回たまたま魔が差してしまったのではないか」「判決後は誠心誠意、罪を償い、更生するための再就職先も決まっている」など、十分に事件を起こしてしまったことを反省していて、再犯することはあり得ないということを裁判官に主張するのです。

弁護士と相談のうえ、被告人を助けるため「情状証人」として法廷に!

もし家族や友人、知人が刑事事件の被告人になってしまったら、担当弁護士と連携を取って、自分が「情状証人」として法廷で証言することを提案してみてはどうでしょう。

量刑が少ないと見込まれる小さな事件の場合、「情状証人」として採用されるのは1人か2人ですので、複数人が被告人を助けたいと立ち上がっても、必ずしも「情状証人」として法廷に立てるかどうかは分かりません。

この交渉は弁護士が裁判官と行いますので、刑事事件に強い弁護士の方が適任であるということは明らかです。

刑事裁判の「傍聴」「情状証人」に関する注意点

刑事裁判の被告人となった家族や友人、知人の力になるために、裁判の「傍聴」や「情状証人」として法廷に出向く場合、注意しなければならない点があります。

それは、法廷には被害者と、被害者の関係者がいるということです。

裁判の内容によっては被害者がいない場合もありますが、被害者の関係者は必ず法廷にいます。

その人たちの心情を逆なでするような言動は絶対に慎まなくてはいけません。

裁判官や被害者に「このような人たちが支援する被告人は、裏で何を考えているか分からない」などと思われてしまっては逆効果です。

法廷のみならず、裁判所の中、裁判所に向かう道中も、礼節を保った態度でいることが望まれます。

「情状証人」は、厳しい質問を受ける場合も

「情状証人」として法廷に立ち、被告人を擁護する証言する時は、メモを読むことは許されていません

形としては、弁護士が尋ねる質問に答えることになるのですが、裁判官や検察官からの質問にも答えなければなりません。

また、「被告人が社会に復帰した後は、私たちが責任を持って指導、監督します」と証言した場合、裁判官から「どのように責任を持つのか」「四六時中監督していることはできるのか」など、厳しい質問を受ける場合もあります。

しかし、「情状証人」として法廷に立つことが決まれば、事前に弁護士とシミュレーションを行うなど、十分なレクチャーを受けることができます。

裁判官からの質問は、刑事事件に強い弁護士にとっては想定内のものですから、事前に対策をしっかりと取っていれば問題はないでしょう。

法廷での嘘は禁物

被告人を助けたいがために、たとえ小さな嘘でも、口をついて出てしまえば、それは偽証罪に問われます。

事件に関することはもちろん、「被告人の夫をずっと支えていきます」と証言したはずが離婚準備を進めていたり、「会社に復帰したらずっと監督指導を行います」と言ったのに再雇用の計画がなかったりすると、偽証罪に問われてしまう可能性があります。

後に夫婦の関係性が悪くなり離婚に至る場合や、会社の業績が悪くなって人員整理をしなければならなくなったというような場合は、証言時点での嘘ではないので問題はありませんが、被告人を助けたいがために、証言台で嘘をつくのは絶対に避けましょう。

刑事裁判で、弁護士ほど頼れるものはない

刑事事件の被告人にとっても、被告人の家族にとっても、最も頼りになるのは弁護士です。

被害者は多くの支援者や社会感情に後押しされ、より重い刑罰を望んでいることでしょう。

本項で説明した通り、被告人の家族や友人、知人としてできることは限られています。

しかしその限られた条件の中でも、被告人の量刑が少しでも軽くなるように、どういう行動をすればよいのか、優秀な弁護士は知っています。

刑事事件に強い弁護士の助けを借りて、被告人の力になりましょう。

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