弁護士にやってもらえること(4)裁判の弁護

女性弁護士

裁判での弁護活動

弁護士の仕事といえばコレ

弁護士の仕事として、一般的に最も知られているのが“裁判における弁護活動”です。映画やドラマでも弁護士が活躍する見せ場として描かれるのは、裁判の法廷で格好よく弁舌をふるう姿でしょう。
実際の裁判では、ドラマのように法廷内をウロウロ歩き回ったり、相手を指差して決め台詞を言うような弁護士はいません。
しかし刑事事件では、被告人に有利な判決を得るようにあらゆる努力をするのが、弁護士の重要な仕事になります。

刑事裁判における“有利な判決”とは

有利な判決=無罪判決だとは限らない

日本の刑事裁判における有罪率は、ほぼ99.9%です。したがって起訴された時点で、有罪判決が下される可能性は極めて高くなってしまいます。
それでも被告人が無罪を主張しているのであれば、弁護人になった弁護士は、無罪を勝ち取るために色々と努力をするわけです。

もっとも日本の刑事裁判で有罪率が高い理由のひとつは、起訴された被告人の90%以上が、最初から罪を認めているという事情もあります。ですから裁判で無罪を勝ち取るだけが、被告人に有利な判決ではありません。
被告人自身が起訴事実を認めているケースで、被告人に有利な判決と言えば、

  • 執行猶予を勝ち取る
  • 検察から求刑された刑を少しでも軽くする

といったモノです。

執行猶予

刑事事件で起訴されたら、まずはコレを目指す

「執行猶予」というのは、有罪判決には違いありませんが、文字通り、一定期間、刑の執行を猶予するというモノになります。
なので判決が下された直後に、身柄を拘束されることもなく、とりあえずは“自由の身”になれるわけです。
その上、執行猶予期間中に、再び起訴されるような不祥事を起こさなければ、刑の執行を免れるというルールになっています。

刑事事件の被疑者となった時点で、最初に目指すのは裁判そのものを回避できる「不起訴処分」です。しかし不幸にも起訴されてしまった場合、次に目指すのは、この執行猶予を勝ち取ることになります。そして執行猶予を獲得できるかどうかは、被告人本人の努力もありますが、それにもまして弁護人である弁護士の力がモノをいうわけです。

刑事裁判における弁護士の仕事

最終的に“どこまで罪を軽くできるか”が、弁護士の腕の見せ所

とはいえどんな罪状でも執行猶予が取れるわけではありません。
殺人や強盗のような凶悪犯罪、または懲役3年を超える懲役判決が出る可能性がある場合、執行猶予を取るのは難しいでしょう。
たとえ罪は軽くても、過去に同じ犯罪を犯した前科のある累犯だと執行猶予が下される可能性は、限りなくゼロに近くなります。

そうなると弁護士に出来る“少しでも被告人にとって有利な判決”というのは、検察が求刑した刑より少しでも軽い判決が出るようにすることです。
一般的に刑事裁判の判決は、検察の求刑に対して7割から8割の刑が言い渡されるのが慣例になっています。たとえば検察が「懲役4年」を求刑したとすると、普通判決は3年前後になるわけです。
そんな判決が予想される裁判で懲役2年程度の判決が得られれば、それは弁護士の腕で勝ち取った減刑だと言ってもいいでしょう。

弁護士にお任せ!で済むほど現実は甘くない

被告人も協力しなければ有利な判決は得られない

ただ裁判で判決が必ず求刑の7~8割かけになるとは限りません。弁護士がどれほど努力しても、被告人の態度に反省が見られないとか、極めて悪質な犯罪だと裁判官に判断されたら、検察の求刑100%の判決が下されることもあり得ます。

また検察の業界内では
“判決が求刑の5割かけだった場合は「負け」と同じ”
という不文律があるという噂があります。
検察官も仕事ですので、裁判での勝敗は評価に大きく左右するので必死です。
また、裁判所は罪を裁く立ち位置にあるもの。罪を疑われ起訴された時点で、被告人はそもそも不利な立場といえます。
そうした状況で、少しでも被告人が自分に有利な判決を勝ち取ろうと思った場合、弁護士との連携が重要なポイントになるわけです。

弁護士のアドバイスに従い、法廷で戦おう

クライアントに有利な結果を得るために、弁護士は自分の持てる経験とスキルを活用してくれます。そして裁判は、そんな弁護士の力がハッキリするモノでもあるわけです。
ただ弁護士がいくら有能であっても、有利な判決を得るためには、被告人が絶対にやってはいけないことがあります。

それは
“意見がブレること”
です。

何度も言いますが、弁護人は被告人の望む結果を得るためにありとあらゆる努力をします。しかし被告人自身が、裁判の真っ最中に意見を変えたりしては、弁護士自身が困ってしまうわけです。
ドラマや映画では、有罪を認めていた被告人が、突如無罪を主張するといったモノがあります。ドラマとしては面白い展開ですし、実際の裁判でも稀にそういう事はあるようです。

しかし、こうした主張の変更は勝手にしてはいけません。仮に警察や検察からやってもいない罪を着せられているというのであれば、公判が開始される前に、ご自分の本当の思いや考えを弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けて新たな主張の方針を立てるべきです。
また、そうした冤罪事件でなくても、主張するべき点は、きちんと事前に弁護士と相談して、望むべき判決の落とし所を明確にしておきましょう。

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