弁護士に依頼できること~裁判の弁護
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弁護士のイメージが最も強い裁判
刑事事件の手続きを進めるにあたり、最も弁護士が活躍する場面は裁判の法廷だと考える人は多いと思われます。弁護士の仕事として、一般的に最も知られているのは裁判における弁護活動で、映画やドラマでも弁護士が活躍する見せ場として描かれるのは、裁判の法廷で格好よく弁舌をふるう姿でしょう。
実際の裁判では、ドラマのように法廷内を歩き回ったり、相手を指差して決め台詞を言ったりすることはありませんが、実際に刑事手続きの最終段階である裁判において、弁護士が活躍するということに間違いはありません。
しかし実際の刑事事件では、逮捕されてから裁判で判決を下されるまで、長期にわたりさまざまな方法を用いて被疑者や被告人を守り、最終的に有利な判決が得られるように努力を続けているのです。
そもそも、弁護士とは?
弁護士とは、弁護士となる国家資格を持っている法律の専門家で、その資格は法曹資格と呼ばれ、弁護士または裁判官、検察官に共通のものです。法曹資格を取得するためには、基本的には司法試験を受けるために法科大学院で学び、司法試験に合格した後に1年間の研修を受け、研修所の試験に合格する必要があります。
国家資格は数多くありますが、その中でも難しい部類であると言われていますが、それが逆に一般人から見て別世界の人に感じられる要因でもあるのでしょう。しかし刑事、民事を問わず法律の専門家として、私たち一般市民が事件に巻き込まれた時、あるいは事件を起こしてしまった時、力強い味方となって弁護活動を行ってくれるのです。
ほとんどの人にとって弁護士は一生のうちに関わり合いになることがない職業です。そのためハードルも高いかもしれませんが、近年では最初の相談料を無料、あるいは30分5,000円といった割安な料金で受け付けている弁護士も多いため、まずは何をしてくれるのか、最終的にはいくら費用が必要なのかなど、気軽に相談してみることをお勧めします。
弁護士への依頼は、裁判の判決で終了
刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合、最初に弁護士に依頼することは、一般的にはその後の手続きに対するアドバイスと身柄の解放を目指すことでしょう。
そして起訴されてしまった場合には裁判に対する準備が始まり、法廷では弁護活動を行い、判決が下されるまで被告人の味方となって、なるべく有利な判決を導き出すための努力を行います。裁判において判決が下され確定してしまったら、そこで一連の弁護活動は終了となります。
本項では、弁護士と被告人がどういう形で最適な判決が下されるための努力をするのかを紹介します。
刑事裁判における有利な判決とは?
日本の刑事裁判における有罪率は、100%にほぼ近い99%以上とされています。起訴されることなく刑事事件の手続きを終えることができれば良いのですが、起訴された時点で有罪判決が下される可能性は極めて高くなってしまうのが現状です。
それでも被告人が無罪を主張しているのであれば、弁護人になった弁護士は、無罪を勝ち取るためにさまざまな努力をしてくれますので、冤罪であれば、無罪判決が下されるまで徹底的に戦うべきでしょう。まったく身の覚えのない罪で起訴されてしまった場合、目指すべき判決は無罪判決しかありません。
量刑裁判における有利な判決
一方で、日本の刑事裁判において有罪率が高い理由のひとつには、起訴された被告人の90%以上が最初から罪を認めているという事情もあります。有罪であることは確実なのですが、その刑罰をなるべく軽いものとすることを目指す量刑裁判においては、無罪を勝ち取ることだけは被告人に有利な判決ではありません。
被告人自身が起訴事実を認めているケースで、被告人に有利な判決は、例えば執行猶予付きの判決や、検察から求刑された量刑を少しでも軽くするというものになります。執行猶予とは、有罪判決には違いありませんが、文字通り一定期間にわたり、刑の執行を猶予するという判決です。
そのため判決が下された直後に身柄を拘束されることもなく、とりあえずは自由の身になれるのです。執行猶予期間中に、再び起訴されるような事件を起こさなければ、言い渡された量刑の執行を免れるというものです。
不起訴処分こそ目指すべき結果
起訴されてしまえば有罪となる確率が高いため、刑事事件の被疑者となった時点で、最初に目指すのは裁判そのものを回避できる不起訴処分です。不起訴処分を目指すには、逮捕から勾留期限までの23日間で決着を付けなければなりません。
これが、刑事事件の被疑者となって逮捕されてしまった場合、少しでも早く弁護士に弁護活動を依頼するべき、とお勧めする根拠です。しかし努力の甲斐なく起訴されてしまった場合、次に目指すのは執行猶予を勝ち取ることになります。
そして執行猶予を獲得できるかどうかは、もちろん被告人本人の努力もありますが、それにも増して弁護人である弁護士の力量が試されるところです。
裁判で目指すべき所をはっきりと
高いお金を払って有能な弁護士を雇えば、実際に罪を犯していても無罪にしてくれる、というテレビドラマのような展開はありません。冤罪である場合を除き、最終的にはどこまで量刑を軽くできるかが、弁護士の腕の見せ所となるのです。
実刑が予想される時には、前述の通り執行猶予付きの判決を目指すのが妥当なのですが、どのような罪状でも執行猶予が付くわけではないことを理解しておきましょう。殺人や強盗のような凶悪犯罪、または懲役3年を超える実刑判決が出ると見込まれる場合には執行猶予付き判決を得ることは難しいと考えられます。
そしてたとえ軽い罪状であっても、過去に同じ罪を犯した前科のある人の累犯の場合だと、執行猶予付き判決が下される可能性は限りなくゼロに近くなります。
検察の求刑よりも軽い判決を目指す
現実的には、弁護士が弁護活動を行って可能となる、少しでも被告人にとって有利な判決とは、検察が求刑した刑より少しでも軽い判決が出るようにすることになります。一般的に刑事裁判の判決は、検察の求刑に対して7割から8割の量刑が言い渡されるのが慣例になっており、例えば検察が懲役4年を求刑したとすると、判決は懲役3年前後になる、というものです。
そのような判決が予想される裁判において、懲役2年程度の判決が得られれば、それは弁護士の弁護活動で勝ち取った減刑だと言っても良いのかもしれません。せっかく弁護士に費用をかけて弁護人となってもらい、これくらいの減刑では納得いかないと考える人がいるかもしれませんが、懲役で棒に振ってしまう年数を考えれば、決して高い料金ではないと考えることもできるのです。
被告人自身の努力も必要
ただし、裁判で判決が必ずしも検察側の求刑の7割~8割になるとは限りません。弁護人がどれほど減刑のための努力をしても、被告人の態度に反省の念が見られないとか、極めて悪質な犯罪であると裁判官に判断されてしまうと、検察の求刑通りの判決が下されることも当然のようにあるのです。
また検察の業界内では、判決が求刑の5割だった場合は負けと同じ、という不文律があるという話もあります。検察官も仕事として裁判に立ち向かっているので、裁判での勝敗は自身の評価に大きく左右するので必死なのです。加えて裁判所は罪を裁く立ち位置にあるもので、犯罪を疑われて起訴された時点で、被告人はそもそも不利な立場にあると言えます。
このような不利な状況で、被告人が自分に少しでも有利な判決を勝ち取ろうと思った場合、弁護士との連携が重要なポイントになります。
弁護士のアドバイスに従い、より良い判決を
クライアントである被告人に有利な結果を得るために、弁護士は自分の持てる経験とスキルを存分に活用し、努力してくれます。そして裁判は、弁護士の能力が明確に試される場でもあるため、手を抜くような弁護士はいないでしょう。
ただし弁護士がいくら有能で経験があり、全力で弁護活動を行っていても、有利な判決を得るために、被告人が絶対にやってはいけないことがあります。それは供述をコロコロ変えることで、被告人の意見が揺らいでしまうことです。弁護人は被告人が望む結果を得るためにありとあらゆる努力をしますが、被告人自身が裁判の最中に意見を変えた場合には、弁護人も困ってしまいます。
テレビドラマや映画では、有罪を認めていた被告人が、突如として無罪を主張するといったシーンがあり、ドラマとしては面白い展開ですし見ている分には問題がないのですが、実際の裁判でも稀にこのような事態が起こるようです。
しかしこうした主張の変更は、弁護士の同意なしに勝手に行ってはいけません。仮に警察や検察からやってもいない罪を着せられている、あるいは実際に犯した罪と違うものまで犯罪事実として取り上げられているというのであれば、公判が開始される前に、自分の本当の思いや考えを弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けて新たな主張の方針を立てるべきなのです。
冤罪事件でなくても、主張するべき点はきちんと事前に弁護士と相談して、望むべき判決の落とし所を明確にしておくことが大切です。
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