シンプルだけど、泣き寝入りさせられることも…~寸借詐欺~

突然巻き込まれる詐欺事件が寸借詐欺

寸借詐欺

日本人の美徳をついた悪質な詐欺

一般の社会人が突如巻き込まれる可能性がある詐欺が「寸借詐欺」です。
街を歩いていると、見知らぬ人物が声をかけてきます。
切羽詰った様子であることが多く、「財布を落としてしまった」「財布をスリにすられてしまった」など、手持ちの現金がなくて困っていることをアピールしてきます。
そして帰りの交通費を貸してほしいと、数千円から2、3万円の現金を要求します。後で返す気がある証明として、名刺を渡す、携帯電話の番号を教える程度のことはしてきますが、名刺はデタラメ、携帯電話も繋がらないか、あるいは繋がっても相手が出ることはありません。

最近では、熊本地震や東日本大震災の被災地に家族が居て、安否確認のため現地に行きたいが旅費がない、といった時事ネタを利用して金を騙し取ろうとする非道な手口もあります。
さらに寸借詐欺を仕掛けてくるのは日本人だけとは限りません。旅行先で財布をなくしたフリをする外国人の寸借詐欺師も増えており、用心が必要です。困った人には親切にする日本人の美徳をついた悪質な詐欺が寸借詐欺だといえるでしょう。

寸借詐欺の量刑

犯行件数と被害金額によってまちまち

寸借詐欺は犯人にとって見知らぬ他人だけを標的にしているとは限らず、返す気もなく友人知人に口先だけで小口の借金を繰り返す場合でも成立します。とはいえ、顔見知り同士の場合、借金を繰り返す相手に対して、刑事告発をするなどというのは余程のことで、普通は単に“金にだらしない人物”として縁を切られる程度です。しかし金を貸した人が本気で訴え出れば刑事事件に発展しますので、安易な借金などはするものではりません。

そんな寸借詐欺で逮捕・起訴された場合の量刑は、結構な幅があります。寸借詐欺は「食い逃げ」と同じく、詐欺罪の中でも場当たり的で計画性は乏しいのですが、多くの場合複数の余罪があるのです。
実は寸借詐欺というのは、慣れてしまえばそこそこ成功率は高く、犯人は同じ手口で犯罪を繰り返して、ようやく捕まることが多く、逮捕される頃には結構な犯行件数と被害金額に達しています。

ですから寸借詐欺の量刑は、懲役6月~2年程度と幅がある上、執行猶予がつくこともあるし、いきなり実刑をくらうこともあるわけです。

量刑を決めるのは、被害者との交渉次第

私選弁護人の方が示談の成功率は高い?

寸借詐欺に限らず、被害者のいる刑事事件において被告人の量刑を左右するのは、被害者との示談が成立しているか否かです。寸借詐欺は一件一件の被害額は比較的小額であることが多いので、立件された事件の被害者に対して、速やかに借りた金を返済し、少しでも被害者との示談を成立させるのが軽い量刑で済ますポイントになります。

ただ寸借詐欺事件は大抵、被疑者段階で逮捕されて、身柄が留置場で拘束されてしまうため、被害者との交渉を行うのは弁護士です。逮捕容疑が最高刑懲役10年の「詐欺罪」ですので、被疑者段階で国選弁護人は雇えますが、国選弁護人の場合、被害者との示談交渉まで熱心にやってくれる人は少ないため、私選弁護人を雇った方が成功率は高いでしょう。

示談交渉は普通、借りた金をそのまま返せば済むというわけではなく、数十万円レベルの示談金を請求されます。ちょっとした借金が、とんでもなく高い代償を支払わされる結果になるわけです。
もっとも実際のところは、寸借詐欺師はそうした償いを行う努力を行わず「今度はしくじったが、次こそは…」と心に誓い、何度も刑務所に出たり入ったりする人が非常に多いのも事実です。

寸借詐欺は事件化が難しい?

被害額が少ないと、警察が動いてくれないケースも

そんな寸借詐欺ですが、被害者の立場になると事件化させるのが結構難しいという側面もあります。

刑事事件の被害者になった場合、引ったくりや痴漢のような発生してすぐに犯罪とわかる事件であれば、交番に駆け込む、110番に通報するなどすれば、すぐに事件化されます。

ところが寸借詐欺の場合、犯人は最初に「金を返す」といって金を借りるため、騙されたことがわかるまで時間が掛かります。しかも被害金額が数千円、多くても数万円と少額であることから、警察に被害届を出してもきちんと動いてくれないケースも見られるようです。残念なケースでは、被害届が受理されず、被害者が泣き寝入りになってしまうようなことも考えられます。
同種の手口の詐欺被害が頻発した場合はともかく、実際のところ、都道府県を跨いだ事件に関して警察内での情報共有はあまり行われていないのが実態のようです。したがって寸借詐欺師が県境を越えてあちこちで犯行を行った場合、犯人の逮捕までに相当な時間がかかることも見込まれます。

人の善意に付け込んだ悪質な寸借詐欺犯をどうしても許せない場合は、正式に「刑事告訴」手続きをする必要があります。手続きは原則口頭でも可能ですが、警察の対応を含めて手続きをスムーズに進めるには、やはり書面をつくる必要がありますので、弁護士など法律の専門家に相談するのがいいでしょう。

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