もしかして有罪?これをやったら「窃盗罪」

日常のちょっとした出来心が窃盗罪に

財布

財布を拾って警察に届けなければ犯罪行為

「窃盗」という犯罪は、勝手に他人のモノを盗ってしまう行為です。ショップでの万引きや他人の住居に忍び込んで盗みを働く空き巣など、最初からそれが窃盗罪に当たることを承知の上で犯行を行う場合の他に、犯罪意識がほとんどない行為が窃盗罪に問われてしまうこともあります。

たとえば財布やお金を拾ったとしても、それを警察に届けない、いわゆる“ネコババ行為”は立派な犯罪行為です。また朝は晴れていたのに、帰宅する頃に急に雨が降り出し、傘立てに置き忘れている傘をつい借りてしまう。疲れて帰るとき、路上に乗り捨てられている自転車にそのまま乗ってしまう。こうした行為は最悪、窃盗罪に問われます。

ネコババ行為は「遺失物等横領罪」?それとも「窃盗罪」?

拾ったモノやお金を警察に届けず、そのまま自分のモノにしてしまうネコババ行為は、「遺失物等横領罪」に当たるとされています。遺失物等横領罪は、一般的に「占有遺失物等横領罪」とも呼ばれますが、刑法では単に「遺失物等横領罪(刑法254条)」と記されており、その量刑は
「1年以下の懲役、又は10万円以下の罰金、もしくは科料」
です。

つまり懲役10年以下、罰金50万円以下という懲役よりは、ずっと軽い刑罰が予想される犯罪が遺失物等横領罪になります。しかし他人のモノに手を出す行為に変わりはなく、遺失物等横領罪と窃盗罪の違いは実に微妙なところにあります。
決定的な違いは、盗られたモノやお金が盗られた瞬間に被害者の“占有下”にあったか?という点になります。

「占有」というのは、そのモノやお金が被害者の手元にある状態、あるいは置き場をハッキリと被害者が認識している状態のことです。盗られたモノが被害者の服のポケットやカバンの中など、すぐ手に出来る場所にあった場合は、占有下のモノを盗ったことになり、このケースは完全に窃盗罪となります。

それに対して、被害者が落としたり置き忘れて占有下から離れてしまったモノ(“占有離脱物”という)を拾って、そのまま自分のモノにしてしまう罪が遺失物等横領罪となるわけです。
こうした定義をふまえると、ネコババ行為はすべて遺失物等横領罪で済むようにも聞こえるのですが、窃盗罪が問われてしまう事は珍しくはありません。

ネコババ行為が窃盗罪になってしまう可能性

まず考えられるのは財布を拾った時、すぐに落とし主が現れ、拾い主を泥棒と見なして訴えた場合です。
近頃の法律解釈(裁判の判決)によると、落し物はすべてが占有離脱物とされるのではなく、落とし主が落とした事に気づき、遺失物の比較的そば(判例では20~80m程度)に居ると、まだ落とし主の占有下にあったと考えられています。こうした状況で、落とし主が被害者として拾い主を訴えると、窃盗罪が適用される場合があります。

また、置き傘や放置自転車も、もともとの持ち主を知っていた上で持ち出せば窃盗罪が成立する可能性があります。さらには傘立てや自転車の放置場所によっては、その傘立て自体の持ち主、駐輪場の経営者が占有権を主張し、窃盗罪になるケースも考えられます。
以上のような流れで、自転車1台や傘1本の拾得が、大きな事件となってしまう事もあるのです。

注意しておきたいのは、警察・被害者を含めたやり取りの中で、実際以上に話が大きくなってしまうケースです。本当にネコババ行為をしたのであれば相応の罪を償う必要はありますが、必要以上に重い罪を被ることはありません。適正な刑事手続きを受けるためにも、弁護士を雇ってアドバイスを受けましょう。

常習犯でなければ、いきなり刑務所行きはない?

ネコババ事件で下される現実的な処罰

置き傘の持ち出し、放置自転車の乗り逃げ、あるいは拾った財布の中身の抜き取りといった行為も立派な犯罪行為です。警察がそうした犯罪を認知した場合は、事件の大小に関わらず検挙されてしまいますし、場合によっては逮捕されて留置場に勾留されることもあり得えます。

ただ「微罪事件」と呼ばれるネコババ行為で、起訴された後、公開裁判で実刑判決を受け、実際に刑務所に行くことは滅多にありません。そうした事があるとしたら、それは余程被害金額が高額だったか、過去に同じような犯罪を複数回犯している常習犯だった場合でしょう。

被害額も大きくなく、被害者への示談や弁済が早期に済んでいれば、不起訴処分で終わる可能性もあります。また略式手続きになれば、罰金刑となり短期間で事件が終結する場合もあります。
ただ、掛けられた容疑が冤罪で、無実を主張する場合は公開裁判での長期戦を覚悟する必要があります。いずれの場合も弁護士からのアドバイスを受ければ、より良い結果が得られるでしょう。

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