盗撮の懲役、刑期はどれくらい?実刑や執行猶予はつく?

盗撮容疑で逮捕

盗撮の容疑で逮捕された場合、気になるポイントの一つに、どんな刑罰を科されるのかということがあるはずです。そこで、今回は盗撮で逮捕された場合に科されうる罰則や、執行猶予がつく可能性について説明していきます。

犯罪というと刑法をイメージされるかもしれませんが、盗撮について直接定めた刑法の規定はありません。つまり、「盗撮罪」というものは想定されていないわけです。では、盗撮行為をした場合は、どのような罪で逮捕されることになるのでしょうか?

盗撮に関する刑罰・刑期・懲役についての規定

盗撮事件に関係する法律

盗撮案件は、どのような場所で盗撮をしたかで適用される法が変わります。

一般的に、公共の場所で盗撮をした場合は各都道府県で定められる迷惑防止条例違反で、公共の場所以外で盗撮をした場合は軽犯罪法違反で、それぞれ逮捕されることになります。そして、盗撮をするために私有地等に侵入した場合には、刑法で定められる建造物等侵入罪にも問われる可能性があります。

盗撮行為の刑罰・刑期について

盗撮で成立する可能性のある罪である、軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反、建造物等侵入罪のそれぞれで規定されている刑罰は以下の通りです。

  1. 軽犯罪法違反
    拘留または科料に科されるとされています。拘留は、1日以上30日未満の期間で、刑事施設に収容されるものです。科料は、1,000円以上10,000円未満で科される罰金刑のことです。つまり、刑期としては、1日以上30日未満ということになります。
  2. 迷惑防止条例違反
    迷惑防止条例は、各都道府県で定められるものです。そのため、どのような範囲の盗撮行為を迷惑防止条例で規律するのか、どのような刑罰を加えるのかについては、条例ごとに違いが生まれます。半年~1年以下の懲役、50~100万円以下の罰金を科すと定められるケースが多いです。つまり刑期としては、半年~1年以下ということになります。
  3. 建造物等侵入罪
    刑法130条で、3年以下の懲役または10万円以下の罰金と定められています。

そのため、軽犯罪法違反、迷惑防止条例違反、建造物等侵入罪のいずれで逮捕されたとしても、場合によっては懲役刑などの身体拘束を刑罰として科される可能性が否定できないということになります。

盗撮で逮捕された場合は、常に刑事裁判が開かれるのか?

何かの犯罪をおこして逮捕されてしまうと、必ず刑事裁判が開かれて判決が下されると思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際はそうではなく、特に盗撮で逮捕された場合、刑事裁判に至らず事件が終了することも多くあります。

盗撮事件は軽微な犯罪

先程説明したように、盗撮を規律する法律で規定される刑罰は比較的軽微なものです。もちろん盗撮も犯罪であることに間違いはありませんが、殺人罪や強制わいせつ罪などの犯罪と比べると、少なくとも刑罰上は重大犯罪と言われる類のものではありません。

盗撮のような比較的軽微といわれる犯罪では、それぞれの事件の事情によっては、刑事裁判を開廷するまでもなく、不起訴処分が下されて事件が終了するケースが多くなります。

どのような場合に不起訴処分となるのか

一概に言えるものではありませんが、不起訴処分として前科がつくことなく事件が終了するために重要となるポイントを4つ紹介します。

  • 初犯であること
  • 罪を認め真摯に反省をしていること
  • 被害者との示談が成立していること
  • 盗撮形態が悪質ではないこと

これらのような事情が認められる場合には、盗撮で逮捕されたとしても、弁護士に相談するなどして正しく対応をすれば、起訴されて刑事裁判が開廷される可能性は低いといえます。

逆に、これらの事情が欠けているのであれば、刑事裁判にかけられて、有罪判決が科される可能性が高まります。

有罪判決は刑期(懲役刑)のある罪だけではない

日本の刑事裁判では、刑事裁判まで事件が進んでしまうとほとんどのケースが有罪判決を受けることになるというデータがあります。これは、検察官が、「刑事裁判で有罪判決を獲得できるだけの証拠がそろっているか」を、起訴処分を下すかどうかの段階で判断していることに起因します。

ただ、勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、有罪判決が下されると言っても、全てが懲役刑というわけではありませんし、すぐに刑務所に入らなくてはならないとは限りません。

罰金刑の可能性

罰金刑と懲役刑を比べたとき、罰金刑の方が軽い刑罰と言えます。一定期間の身体拘束を強いる懲役刑は重い刑罰で、罰金を払えば前科はつくけれどすぐに事件は終了する罰金刑は軽い刑罰として扱われています。

起訴処分が下されるタイプの盗撮事件の中にも重いものと比較的軽いものがあります。懲役刑が相当なレベルまで悪質なものであるのか、そこに至らない程度の罰金刑が相当であるタイプなのかです。

たとえば、初犯で、犯行も衝動的に行われたような盗撮事件で犯人自身もしっかり反省をしているが、被害者の処罰感情が非常に高く示談が成立していないようなケースを考えてみて下さい。確かに、被害者に深い傷を負わせており、許しを得ることができてはいませんので、その意味では、前科なしで不起訴処分を獲得することができるかは分からない事例になります。

しかし一方で、他の盗撮事件と比べたときに、その行為態様はかなりノーマルなもので、悪質性が特別高い案件とも言えません。しかも初犯で反省もしているとあっては、わざわざ懲役刑を科するほどの案件ではないと判断される可能性が高いでしょう。このような場合に、罰金刑に処せられることになります。

執行猶予の可能性

起訴処分を受けて刑事裁判が開廷され、かつ、罰金刑が処せられない場合であったとしても、全てが懲役刑に処せられるわけではありません。場合によっては、執行猶予が付される可能性があり、執行猶予付き判決を獲得できた場合は、前科はつくものの、すぐに刑罰として身体拘束を受ける必要はなくなります。

このように、執行猶予付き判決を獲得した場合は、直ちに刑事施設で身体拘束がされることがなく、すぐに社会復帰をすることができるわけです。ということは、社会復帰をさせても問題がないと判断されるようなケースのみ、執行猶予が付けられることになります。

逆に、すぐに社会復帰させるのは問題があると判断される場合には、執行猶予は付けられずに実刑判決が下されることになってしまいます。

たとえば、過去に盗撮で何度も逮捕されているようなケースや、盗撮で逮捕されたのがはじめてであったとしても、その後の捜査によって余罪が多数判明したようなケースだと、裁判官はどうしてもそのまま社会復帰させることに抵抗を感じてしまうでしょう。

しかし、盗撮行為にかなりの計画性があり、悪質性がかなり高いケースであったとしても、被害者との示談が成立して賠償が済んでいるような場合だと、執行猶予が付される可能性も高まります。

ちなみに、執行猶予期間中に再び犯罪をしてしまうと、どれだけ軽い犯罪であったとしても、実刑を回避することはできません。執行猶予中、電車の中で女性のスカートの中を衝動的に撮影したくなり、盗撮しようとスマホを差し向けただけの段階で、迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されたとしても、被害者との示談が成立しようがしまいが、執行猶予が取り消されて、懲役刑が科されることになります。

盗撮事件の刑期を短くするには弁護士に相談!

もし盗撮で逮捕されて、有罪判決が科されるのが確実な段階になったとしても、諦めてはいけません。刑期をできる限り短くすることで、身体拘束期間が短くなり、その後の社会復帰のためのハードルを低くすることができますし、実名報道をされる可能性も低くなります。

不起訴処分を獲得するのが難しい状況であったとしても、事件の詳細、その後の対応次第では、罰金刑ですむ場合もありますし、執行猶予が付される可能性も充分に残ります。そのために大切なのは、諦めて投げやりになることではなく、身体拘束期間を短くするための弁護活動を行うことです。

また、盗撮事件であれば、弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得して前科をつけずに解決できる可能性も十分にあります。そのためには、早めに示談を成立させるなど、早期の対応が重要となりますので、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

盗撮事件で逮捕されたときの対応は、被疑者・被告人だけで対処できるものではありません。そのため、弁護士に専門的な活動を依頼するのが必須事項となります。できるだけ早期に対応をはじめてもらうほど、有利な判決内容を獲得できる可能性はぐっと高まります。

盗撮事件の加害者側になった場合には、なるべく早く、盗撮事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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