労役とは何か?罰金が払えなければ労役場留置で強制労働!?

労役

罰金や科料の支払いができない場合、最終的に「労役場留置」となってしまうことがあります。労役場留置になると、労役場で強制労働をさせられますし、身柄拘束されてしまうので、自由に生活することができなくなります。そのような不利益を避けるには、そもそも刑罰を受けないことが重要です。刑事事件になったら、弁護士に依頼して、不起訴処分を獲得しましょう。

「労役場留置」とは

紙袋みなさまは「労役場留置」というと、どのようなイメージを持っているでしょうか?

「労役場留置」は、刑罰の1種です。罰金刑や科料の刑が確定した後、本人が支払えないときに、「労役場」という場所において、強制的に労働をさせられるというものです。労役場留置となったら、強制的に「労役場」という作業場に連れて行かれて、働かされることとなります。そして、必要な期間の労働を終えるまで、労役場を出ることができません。

「労役場留置」という刑罰はない?

ところで、皆様の中には、何らかの犯罪を犯したら、「労役場留置」という刑罰を適用される、と考えている方がいるかもしれません。しかし、刑法やその他の法律による罰則に「労役場留置」という刑罰はありません。法律が定める罰則は、重い方から並べて、以下の7種類となっています(刑法9条)。

死刑

死刑は、犯人の命を奪う刑罰です。最も重い刑罰です。

懲役刑

懲役刑は、犯人を刑務所などの矯正施設に収容して、強制的に働かせる刑罰です。死刑の次に重いとされています。

禁固刑

禁固刑は、犯人を矯正施設に収容しますが、強制労働はありません。毎日、何もせずに刑務所で暮らすだけの毎日となります。ただ、希望すれば労働をすることも可能となります。多くの禁固刑の受刑者のケースでは、1日何もしないと、かえって苦痛が強くなるので、懲役刑の人と同様に労働をしています。

罰金

罰金刑は、お金を支払わなければならないという刑罰です。この罰金をきちんと納付しないときに、労役場留置となります。

拘留

拘留は、30日未満の間、矯正施設に収容される刑罰です。強制労働はありません。禁固が30日以上なのに対し、拘留は30日未満となっている点が異なります。

科料

科料は、1万円未満のお金を徴収される刑です。罰金が1万円以上であるのに対し、金額が下がって1万円未満となると、科料です。科料を支払えなかった場合にも、労役場留置となる可能性があります。

没収

没収は、犯罪に使ったものや犯罪から得た収益を取り上げられることです。

罰金刑や科料になったときに、労役場留置される可能性がある

労役場留置されるのは、罰金刑や科料の刑の場合

上記のように、刑法やその他の法律で「労役場留置」がいきなり直接適用される刑罰はありません。実は、労役場に留置されるのは、「罰金刑」や「科料」などの、金銭を納付する刑罰が適用されるケースです。

罰金刑や科料の場合、定められたお金をきちんと支払ったら、刑罰を終えたことになります。しかし、人によっては、どうしてもお金を支払えないことがあります。犯罪を犯す人は、ほとんど財産らしい財産も持っていないことが多いですし、仕事もしていないことがよくあるからです。また、仕事をしている人でも、特別法に違反して数百万円以上などの多額の罰金の納付命令が出た場合などには、やはり支払いができないこともあります。

そのような場合、「払えないものは、しようがない」として見逃していると、きちんと支払う人と比べて不公平になりますし、悪いことをしたにもかかわらず、刑罰を受けなくて良いことになってしまいます。そこで、罰金を支払う代わりに「労役場」という場所に強制的に留置して、働かせることにしているのです。それが、労役場留置です。

きちんとお金を支払ったら、労役場留置にはならない

つまり、労役場留置は、罰金や科料の刑となった場合に、それらのお金を支払えないときに初めて適用されるものです。いきなり労役場留置されることはありませんし、きちんと支払さえしたら、身柄拘束されることはありません。

労役場留置される期間

労役場留置が行われる場合、法律によって期間が決められています(刑法18条)。

罰金刑の場合

まず、罰金刑が単独で適用された場合、労役場留置の期間は1日以上2年以下となります。

科料の場合

科料の刑が言い渡された場合、労役場留置の期間は1日以上30日以下となります。        

罰金を併科される場合

併科、というのは、2つ以上の刑罰を同時に適用される場合です。たとえば、懲役刑と罰金刑が併科されたり、罰金刑と科料の刑が併科されたりすることなどがあります。このように、罰金を併科される場合や、罰金と科料を併科される場合には、労役場留置の期間は、3年を超えることができないとされています。

科料を併科される場合

他の刑罰に科料を併科した場合には、労役場留置の期間は60日を超えることができない、とされています。

以上から、どんなに長い間労役場に留置されても、その期間が3年を超えることはありません。

労役場での労働は、いくらに換算されるのか

労役場での労働の対価は、裁判所が決定している

労役場での労働は、罰金や科料を支払えない場合に科されるものです。このように、お金を払う代わりの刑罰ですから、その労働は、金銭的に換算されます。その金銭的な評価を行うのは、刑事事件の判決を下す裁判所です。労役場留置の刑罰が適用される場合、刑事裁判の判決言い渡し時において、裁判所が罰金刑に足して労役場留置に関して言及します。

このとき、裁判所は「被告人を罰金〇〇円に処する。罰金を完納できない場合、1日当たり〇〇円に換算して労役場に留置する」などと言います。つまり、「労役場での労働について、1日当たり何円に換算すべきか」は、判決において裁判所が決定しているのです。

多くのケースでは、「1日5000円」

とはいっても、一般的に、労役場での労働は、1日当たり5000円と評価されます。そこで、10万円の罰金なら20日間労役場で働かされることとなります。100万円の罰金であれば200日間です。

1日あたりの金額が高額になるケースも

ただし、必ずしもすべてのケースで1日あたり5000円になるとは限りません。それは、労役場での留置期間に制限があることとも関係します。たとえば、1000万円の罰金刑を受けたとしても、基本的な労役場留置の期間は2年以内です。すると、最大限の2年間労役場に留置するとしても、1日当たりの労役の対価は13700円くらいになります。3000万円の罰金刑の場合なら、1日当たりの労役の対価を41000円くらいにしないと、計算が合わなくなります。

そこで、もともとの罰金刑の金額が高額な場合には、1日当たりの労役に対する対価も大きくなります。

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労働の内容は、全員同じ

ただし、1日当たりの労役の対価が大きいからといって、その分辛い仕事を任されたり労働時間を延ばされたりすることはありません。労役場に留置されている限り、基本的にすべての人が同じように労働をさせられます。

労役場留置期間に面会できるのか

労役場に留置されている場合、家族や友人は面会することができるのでしょうか?

労役場に留置されている受刑者の扱いは、基本的に懲役刑を受けている受刑者などと同じです。親族(家族)であれば面会をすることができますが、基本的に、親族以外のものが面会をすることはできません。単なる友人が面会を申し込んでも、断られてしまうでしょう。また、家族であっても完全に自由に面会できるわけではありません。話ができる時間は20分程度に制限されます。

差し入れもすることは可能ですが、どのようなものでも自由に入れられるわけではありません。衣類や身の回り品であっても、断られたり一部入れられないものがあったりするので、受刑施設の管理者に聞いてから差し入れ用の物品を用意すると良いでしょう。

労役場留置になるまでの流れ

それでは、罰金刑や科料の刑罰を受けたとき、どのような流れで労役場留置となるのでしょうか?

支払をしないと、財産を「強制執行」される

罰金刑や科料の刑罰を受けると、自宅宛に罰金納付用の用紙が送られてきます。それを無視していると、通常は、検察官から連絡があります。それでも支払をしないと、財産を差し押さえられてしまいます。たとえば、不動産や預貯金、生命保険などを差し押さえられて、取り立てを受けるということです。このことを、「強制執行」と言います。

任意の出頭を求められる

強制執行をされても罰金を完納できない場合や、そもそも強制執行をすべき財産がない場合などには、検察官から自宅宛に、「労役場留置を行うので、出頭するように」という呼出状が届きます。

強制的に労役場に連れて行かれる

もし、自発的に出頭しない場合には、身柄を拘束されて、労役場に連れて行かれることになります。

このように、労役場に留置されるまでには、一定の段階がありますし、時間もかかります。

  • まずは支払の督促
  • 続いて強制執行
  • そして任意の呼び出し
  • 最終的に、強制的な身柄拘束

という流れです。

一人の人間を労役場に留置しようとすると、その人の分のスペースが必要ですし、受け入れの準備を整えたり食事を提供したりする必要もあります。そこで、検察官の方も「できれば労役場留置は避けたい」と考えているのが本音のところです。労役場留置が行われるのは、最終的な段階だと考えていると良いでしょう。

労役場留置を途中で終わらせる方法

ところで、いったん労役場留置となった場合でも、途中で終わらせることができるケースがあります。それは、残りの罰金や科料を完納することです。労役場留置は、きちんと定められた罰金や科料を納付しないため、仕方なく行われているものです。そこで、不足分の罰金やお金を支払えば、刑罰を終えたことになり、労役場留置処分を解いてもらうことができます。

どうしてもお金がないときには仕方がありませんが、親族などに頼んでお金を工面できる場合などには、検討されると良いでしょう。

罰金刑にならないため、弁護士に依頼して、不起訴処分を獲得しよう

労役場留置になったら、さまざまな不利益がある

労役場留置になると、懲役刑を受ける人と同様、一定期間刑事施設に収容されて、強制的に労働させられることになります。そうなると、仕事をしている人の場合には解雇されてしまう可能性が高くなりますし、家族にも多大な迷惑と心配をかけます。

生活保護を受けている方が罰金刑を受けた場合、支払いができないので労役場留置となることが多いのですが、その場合、生活保護を切られてしまうことが普通です。そうなると、留置が終わったあと、生活していく手段もなくなってしまうでしょう。

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不起訴処分になったら、罰金も労役場留置もない

このようなさまざまな不利益を受けないためには、もとより罰金刑や科料の刑を受けないことが一番です。犯罪の疑いをかけられても、検察官の判断で「不起訴処分」となれば、刑事裁判になることも、罰金刑を適用されることもありません。不起訴処分を受けるためには、法的な知識を持って効果的な防御活動を行う必要がありますから、弁護士によるサポートを受けることが重要です。

刑事事件の被疑者となった場合には、罰金刑やそれに関連した労役場留置の不利益を避けるため、なるべく早めに刑事弁護に強い弁護士に相談をしましょう。

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