国選弁護人と私選弁護人どっちを選ぶ?メリットとデメリット

どちら

刑事事件における弁護人の重要性

現代社会で生活をしていると、万引きや痴漢、暴行や詐欺脅迫など、さまざまな犯罪の容疑で警察に逮捕される可能性があるものです。まじめに生きていても、交通事故を起こしたら刑事事件になってしまうケースがありますし、自分が犯罪行為をしなくても、子どもや夫などの親族が犯罪行為をしてしまうこともあるでしょう。

そのようなとき、刑事弁護人の存在が非常に重要です。刑事弁護人は、警察で身柄拘束を受けている被疑者とも自由に接見できて、必要なアドバイスをすることができますし、被害者と示談交渉を進めるなどして、被害者が有利になるように手続きを進めることなどもできるからです。逮捕当初から刑事弁護人を付けて適切な対処をしていたら、被疑者が後日に受ける不利益の内容や程度が大きく変わってきます。

そこで、自分や家族が犯罪の嫌疑をかけられて逮捕されたり任意同行されたりした場合には、なるべく早めに弁護士についてもらうことが大切です。

国選弁護人と私選弁護人

刑事弁護人には「国選弁護人」と「私選弁護人」の2種類があります。これらのうち、どちらに対応を依頼するかによって受けられるサービス内容やかかる費用などが変わってくるので、それぞれの特徴や違いを正しく理解しておきましょう。

国選弁護人とは

国選弁護人とは、国が公費でつけてくれる刑事弁護人です。日本国民には憲法によって弁護人選任権が認められています。ただ、弁護士を選任するためには費用がかかりますから、放っておくと、お金を用意できない人は事実上弁護人を選任できないことになってしまいます。そこで、資力の低い人の場合には、国が費用を出して弁護人を付けてくれるのです。これが国選弁護人の制度です。

国選弁護人は、基本的に「起訴後」につく弁護人です。つまり、刑事裁判が始まってから弁護人が選任されて弁護活動を開始してくれます。ただし、一定以上の重大事件の場合には、起訴前の被疑者段階においても国選弁護人を選任することができます。

私選弁護人とは

次に、私選弁護人についてみてみましょう。私選弁護人とは、被疑者や被告人本人が、自分で費用を出して選任する刑事弁護人です。私選弁護人の場合、刑事裁判になった後だけではなく、逮捕直後などの被疑者段階でも選任できます。また、重大犯罪に限られることはなく、どのような事件でも被疑者段階で選任可能です。軽い暴行や迷惑防止条例違反など、不起訴になりやすい事案や略式起訴となって罰金刑になるような軽い事件でも、被疑者段階から弁護活動をしてもらうことができます。

国選弁護人のメリット

それでは、国選弁護人と私選弁護人には、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?まずは国選弁護人のメリットからみていきましょう。

費用がかからない

国選弁護人の何よりのメリットは、費用がかからないことです。私選弁護人を選ぶと、接見に来てもらうたびにお金がかかったり、着手金や報酬金が発生したりするので最終的には数十万円以上の費用がかかってしまうケースが多いです。これに対し、国選弁護人なら一切の費用がかからないので、お金がない被疑者や被告人には非常に助かります。

弁護人を探さなくて良い

弁護士を探そうとしても、どうやって探したら良いかわからないという方もおられます。そのような方の場合、国選弁護人なら被疑者や被告人が申請書さえ出せば、国の方で自動的に弁護人を選んでつけてくれるので、探す必要がなく簡単に手続きできます。

国選弁護人のデメリット

国選弁護人にはデメリットも多いので、みておきましょう。

刑事裁判が始まらないと選任できない

国選弁護人の大きなデメリットの1つは、刑事裁判が始まらないと弁護人を選任できないケースがあることです。

かつてはすべての事件において、起訴前の国選弁護人選任ができませんでした。平成21年5月からは、国選弁護人の対象事件が拡大され、以下の事件で被疑者が勾留されている場合において、起訴前の選任が認められています。

  • 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件

たとえば殺人や放火、強盗や強制性交等罪(旧強姦罪)、傷害、詐欺、窃盗、横領、自動車運転過失致死傷罪、児童ポルノ規制法違反、覚せい剤取締法違反などでは、被疑者段階で国選弁護人を選任できます。

しかし今でも、暴行や痴漢、盗撮、麻薬特例法違反、住居侵入や死体遺棄などの犯罪のケースでは、被疑者段階での国選弁護人選任はできません。これらの犯罪でも、被疑者段階で弁護人がついていたら、不起訴になる可能性もありますが、弁護人がついていなかったらそのような有利な結果を目指すことが不可能となります。このことは、被疑者にとって大きな不利益となるでしょう。

刑事事件に強いとは限らない

国選弁護人は国が人選をするので、被疑者や被告人が選ぶことはできません。選ばれた国選弁護人が刑事事件に強いとは限らず、日頃ほとんど刑事弁護を取り扱っていない弁護士が担当になる可能性もあります。重大事件だからといって、国が配慮して刑事事件に強い弁護士をつけてくれることもありません。

刑事弁護は弁護士の腕によって結果が大きく変わってくる可能性があるので、刑事弁護に強くない弁護士がつくと大きな不利益を受ける可能性が高まります。

自分の好きな人を選べない

刑事弁護人を依頼するときには、なるべく相性の良い人を選びたいものです。何度も接見にきてもらい、人生に関わる重大事を任せていくことになるのですから、「この人にならすべて任せても良い」と思えるような相手を見つけることが理想です。

しかし国選弁護人の場合には、国が担当の人をつけるだけなので、どのような人になるか全く分かりません。年齢や経験年数、性別も選べませんし、人となりや雰囲気、話しやすさなどについても注文をつけることができないのです。実際に、国選弁護人と被疑者被告人やその家族とのそりが合わず、スムーズな弁護活動ができなくなる事案も多いです。

適当に対応されるケースもある

国選弁護人は、私選弁護人に比べて報酬が安いです。このこともあり、人によっては熱心に弁護活動をしないケースがあります。そのような弁護人にあたってしまったら、あまり接見にも来てもらえませんし、被害者との示談交渉なども積極的に進めてもらえず、結果的に重い刑罰を適用されてしまうおそれが高くなります。

資力制限がある

国選弁護人を選任すると費用がかからないのはメリットですが、国選弁護人をつけてもらえるのは被疑者被告人の資力が一定以下のケースです。具体的には現金や預貯金が50万円以下であることが必要です。それを超える資力がある場合には、私選弁護人を依頼したけれども断られた場合にのみ、国選弁護人をつけられます。

このように、資力要件があることもデメリットの1つと言えるでしょう。

私選弁護人のメリット

次に、私選弁護人のメリットをみていきましょう。

起訴前から対応を依頼できる

私選弁護人の大きなメリットは、起訴前(刑事裁判前)の段階で対応を依頼できることです。

国選弁護人の場合には、基本的に「起訴後」の弁護が中心となります。つまり、刑事裁判になってからしか弁護活動をしてもらえません。仮に、逮捕直後から弁護活動を展開していたら不起訴になっていた場合であっても、国選弁護人の選任を待っていたら、起訴を避けることが難しくなります。起訴されたら刑事裁判となり、有罪判決を受けたら一生消えない前科がついてしまいます。

早期に私選弁護人を付けていたら、適切な対応によって不起訴処分を獲得し、前科を避けられる可能性が高くなります。

どのような事件でも依頼できる

国選弁護人の場合でも被疑者段階から弁護人をつけられるケースがありますが、被疑者国選の対象事件は、上記の通り限られています。暴行罪や痴漢(迷惑条例違反)などの場合、国選弁護人はつけられません。

これに対し私選弁護人の場合、どのように軽い罪でも逮捕当初から弁護人に対応してもらうことができるのでメリットが大きいです。

不起訴になる可能性が高くなる

国選弁護人の場合、勾留前の選任ができませんし、人選などの手続きが必要となるので、逮捕直後にすぐに接見に来てもらうことは不可能です。勾留されてから数日後にようやく弁護士が来た、というケースもあり得ます。起訴前の勾留期間は10~20日しかないので、それでは効果的な弁護ができません。

これに対し私選弁護人ならば、逮捕直後に依頼することができます。このことで、早期に被害者と示談交渉を進めるなどして、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

刑事事件に強い弁護人を選べる

私選弁護人の場合には、被疑者・被告人が自分で弁護士を選べるので、刑事事件に強い弁護士を選任することができます。刑事事件の中でも、「暴行傷害事件」「痴漢事件」「薬物犯罪」などいろいろと専門ジャンルがありますが、自分の捕まった犯罪への対応が得意な弁護士までジャンルを絞って探せます。

刑事弁護は、依頼する弁護士の質によって受けられるサポート内容が大きく異なってきます。刑事弁護に精通している弁護士に対応を依頼することで、受ける不利益の内容を大きく軽減することが可能となります。

自分の気に言った人を選べる

私選弁護人の場合には、自分の気に言った人を選べる点もメリットです。たとえば年齢や性別も選べますし、話しやすい人、信頼できそうな人、接見に来てもらったときに心が落ち着くタイプの人などを選べます。刑事事件への対応は数か月以上かかる可能性もありますし、密なコミュニケーションが必要となるので、相性の良い弁護人を選ぶことは非常に重要です。

熱心に弁護してもらえる

私選弁護人に依頼すると、多くの場合非常に熱心に弁護活動をしてもらえます。私選弁護人は、依頼者との直接の契約により、お金をもらって弁護活動をするからです。また、結果を出せばその分弁護士の報酬金も高額になるので、不起訴や執行猶予などの処分を獲得するために力を尽くしてもらえるでしょう。

私選弁護人のデメリット

私選弁護人のデメリットも確認しましょう。

費用がかかる

私選弁護人を選任すると、費用がかかるのが最大のデメリットです。ケースにもよりますが、30万円以上はかかることが多いでしょう。

探し方が分からない場合がある

私選弁護人を選任するためには、自分で弁護士を探してアクセスしなければなりません。どうやって弁護士を探せば良いのかわからないので、私選弁護人を選べないという方もおられます。

国選弁護人、私選弁護人の選び方

国選弁護人の選び方

国選弁護人を選ぶときには、勾留されている被疑者や被告人が警察で申請を出せば良いだけです。すると国の方で弁護人を選任して、接見に来てもらうことができます。

私選弁護人の選び方

私選弁護人を選ぶときには、被疑者や家族が弁護士に相談に行く必要があります。お勧めの方法は、インターネットのウェブサイトで刑事弁護に強い弁護士を探して法律相談を申し込むことです。刑事弁護に力を入れている弁護士は、ホームページに刑事弁護に関するコラムや手続きの説明、実績等を載せていることが多いです。弁護士のプロフィールや挨拶文なども掲載してされているので、参考にして選べます。

一昔前は弁護士を探すのが大変でしたが、今はインターネットの普及によって、弁護士探しが非常に簡単になっています。スマホ1つで外出先でも弁護士を選んで連絡できるので、是非とも利用して下さい。

ケースに応じて適切な弁護人を選ぼう

以上のように、刑事弁護人には国選弁護人と私選弁護人があります。どちらも一長一短がありますが、早期に対応してもらえる私選弁護人の方が大きなメリットを得られるケースも多いです。また、弁護人との相性も重要で、合わない弁護士に対応を依頼すると、ストレスが溜まってしまいます。

弁護士費用を出せるなら私選弁護人の方が有利になりやすいですが、さまざまな状況があるものです。国選にゆだねるか、私選で自分の目で弁護士を選ぶのか、前科がつくことの不利益も考えた上で検討して下さい。早めに対応しないと受ける不利益が大きくなる可能性が高まるので、できるだけ早めに決断をしましょう。

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