万引き?置き引き?空き巣?呼び名が多いのが「窃盗罪」

「窃盗罪」は犯罪の王様?

空き巣犯

日本で起こっている犯罪で最も多いのが「窃盗罪」

「窃盗罪」は人のモノを盗む犯罪です。毎年警察庁が発表する『犯罪白書』では、警察などの捜査機関が犯罪として認知した件数および検挙件数が載っています。その中で犯罪別の認知・検挙件数は窃盗犯が、他の凶悪犯(殺人など)や粗暴犯(暴行・傷害など)といった諸犯罪を一桁も二桁も引き離して、ダントツのトップなのです。

つまり日本国内で日々発生している犯罪の中で、最も多いのが窃盗罪だということになります。これは窃盗という犯罪が“他人のモノを盗む”という行為全体をひっくるめているからです。

モノを盗むというのは、その手口から

  • 万引き(小売店などに展示してある商品を盗む)
  • 置き引き(放置してある他人の荷物を盗む)
  • スリ(人が身に付けている衣服やカバンから財布などを盗む)
  • 車上荒らし(駐車している車の中の荷物を盗む)
  • 空き巣(他人の家に侵入して盗みを働く。ただ留守宅だとは限らない)

など、いろいろな呼び名があります。

しかし、これらの犯罪を犯して警察に検挙された結果、起訴された場合にその罪状は、すべて「窃盗罪」になるわけです。また窃盗犯は1人で何十件、多い常習犯になると何百件以上の犯行を繰り返します。殺人で窃盗犯クラスの犯行を繰り返すことなど普通はありえませんので、窃盗の認知・検挙件数が他の犯罪に比べて、極端に多いのは当然かもしれません。

窃盗罪は意外に重い?

窃盗罪の刑罰は、量刑に幅があるのが特徴

窃盗罪の刑罰は
「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法235条)」
と定められています。

つまり窃盗罪で捕まった場合、最大10年刑務所に行く可能性があるという、なかなか重い犯罪です。ただ軽い刑罰となった場合、50万円以下の罰金。ということは、罰金1万円という事も条文からすれば可能性はゼロではありません(1万円未満の財産刑は「罰金」ではなく「科料」と言われるので、窃盗罪では適用されません)。

罰金1万円から懲役10年という、恐ろしく幅の広い量刑があるのが窃盗罪ですが、これは窃盗という犯罪が手口や被害額にも相当な幅があるからです。何日も下調べを続け、住居に忍び込んで現金や貴金属など、被害額が数千万円に及ぶ空き巣も窃盗罪になります。一方、ホンの出来心でコンビニの商品棚から100円の駄菓子を万引きしても窃盗罪です。窃盗罪にはそんな数々のケースが含まれていることから、当然刑罰にも幅があるのは当然でしょう。

窃盗罪で裁判にかけられることはあまりない?

裁判所まで傍聴に行った経験のある方ならご存知かもしれませんが、裁判所の公判予定で目立つのは、「覚せい剤取締法違反」といった“薬物系犯罪”です。認知・検挙件数ダントツトップの窃盗罪の公開裁判というは、それほど多くはなかったりします。

その理由は、ほとんどの窃盗事件は「略式裁判」で刑事手続きが終わってしまうからです。略式裁判というのは「略式手続き」とも呼ばれ、いちいち裁判所の法廷を使った公判など開きません。書類だけで判決まで行い、窃盗を行った本人が罰金を支払って事件は終わりという刑事手続きです。

もう少し詳しく説明すると、窃盗の疑いをかけられた人は警察などの捜査機関に逮捕され(逮捕のない「在宅捜査」もあり得るが、窃盗の場合は大抵身柄が拘束される)、検察に送検されます。そして検察の検事は事件を精査した結果、被疑者に
「略式手続きでいいか?」
と確認します。

被疑者が略式手続きに同意すると、呼び名は「被告人」になりますが、検察は書類だけを裁判所に送り、裁判所も書類審理だけで、有罪判決が確定するわけです。そして刑罰である罰金を被告人が支払えば、その窃盗事件は終了します。
そんな略式手続きが可能なのは、

  • 初犯で、特別に悪質な犯行ではない
  • 被疑者が最初から罪を全面的に認めている
  • 事件の被害額が小額である

などの条件を満たす場合です。(「被害額が少額」とみなされる相場はハッキリしませんが、一説には被害総額2万円以下とも言われています。)

略式裁判のメリット・デメリット

略式裁判のメリットは、検察や裁判所側からみると、被害の小さい万引き程度の事件で、法廷を使った正式な公開裁判を開くのは手間が大きいため、書類だけで事件を処理できればスムーズにできる点でしょう。一方、刑事手続きを受ける被疑者(被告人)側のメリットは、身柄の拘束時間が短くて済むことです。

略式手続きの場合、仮に逮捕され、身柄が拘束されてしまっても、略式手続きに応じると早ければ逮捕された当日、遅くても2、3日中には手続きが終了して釈放されます。ただ略式でも一応は裁判であり、下される判決は「有罪」なので、“前科”がついてしまいます。

万が一、そんな窃盗事件を起こしてしまった場合はすぐに弁護士を呼び、どんな形で事件を終わらせるかを相談しましょう。ちなみに窃盗罪は逮捕時点で、「被疑者国選弁護人制度」が使えます。知り合いに弁護士が居ない場合や「当番弁護士」が信用しづらいと感じたときには利用しましょう。

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