「窃盗罪」には万引き、置き引き、空き巣など、さまざまな手口がある

空き巣犯

「窃盗罪」の件数は非常に多い!

日本の刑法犯の中で、最も多く発生しているのは「窃盗罪」です。

「窃盗罪」とは他人の物を盗む行為で、漢字だけを見ると、本来は密かに盗み取るという意味ですが、その手口はさまざまで、被害者に暴行などを加えなかったひったくりも「窃盗」となりますので、おおっぴらに他人の物を盗む行為も含まれます。

毎年警察庁が発表する犯罪白書では、警察などの捜査機関が犯罪として認知した件数および検挙件数が掲載されていますので、どれほど「窃盗」が多いのか確かめてみましょう。

「窃盗」は刑法犯の7割以上を占める

平成29年版犯罪白書によると、平成28年の刑法犯の総数は996,120件となっています。そして認知件数の罪名別構成比を見てみると、「窃盗」は72.6%と圧倒的に多く発生しています。

その他の刑法犯は、「器物損壊」が10.1%、「詐欺」が4.1%、「暴行」が3.2%、「横領」が2.5%、「傷害」が2.4%、「住居侵入」が1.6%、「強制わいせつ」が0.6%、その他が2.9%ですから、いかに「窃盗」が多いのかが分かります。

件数で見ると、同年の「窃盗」の認知件数は723,148件で、次に多い「器物損壊」が100,440件となっています。1日あたりに換算すると、全国で2,000件近い「窃盗」が発生していることになります。

ちなみに同年の検挙率は28.9%となっており、凶悪な犯罪である殺人の100.7%、「強盗」の80.5%、「放火」の75.1%、「強姦」の98.1%などに比べ低いことが分かります。「窃盗」の多さと検挙率の低さが、刑法犯全体の検挙率が33.8%と意外と低い理由にもなっているのです。

累犯が多いことも圧倒的な件数につながる

「窃盗」は、以下に述べるように手口が非常に多く、これらの罪を犯して警察に逮捕され、起訴された場合には罪状がすべて「窃盗罪」になるのです。そして、「窃盗」の犯人は1人で複数の犯罪、常習犯になると数十件、数何百件もの犯行を繰り返す傾向にあります。

凶悪な犯罪である「殺人」で、「窃盗」のような犯行を繰り返すことなどは考えにくく、「窃盗」の認知件数、検挙件数が他の刑法犯に比べて極端に多いのは当然なのかもしれません。

「窃盗」の手口は多種多様

日本国内で日々発生している刑法犯の中で最も多いのが「窃盗」なのですが、これには「窃盗」という犯罪が他人の物を盗むという行為全体をひっくるめているからだという側面もあります。

他人の物を盗むというのは、その手口から、万引き(小売店などに陳列してある商品を盗む)、置き引き(短時間放置されている他人の荷物を盗む)、スリ(人が身に付けている衣服やカバンから財布などを盗む)、車上荒らし(駐車している車の中の荷物を盗む)、空き巣(他人の家に侵入して盗みを働く)など、いろいろな手口があります。

それでは、具体的な「窃盗」の手口を、犯罪白書から見てみましょう。

多いのは自転車盗、万引き、車上ねらい

平成29年版犯罪白書では、「窃盗」の手口は、侵入窃盗(総数の10.6%)、乗り物盗(同37.6%)、非侵入窃盗(同51.8%)と大きく3つに分類されています。

侵入窃盗のうち最も多いのが空き巣(総数の3.7%)で、忍込み(同1.4%)、出店荒し(同1.4%)、事務所荒し(同1.0%)と続きます。

乗り物盗では自転車盗(総数の32.7%)と圧倒的に多く、オートバイ盗(同3.4%)、自動車盗(同1.6%)となっています。

総数の半分以上を占める非侵入窃盗で最も多いのは万引き(総数の15.6%)で、車上・部品ねらい(同12.2%)、置引き(同4.7%)、自動販売機ねらい(同1.6%)、色情ねらい(同1.4%)、仮睡者ねらい(同0.7%)、すり(同0.5%)、ひったくり(同0.5%)、払出盗(同0.3%)となり、その他の非侵入窃盗が総数の14.3%と、非常に細かい犯罪類型が存在することが分かります。

「窃盗」の検挙率には、手口により大きな差がある

一方で、「窃盗」の検挙件数が28.9%と低いのは先に述べた通りですが、検挙件数のうち万引きが総数の37.4%、車上・部品ねらいが7.4%、空き巣が7.1%、自転車盗が6.5%と、「窃盗」には検挙されやすい犯罪と、そうでない犯罪があります。

犯人の特定が難しいという点があるかもしれませんが、乗り物盗、特に自転車盗の取り締まりをもっと厳しく行って欲しいものです。

以上のように、「窃盗」とは他人の物を盗ってしまう行為で、万引きや他人の住居に忍び込んで盗みを働く空き巣など、最初からそれが犯罪であると承知の上で行為を行う場合と、犯罪意識が薄い行為も「窃盗罪」に問われることもあるのです。

駅前で鍵のかかっていない自転車を勝手に乗ったり、急に雨が降り出し傘立てに置いてあった他人の傘を拝借したりするなどの行為も、「窃盗罪」となります。

「窃盗罪」の刑罰は重い!

万引きや置き引きなど、比較的軽微な犯罪も含まれる「窃盗罪」ですが、刑罰は意外に重く、科される量刑に幅があるのが特徴的です。

「窃盗罪」の刑罰は刑法第235条に次のように規定されています。

刑法
(窃盗)

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

他人の財物、いわゆる財産的価値のある物を盗んだ者は「窃盗罪」に問われ、逮捕され起訴されてしまうと、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられるというものです。

つまり、「窃盗罪」で捕まった場合、最大で10年間も刑務所に収監され懲役刑に服さなければならない可能性があるという、非常に重い犯罪なのです。

「窃盗罪」の刑罰が幅広い理由は?

一方で、「または」と規定されている刑罰が「50万円以下の罰金」ということは、罰金1万円という事も、条文から判断すれば可能性はゼロではありません。1万円未満の財産刑は罰金ではなく科料ですので、「窃盗罪」では適用されませんが、このような少額の罰金で済む可能性もあるのです。

比較的少額の罰金から懲役10年という、非常に幅の広い量刑が科せられる「窃盗罪」ですが、これは「窃盗」という犯罪が被害額や手口に相当な幅があるからだと考えられます。

何日間も犯行のために下調べを続け、住居に忍び込んで現金や貴金属など、被害額が数千万円に及ぶ空き巣も「窃盗」ですし、ほんの出来心でコンビニエンスストアの商品棚から100円のお菓子を万引きしても「窃盗」です。

窃盗罪にはこのようなさまざまなケースが含まれていることから、刑罰にも幅があるのは当然と言えます。

「窃盗」と「強盗」、「遺失物横領」の違い

「窃盗罪」と同様に、他人の物を盗む行為の犯罪として「強盗罪」や「遺失物横領罪」がありますが、その違いを確かめてみましょう。

「強盗罪」と「遺失物横領罪」は、それぞれ刑法第236条と第254に定められています。

刑法
(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

(遺失物等横領)
第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

当然ながら、より凶悪な犯罪の「強盗」は5年以上の有期懲役という、「窃盗」と比べて厳しい刑罰が科されることになります。一方で、「窃盗」よりも軽い「遺失物横領罪」の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

「窃盗」、「強盗」、「遺失物横領」も他人の財物を盗む行為ですが、それぞれに違いがあります。万引きや空き巣、自転車泥棒といった「窃盗」は、被害者に気づかれずに財物を盗んだ時の罪となります。

一般的には被害者が盗まれたことに気づくのは犯行が行われた後となるので、被害者が犯人から脅されたり、暴行を受けたりすることがなかった場合のものです。一方で「強盗」は、加害者が被害者に対して言動や凶器などで脅迫し、被害者から強制的に財物を奪い取る行為です。

ただし「窃盗」の行為を阻止するために被害者や第三者が犯人を捕まえようとした場合、犯人が相手に怪我を負わせた場合も、強盗罪が成立する可能性が高くなります。

そして例えば、現金であるかどうかに関わらず、拾った物を警察に届けずに、そのまま自分の物にしてしまうネコババのような行為は、「遺失物等横領罪」にあたります。

「窃盗罪」で逮捕されたら

裁判の傍聴に行った経験のある方ならご存知かもしれませんが、裁判所の公判予定で目立つのは、「覚せい剤取締法違反」といった薬物系犯罪です。

一方で、認知件数や検挙件数が刑法犯の中では圧倒的に多いはずの「窃盗罪」の公開裁判は、それほど多くありません。その理由は、ほとんどの「窃盗」事件が「略式裁判」で刑事手続きが終わってしまうからと言えます。

「略式手続」で終了してしまうことがほとんど

略式裁判は「略式手続」とも呼ばれ、裁判所の法廷を使った公判は開かれません。書類のみで判決までが行われ、「窃盗」を行った本人が罰金を支払って事件は終わりという刑事手続きとなります。

「窃盗」の被疑者が警察などの捜査機関に逮捕され、検察に送検されます。そして検察の検事は事件を精査した結果、被疑者に「略式手続」で良いかどうかの確認を行います。

被疑者が「略式手続」に同意すると、呼び名は被告人になりますが、検察は書類だけを裁判所に送り、裁判所も書類審理だけで、有罪判決が確定するのです。そして刑罰となる罰金を被告人が支払えば、その窃盗事件の刑事手続きは終了します。

以上のような簡素な刑事手続きで済まされるには条件があります。

それは、「初犯で、特別に悪質な犯行ではないこと」、「被疑者が最初から罪を全面的に認めていること」、「被害者が被った被害額が小額である」などの条件を満たす場合です。「被害額が少額」と見なされる相場は明確ではありませんが、一説には被害総額2万円以下とも言われているようです。

「略式手続」のメリット・デメリット

略式裁判による「略式手続」で刑事手続きを終わらせるメリットは、検察や裁判所側からすると、被害の小さい万引きのような事件で、法廷を使った正式な公開裁判を開くのは手間が大きいため、書類だけで事件をスムーズに処理できる点となります。

一方、刑事手続きを受ける被疑者(被告人)側のメリットは、身柄の拘束時間が短くて済むことです。仮に逮捕されて身柄が拘束されてしまっても、「略式手続」に応じると早ければ逮捕された当日、遅くても2~3日中には刑事手続きが終了して釈放されます。

ただし、略式であっても一応は裁判が行われますから、下される判決は有罪なので、前科がつくというデメリットがあります。万が一、「窃盗」事件を起こしてしまい逮捕された場合はすぐに弁護士を呼び、どんな形で事件を終わらせるかを相談してみるのが良いでしょう。

本人が弁護士に依頼するのは時間がかかる可能性がありますから、家族や友人からも弁護士にアプローチすることも必要です。

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