盗撮の初犯、量刑の相場は?執行猶予はつく?
- 2024年7月16日
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- もし逮捕されてしまったら
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盗撮行為は何罪?
盗撮をすると逮捕され、刑事裁判にかけられ、有罪判決となり罰せられる可能性があります。ただし「盗撮罪」というものがあるわけではありません。その行為の具体的内容に応じて、いくつかの種類の法律違反となる可能性が出てくるのです。
条例違反や軽犯罪法違反に該当する
迷惑防止条例は名称・内容に地域差あり
盗撮の場合、多くは各都道府県が定める条例に違反するケースと、軽犯罪法違反にあたるケースとに大別できるでしょう。ここでの条例とは、特に「迷惑行為防止条例」のことであり、公共の場で盗撮をした場合などに適用されることがあります。条例の正式な名称や、条文にある具体的な行為については地域差がありますが、多くの地域で共通しています。
たとえば、東京において盗撮の初犯として処罰される場合、その刑の内容は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金と定められています。ただし初犯ではなく、日常的に盗撮行為を繰り返しているような場合ですとより厳しく罰せられるよう、懲役の長さが2年以下にまで伸ばされています。
軽犯罪法違反は全国共通で適用
このような条例違反に対して、軽犯罪法は法律ですので全国共通で適用されます。他人の家や風呂場、更衣室、トイレといった場所をのぞき見た場合には拘留、もしくは科料に処されるかもしれません。この場合、盗撮に限定されておらず、のぞき見る行為に対し規制がかかっている点が特徴的です。盗撮をしようと思ったもののやっぱり撮影をしなかったとしても処罰される可能性があります。
ちなみに拘留とは1日以上30日未満の期間刑事施設に身柄を拘束される刑を言い、科料は1000円以上1万円未満の金銭につき強制的に徴収される刑になります。
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罰金は定義上1万円以上の金銭徴収の刑ですので基本的には徴収される金額の差で区別されると言えるでしょう。懲役刑は、単に刑務所に収監される刑のことではなく、その中で刑務作業をおこなわせる刑罰を意味します。
盗撮の対象や盗撮の方法によっても変わってくる
18歳未満の者を対象に盗撮をした場合、児童ポルノ規制法に該当することがあります。児童ポルノ規制法は子どもを性犯罪等から守るために特別に定められた法律で、上で紹介した軽犯罪法等に抵触する場合でも、同時にこの法律に抵触すれば児童ポルノ規制法違反として処罰されることになります。そしてその罰則も重く、盗撮により児童ポルノの製造として刑に処されると3年以下の懲役、または300万円以下の罰金となる可能性が出てきます。このほか、自らが撮影をしていなくても、児童ポルノを所持しているだけで処罰されることもあります。
盗撮を行うにあたり他人の敷地内や家の中に入ることもあるでしょう。その場合には、盗撮行為そのものに対する処罰ではありませんが、住居侵入の罪にあたります。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。なお、塀の上にのぼって撮影をしたとしてもそこは建造物の一部ですのでやはり住居侵入罪が適用されます。
盗撮初犯の量刑の相場
ここまでで紹介したいくつかの罰則は法定刑ですので、実際の刑事裁判で必ず懲役1年や3年が科せられるということではありません。法定刑では範囲を定めているだけですので、実際にはこれより短い期間、少ない金額の罰金などが宣告されることがあります。盗撮の初犯だとこの量刑がどのように判断されるのか、その相場を紹介していきます。
盗撮初犯は罰金刑になることが多い
主に懲役または罰金の刑などが盗撮犯を処罰する内容でした。そして、一般的には比較的軽微な犯罪等に関しては罰金刑、より重大な犯罪等に関しては懲役刑が宣告される傾向にあります。そこで盗撮の初犯である場合には罰金刑が科される可能性が高いと言えます。実際、これまでに起こった盗撮事件の多くは罰金が言い渡されています。もちろんこれは絶対と言えることではなく、事件の具体的な内容を勘案した上で判断が下されます。
罰金が言い渡されるということは有罪の判決であり、通常は刑事裁判によって審理が行われます。しかしすべての事件について公開の法廷で審理がなされているわけではありません。100万円以下の罰金を科する裁判をする場合には略式手続を採り、通常の刑事裁判を経ずに事件を終結させることもできるのです。
起訴される者全体のうち、高い割合でこの略式手続が採られており、罰金や科料の言い渡し事件に限ればほとんどが略式手続で処理されているのが実情です。被告人が出頭する必要がなく、書面での審理だけで進められるため早期に解決することができます。ただし、有罪判決を受けたことと同じ扱いになりますので前科は免れません。そこで略式手続で処理をするためには被告人の同意が必要で、逮捕された者がこれを認めなければ正式な裁判で有罪・無罪を争うことができます。
罰金刑に不服で裁判した結果、刑が重くなってしまう可能性も
早期解決がこの手続きの目的でもありますので、「罰金○○円に処する」といった内容の告知は、略式手続の請求がなされてから14日以内に発せられ、被告人にも送達されます。そしてこの告知を受けてから14日以内であれば正式裁判の申立てが許されます。ただし注意しなければいけないのが、正式な裁判に移行した結果、有罪判決を変えられないだけでなく、場合によってはより重い科刑となってしまう可能性もあるということです。控訴では不利益変更禁止の原則というものが適用されるため、不服を述べたことによってより悪い結果になることはありませんが、略式手続からの移行は控訴にあたらないためこの適用がありません。実際のところは同じ罰金額であることが多いですがこれもケースバイケースで考えた方が良いでしょう。
こういった判断には専門的な知識と経験が必要になりますので、刑事事件の経験豊富な弁護士からのアドバイスをもらうことをおすすめします。
懲役刑になるのは悪質なケース
盗撮、特に初犯であれば罰金刑が処される可能性が高いです。仮に初犯でなかったとしても、懲役刑になる可能性が高いとまでは言えません。過去に罰金刑に処されているにもかかわらず、社会において更正される余地がないと判断された場合などに懲役刑が言い渡されるでしょう。そのため何度も逮捕されているにもかかわらず反省がみえない、行為の内容が非常に悪質な場合などには懲役刑となる可能性が上がります。被害者の精神的な被害が大きいこと、示談が成立していないこと、同じ対象を複数回執拗に盗撮していることなどは不利な事実となるでしょう。
逮捕されたときの状況や、撮影の方法などだけで判断されるのではなく、逮捕されてからの態度や言動も関係してきますので、その後の対処にも配慮が必要です。
量刑はどうやって決められるのか
すでに少し触れたように、量刑は行為の悪質性や常習性が考慮されて決められます。法定刑については条文に定められている通りですのでその範囲が決まっています。しかし、その範囲内で決められる量刑については様々な要因のもと判断をしていくことになります。たとえば以下の内容は、量刑における重要な基準となり得るでしょう。
- 余罪がないかどうか
- 再犯を防止しようとしているか
- 被害者が処罰を望んでいるか
- 被害の大きさ
- 犯行の計画性
- 示談は成立しているか
盗撮初犯だと執行猶予がつく?
執行猶予が付与されると、懲役刑が言い渡されたとしても、その全部の期間もしくは一部の期間刑務所に収監されずに済みます。そのため、社会でこれまで通りの生活を送ることもできるようになります。
執行猶予がつくケース
執行猶予についても事件の具体的な内容から判断してその付与が決定されます。ただし執行猶予を与えることができるかどうか、一定の条件を満たさなければ可能性はとても低くなってしまいます。執行猶予が適用可能かどうか、重要なポイントは以下の2つです。
- 前科の有無およびその時期
- 今回の宣告刑の内容
宣告された懲役刑につき、そのすべてを執行猶予としてもらうためには以前に禁錮以上の刑に処されていないことが必要です。懲役刑は禁錮以上にあたります。罰金刑であればかまいません。ちなみに前に罰せられた行為が盗撮であるかどうかは問われません。また、以前に禁錮以上の刑に処されていたとしても、その執行を終えてから5年が経過していれば問題ありません。次に、上の要件に併せて、今回の宣告刑が3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金であることが必要です。たとえば、100万円の罰金が言い渡された場合には執行猶予はつきません。
2度目でも執行猶予になる可能性も(ただし条件あり)
この、刑の全部を執行猶予は2度受けることも可能です。ただし、再び執行猶予を与えられるためには、今回の宣告刑が1年以下の懲役でなければなりません。やはり初回よりも厳しくなっています。無事執行猶予を得られたとしても、その後の行いには気を付けなければなりません。この執行猶予は取り消されることがあり、再び別の犯罪によって禁錮以上の刑に処された場合には必ず取り消され、罰金刑に処された場合にも取り消される可能性はあります。
刑の一部について執行猶予が付くこともありますが、これは懲役刑・禁錮刑に限られます。つまり拘留や罰金が言い渡された場合には適用されることはありません。つまり罰金は必ず支払わなければなりません。
盗撮初犯ではなく余罪があるとどうなるか
ある盗撮行為によって逮捕、取調べを受けた際に、余罪が見つかった場合、執行猶予が付く可能性は低くなるでしょう。本罪に加え余罪も併合されることになり、言い渡される量刑の上限が高くなってしまうことがその理由です。執行猶予の要件である3年以下、もしくは1年以下の懲役という上限を超えてしまうかもしれないのです。
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盗撮初犯で不起訴や執行猶予を得るためにすべきこと
盗撮初犯で逮捕されてしまった場合、最初に目指すところは早期釈放です。これが叶わない場合には次の段階として不起訴処分が得られるように目指します。日本では起訴されてしまうと有罪となってしまう確率が非常に高いためこれは重要です。その次に、不起訴も避けられない場合には、できるだけ軽い宣告刑にしてもらえるようにすること、そして可能であれば執行猶予をつけてもらうようにすることが大切です。これらのためには以下のことをすると良いでしょう。
示談の成立
示談は、本来民事紛争を解決するための和解です。しかし、示談が成立していることは刑事手続においても大きな意味を持ち、早期釈放や不起訴処分、量刑判断、執行猶予等に効果的です。和解のためには示談金を支払うことになるでしょう。その金額は加害者と被害者の合意によって決められますので、一概に言えることではありません。被害者が納得するためのお金でもありますので、やはり被害が大きいほど大きな金額になってくるでしょう。一般的にそれほど重大な盗撮事件でなければ5~15万円程度が相場とも言われています。ただし加害者の財力など、様々な要因のもと数十万円から100万円を超えるようなこともあり得なくはないです。
自首
自首の事実も量刑や執行猶予等に有利にはたらきますが、これはタイミングが非常に重要です。犯罪事実または犯人が誰であるのか、これが捜査機関に「発覚」する前でなければいけません。指名手配犯のように犯罪事実等が明らかになっているようなケースではもはや自首はできません。また、取調べを待たずに自ら進んで申告する必要があります。つまり、余罪がある場合において、取調べで他には罪を犯していないかと問われて自白をしても自首ではありません。
ただし、犯罪事実が知られていても、犯人の住所氏名がまったく明らかになっておらず、さらに年齢や服装、体格、人相までが判明していたとしても特定に至らなければ「発覚」とは言えず、自首が成立する余地はあります。自首をすることで反省の態度を示すことができ、再犯の可能性が低いと評価してもらうことにも繋がります。
捜査への協力
自首が成立しないケースであっても、積極的に捜査に協力し犯罪の事実を自白するなどすれば自首ほどではなくても効果的だと言えます。不起訴処分を得られる可能性も高まるでしょう。
自ら再犯可能性を下げる
再犯の可能性が低いと見てもらうためには、反省するだけでなく、客観的に判断できるよう、これを示すことが効果的です。そのため、盗撮ができないよう身内の者から監視される状況にすること、カメラ等を破棄すること、セラピーに参加するなどすれば良い評価が得られるでしょう。
冤罪の場合には一貫した否認を
捜査に協力的になることは重要ですが、冤罪のようなケースでは言いなりになってはいけません。しっかりと否認することが大切です。厳しい取調べを受けても犯行を認める供述調書に署名をしてしまうと後からこれを覆すのが難しくなってしまいます。黙秘権や署名の拒否権などを適切に行使して自分の権利を守るようにしましょう。
盗撮初犯で逮捕されたときは弁護士を呼ぶ
ここまでに紹介した、示談や自首、取調べに対する対応など、これらをすべて適切に行うためには専門家のアドバイスを得ることが必要でしょう。刑事事件に強い弁護士に相談をすれば的確な助言を得られるだけでなく、弁護士から早期釈放や不起訴処分を得るための活動をしてもらえます。刑事裁判が始まっても弁護活動を行ってくれます。
特に、逮捕後は身内とも面会をするのが難しいため、これを自由にすることのできる弁護士の存在が非常に心強く感じます。示談においても加害者自ら行うのでは成立の可能性が低く、それ以前に交渉を受け入れてもらえないこともあり得ます。そのため示談を代理で弁護士に行ってもらわなければなりません。適切な額で示談を成立させることも期待できます。
逮捕をされた者にも、当然ですが弁護士を呼ぶ正当な権利がありますので、盗撮で逮捕された場合にはすぐ弁護士を呼ぶようにしましょう。また、弁護士を呼ぶときには、刑事事件に強い弁護士を選んで相談をしてみることをおすすめします。
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- 事件の前科や逮捕歴を残したくない
- なんとかして不起訴の可能性を少しでも上げたい
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