息子や娘が逮捕されたら!逮捕後の流れと取るべき対応

逮捕のイメージ

息子さんや娘さんが逮捕されてしまったご家族の方へ

突然の逮捕で息子・娘にかかる負担は大きい

現行犯逮捕などを除き、人が逮捕されるタイミングはいつも突然です。

逮捕にはいくつか種類がありますが、基本的には「通常逮捕」と呼ばれる、逮捕状を呈示しての身柄拘束が行われます。
事件の発生から令状の請求、そして裁判官から逮捕状が発行されるまでには時間を要することから「後日逮捕」と呼ばれることもあります。
事件が複雑であるほど、事件発生から逮捕までの期間が長くなる可能性は高く、1か月やそれ以上の期間を経て逮捕されることもあります。

息子さんや娘さんが逮捕されてしまった場合も同様です。
息子さん・娘さんは突然逮捕されてしまい、どうすればいいのか分からないまま自由を奪われることになります。
いきなり1人になり、外部との連絡を取ることもできませんので孤独に不安を抱えたまま取調べを受けていくことになります。

息子・娘が逮捕された時、親や家族にできることは?

息子や娘が逮捕されれば、当然、親の不安も大変なものです。この先子供はどうなってしまうのか、いつまでこの状況が続くのか分からず悩むかもしれません。
ただ、このときにパニックになっても問題は解決しません。あたふたしないためには、逮捕後の流れや適切な対応策等、知識を持っておくことが大切です。

そこで、以下では逮捕された子がどのような流れで手続を経るのか、親はどうすればいいのか、といったことを紹介していきます。
まず、最優先にすべきことは弁護士への相談なので、まず「刑事事件に強い弁護士」を探すという対応が有効です。

息子・娘が逮捕されたときに親が取るべき対応

息子さんや娘さんが逮捕された場合、親が取るべき初動対応は、まず以下の3つと考えて下さい。

  • 事実確認
  • 弁護士に相談
  • 今後の流れを把握

事実確認

息子や娘が逮捕された場合、逮捕された人の親であっても、警察から必ず連絡を受けられるわけではありません。警察には連絡をする義務が法定されていないため、必ずしも家族の連絡先を調べて教えてくれるとは限りません。
ただし、子供が逮捕された場合に年齢等も考慮したうえ、警察から連絡してくれることもあり得ます。
また、逮捕が自宅でなされた場合には警察官に会うことになるため、すぐに事実関係を聞くことが可能です。

警察と話をできるのであれば、できるだけ機会を逃さないように事件に関して質問をしておきましょう。
具体的には、息子さん・娘さんが何をして逮捕されたのか、何罪なのか、被害者は存在するのか、といった情報です。

弁護士に相談

息子や娘が逮捕されたときに、親が取るべき対応として最も重要なのが弁護士に相談をするということでしょう。
事実確認は状況によって親ができない可能性もありますし、十分な情報を得られないことも考えらえます。
また事実関係を知っても、親がその先できることには限界があります。

逮捕直後の息子・娘に接見し、対応をアドバイスできるのは弁護士だけ

そこで、その後の対応については弁護士へ依頼します。
事実確認がある程度できているのであれば、その事実を伝えれば弁護士もスムーズに取り掛かることができるでしょう。
弁護士に頼むことのメリットは、一般人にない権限を持って接見(面会)等ができることにあります。
また逮捕された息子や娘が、取調べでどのような対応をしたらいいのか、本人に対するアドバイスもできるようになります。

特に逮捕直後の接見は家族であっても自由にはできず、弁護士を通してでなければ連絡を取り合うことすら難しくなります。

今後の流れを把握

弁護士に対応してもらいつつ、逮捕されている息子・娘の現状を把握します。その上で、事件の概要、その内容から今後の手続はどうなりそうなのか聞いておきましょう。
親が直接関与できることは少ないですが、見通しを聞いておくことで心の準備をすることができるでしょう。

未成年の息子・娘の逮捕は通常の刑事手続きと扱いが異なる

特に未成年の息子・娘が逮捕された場合には、通常の刑事手続とは異なる扱いを受けることになります。
犯した罪の内容や子供の年齢、その他様々な事情により対応は変わってきます。下で詳しく見ていきましょう。

少年の刑事手続の流れ

最初に整理しておきたいのは、ここで言う「少年」とは20歳未満の者であるということです。性別は関係ありません。

少年については、犯罪行為等の非行をはたらいたとしても特別な取扱いをすることが、少年法で法定されています。
これは少年法が、罰を与えることを目的にするのではなく、少年について健全な育成を目的としているからです。
刑が軽くなったり、勾留請求をするためのハードルが上がったりなど、罪を犯した少年であっても措置が緩和されるよう様々なルールが定められています。

少年事件の特徴

まず家庭裁判所に送致され、少年審判が行われる

少年の刑事事件では、まず家庭裁判所に送致されることが大きな特徴です。少年事件では原則的にすべての事件が家庭裁判所に送られます。ここで少年審判が行われ「保護処分」に付されるか否かが決せられます。
ただし家庭裁判所が、少年に対し刑事処分が相当であると判断した場合には検察官に送致され、通常の刑事事件のように起訴がなされ一般的な刑事訴訟手続に組み入れられることとなります。

勾留に関する特則

成人の場合、逮捕後警察から検察に送致されると勾留請求を受け、最大20日間の勾留を受けることがあります。この期間中に検察官は起訴するかどうかの判断をし、起訴されると刑事裁判が始まります。
裁判中もより長い期間勾留されることがあり、有罪が確定していないにもかかわらず長期に渡り自由を奪われることになってしまいます。
そのため、勾留は精神的負担も大きく、少年に対しては特則が設けられています。

少年事件では勾留請求は行われない

検察官はそもそも逃亡や証拠隠滅のおそれを理由に勾留請求をしていますが、少年を対象にする場合、逃亡および証拠隠滅のおそれがあっても勾留請求はできません。やむを得ない事由がなければ勾留請求はできないルールになっています。
ただし、勾留に代えて少年鑑別所に収容する観護措置を請求することは可能です。少年鑑別所に入る場合、勾留ほど長期にはならず、成人の被疑者との接触を避けられるようになるなど、比較的負担は小さくなります。

少年審判とは

少年審判とは「非行少年の教育的保護を目的とした家庭裁判所で行われる手続」のことです。
刑事手続の枠内ではあるものの、この段階では一般に刑事事件とは呼ばれず「保護事件」と呼びます。

非行少年とは、以下の定義に示すような少年のことです。

  1. 罪を犯した少年
  2. 触法少年(14歳未満で刑罰法令に反する行為をした者のこと)
  3. 虞犯(ぐはん)少年(性格や環境等から見て罪を犯すおそれがあると見られる少年のこと)

なお、12歳未満の虞犯少年と触法少年については児童福祉法が優先的に適用されることになり、少年審判に付すためには児童相談所長または都道府県知事の送致が条件とされます。

少年審判は、検察官が入らず公開もされない

少年審判では、通常の刑事事件のように検察官が入ることはなく、公開もされないという違いがあります。
審判の結果、非行事実の存在が認められ、保護処分の必要がある場合には保護観察の決定や少年院への送致、児童自立支援施設への送致等の決定がなされます。
少年院については平成19年に少年法が改正され、収容できる年齢の下限が14歳から「おおむね12歳」へと下げられている点に注意が必要です。

保護処分に対する救済手段

これら保護処分の決定がなされた後でも、救済の手段はあります。
たとえば、処分が著しく不当なケースや重大な事実誤認があるなら、2週間以内に高等裁判所へ抗告が可能です。
さらにこの抗告が棄却されても、憲法違反および判例違反を理由に最高裁判所へ再抗告の申立てが可能です。

もう一つのルートとしては、保護処分取消制度の利用が挙げられます。これは刑事事件における再審に類似します。保護処分の確定後、不適切であったことが判明すれば保護処分を取り消すことができるという制度です。

刑罰が必要と判断された場合の流れ

刑罰が必要と判断されると、逆送・起訴へ

多くは保護事件として少年審判で終局しますが、家庭裁判所が、保護処分ではなく刑罰を科す必要があると判断すれば検察官に事件を送致(「逆送」という)します。これは非行事実が死刑や懲役、禁錮に当たる犯罪のケースです。この場合にも特則が設けられています。

通常、検察官には起訴するかどうかの裁量が認められているものの、逆送がなされた場合には原則として起訴が強制されるのです。そのため逆送の決定がなされた時点でほぼ確実に通常の公判手続へと移行することになります。ただ、対象が少年であるため情操に配慮がなされ、関連する成人事件があっても極力分離して審理がなされるなど、慎重に進められます。

少年に対する刑事処分の特則

そして刑事処分についても特則が設けられています。
たとえば、

  • 犯行時18歳未満であった少年には死刑に処することができず死刑相当なら無期刑を科す
  • 無期刑相当でも裁判所の裁量により10年以上20年以下の懲役または禁錮に処することが可能

といった内容です。

成人にはない不定期刑の定めもあり、たとえば「懲役○○年に処する」と宣告するのではなく、「懲役○○年以上○○年以下に処する」と宣告することもできます。
さらに、少年の改善更正の可能性その他の事情を考慮し特に必要と見られるときには、法定刑を下回る宣告をすることも可能とされています。

懲役・禁固刑を受けた場合、少年刑務所へ送られる

懲役または禁錮刑の言い渡しを受けた少年は、少年刑務所に入ります。
少年刑務所は少年院とは違うものです。少年院では矯正教育を施すなどの目的があるのに対し、少年刑務所は刑罰を与えることが目的とされる刑事施設です。少年刑務所に収容される年齢も16歳以上と定められています。
なお、刑の緩和措置については以下のようにまとめられます。

未成年事件に対する刑の緩和措置
13歳未満 不可罰
14歳から17歳 緩和措置あり
18歳および19歳 緩和措置なし

逆走決定についての法定ルール

13歳未満については刑事責任がないため、逆送決定を行うことができません。これもかつては16歳以上が刑事処分可能年齢となっていましたが、2000年の法改正により下限が下げられています。
一方、16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合、原則逆送決定をしないといけないことも法定されています。

息子や娘が逮捕されたら弁護士にすぐ相談!

息子さんや娘さんが逮捕されてしまったとき、事実関係の確認ができるなら警察から話を聞き、その後弁護士に相談するようにしましょう。弁護士への相談はできるだけ早くすべきです。
なぜなら、早い時期に弁護士に動いてもらうことで、早期釈放や、子供の受ける不利益を最小限に抑えることができるかもしれないからです。また、弁護士に接見をしてもらわなければ、逮捕後子供は誰とも会うことができず1人で過ごすことになり、精神的負担も大きくなってしまいます。弁護士を通して親が協力しているということが伝わるだけでも安心感が生まれます。

息子・娘が逮捕されたら、弁護士への相談は親のできる唯一の対応策

このように、息子や娘が逮捕されたときに弁護士に相談することは、親のできる唯一とも言える対応策です。
しかし、法律事務所にもそれぞれの特色がありますので、息子や娘が逮捕されたケースでは、刑事事件に特化した事務所に相談するといいでしょう。
逮捕された子供が未成年なら、これまで多くの少年事件を扱ってきた実績のある事務所を探してみましょう。

少年事件に強い弁護士であれば、早期釈放を目指すことや不当に不利益な立場に置かれることを避けられるかもしれません。
また子供との対応に慣れている弁護士であれば、息子や娘も安心して話に応じてくれるかもしれません。
もう1つ弁護士事務所を探すときに着目すべき点は、親身になって相談に乗ってくれるかどうか、ということです。相性も関係してくるでしょう。話しやすさなど、子供のことを安心して任せられるかどうかという視点からも相談先を考えていくといいでしょう。

無料相談をしている法律事務所も増えてきていますので、まずは「刑事事件に強い弁護士」にすぐ相談をしてみることをおすすめします。

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