盗撮の刑罰~逮捕勾留や懲役、罰金はどのくらい?
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盗撮で逮捕された場合の刑罰以外のデメリット
盗撮行為の嫌疑をかけられて、盗撮で逮捕された場合には、その後勾留され、やがては有罪判決を受けることになります。もちろん、盗撮事件の場合は、在宅事件として扱われたり、早期に不起訴処分を獲得できたりするケースも多くありますが、一方で、長期間の身体拘束を強いられた上で、有罪判決が下されることも往々にしてあり得ることです。
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このように、事件を起こしてしまうと、被疑者・被告人にはさまざまなデメリットが生じる可能性があるものです。そこで、今回は盗撮事件を起こしてしまった場合に、加害者に生じると想定されるデメリットを整理したいと思います。では、盗撮で逮捕された場合、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか?
身柄拘束によるデメリット
盗撮の容疑で逮捕された場合、事件によって差はありますが、一定期間の身柄拘束を強いられることになります。身体拘束をされると、学生の場合はこの期間に学校に通うことはできなくなってしまいます。学校は欠席扱いになるでしょうし、大学などの定期試験を受けることも当然不可能です。そうなると、就学状況に影響が生じることを避けることはできないでしょう。
社会人の場合が身体拘束をされた場合には、もちろん出勤することはできません。勾留中に本人から直接会社に連絡をすることもできないので、無断欠勤状態が続くことになってしまいます。学生と違って、たった一日の無断欠勤でも大きな影響が生じるでしょうから、捜査機関に身柄が拘束されることは、学生の場合以上に大きなデメリットとなってしまいます。
また、捜査機関に身柄が拘束されると、精神的なデメリットも生じます。当然ですが、厳しい取調べを受け続けなければいけませんし、接見以外では外部の人間とコンタクトを取ることもできません。自分の行く末がどのようになるのか不安な気持ちもあいまって、多くのストレスが発生することになります。
すぐに接見をすることができるのは、弁護士のみですので、盗撮事件では弁護士への相談が重要です。
前科がつくデメリット
盗撮事案の場合には、他の犯罪に比べると前科なしで事件が終了する可能性は高いものです。しかし、被害者との示談が成立していなかったり、再犯であったり、盗撮態様が極めて悪質なケースだったりする場合には、残念ながら前科がつくのを避けるのは難しくなってしまいます。
前科は、後の社会生活にとって大きなマイナスとなってしまいます。履歴書に記載しなければ不実記載として不利に扱われる可能性はありますし、記載したとしても当然ネガティブな印象を与えることを避けることは難しいでしょう。これも、盗撮事件に限ったことではありませんが、前科がつくのは大きなデメリットと言えます。
実名報道の可能性
もちろん、全ての盗撮事件が報道に乗り、実名報道などがされるわけではありません。しかし、社会への悪影響が高いと判断されるような事件の場合ですと、報道されることを避けることはできませんし、ローカルニュース番組ですと、比較的軽微な犯罪であったとしても報道される可能性は少し高まってしまいます。
特に盗撮事件のような性犯罪は、最近では社会的な批判の目が強く向けられる傾向にあります。報道機関のさじ加減にもよりますが、実名報道されないと言い切ることは難しいでしょう。また、最近はネット社会が発達していますので、いったんネットニュースに掲載されてしまうと、いつまでも盗撮事件を起こしてしまったことがインターネット上に情報として残ってしまいます。
このように、盗撮事件を起こしてしまうと自らの犯罪歴が簡単に、一生涯検索できる状態に陥ってしまう可能性があることになります。これは、現代特有の大きなデメリットと言えるでしょう。
盗撮事件の身柄拘束期間
盗撮の容疑で逮捕された場合、その後身柄はどのように扱われるのでしょうか?
逮捕されてから勾留請求まで
盗撮事件の場合には、多くのケースでは現行犯逮捕で捜査機関に身柄拘束されることになりますが、中には通常逮捕手続による場合も十分にありえることです。いずれの場合であったとしても、警察に逮捕されてから48時間以内に検察官に身柄が送致されることになります。
身柄を引き取った検察は、24時間以内に勾留請求をするかどうかの判断をします。警察で48時間、検察で24時間だけでは、取調べをするには時間が足りないことが通常です。そのため、更に取調べのための時間が必要であるかが判断されるのです。つまり、逮捕されてから最大72時間は、捜査機関に身柄は拘束されることになってしまいます。その間に、勾留請求をするかどうかが決定されることになります。
勾留期間
検察官が勾留請求することを決定して、検察官の勾留請求が裁判官に認められると、原則として最大10日間、身柄拘束された上で取り調べを受けなければいけません。検察官は、この期間の間に、刑事裁判に必要と考えられる証拠を集めることになります。
10日では足りず、更に勾留する必要があると判断される場合には、更に10日を限度に、勾留が延長されることもあります。つまり、勾留期間は、最大で20日間に及ぶことになります。残念ながら、自宅に帰ることはできません。
公訴提起以降
勾留期間が終了するまでに、検察官は今回の盗撮事件を刑事裁判にかけるかどうかを決定します。ここで起訴処分、つまり刑事裁判の必要があると判断された場合には、保釈が認められない限り、起訴後も勾留が続くことになります。
盗撮事件は比較的軽微な犯罪ではあるので保釈が認められる可能性は高いですが、証拠を隠滅するおそれや逃亡の可能性が否めないようなケースだと、保釈は認められにくくなってしまいます。
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盗撮で与えられる刑罰について
盗撮事案の場合に、前科となるべき刑罰はどのようなものがあるのでしょうか?
軽犯罪法違反
盗撮事件で逮捕される場合、抵触するとされる法律は主に二つ考えられます。一つが、公共の場所ではない箇所における盗撮行為を働いた場合の「軽犯罪法違反」です。のぞき見を禁止する法律に抵触するとして逮捕されます。例えば、女性自宅内の様子をビデオカメラ等で撮影したような場合がこれにあたります。
軽犯罪法違反の場合は、拘留または科料が罰則として定められています。拘留とは1~30日未満の身体拘束のこと、科料とは1,000円以上10,000円未満の徴収のことを言います。軽犯罪法違反の場合には基本的にこの範囲で刑罰が良い渡されることになりますが、ここには注意しなければいけないポイントがります。
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先程の例では、女性の自宅内の様子をカメラで撮影していましたが、望遠レンズ等で撮影するようなケースはさておき、例えば女性の自宅内に勝手に侵入したような場合もありえるでしょう。このような場合、個人宅の敷地内に立ち入ったことが、別途犯罪を構成することになってしまいます。
建造物等侵入罪
先程述べたように、盗撮行為を行うにあたって、個人宅等の私有地に侵入したようなケースだと、刑法に定められている建造物等侵入罪に触れることになります。3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金が科されると規定されています。つまり、公共の場所以外での盗撮だから刑罰は比較的軽くすむと安易に考えることはできないということです。
迷惑防止条例違反
電車内の盗撮、公衆トイレなどの撮影行為など、主に公共の場所における盗撮行為は、各都道府県で定められる迷惑防止条例違反に抵触することになります。都道府県ごとに迷惑防止条例違反で規制する範囲は異なりますし、予定されている刑罰内容にも多少の差があるのでご注意下さい。
多くのケースで、6か月~1年を上限とする懲役刑か、50万円~100万円を上限とする罰金刑が予定されています。
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罰金も前科
盗撮事件で逮捕される場合、よほど悪質でない限りは、懲役刑よりも罰金刑に処せられる可能性が比較的高くなります。ただ、勘違いされている方もいらっしゃるのですが、罰金刑も前科としてカウントされるものです。どのような刑事裁判手続きを経るかに関わらず、罰金刑も判決内容として言い渡されます。
懲役に処せられることだけが前科、というわけではないのでどうぞご注意下さい。ただ、懲役と違って身体拘束を受けるわけではありませんので、その意味ではデメリットは少ないと評価できるかもしれません。
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盗撮で逮捕されたら弁護士に相談
盗撮事件で逮捕された場合に、「たかが盗撮だから、殺人などの重大犯罪に比べると軽微なものだろう」などと勘違いすることは極めて危険です。
確かに衝動で犯してしまえるような類の犯罪ですし、そのため再犯率も高くなってしまうものですが、他の重大犯罪と等しく、「盗撮は犯罪」です。犯罪である以上、一定の刑事手続を避けることはできませんし、必然的に多くのデメリットがついて回ることを避けることはできません。
ただ、起こりうるデメリットをできる限り小さくすることは可能です。身柄拘束期間をできるだけ短縮したり、前科がつかないように、起訴処分を避けたり、有罪判決は避けられない状況であるとしても、懲役刑を回避したりするなど、盗撮事件の場合には、このような方向を目指すだけの価値が十分にあります。そのために必要なのは、盗撮事件の経験が豊富で、優秀な弁護士に随時適切な弁護活動をしてもらうよりほかありません。
盗撮で逮捕され、今後の社会生活に対して一抹の不安を抱かれる方もいらっしゃるでしょう。でも、そこで諦めてしまっては未来の自分の可能性を放棄するだけです。できるだけ早期に盗撮事件に強い弁護士に依頼することによって、盗撮で逮捕されたことで起こるデメリットをできる限り小さくすることをおすすめします。
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